Smoke will be with me!

cigar, cigarette, pipe tobacco等、タバコと私の濃密な時間

近所にパイプタバコはあるのか?Part2

2005-06-23 | パイプに興味津々
 バンクーバーのダウンタウンにある店でパイプタバコを見かけたことを思い出し、ついでの時に寄ってみた。店があるのはイェールタウンと言う古くは倉庫街だった地域。今では再開発が進み、お洒落な店やクリエーター達が集まるスポット。今回の目的である店はVancouver Cigar Company。その名が示す通りシガーショップである。数年前にシガーカッターを買って以来、何も買い物はしていないが、前を通れば冷やかし程度に寄ることにしている(笑)
 
 パイプタバコは店の中央にあった。大きなガラスジャーに入ったそれは店のオリジナルブレンドらしい。葉はどれも黒く、粗い。それぞれのジャーにはラベルが貼られ、どんな葉がブレンドされているのかがわかるようになっていた。フタを取って香りを確かめてみると…甘い、甘い香り。シガレットでもシガーでもなく、お菓子のような甘い香りがした。そして、今まで何度も来ていたにも関わらず気付かなかったのは、ジャーが並ぶ隣、ショーケースの中にパイプが並んでいたことだ。数はそれほど多くない、せいぜい7、8本。シャコムやらスタンウェルやら、覚えたてのブランドを確認出来た。店員は皆若く、パイプなど銜えている姿は見たことがない。このハウスブレンドを試すことはあっても、この店でパイプを買うことは無いだろう。
 
 この店はシガレットも豊富に扱っていて、その全ては見えるようにディスプレイされている。もしパウチや缶入りのパイプタバコがあるのなら並べておくはず。確かめたわけではないが、ハウスブレンド以外パイプタバコを扱っている可能性は低い。ぐるりと一回りして店を出た。
 
 とにかくタバコはあったのだ。これだけでも収穫はあった、そう思っていたのだが、もっと身近なところで売られているのを発見した。London Dragという店だ。ここは日用品を中心に、化粧品や薬局、パソコンなどの電化製品、CDやDVD、1 hour photoなどが入ったコンビニを大きくしたような店。街中至るところにあり、お買い得商品が出ることもある。別の用事で行った時、別カウンターになっているタバコ売り場を何気なく見ると…な、なんと、アンホーラと書かれたパウチが並んでいるではないか。その隣には白地に黒…キャプテンブラックだ。灯台下暗しとはこのことだった。
 
 ここだけではなかった。スーパーのタバコ売り場にもいくつかのパイプタバコを見つけた。やはり今まで気にしていなかったから気付かなかったのだ。ならばあそこにもあるはずだ。そう思って行ったのは最寄りのショッピングモールにある一つの店。そこは新聞や雑貨などを扱う韓国系カナダ人が経営するキオスクを大きくしたようなチェーン店。豊富とは言わないまでもシガーもかなりの量を扱っている。シガレットはレジの後ろに並んでいて、その並びに…あった。ここにも5種類ほどのパイプタバコ(パウチ入り)があった。主人に缶入りはあるかと聞いてみたが、そこにあるだけとつれない返事(笑)
 
 カナダのタバコは定価法ではない。そのため店によって価格が違うが、だいたい50g入りのパウチが$18から$25。これに国の消費税7%がかかる。1カナダドルは約90円だから、日本の二倍以上か…まあ仕方がないか。手に入ることはわかったのだ。それだけでも良しとしなければ。

ビギナーズセット

2005-06-05 | パイプに興味津々
 "高価なハンドカット等要りません。先ず最初はビリヤードから初めて下さい"
 
 どこからともなくありがたい声が聞こえてきた(笑)
そう、タバコもそうだがパイプも要る。

 きっとパイプ未経験者は皆そうだと思うが、私も"パイプは高価な物"だと思っていた。高価な物だからこそ、気に入った一本を選び、それを大事にずっと使う…そう思っていた。ところが違った。もちろん高い物はいくらでもある。しかし逆に、安い物だってあるのだ。そしてまた天の声が聞こえた。
 
