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「世界の産声に耳を澄ます」石井光太

2017年06月30日 19時53分53秒 | 読書(海外事情)


「世界の産声に耳を澄ます」石井光太

世界のお産事情をレポート。
読んでいて、初期の作品「神の捨てた裸体」「物乞う仏陀」を思い出した。
旅する作家、石井光太健在である。

タイの代理母出産事情
P70
――もし人助けの仕事じゃなければやらなかった?
「しないですよ。お寺で人に喜んでもらえて借金も返せることだって言ってもらったから、したんだもん」
 仏教に敬虔なタイ人らしい考えだと思った。特に地方の人々は、高い教育を受けていないこともあって社会的な倫理観より、仏教の教えに従った生き方を選ぶ。メムもまた寺院の僧侶が示した「人助け」という考え方で、代理母出産を善行だとして受け入れたのだろう。

シリア内戦状態のお産事情
P168
 覚えているのは、21歳の妊婦さんが、旦那さんを失ってわずか1週間後に出産したことです。入院当初は、妊婦さんは夫を亡くしたショックから「もう赤ちゃんなんていらない!」と泣き叫んでいました。自暴自棄になっていたんでしょう。
 いよいよ始まったお産は大変な難産でした。(中略)それでも3日後の夕方になって無事に産むことができました。
 あの時、付き添っていた助産婦さんの喜びようといったらなかったですね。赤ちゃんを抱えて病院中を回って言いました。
「ついに生まれましたよ!みんな祝ってあげてください!」

【参考図書】

「レンタルチャイルド 神に弄ばれる貧しき子供たち」石井光太
「地を這う祈り」石井光太
「感染宣言」石井光太
「飢餓浄土」石井光太
「ルポ餓死現場で生きる」石井光太
「遺体 震災、津波の果てに」石井光太
「ニッポン異国紀行 在日外国人のカネ・性愛・死」石井光太
「アジアにこぼれた涙」石井光太
「戦場の都市伝説」石井光太
「ノンフィクション新世紀」石井光太/責任編集

【ネット上の紹介】
過酷な環境でも、日々生まれてくる新たな生命。先住民族、ストリートチルドレン、代理母出産、HIV感染者、紛争地…。海外ルポルタージュの名手が七年ぶりに世界を旅し、悲しみの現場から“希望”を見つめた、新機軸ノンフィクション!
第1話 ミャンマー―流浪の首長族
第2話 グアテマラ―秘境に消えて
第3話 ホンジュラス―嬰児の川/妊婦の家
第4話 フィリピン―ミルクとココナッツ
第5話 タイ―子宮貸します
第6話 シリア/ヨルダン―戦場で産む/砂に描く絵
第7話 タンザニア―アフリカの白い精霊たち
第8話 スワジランド―HIVの王国
第9話 スリランカ―家庭の味

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