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新専貨回想

平成の世を駈けたヤード系輸送の末裔

月のマークの

2025-01-08 19:50:21 | 京阪神各線

 今まで見たことがある貨車の中でも、運用が不明だったものの一つにタキ42250形ナフタリン専用車があります。とは言っても運用を外れて神栖で休車留置中の42254を一線空きの苦しいアングルで撮ったのみですが…

そこで、つい最近こんなのをxで見付けました。酒田港の日立セメントのスイッチャーも貴重なんですが、花王専用線に出入りするタンク車の中にその加熱管が特徴的なタキ42250形(タキ1500形改造の42250-53のどれか)が2輌も写っているではありませんか! 発送元は新日鐵化学(西八幡)と思われますが、花王でナフタリン(ナフタレン)って何に使うのか?ですが、同社は一般的に日用品、化粧品で有名なので、衣料用防虫剤?と思いがちですが(この用途も約40年前に無臭で低毒性のピレスロイド系防虫剤が登場して以来、市場からほぼ駆逐されて独特の匂いを嗅ぐ機会も無くなり久しいですが)、一方で花王は各種界面活性剤、合成樹脂の可塑剤、コンクリート添加剤など産業用の化学品も古くから製造しています。花王以外のブランドの化粧品、トイレタリー製品、食品、医薬品等にも多くに花王の界面活性剤、油脂、香料等が入っている筈で、多分花王製品を全く使わずして日常生活を送るのは不可能と言って良いと思います。

ここで本題、タイトルカットが何でタキ42250じゃなくてタキ5950?なんですが、5950,51は最初は花王石鹸の所有で、JOTに移籍後も最後まで実ユーザーは花王でした。同社の主要生産品目でナフタレンに関連がありそうなのは2つありますが、そのうち一つがこの塩ビ用可塑剤として使われたフタル酸エステルです。

四角で囲んだ式の様に、フタル酸エステルの前駆体となる無水フタル酸は、ナフタレンを酸化して(あるいはオルトキシレンを酸化して)造られます。これにアセトアルデヒドから造られる2-エチルヘキサノールを縮合してフタル酸ジ(2-エチル)へキシル(DEHP)にします。ここでややこしいのは赤で示したところ、私有貨車の専用種別名では(1)はオクタノール、(2)はフタル酸ジオクチルと慣例的に標記することで、下図(A)n-オクタノール、(B)フタル酸ジ(n-オクチル)では無いことには注意が必要です(本来はこちらを指すのが正しいと言えるのですが)。式の途中にもクロトンアルデヒドとかブチルアルデヒドとか私有貨車の積み荷としてもお馴染みの物質が登場しますね。

  

そのタキ5950形、末期は(花王和歌山工場→)浪速→越中島貨物間で運用されていました。形態はタキ2100形から加熱管を省略したようなものですが、3輌とも少しずつ違うのが面白いですね。

(1994年1月2日 浪速駅)


酷い条件ですが…

2010-02-07 19:35:00 | 京阪神各線

 目的の車輛は目前にいる、しかしゼロ線開きだったり、フェンスや雑草、電柱、標識等が思い切り前に立ち塞がっている、そんな悔しい経験をした人は多いと思います。今だったら条件がどうあれ、取り敢えず撮っておきますが、貨車を求めて全国行脚した学生時代、当時デジカメはまだ価格的、画質的にも試作品の域を出ず、かつ資金的にも乏しく今ほどフィルムを潤沢に使える訳では無かったので、非常に条件の悪い時は、例え撮りたい形式が目の前にいても迷ったものです。

 しかし条件の良い時に、と見送った時に限って、次の機会は訪れないもの、事実、このタム282も程無くして姿を消しました。これを撮った安治川口の奥の方には、当時「石油荷役」のタキ3900やら、徳山石油化学の純アルミ製タキ8700やら、タサ4300やら興味深い形式が所狭しと並んでいたのですが、何分狭い構内の事、正にこの「条件が悪い」と言う理由でフィルムをケチってしまい、撮影する機会を失ったのでした。

 因みにこのタム282を含む、四国化成工業所有のタム200形ですが、最後に残った3輌の末期の運用は安治川口―益田間で、かつ連結列車の都合上、運用中に昼間に観察できるチャンスは少なく、関東在住のファンにとっては、その捕捉はハードルの高い物でした。

(P:1994年1月2日 桜島線 安治川口駅)


何故こんな所に?