 "まずパイプを買う事やね。パイプは高いのは要らん。一番安いヤツでええ。使わん内にああじゃこうじゃ考えてたら喫む前に嫌に成るで。それに初パイプは、幾ら信頼出来るメーカーの作り込みがええパイプを買うたとしても、初心者には解らんからね。パイプ買うて、兎に角火を点ける。それで壊す積もりで使て下さい。大いに失敗して下さい。そこから多くの事が学べる筈です。無難にやる必要は無い。大失敗して下さい"
 
 なぜか天の声は関西弁だ。
そう、パイプメーカーは星の数ほどあり、シェイプの違いサイズの違い…初心者、未経験者はどれを選べばいいのか全くわからない。何しろ最初はビリヤードという真っすぐなパイプがいいらしい。喫煙方法を身に付ける為にそのシェイプがいいと言う。良かった、私も真っすぐなパイプが好きだ。これでシェイプは決まった。では、どれを、どこで買うか?私に必要なのは信頼出来る人間と言ったが、これはタバコ屋の主人のことだ。経験豊かな主人のいる店、しかも日本に帰った時に立ち寄れる店がいい。

 オンラインショップを見てみると、どこもビギナーズセットというのが用意されている。価格はどれも良心的、これを買うのが一番良さそうだ。ところが店によってはビリヤード以外のシェイプのセットもあるし、付属のタバコも違う。中にはタバコの銘柄が記されていない物もある。そこで私は店を絞ることにした。ビリヤードだけでセットを組んでいる、タバコの銘柄がはっきりしている、そして私が立ち寄れるという三つの条件で店を探した。そして浮上した店に早速メールを出し、質問をぶつけてみた。なぜこのパイプを選んだのか?なぜこのタバコなのか?
 
 メールの返事はすぐに来た。答えは簡潔、且つ明確だった。実家に届けてもらうことも考えたが、私の帰国はひと月ほど先になりそうである。となるとパイプはともかくタバコが心配だ。再びメールを送ると…
 
 「6月末ごろまでの在庫は十分ございますので、ご安心ください。セットは少量ずつ当店で組んでいますので、たばこは新しいものが入っています。ご来店をお待ちしております。」

 どうやらこの店、信頼して良さそうだ。
これでタバコもパイプも店も決まった。あとは実際店に行くだけだ。ちなみにタバコはアンホーラフルアロマ、パイプは深代製作所製ベストメイクビリヤード、である。

最初に必要なこと

2005-05-30 | パイプに興味津々
 パイプタバコを吸うにはパイプが必要だが、まず私はタバコについて考えてみた。いや、正直に言うとパイプとタバコ、並行して調べたり考えたりしているが、私の興味はまずタバコである。こんな時、Webというのは本当に便利だ。正しい情報も、誤った情報も、検索すればいくらでも手に入る。
 
 パイプタバコは数種類のタバコ葉がブレンドされている。ウィスキーで言えばシングルモルトではなくブレンデッド。モルト原酒に相当するのが黄色種(バージニア)、バーレー種、オリエント種といったところか。この三本柱をメインにバーレー、ラタキア、キャベンディッシュなど香り付けされたり、熟成された葉がそれぞれの割合、バランスでブレンドされる。パイプタバコは三つのタイプに大別される。タバコ葉に香りを付けたアメリカンタイプ、基本的には香り付けをせずタバコ葉本来の味わいのイングリッシュタイプ。そしてその二つの良いところを合わせ持つヨーロピアンタイプ。アメリカンタイプはバーレー葉中心のブレンド、原則としてバーレー葉が使われないイングリッシュタイプはバージニアベース。
 
 と、ここまで書いて思った。パイプタバコはウィスキーよりもコーヒーの方が近いのではないか?一つのコーヒー豆があるとしよう。まず焙煎の仕方によって味わいは変わる。挽き方も大いに関係する。更には淹れるお湯の温度によっては酸味が強くなったり苦味が出てきたり…そして道具はネル、ペーパー、サイフォン、パーコレーター…これに豆のブレンドが加わると、組み合わせは無数に存在することになる。シガーはよくワインや中国茶に例えられるが、パイプタバコの場合はタバコ葉の他に道具、そして技術が大きく関わってくる。その分バリエーションが豊富になるわけだ。コーヒーの方がしっくりくる。
 
