Smoke will be with me!

cigar, cigarette, pipe tobacco等、タバコと私の濃密な時間

パイプ党入門

2005-08-29 | book
 習うより慣れろ、パイプスモーキングはこの言葉に集約されている…それは事実だと思う。実際経験しなければわからないことの方が多いだろうし、そもそも趣味の世界とはそういうものであるからだ。時に、多過ぎる情報は正しい判断の妨げとなる場合もあると私は思う。だから絶対資料が必要だと言い切ることは危険である。知り過ぎるのは良くないが、"趣味をより楽しくするある程度の情報は必要である"、これが私の考えだ。

 Webを検索すれば様々な情報は手に入る今日だが、それでも私は活字の資料が欲しかった。読み物からパイプのことを知りたい、そう思ったのだ。ところが、残念なことにパイプ関連の書籍は新しいものが少ない。そのほとんどは最後のパイプブームだった70年代に集中し、ネットオークションでは定価よりも高い価格で取引されることも珍しくない。手に入れたパイプ党入門は定価が750円、私は500円で買った。まずまずの買い物だったと思う。

 30年ほど前の入門書は昔の本だなぁという第一印象。レイアウトにコンピュータが使われなかった時代の書籍は新鮮だ。内容はと言うと…

 パイプスモーキングに関する基本は全ておさえられているし、パイプの自作や自分で作るタバコのブレンド・マイミックスチャーにまで触れられている。私のような初心者が読むには最適な本ではないだろうか。カラー写真が少ないのが難点ではあるが、古い書籍であるが故、多少の経験を積んだスモーカーなら資料的な価値を見いだせるかもしれない。情報としては古いので、決して"今"は見えてこない。まあこれは仕方のないところである。

 この本の良いところは、入門書にありがちな押しつけがましいところが無いことだろう。著者のパイプスモーキングに対する気持ちがよく出ている良い本だと思う。パイプは茶道や華道のような"道"ではない、流派は存在しないのだ。基本だけを覚え、あとは慣れていくだけ…パイプという趣味を理解した著者だからこその内容になっている。

 私はこの本を辞書のように使っている。ちょっとした時にパラパラとページをめくることの出来る書籍という資料は、やはりイイ。

Royalty (Davidoff)

2005-08-23 | My tobacco reviews
 何を隠そう、私が最初に吸ってみたいと思ったパイプタバコがこのダビドフのロイヤルティだった。日本の小売価格は2,900円とダンヒルの倍以上することも私を惹きつけた要因の一つでもあったが、シガーの借りをパイプで返してほしいという気持ちが強かった。
 
 というのもハバナ産よりも高価な物が多いくせにダビドフのシガーは私の嗜好に合う物が少なかった。プレミアムシガーには何度も泣かされてきたのだ。ところがミニシガーやシガリロには旨いと思える物が多かった。シガーの醍醐味はプレミアムにあるというのに、なんとも皮肉な話しである。もっとも、ダビドフシガー全種類を吸ったわけではないし、これは私の嗜好に基づく一つの意見である。もちろん違う意見があることは充分わかっているつもりだ。
 
 ダビドフのプレミアムシガーはドミニカで巻かれているが、その他はオランダやその他ヨーロッパの国で生産されている。プレミアムシガーの出荷先の最大手はアメリカであるからアメリカが好むブレンドに仕上げてあるはず。そしてヨーロッパで生産されているものが主にヨーロッパの嗜好に合うようにブレンドされているはずである。プレミアムが口に合わず、シガリロの方が旨いと思う私の嗜好…ダビドフのパイプタバコはイギリス、オランダ、デンマークで作られている。きっと私に合うはずだ、そんな思い込みもあった…
 