2010-01-28 00:22:14 | 京阪神各線

 今回は私が撮った唯一のタキ5450形4桁ナンバー車です。当時の安治川口は多種多様な化成品タンク車が屯し、全部撮っていたらフィルムがいくらあっても足りない、ついついあれもこれもと目移りする、それはそれは天国のような状態でした。

 その宝の山の中に何気なく紛れていたのがこれ。所有者が北海道曹達と言うのと、超若番車なのが何となく珍しく感じた程度で、ついでに1枚撮ったという程度で済ませてしまったのは、今考えると大変勿体ない話ですが、これの本当の価値は「標準化以前のタキ5450形式」と言う所にあったのを見過ごしていたのでした。タンク受け台が帯金式だったり、積卸し口周りの手摺が旧い形態だったり、第一次/第二次台車改造何れも逃れてTR41Cのままだったり、改めて良く良く観察すればする程、見慣れた標準車とは違った興味深い形態です。

 因みにこの車、青函航路廃止に伴い道内から本州へオンレールで液化塩素の輸送が不可能になったことに対応し、鹿島臨鉄知手駅に異動した北の黄タキ達の中の1輌の模様です。異動したタキ車の中には、稀少なタキ5400形を始め、標準化以前の若番5450形が複数や5400形改造車が含まれていました。知手での海陸中継輸送終了後、比較的車齢の若い車輛は親会社の旭硝子に継承され、引き続き本州で活躍しましたが、他の車齢の高い車は、この安治川口の地で終焉を迎えることとなりました。最後に残ったこの車も、撮影してから程無くして姿を消した模様で、もう一度見てみたいと思って、次の正月に訪問した時には既にありませんでした。

(P:1993年8月26日 桜島線 安治川口駅)


ウェザリング

2009-05-23 23:22:46 | 京阪神各線

 前は綺麗な貨車を紹介したので、今度は汚い?もといウェザリングのきつい貨車を。貨車の汚れ方のパターンは色々ありますが、大きく分けると、(1)積荷由来の汚れ (2)運用区間に由来する汚れ、となります。セメントやカーバイトホッパ車等の白い汚れは(1)の代表例ですね。(2)は運用区間に勾配線区が多いと、鋳鉄制輪子の削れた鉄粉で真っ茶色になっていたりします(蒸機時代は更に煤煙で黒っぽい汚れも加わります)ちょっと変わった例だと、セメント工場にC重油を運ぶ石油タンク車などは、石灰で真っ白になっていました。汚れ方を観察していると色々と気付くことがあり興味が尽きません。

 で、写真の車、タム279の積荷は二硫化炭素、非常に引火性や毒性が強いかなり物騒な?物質なので、もし漏れたり溢れたりしたら大変、ト言うことで積荷由来の汚れは無視しても良いと思います。全体的に真っ茶色なのは、勾配線区での鉄粉汚れと思われますが、瀬野八や宗太郎を越える貨車はこんな感じに汚れている例が多いのに、上越国境越えは勾配線区なのに、それ程汚れが目立つ訳では無いように思いますが果たして何故・・・


全検上がり 2

2009-04-25 21:31:15 | 京阪神各線

 それが珍しい形式だったりすると、尚更嬉しいものです。積荷自体はポピュラーなモノですが、ペンゾールや石油類タンク車の臨専で済ませるケースが多かったので、クレオソートの専用車は珍しいモノでした。形態的には石油類タンク車そっくりですが…

 タキ2754ととタキ1862、安治川口名物としてお馴染みの存在でしたが、動くことは少なかった様で、私も一度、倉敷で3865に連結され下って行くのを見ただけでした。運用先は、新南陽だったようです。

(P:1994年1月2日 桜島線 安治川口駅にて)


全検上がり

2009-04-25 21:18:38 | 京阪神各線

 手前に雑草のダメダメ写真ですが、全検上がり直後の黒光りピカピカの貨車は、いつ見ても気持ち良いものであります。写真を撮るには露出が難しい困りものなのですが…

(P:1994年1月2日 桜島線 安治川口駅にて)


INVERTER HI-TECH LOCOも10年経つと

2008-10-13 23:55:57 | 京阪神各線
 私が意識して貨車を撮るために行った最初の撮影地は確か安治川口でしたっけ。東の越中島に対する西の横綱と呼ぶに相応しく、タム200、タム8300にタキ1800や2750、その他様々な珍車が良い光線の下に、架線に邪魔されること無く撮影できたので、長期の休み毎に出掛けていました。で、こんな変な列車も目にすることが出来ました。当時の最新鋭ハイテクロコEF200が、前時代的な化成品新専貨を牽くというのも何とも愉快でありました。しかしこのEF200の”INVERTER HI-TECH LOCO”のロゴとこのカラーリング自体、もう今となっては過去のものに。進化の速度が速い電気モノの世界では数年で陳腐化してしまう中、最早”HI-TECH”では無くなってしまったのだから当然なのだけど…