 タバコ葉に話しを戻そう。
 調べてみると、なぜ初心者にアメリカンタイプを勧める理由が見えてくる。アメリカンタイプは味わいが軽いものが多く、タバコによっては肺喫煙が可能な物もあるらしい。含まれている水分も比較的少なめで火付き、火持ちがいいらしい。…どうもこの辺がパイプ初心者のキモになりそうである。これからパイプを始めようとする人間にとって、タバコの味わい云々よりも火を持たせること、過燃焼させないことがまず第一になるからだ。しかし一口にアメリカンタイプと言っても、その数は多い。アメリカ産のタバコが全てアメリカンタイプかと言えばそんなこともないだろう。だいたいどれがアメリカンなのかがわからないし、とにかくこの中から最初のタバコを選ぶのは難しそうだ。
 
 更に言えば、そのアメリカンタイプが私の好みかと言う問題もある。仮に正しく吸えたとしても好みでなかったら"パイプタバコは不味い"と思うのではないか?もちろんパイプタバコは星の数ほど存在する。私の性格からすれば、そこで放り出したりはしない、きっと血眼になって好みのブレンドを探すだろう。いや待てよ…だいたい、正しく吸えているかどうかも判断出来ないのではないか?いくらパイプスモーキングがシガーのそれと似ているからと言って、最初から上手に吸えるわけがない。きっと あぁでもないこうでもないと試行錯誤を繰り返すのは目に見えている。それも愉しみの一つだと言ってしまえばそれまでだが…しかし、正しい味、正しい香りを知らずにそれを繰り返すのはゴールがどこにあるのかわからないまま走り出すようなものだ。いや、すぐに間違いを訂正出来る環境にあればそれでも構わない。近くにパイプスモーカーがいるとか、信頼出来る店があるとか、そういう環境ならそれもいい。しかし私は違う。情報はWebにあるとしても香りや味は決して伝わらない。
 
 一番初めに必要なのはタバコでもパイプでも無い、信頼出来る人間だ。

しばらくお預け

2005-05-22 | パイプに興味津々
 出来るだけ早く、出来れば今すぐにでも試してみたい気持ちで一杯ではあるが、どうもバンクーバーで必要な物を手に入れるのは難しそうだという結論に達した。いや、不可能と言うことは無いだろう。いくら禁煙に積極的とは言え、パイプ人口がゼロということはあるまい、探せば必ずあるだろう。しかしWebの状況から判断すれば、少ない選択肢しか無いことは明らかだ。どこから手を付けて良いのかもわからないのだ。もし今、店に飛び込んでパイプとタバコを買ったとしても店の勧めに従うだけになるのは目に見えている。それでは楽しくない。新しいことを始めようとしているのに楽しくないのは最もイケナイことだ。
 
 物事は最初が肝心だと私は思う。頭でっかちになる必要はないし、それは是が非でも避けなければならないが、タバコもパイプも豊潤な選択肢の中から選びたい。そして出来れば経験豊富な人にいろいろ聞きたい。唸ったり、感心したりしながら奥深さを垣間見てにやりと笑い、楽しむのだ。パイプタバコは奥が深いに決まっている。シガレットから始まりシガーにハマり、シガレットの旨さを再認識したのだ、深くないはずがない。実際に吸えるのは少し先になるが、次回日本へ帰る時の楽しみにとっておくことにしよう。私はもう少し勉強することにした。
 
 パイプタバコを吸う為にはパイプが必要だ。ごく当たり前の話しだが私がまず興味を持ったのはパイプタバコである。シガーやシガレットに使われている葉と同じなのか違うのか、まずはそこからだ。情けない話しだが…何しろ、喫煙経験はもちろん、パイプタバコの葉っぱそのものの香りも知らないのである(苦笑)
 

近所にパイプタバコはあるのか?