 缶を開けてみると綺麗な葉が目に入る。
カットが非常に美しく、葉にバラつきが無い。小枝のような物は一つも無く、パッケージングに手抜きが無いことがよくわかる。甘酸っぱい香りに混ざってラタキアの香りがする。しかしそれほど強くない。水分量は開けたてのナイトキャップよりも少なめ、そこそこといった感じである。喫味はというと…甘い。今まで味わったのとは違う、もしかしたら着香してあるのでは?と思わずにはいられない蜜のような甘味である。タバコとしてはミディアボディではなかろうか?それほど強くない。スパイスとして加えられたラタキアがなければ何の変哲もないタバコになってしまうだろうが、絶妙のバランス。ぎりぎりのところで品を保っている。

 旨いことは旨い。確かに旨いがおぉっ、これは旨い!と唸ってしまうような感動は無い。ミディアムボディということもあるだろう。私のように、このタバコに感動を求めてしまうスモーカーは多いと思う。それは設定された価格にあるのではないだろうか。50gで2,900円はやはり高い。tobaccoreviews.comでも似たような意見を見ることが出来るが、結局、"悪くはないが記憶に残らない"、"価格ほどの旨さは感じない"という評価になってしまう。これは私も同じだ。海外通販などをうまく利用して、安く買えるのならば…という条件付きで、常備しておきたいタバコと言っておくことにする。もしこのタバコがダンヒル並の1,200円ぐらいで売られてたら評価はもっと高いはず。上品にまとまっているだけにちょっと残念だ。

けむりのゆくえ

2005-08-19 | book
 珠玉のエッセイと呼べる本を久しぶりに読んだ。早川良一郎の"けむりのゆくえ"である。

 故・早川氏は作家でもなんでもなく、ただのパイプスモーカーである。その彼が50歳になったときに書き、199部限定の私家版として出版した"A Study of Smoking"が日本エッセイストクラブ大賞を受賞し、本になったのだ 。パイプに興味を持ってからというもの、ずっとこの本を探していた。私が購入したのは、昭和49年に出版されたものを改定して新たに編集し直したものだが、それでも8年前の本。なかなか見つからなかった。それはさておき…

 つまり、この本に書かれているのは戦前、戦中、戦後から70年代までなのであるが、著者は実に飄々と日本にとって激動の時代を過ごしてきた。それは文章にも表れている。まさにパイプのけむりのように、である。どのエピソードにも優しさがあふれ、読む者を惹きつける。出版から30年が過ぎた今でも、それは決して色褪せていない。むしろこの飄々とした文体から著者の持つ強さを感じることさえある。それほど素晴らしいエッセイなのだ。

 きっと著者は今でも銀座をふらふらと彷徨っているに違いない。もしかしたら私が気付かないだけで、何度もすれ違ったかもしれない…そんな風に思う。是非パイプを燻らしながら、いや、パイプが無くともゆったりと読みたい本である。

London Mixture (Dunhill)

2005-08-17 | My tobacco reviews
 メシャムさんからいただいた3つ目はロンドンミックスチャー。
 見た目は黒っぽい葉と薄茶色の葉が半々ぐらいで、ロースト(トースト?)したような焦げた香りが強い。水分量はそこそこで火付きも火持ちも悪くない。もしかしたら少し乾燥していたのかもしれないが、ナイトキャップよりも吸いやすいという印象だ。缶には"VIRGINIAN AND ORIENTAL TOBACCOS"とある。オリエンタルというのはラタキアのことだろう。そしてTurkish(ターキッシュ)が加えられている。甘味が強く、タバコも強い…味わいはストレート。どちらかと言えば分かりやすい味わいではなかろうか。わかりやすい分、はっきりと好きだと言えるタバコである。

 タバコとしては強め。
しかし葉のブレンド…いわば総合力でフルボディだと思わせるナイトキャップと違い、ロンドンミックスチャーはヴァージニアとラタキアの二本立て、二つのタバコ葉の個性を存分に活かしたストロングという印象だ。方向性は似ているようにも思うがアプローチが違う。ナイトキャップにあるすっきり感、さっぱり感はこのタバコに感じない。となるとターキッシュの葉にはどんな役割があるのだろう?…そう考え始めたところでいただいた葉を吸い終えてしまった。
 
 もう少し吸ってみなければ結論は出せない。というわけで評価は一缶吸うまで保留とさせていただくが…もしかしたらナイトキャップよりも好きかもしれないと今は思っている。もしかしたらラタキアにハマっている?ラタキアが好きということか?

