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「後列のひと 無名人の戦後史」清武英利
歴史の波に翻弄され、埋もれた人を発掘しよう、って企画。
「後列」の目立たない人々の戦後史。
P207
山一證券は24年前に約2,600億円の簿外債務が発覚して自主廃業に追い込まれている。その直後に米紙ワシントン・ポイントは、山一證券の社長・野澤正平が泣きながら頭を下げる写真を添えて、〈Goodbye, Japan Inc.(さようなら日本株式会社)〉という見出しの社説を掲載した。終身雇用と年功序列が常識だった「日本株式会社」は終わりを告げたのである。
P232
これはミサワホーム社長だった三澤千代治に教えてもらった言葉だが、経済を動かすのはGNPであっても、日本人を動かすのはGNNなのだ。つまり、義理と人情と浪花節である。
P259
住専が破綻したときに、住専の損失のうち6,850億円が国民の税金から補填された。(中略)中坊は「住専破綻とはしょせん旧住専7社の倒産であり、責めを負うべきは、7社の経営者、7社を設立し経営者を送り出していた金融機関、さらにこれを指導、監督してきた大蔵省である。国民は非がないのに罰されたようなものだ」と指摘した。
【ネット上の紹介】
最前列ではなく、後ろの列の目立たぬところで、人や組織を支える人々がいる。役所の講堂や会社の大会議室に集められたとき、たいてい後列に位置を占める人たちである。威張って壇上からモノを言う人間を、後ろの方から凝視している群衆でもある。彼らは、大きな何かを成し遂げたわけではなく、出世を遂げたというほどでもない。多くの見返りを求めないで、言葉少なに佇んでいる。人は誰しもこの世界に生存の爪痕を残したいと思うときがある。しかし、生き急ぐ必要はない。良く生きた人生の底には、その人だけの非凡な歴史が残るものだということを、十八編の人生は物語っている。
第1章 君死に給う
第2章 新しき明日の来るを信ず
第3章 ススメ ススメ コクミン ススメ
第4章 おごりの春の片隅で
第5章 さよなら「日本株式会社」
第6章 身捨つるほどの祖国はありや