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快気分析

何か快適な気分になれるような記事にしたいです。

仕組みとアプローチ -  鉄砲三段撃ちと明智光秀は関連性が有った、と筆者が見る理由  その6

2019-12-24 17:44:14 | 明智光秀
 長篠の戦いでは馬防柵が効果をあげたと見るのが通説です。
 この点は個人的にも同感で、この馬防柵が無ければ鉄砲の三段撃ちの効果があまり無かったどころか、三段撃ちの実行自体が不可能の近いものだったとも考えています。
 その理由は馬防柵が有る事によって武田騎馬隊による速攻を防ぐ事ができ、これで織田方の射撃手は危なければ安全な自陣へ退却する事が出来たからです。
 「自分の銃撃班が果たしてどれだけ持ちこたえられるのか? 仮に武田勢の騎馬軍団による突進想定外に多勢だった場合にはとても銃撃ではかなわず、その場合には射撃手である自分は槍や弓、刀などの扱いは殆どできないのであえなく討取られるかもしれない」、などと恐れながら「及び腰」で射撃をするのと、「馬防柵が有るので騎馬隊は突破できない、仮に歩兵が突破しても自分の足で退却する速度とそう変わらないので安全に自陣へ退却できる」と確信して射撃に集中できる、と言うのとでは全く射撃力が違って来たはずです。
 このあたりは明らかに織田勢の戦闘スキルが武田勢に勝っていた点だと考えています。
 これは「射撃手としてかなりの経験がないと発想できない戦闘方法」だったはずで、それならば明智光秀は射撃能力の点でこの手法に深く関わっていた、と言う事なのではないでしょうか。
 

仕組みとアプローチ -  鉄砲三段撃ちと明智光秀は関連性が有った、と筆者が見る理由  その5

2019-12-24 12:50:16 | 明智光秀
 鉄砲三段撃ちについては疑問を持つ方も多いかと思います。
 その一つに「別に三段でなくても4段、5段でも良かったのではないか?」というものです。
 これについては場合によっては4段、5段かそれ以上で多段撃ちをしていた事も時には有ったかも知れません。
 確かに3段撃ちよりは4段、5段かそれ以上で多段撃ちをした方がより射撃の空白時間を短くできるわけで、場合によってはより有効かも知れません.
ですが多くの場合は射撃班をある程度の広範囲に広げなければならず限られた鉄砲の数では4段、5段かそれ以上にしてしまうと射撃部隊の幅を広く取る事ができなくなり、敵方に横方向からの攻撃を受ける弱点を作る事になります。
 もう一つは4段、5段かそれ以上で多段撃ちをすると、各段の間の時間的空白が短くなり、かえってタイミングを合わせる事がより困難になるケースが有る事です。
 ワン、ツー、スリーとはワン、ツーの時間の間隔でスリーのタイミングを予想できる最低限の回数であり、しかもその時間的な長さが適度に有るので多少射撃手のタイミングセンスが悪くてもそれほどタイミングずれによる弊害はあまりない一方、仮に4段、5段かそれ以上で多段撃ちをすると多少のタイミングのずれでその射撃音が4段、5段なのか、或いは1段目なのか、などがわからなくなるケースも有る筈で射撃音でタイミングをとっている他の兵がどこで発砲するかがわからなくなるはずです。
 これがやはり鉄砲三段撃ちにはそれなりの意味が有ったケースが多いと考えられる点です。