200g枠

2005-08-14 | tobacco
 カナダと日本のタバコの価格を比較するとこうだ。
Cigarはほぼ同額、パイプタバコは2倍から3倍、シガレットは3倍から4倍、もちろんカナダの方が高い。日本と違い、カナダのタバコは定価法でないため店によって値段には差があるが、まあだいたいこんな感じだろう。しかもこれは額面での価格差である。この額面価格にに国の消費税7%が加算されるので差はさらに広がることになる。価格差を見れば一目瞭然、最もポピュラーなシガレットに最も多くの税金が加算されている。当然だ。となれば私のように定期的に海外出張(いまやそのほとんどは日本だが)を続けている人間にとって、一番オイシイのは免税枠となる。

 カナダ入国の際、一家族につき一枚の税関申告書なるものを提出することになっているのだが、そこにはこんな風に書いてある。

"200 cigarettes, 200 tobacco sticks, 50 cigars or 50 cigarillos,
and 200 grams manufactured tobacco"


 シガレット1カートン(200本)、50本のCigar、50本のシガリロの中から一つを選択する。それにプラスして200gのタバコ製品。ここまでが無税である。こんな意味だ。Cigarとシガリロが同列で50本というのも凄い規定だと思うのだが、まあそういうことになっている。そして私は今まで、この"200 grams manufactured tobacco"という枠を使ったことはなかった。私には何の関係もない枠だったのだ。しかし私は気付いた…気付いたのはほんの2ヶ月前のことだが(笑)

 通称200g枠(勝手に命名)はRYO(手巻きタバコ)そしてパイプタバコが該当する(もっと言えば嗅ぎたばこや噛みたばこも含まれる)。これに気付いた時は自分を恨んだ。なぜ今まで気付かなかったのか、今まで自分は何度カナダに再入国したのか?200g×40回で8kg、いやそれ以上のタバコをドブに捨て(いや、捨ててないが)無駄に(いや、無駄にはしていないが)してきたのか…50本のCigarか200本のシガレットか、もう悩まなくていいのだ。もっとも、パイプタバコはどうするのか?という新たな問題は発生するのだが…そしてさらに、この枠を使うような身近な友人はいない。日本からやってくる(かもしれない)喫煙者にも気兼ねなくお土産をねだることが出来るではないか。

 なんと素晴らしい200g枠。
得した気分と損した気分を今、両方味わっている。

Night Cap (Dunhill)

2005-08-06 | My tobacco reviews
 初の缶入りタバコ、そしてラタキア初体験となったのはナイトキャップ。開ける前から特有の正露丸臭がほのかに香る。缶に明記されているようにコインを入れてひねる…いや、ちっとも動かない。気をとり直して思い切り力を入れるとしゅこっという音と共に空気が入った、なるほど。その後は簡単に開き、やっとタバコとご対面。
 
 開ける前からしていた香りがぐんと強くなり、ツンとした香りが鼻を突く。その中にローストしたような焦げた香りが混ざっている。これがラタキアの香りか…第一印象は決して嫌な香りではない。よく正露丸に例えられるが私には別の、もっと高貴な香りに思える。だとしたら何だろう?つまんでみると葉はかなり湿っていて、黒っぽいものが多い。こりゃ吸いづらそうだ…そんな風に考えながらよく揉んでパイプに詰める。案の定、火はよく消えた。
 
  白状するが、最初は好きとも嫌いとも言えない味わいに感じた。嫌ではないが、両手を上げて好きと言えない、とでも言うべきか…というのも、ナイトキャップの持つ独特の風味は今までに経験したことのないものだったからだ。それがラタキアなる葉のせいであるのは間違いない。しかし、このタバコの旨さはそこにあるわけではない、と私は思う。ピリッとしたスパイシーさ、そしてチョコのような香りもある。甘味もかなり感じるが、それでいて口内がすっきり、さっぱりする。ラタキアはしっかり感じるが、あくまでもこのタバコが持つ他の風味を際立たせるためのアクセントとしてであり、時々顔をのぞかせては味わいに深みを持たせている(と言うにはかなり主張はしているが…)。なんとも表現のしようがない複雑な味わい、それがこのタバコの魅力ではないだろうか。一言で言うなら、アロマテラピーである。