2005-05-18 | パイプに興味津々
 パイプタバコが吸いたくなった。ならばタバコ屋へ行き、必要な物を買い、試してみれば良いのだがそうもいかない。これが東京ならばパイプだろうがタバコだろうがより取り見取り。しかしここはカナダである。室内での喫煙が法律で禁止されたブリティッシュコロンビア州なのだ、そう簡単には見つからない。
 
 お隣、アメリカの影響なのかは知らないが、シガーならば結構な数の店がある。シガーを始めた頃、こういう店を片っ端からチェックした。バンクーバーのダウンタウンに行けばハバナシガーの直営店とも言えるLa Casa del Habanoがあるし、店構えは小さくとも品揃えの良い店はいくつかある。しかし、そういう店にパイプやパイプタバコを見た記憶がない。もしかしたらあったのかもしれないが、記憶に残らないわけだから、まあその程度の品揃えなのだろう…いや、一件だけあった。Vancouver Cigar Companyという店にはパイプタバコがあったっけ…大きなガラス瓶に入っていたから、あれはその店のオリジナルだったのかもしれない。しかしあの店にもパイプは無かった気がする。
 
 言い忘れたがシガーショップでは喫煙可能だ。
たとえそれがバーであったとしても建物内での喫煙は法律で禁止されているブリティッシュコロンビア州だが、なぜかシガーショップだけはそれが出来る。シガーやシガリロを店で買った場合、或いはメンバー限定である。もちろんシガレットは不可能。そもそもこの手の店にシガレットはない。
 
 話しを元に戻そう。
 シガーショップはWebで検索して見つけたものがほとんどだが、中にはサイトを持たない店もある。そして、サイトがあるからと言って、そこに全ての情報があるわけではない。パイプタバコを売っているその店もパイプタバコに関する情報はサイトに載せていないのだ。店舗を持たないオンラインショップは別として、やはり実際に行ってみなければわからないということになる。これについては近日中に調査するつもりだ。
 
 となれば頼りはオンラインショップ、早速検索してみた。
しかしひっかかってくるのはシガーばかり。どこもかしこもCuban Cigarなのだ。結局見つかったのは二つ。予想はしていたがこれほどまでとは…二つ見つかったうちの一つはビクトリア(Victoria、お隣、バンクーバー島にある)の店、古くからあるタバコ屋らしい。パイプタバコはハウスブレンドといくつかのブランドから選べるようだ。品揃えは少なく、価格は日本の二倍以上する。そしてもう一つはオンラインショップ。ここは店のオリジナルブレンドが充実していているが、有名ブランドは三つだけ、ダンヒルさえ置いてない。しかも購入は300gから(苦笑)

 やはり目指すは日本。
最近はやたらと厳しくなったようだが、バンクーバーに比べればまだまだ喫煙者には優しい。私にとって、日本は喫煙大国だ。

パイプに興味を持つまで~Part5

2005-05-17 | パイプに興味津々
 シガーを経験したことでタバコ葉の奥深さを知ったつもりだった。あくまでもシガレットは代用品だと…しかしシガーやパイプの代用品として誕生したシガレットでさえこれほど旨いのだ。ん、パイプ?そうだ、パイプタバコとはどんなものなのだろう?よく考えてみれば、自分はパイプタバコについて何も知らない。
 
 パイプと私を繋ぐものはほとんど無かった。
パイプを銜えた人を見たのは今までに一人だけ。それもずいぶん昔のことだ。その人は何度か仕事でご一緒させていただいた男性で、あの当時30代半ばぐらいだったと思う。高価なモノを身に付けている、という感じではなかったものの清潔感に溢れ、センスが良かった。パイプと言うのはこういう人が吸うのだなぁと思った記憶がある。残念ながら香りの記憶は無い。

 そしてもう一人。
ネットを通じて知り合った友人にシガーの話しをしたところ、彼はパイプにハマったことがあると言うではないか。始まりは"いかにシガレットを美味しく吸うか?"だったらしい。話し好きの友人は、都内のとあるタバコ店の主人と長い時間話し込み、パイプの奥深さを教えられたらしい。元々のめり込み易い性格の彼は勢いでパイプとパイプタバコ、パイプ道具一式を買い、オリジナルブレンドを作るまで夢中になったという。バージニア葉がどうしたとかオリエント葉がこうしたとか…私には全く理解出来ない、まるで別世界の話だった。

 接点が無かったこともあるが、パイプタバコに興味が持てなかった理由は他にもある。パイプと言う道具を使い、しかも技術が要る。ここにも高い敷居があった。しかし何と言ってもネックになったのは香料を使うという点だ。シガーに夢中だった私には、この香料を使うという点に拒否反応を示していた。タバコは葉っぱが命じゃないか、ラム酒やバニラで味付けするなんて飛んでもねぇ…そう思ったのだ。それがなぜ、パイプタバコに興味を持ったのか?
 
