隣に座ったおじさんがなにやら話しかけてきた。
ヘッドフォンを外す。
「あれ池袋行くの?」
総武線三鷹行き最終電車が新宿駅に停車している間の出来事。
あれとは、向かいのホームに同じく停車していた山手線のことを指している。
「ええ、池袋に行かれるんですか。」
「そう、だけどもうないから高円寺から行けって駅員が言うからさあ。」
「遅れてたんじゃないですかね。」
「はーん、そっか。」
そう言いつつも、おじさんは降りない。
ここで立ち上がっても今にもドアを閉めそうな山手線には間に合わないからだろう。
会話はそこで終わった感じであったが、一応おじさん側のヘッドフォンははずしておいた。
僕たちを乗せた総武線も発車した。
ていうか、高円寺から池袋行かせる意味がない。タクシーなら新宿から乗ればよっぽど近い。
数分後、多分この人は練馬とかに行きたいんだな、とか勝手に納得してみた。
電車が高円寺に着くと、おじさんが立ち上がりざま握手を求めてきた。
あっどうも。
以上。
その後一緒にアイリッシュパブで一杯ひっかけて
贔屓にしてるサッカーチームの話題で盛り上がったなら
もっとすてきだね。
話しかけられもしないですよね。
こんな風にたまに話すとべつに特別じゃなくて。