 吸っている時はさほど感じないのだが、吸い終えるとフルボディなタバコだなぁと思う。ロイヤルヨットのようなストレートな強さではなく、味わいの深さと複雑さが満足感をもたらすのだ。最初は疑問符ばかりだった私も、夜になると吸いたくなる。すっかりパブロフの犬状態だ。しかし、そうなった今でも"好き"と言えない不思議なブレンドである。もっともこれは、まだ自分の嗜好がはっきりしていないからだろう。きっと時間が解決してくれるはず…そう信じている。
 
 さて、私にとってナイトキャップが初ラタキアになったわけだが、タイミングも良いので感想を述べておくことにする。私が感じるラタキアのイメージは、やはり正露丸ではない。どうもそう言い切れない、何やら高貴な香りがするのだ。果たしてそれは何だろう?私の頭に浮かんだのは二つ。一つは墨の香り。書道で使う、あの墨である。高級な墨は良い香りがする。墨を擦ることで気持ちが休まる…このアロマはまさに墨を擦っている空気感と酷似している。そしてもう一つはウィスキーだ。海の香りとも、ピートの香りとも言われるアイラモルト特有のヨード香もラタキアというタバコ葉には漂っている。これがラタキアの個性なのか、はたまたナイトキャップだからそうなのか…現時点では何とも言えない。
 
 なにやら凄いことになってきたぞ(笑)

二本目のパイプを買わなかった理由

2005-08-03 | pipe
 ビギナーズセットに入っていたフカシロのベストメイクビリヤードが私にとって最初のパイプとなったわけだが、その時すでに…もう一本パイプを買おうかどうしようか考え始めていた。
 
 "パイプは休ませた方が旨い"
 
 知ってはいたが、まだ実感はなかった。そりゃそうだ、始めてすぐにそれがわかるはずがない。始めてのパイプタバコ、それを吸い終えた時点でもう一度考えてもいいだろう。続けることで見えてくることもあるはずだ。そう思い二週間、一種類のタバコを一本のパイプで吸い続けた。結果…パイプは休ませた方が"圧倒的に"旨い、これは確かだった。これを実感出来たのは大きかったとと思う。「二本はあったほうがイイですよ」メシャムさんの言葉が頭をよぎる。しかし、なんとか踏みとどまり、パイプは買わずにカナダの我が家へ戻った。
 
 "パイプ買うて、兎に角火を点ける。それで壊す積もりで使て下さい。大いに失敗して下さい。そこから多くの事が学べる筈です。無難にやる必要は無い。大失敗して下さい"
 
 天の声が私にブレーキをかけたのだ(笑)
もしかしたらパイプを壊すかもしれないし、壊さずとも間違った使い方をするかもしれないのだ。パイプがあり、タバコがある。すでにパイプを愉しむ為の道具は揃っている。焦る必要はない。ゆっくり、自分のペースで楽しめばよいのだ。メシャムさんからいただいた3種類、そして私が持ち帰った3種類、それだけあれば充分、充分なはずである…暫くの間は。

 一本のパイプでいろいろなタバコを愉しむことで、二本目のパイプを手にした時にまた新たな発見があるだろうという読みもあった。最初から二本のパイプを使ったらきっとわからないことも明確になるはず。何しろ今は短くて2時間、最大で半日しか休ませていないのだ。新たな発見、それをより大きなものにするために、二本目のパイプを買わなかったというわけだ。
 
 さて、ここで次のパイプについて考えてみる。楽しい時間だ。
考え事をするにはパイプを燻らせるに限る、というわけで私はパイプに火を入れる…この時間を楽しめるのもまた、二本目を買わなかったからこそである。