仕組みとアプローチ -  鉄砲三段撃ちと明智光秀は関連性が有った、と筆者が見る理由  その4

2019-12-24 08:37:49 | 明智光秀
 鉄砲三段撃ちについてもう少し踏み込んで分析すると次のような利点が有るのがわかります。
 それは「射撃を止める指示」が簡単に確実に広範囲に出せる、という点です。
 一斉射撃を継続したい場合にはワン、ツー、スリー、ワン、ツー、スリー・・・・・・・と続ければ良く、反対に一度一斉射撃を止めたい場合にはワンの合図にあたる射撃を止めれば良い事になります。
 なのでおそらく1段目であるワンの時には合図以外の射撃はしないように指示が出ていたはずだと思われます。
 万が一に備えて旗や声での合図もしたのかも知れませんが、煙や轟音、敵方の射撃音などでそれがわからなくなるリスクも有ったはずで、やはり1段目であるワンの時の一定数以上の射撃音の有無とそして煙の有無がかなりの目安となっていたのではないかと推定できます。
 更に一度止めた一斉三段撃ちを再開する時には、1段目である合図のワンの射撃を実施し、ついでツーを実施。
 そのワンとツーの時間的感覚で次のスリーをいつ撃てば良いかが広範囲の射撃兵にかなり正確にわかって一斉射撃ができたのだと考えられます。
 武田方が騎馬で突進して来たと思われる戦闘開始から前半の時点ではこの方法の比率が多く、やがて武田勢がパターンを読んで歩兵による攻撃に変わって来たと考えられる後半ではこれだけでなく、2段目のツーでも適宜タイミングを合わせて撃っていたのではないでしょうか。
 しかしこれを行うと2段目であるツーの射撃にややバラつきが生じる可能性もあるので、正確なタイミングで射撃できる限られた射撃班以外はあまり実施できず、2段目で撃つ鉄砲の総数や範囲には制限を設けていた可能性が有ったと思われます。
 そしてやはり1段目であるワンの時には合図以外の射撃は行わないか或いはごく限られた数と範囲でしか行わない、と言うルールにしていたはずと考えられます。
 いずれにしてもこの織田勢の「新型一斉三段撃ち」のパターンに薄々感付いて来た武田方の将兵は仲間にそれを伝える前、既に殆どが撃ち取られていたのではないでしょうか。

仕組みとアプローチ -  鉄砲三段撃ちと明智光秀は関連性が有った、と筆者が見る理由  その3

2019-12-24 01:33:48 | 明智光秀
 前回記事の続きになります。
 一斉三段撃ちは状況に応じて様々な手法が選択されていたと思われます。
 例えばですが、武田勢が馬防柵を迂回するように騎馬隊が速攻しようとして来た場合、織田勢は一斉三段撃ちで迎え撃つのですが、1段目、2段目、3段目を繰り返す、つまりワン、ツー スリー、次のワン、ツー スリーというのを繰り返す際、おそらく三段目であるスリーの所で鉄砲の数においてかなりの割合を集中させたかも知れません。
 例えば1段目で50丁、2段目も50丁、3段目だけが400丁。
 これが一つの一斉三段撃ちのグループであり、それが3グループ有ったとすれば鉄砲の総数は1500丁となります。
 実際にグループ分けがどれ程だったのかはわかりません。
 もしかしたらたった一つだった可能性も有りますがそのあたりを示す資料はまだ調べ切れていません。
 ところで武田勢が騎馬で突進して来た場合に何故このように三段目の鉄砲数を多くするのか?と言うと、それは次のような仕組みだったのかと思われます。
 武田勢は馬で突進するわけですから「織田方の鉄砲の発射パターンを把握したとてそれは突進である以上あまり関係なくただ迷わずに速攻で突撃して来る」、そして更に「馬防柵が有るので直線で織田勢へ突進はできずに迂回、蛇行しながら攻めて来るわけなので射撃で命中させるチャンスはより多いので1段目、2段目の数は少なくても3段目でかなり命中させられるチャンスは有る」と言う2点が有ります。
 その他にも馬や将兵が轟音で驚く可能性、特に1段目と2段目の発砲音に比べて3段目の音が異常に大きければ馬や将兵が動揺するケースが有ったのではなかったかと考えています。
 では武田勢が騎馬による突進を止めて歩兵による攻撃に切り替えた場合にはどうでしょう。
 鉄砲や槍、弓、刀などを持っていても歩兵ならば馬防柵をくぐり抜けられる為、直線の最短距離で織田勢に攻め寄せる事ができます。
 その場合には一斉三段撃ちの方法を変えて、例えば一つの例としてベースとなるワン、ツー スリーの合図の為の鉄砲100丁、残りの1400丁はその合図であるワン、ツー スリーのどれでも良いがとにかくこのどこかに合わせて射撃させます。
 この中にはパターンをわざと変えてツーの所で多く撃ったり、スリーの所で多く撃ったりとか変化させる事で武田方の歩兵にとってどこで多くの鉄砲で撃たれるのか予想がつかなくなり、しかもベースの音が有るので総数が把握しにくくそこで武田勢が適格な攻撃を出来なくなる事になります。
 馬で突進して来た場合には相手にパターンを読まれてもあまり関係ない事から前者の方法で、そして歩兵という足軽、雑兵らが攻めて来た時には相手が人間である以上、織田方の射撃パターンを読もうと考えながら来るわけでその裏をかく、或いは織田勢の攻め方や鉄砲数を把握されにくいようにする為に後者の方法を採る、大体このようなものかその組み合わせだったと考えています。