 とあるサイトに行き着いたことが発端だった。Webを彷徨っていた時に見つけた一言、"肺に味覚はない"。この言葉が私の心に刺さった。そのサイトの名はフレスコワールド。この人はタバコの味、旨さを知っている。私はそのサイトを貪るように何度も何度も読み返した。そしてパイプタバコを味わってみたいと思ったのだ。

パイプに興味を持つまで~Part4

2005-05-16 | パイプに興味津々
 誕生日にシガーをプレゼントされた私はシガーカッターを買い、吸った。前に述べた通り我が家は禁煙。だから庭で吸った。煙は肺に入れず、自分の周りに漂わせる…旨い。煙は大量で重かった。そしてその煙は旨かった。吸った煙、口から鼻に抜ける煙、吐いた煙…それらが交じり合い、私は酔った。同じタバコではあるが、シガレットとは全く違う。じわじわと脳に効いてくる。私はたった一本でシガーの虜になった。
 
 ありとあらゆるシガーを試した。どのブランドが好きか、どのサイズが好きか…好みがわかれば買い求め、保管にも気を配った。歴史について調べ、製法について知り、どうしたら美味しく吸えるのかを模索した。シガーはタバコと真剣に向き合うことを私に強要した。きっと多くのシガースモーカーがそうであるように、私も底なし沼にどっぶり浸かっている。
 
 困ったことにシガーの味を覚えると、シガレットが不味いと感じるようになった。人工的な味がして旨いと思えないのだ。ここで気付いたのはシガレットに使われている化学添加物である。ニコチンとタールを軽くすればタバコの風味は失われる。しかしそれを補い、美味しいと感じるようにシガレットにはたくさんの添加物が使われているのだ。私の吸っていたカスタムライトは決して軽い部類のシガレットではないが添加物が使われていないということはない。この添加物に対し、私の味覚は拒否反応を示したのではないか?
 
 そんな時に知ったのがナチュラルアメリカンスピリットという無添加シガレットだ。ずいぶん前から発売されていたようだし、踊る大捜査線で織田裕二が吸って話題になったらしいが、カスタムライト一辺倒だった私はその時初めてそんなものがあることを知った。なるほど、これはイヤなところがない。人間の味覚とは意外と正確だ。メンソールを除き、ライト、レギュラー、オーガニックと当時発売されていた三種を試した結果、私にはオーガニックが一番だった。ニコチンとタールの含有量はレギュラーと同じだが、オーガニックはよりまろやかなのだ。長年の友だったカスタムライトからあっさり乗り換え、これを常喫シガレットにした。
 
 新しい発見をした私は、友人知人に会う度にこのシガレットの旨さを説いた。相手が喫煙者なら「吸ってみてよ、わかるから」と一本進呈した。ところが反応は良くなかった。キツイ、不味い、他のタバコと変わらない、など否定する意見が圧倒的に多いのだ。なぜこの旨さがわからないのだろう?私の感覚は間違っているのだろうか…とここで、私はある点が気になった。皆、どこで判断して不味いと言うのだろう?
 
 シガレットなら肺喫煙が一般的であり、私もそうやって吸っていた。シガレットを吸う時、煙は一旦口の中に溜められるが、その時間は極めて短く、瞬時に肺に送り込まれる。この瞬間に、スモーカーはキツイとか軽いとか判断する。シガレットの強弱を判断しているのは確かに肺だ。では"味"を感じているのはどこだろう?肺に入れられた煙は吐き出される。それは口からだったり鼻からだったりするわけだが、どう考えても味の判断はここでしかしていないはず。この、煙が通過する一瞬で、多くの人はシガレットを旨いとか不味いとか思うのだ。
 
 ならばシガーのようにゆったり吸ってみたらどうだろう。
ゆっくりと吸い込み、肺に入れず口に溜め、ゆっくりと吐き出す…煙に集中すると…旨いじゃないの!もちろんシガーほど強い香り、強い味わいではない。しかし肺喫煙では気付かない甘味はしっかりと感じられた。これが本当のシガレットの味なのだ。これに今ごろ気付くとは…旨いと思って他人に勧めていた自分が恥ずかしくなった。

