Smoke will be with me!

cigar, cigarette, pipe tobacco等、タバコと私の濃密な時間

パイプに興味を持つまで~Part3

2005-05-15 | パイプに興味津々
 それまでタバコと言えばシガレットという意識しかなかった私だが、パイプやシガーを試してみようと思ったことが無かったわけではない。しかし私の周りにはシガレット以外のタバコを嗜む人はいなかったから全くの門外漢だった。何の知識もなかったがなんとなく"タバコの上級者コース"というイメージを持ち続けていた。パイプやシガーはある程度の年齢、人間としての厚み…それらを備えてなければ吸ってはいけないタバコとして認識されていた。
 
 日本に帰国した時の愉しみの一つに書店へ行くことが挙げられる。英語圏に暮らす私だが、まだまだ好きな本を選べるほどの英語力は持ち合わせていない。しかし日本なら、日本語ならばより取り見取り。好きな本を好きなだけ買い、自由に読むことが出来るのだ。たとえ気に入った本が見つからずに買わなかったとしても、そこにある何万と言う本に埋もれながら本を選ぶ作業は至福のひとときである。
 
 そこで目にしたのはシガーの入門書だった。
パイプかシガーか…ぶっちゃけた話し、パイプの方が年齢層が上というイメージがあった。どちらかと言えばシガーの方が近い気がしていた。次にヤルならシガーだろうと…とは言えシガーの知識はゼロである。ゼロの私に小難しい話しは必要ない。少しでも楽しめるようにと写真の多いものを買い、すぐに読んだ。そして私はひるんだ。初めて見るシガー(の写真)に付けられた価格は一本千円以上、高いものは三千円もする。シガーを保管しておくヒュミドールでさえ何万もするのだ。これはうかつに手を出すと大変なことになる。知識はゼロでなくなったし、興味も出てきたが私が出した結論は、"手が出せない"というものだった。

 実はこの時、私は日本で誕生日を迎えていた。誕生日と言っても別にたいしたことはしない。レストランで食事をしたりして妻と二人で祝うだけである。しかしプレゼントだけはお互い欠かしたことはない。すでに数日を過ぎていたが、カナダに戻り彼女からプレゼントを受け取った。なんとそれは…ハバナ産のシガーだった!
 
 これはまったくの偶然だった。
彼女はカナダ、私は日本…私が日本でシガーの入門書を買う前に、プレゼントは用意されていたのだ。いつかはパイプかシガー…私の話を覚えていてくれたのだ。もちろん嬉しかった。一度は諦めたシガーが二本、今、自分の目の前にあるのだ。狂喜乱舞と言っても過言ではないほどに私は喜んだ。遂に吸える。二本のシガーは吸ってくれと言わんばかりに魅力的な香りを放っていた。

 2003年、秋のことである。