暫く酢酸タキばかり続いたので、たまには違う車輛と言う事で、今度は酢酸の素?アセトアルデヒドです。と言っても、工業的には近年はアセトアルデヒドの酸化による酢酸の製造はほとんど行われておらず、より原料コストの安いメタノールと一酸化炭素の反応で製造されているので、これは主に酢酸エチルの合成に用いられる模様です。酢エチは高価なアセトアルデヒドを原料とするよりも、酢酸とエタノールからエステル化で造った方が手っ取り早そうですが、原料のエタノールに酒税が課せられるのを回避するためなそうな…(因みに税制の違う海外ではエステル化法の方が主流だそうで)
さて、そんなアセトアルデヒドを輸送するタンク車、低沸点で低比重の積荷の為、巨大な保冷キセ付きタンク体でファンには人気の高い車種でしたが、反面車輛コストも高そうです。低沸点で非常に引火しやすいので、高圧ガスタンク車に近い耐圧構造を要求され、当然重くなり、車輛価格も相まって輸送コストを押し上げる要因になりそうです。かつては臨海部の石油化学コンビナートから内陸、山間部にある新井や八木原、鹿瀬の酢酸系プラントに大量輸送されていましたが、臨海コンビナート内で完結する方向に転換し、そう言った輸送自体が無くなるのも経済原理上致し方ないのでしょうね。
貨物扱い晩年の新井へは、椎津(住友化学)、青海(電化)から細々と輸送が続けられ、青海ルートでは電化のタキ9250で、椎津からはダイセルのタキ9250と、末期の平成3年になって増備されたタキ11250形2輌が運用されていました。更に新南陽~焼島(後に新崎→藤寄に取扱駅移転)で運用されていたNRSのタキ11250も追加されました。個人的にはまだ新製後間もない綺麗な姿を京葉臨鉄村田で目にしたのが印象深い形式です。
(2001年10月15日 信越本線 黒井駅)