パイプに興味を持つまで~Part3

2005-05-15 | パイプに興味津々
 それまでタバコと言えばシガレットという意識しかなかった私だが、パイプやシガーを試してみようと思ったことが無かったわけではない。しかし私の周りにはシガレット以外のタバコを嗜む人はいなかったから全くの門外漢だった。何の知識もなかったがなんとなく"タバコの上級者コース"というイメージを持ち続けていた。パイプやシガーはある程度の年齢、人間としての厚み…それらを備えてなければ吸ってはいけないタバコとして認識されていた。
 
 日本に帰国した時の愉しみの一つに書店へ行くことが挙げられる。英語圏に暮らす私だが、まだまだ好きな本を選べるほどの英語力は持ち合わせていない。しかし日本なら、日本語ならばより取り見取り。好きな本を好きなだけ買い、自由に読むことが出来るのだ。たとえ気に入った本が見つからずに買わなかったとしても、そこにある何万と言う本に埋もれながら本を選ぶ作業は至福のひとときである。
 
 そこで目にしたのはシガーの入門書だった。
パイプかシガーか…ぶっちゃけた話し、パイプの方が年齢層が上というイメージがあった。どちらかと言えばシガーの方が近い気がしていた。次にヤルならシガーだろうと…とは言えシガーの知識はゼロである。ゼロの私に小難しい話しは必要ない。少しでも楽しめるようにと写真の多いものを買い、すぐに読んだ。そして私はひるんだ。初めて見るシガー(の写真)に付けられた価格は一本千円以上、高いものは三千円もする。シガーを保管しておくヒュミドールでさえ何万もするのだ。これはうかつに手を出すと大変なことになる。知識はゼロでなくなったし、興味も出てきたが私が出した結論は、"手が出せない"というものだった。

 実はこの時、私は日本で誕生日を迎えていた。誕生日と言っても別にたいしたことはしない。レストランで食事をしたりして妻と二人で祝うだけである。しかしプレゼントだけはお互い欠かしたことはない。すでに数日を過ぎていたが、カナダに戻り彼女からプレゼントを受け取った。なんとそれは…ハバナ産のシガーだった!
 
 これはまったくの偶然だった。
彼女はカナダ、私は日本…私が日本でシガーの入門書を買う前に、プレゼントは用意されていたのだ。いつかはパイプかシガー…私の話を覚えていてくれたのだ。もちろん嬉しかった。一度は諦めたシガーが二本、今、自分の目の前にあるのだ。狂喜乱舞と言っても過言ではないほどに私は喜んだ。遂に吸える。二本のシガーは吸ってくれと言わんばかりに魅力的な香りを放っていた。

 2003年、秋のことである。

パイプに興味を持つまで~Part2

2005-05-14 | パイプに興味津々
 移民する前は想像もしなかったことだが、カナダは禁煙大国だった。
特に私の暮らすブリティッシュコロンビア州は喫煙に対して厳しい場所で、タバコに対する制約は年を追う毎にエスカレートしている。初めてカナダを訪れた2000年は喫煙席が設けられたレストランもあったのだが、現在(2005年5月)では建物内での喫煙は禁止されている。もちろんテラス席はこの限りではないが、バーですらタバコを吸うことが出来ないのだ。タバコが吸いたければ外へ出るしかない。
 
 もちろん我が家も禁煙である。
もっとも持ち家に関しては所有者の自由だが、これに関しては私も納得している。家の中でタバコを吸うとその価値は下がる。カナダにおいて、"家は買ったら一生モノ"という概念はない。いつ売るかわからない状態でそのリスクを負ってまでタバコを吸おうとは思わないし、そもそも私も家がタバコ臭いのは嫌いだ。喫煙者の多くは外で一服している、それがカナダ式。郷に入れば郷に従え、というヤツだ。

 そして我が州はタバコが高い。
どこで買ってもタバコの値段は同じという日本と違い、店によっても価格には差があるが、先日買ったキャメルはカナダドルで10ドル。1CD$を85円とすると一箱850円、いきなり高級タバコになってしまうのだ。国産(つまりカナダ産)になれば多少は安くなるが、それでも1ドル前後である。しかも目茶苦茶不味いのだ(笑)

