今日のことば・・・久米の仙人

「久米の仙人」は、『今昔物語』に出てくる仙人のことで、こんな話です。

現在の奈良県にその昔、久米という人がいて、修行を重ね、ついに仙人となった。
久米の仙人は、神通力で空を飛ぶことができ、毎日のように空中散歩をしていたが、
ある日、上空を飛んでいると、川の上にさしかかり、
その川で洗濯をしていた女の白いふくらはぎが目にとまり、
その色香にくらくらっとなって神通力が消え、女の前に落下した。
久米はその女と夫婦になり、以後人間として暮らした。
あるとき、東大時の大仏殿建立のために久米は労役に狩りだされた。
その建設現場でのこと、現場監督の役人が、材木運びをしている彼の経歴を聞きつけ、
「仙術で材木を運べぬものか」
と相談をもちかけた。
久米は、あらためて数日間修行をやり直し、神通力を回復した。
彼は神通力でもって山奥にある材木や大石を浮かせ、空中をすべらせて次々と建設現場へ運んだ。
これにより、大仏殿は大幅に工期を短縮してスムーズに建設された。
この功を褒めたたえ、聖武天皇は久米に３０町の免税田を与えた。
久米はそこに寺院を建立し、それが現在、奈良県橿原市にある久米寺だという。

というわけで「久米の仙人」は、女の色気に迷って失敗することを指して言うことばですね。
さあ、今日も久米の仙人でいきましょう。

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