 それでも私はお気に入りのカスタムライトを切らすことなく過ごすことが出来た。幸い、私は仕事で頻繁に日本を行き来していたから、帰国した時に免税店で買い、持ち帰った。誰かが日本へ行く(帰る)と言っては買ってきてもらい、友人が遊びに来ると言っては土産に頼んだ。もちろん免税範囲はあるし、無税で持ち込める範囲内で日に40本の喫煙を支えられるわけがない。それでも長年の銘柄を変えることなくいられたのは喫煙本数が減ったからだ。その原因は二つ。
 
 一つは環境の変化である。
これまでに述べた通り、カナダに引っ越してからというもの吸える場所が減った。家の中でも吸えないからテレビを見ながら一服、ネットサーフィンをしながら一服…そういう機会が激減した。(唯一の"ながら喫煙"は車の中、自分の車の中だけは自由にタバコが吸えたので、運転中のタバコが唯一のながらタバコとなった)

 一つ目の理由が無意識ならば、意識して本数を減らした部分もある。これが二つ目の原因だ…何かをしながら吸う"ながらタバコ"をしなくなると、本当の一服とは何か?と考えるようになる。日に40本吸っていたかつての自分は本当に一服をしていたのか?無駄打ちがまだあるのではないだろうか?私は出来るだけゆっくりタバコを吸うようになった。コーヒーぐらいは飲むが、基本的に何もせず、必ずイスに座り、タバコを吸うように心がけたのだ。
 
 第二の転機が訪れるのは2003年のことだ。
これは人生の転機と言っても過言ではないほどの大きな出来事だった。

パイプに興味を持つまで~Part1

2005-05-13 | パイプに興味津々
 なぜ私がパイプに興味を持ったのか?それを話す前に、これまでのタバコ歴について述べておく必要があるだろう…
 
 最初にタバコというものを体験したのは14歳の時だった。もちろんシガレットのことだ。誰にでも経験があるだろう、いたずら半分というヤツである。友達と集まり、大人に隠れて吸った。確かマイルドセブンだったと思う。すでにタバコの味を知っていた友人に吸い方を教わり、初めて火を着け、煙を肺に入れた。クラクラした。しかし、旨いと思った。これがタバコか…こんなに旨いのか、これじゃぁ大人はやめられないわけだ。14歳の私は思った。
 
 しかし当時の私は不良になり切れない普通の中学生だった。自分で買う勇気もなく、いつも友達に貰って吸っていた。そしてそれはほんの少しの間だけだった。大人のまね事をしたかっただけであり、決して夢中になることはなかった。実際、高校生の時はただの一度もタバコを吸っていない。再びタバコと出会うのは、高校を卒業してからである。お気に入りの銘柄はセブンスター。最初はいろいろな銘柄を試したが、結局セブンスターに落ち着いた。
 
 多くの銘柄がそうであるようにセブンスターも時々別のバージョンを発売したが、私の味覚に合う物は無かった。中でも酷かったのがセブンスターEX、これは最低だった。周囲にはセブンスター派が多かったが、こんなのセブンスターの風上にもおけねぇ、という意見がほとんどだった。この失敗がトラウマとなったのかセブンスターの別バージョンは長い間発売されなかったと記憶している。
 
 マイルドセブンとセブンスターは名前こそ似ているがまったく違うタバコである。そしてセブンスター派にはマイルドセブンを嫌う人が多い。マイルドセブンを吸うぐらいならタバコ無しで過ごすゼ、そういう姿勢の人が多い。もちろん私もその中の一人だった。着実にファミリーを増やしたマイルドセブンと違い、セブンスターはいつまでたってもセブンスターだけだった。他に浮気をしない(正確には"出来ない"だが…)ことがセブンスター派の誇りでもあった…と言ったら大げさか?(笑)
 
 そこに投入されたのがセブンスターカスタムライトである。EXでの失敗を糧にして登場したカスタムライトはセブンスターの味を保ち、尚且つ軽くするという、ありそうでなかったテイストのタバコだった。これは旨い!当時、セブンスターと比べ20円高かったが私は銘柄をカスタムライト変えた。
 
 それ以来カスタムライト一筋となった私は確実に喫煙本数を増やし、少なくとも日に40本、徹夜や徹マンなど、起きている時間が長くなれば更に…世間で言うヘビースモーカーとなったのだ。
 
 そんな私に転機が訪れるのは2001年。
カナダに移民したことがきっかけで、タバコとの関係が変わってゆく。