兵隊よりも士官になろう

私はリーダーは天性のものではなく、教育によって量産が可能であると考えています。

タイムマネジメント_(2)_完ぺき主義の弊害

2008-09-06 01:00:00 | 基本スキル

タイムマネジメント第1話は、タイムマネジメントの核となる部分についてお話しました。仕事を細分化し、締切りや重要度を考慮し、優先度をつけ、優先度の高いものから仕事を行うことにより、仕事の効率は最高のものとなります。そうでない場合は、優先度の決め方が違っているので、適宜見直ししましょう。というものです。

タイムマネジメントの第2話は、「完ぺき主義の弊害」です。完ぺき主義が求められるのは、原子力発電所や有害物質を取り扱う工場で、事故が起こらないようにしたり、事故が起こっても被害が最小限になるようにする場合、とても大切なことです。ただ、完ぺき主義はどの仕事にも適用すべきであるという考えには私は賛成しません。わかりやすい事例をいえば、完ぺき主義を求めた場合、時間とコストがかかるという弊害があるからです。

GOLDの1kgバーには、99.99という数字が刻印されているものがあります。これは99.99%の純度でできた純金のGOLDバーですという表記です。GOLDの純度で24金とか18金とか言われることがありますが、24金は24/24=純金を表し、18金は18/24=75%GOLDが含まれていることをあらわします。アメリカで作られているイーグル金貨は22金=91.7%GOLDでして、純金のメイプルリーフ金貨と比べて硬くて傷がつきにくいという特色があります。GOLDの場合、99.99%で純金と呼ばれていますが、半導体を作る際のシリコンウェハーは、9が11個並ぶイレブンナインの純度で作られているという話を昔聞いたことがあります。

閑話休題。完ぺきさを求めるのも良いのですが、本当に必要でしょうか? 9割仕事をするのと、最後の1割を詰めるのと、どちらが困難かというと、後者の方です。100%完ぺきにするには手間も時間もかかります。もちろん完ぺきさが必要な場合もありますが、走りながらモノを考えよという言葉もありますから、残りの1割は、走りながら対応するさという方法もあるのです。仕事には期限がありますし、資源(人、モノ、カネ)も有限です。いくらでもカネをかけてもいいから、完ぺきな仕事を要求されるケースは、そう多くありません。

完ぺき主義の弊害の最たるものは、無から何かを生み出す創造的な仕事をするとき、やり方が多数あって、それぞれメリット/デメリットが混在する中で、どれにしようかと決定するのをためらってしまうことです。例をあげると、3ヶ月先のイベント(コミケでも何でも良いです)に小説を書こう、絵を描こうといったときに、準備に時間をかけすぎて、締切りがマジかに迫り、やっつけ仕事になってしまい、結果として満足する作品が書けなかった。。仕方がないから、「新作落ちました」と宣言するか、不満足な作品を出すかの二者択一となってしまう。そんなことは誰も望まなかったはずなのにです。9割書ければいいじゃないか。少なくとも「0」よりはマシだと腹をくくって、先にどんどん進んだ方が良い結果となるのです。問題が出たら、その場で改善すれば良いのです。

タイムマネジメントで使うツールに、スケジュール表、作業項目表(WBSと言う場合もある)、懸案管理表、問題管理表、作業報告書などがあります。スケジュール表に、仕事の工程(第一段階、第二段階とか細かく分ける)を書いて、各工程に締切りをつけます。そして締切りが来たら、次の段階に進んでもいいか、問題があるなら、どう対処するかを検討し、リカバリーを行います。小説を書く場合なら、何を書くかのアウトライン(プロット)を決め、目次の案(できればページ数があるとなお良い)を作り、各章や項目に、書きたいキーワードを並べます。本の設計書を作ると言えばイメージしやすいでしょうか? これを作ってから、いろんな人に相談して、本の枠組みを作ります。これはあくまで枠組みなので、後でいくらでも作り直しができます。そうした準備をした上で、各項目を詳細化したり、文章を書いていったりする。。コンピュータのプログラムを書くとき、いきなりキーボードを叩くことはしません(天才プログラマーはそれをやりますが、それは例外中の例外です)。まず概要(何をするプログラムなのか)を書き、全体像(入力、出力、処理のフローチャート図)を書きます。あとは、詳細化していって、最後にプログラムのソースコードを書き、後で見る人のために、コメントをつけます。絵を描く場合だって、まずは全体の構図から描きます。

時間も資源も限られた条件で、良いパフォーマンスを出すには、自分で全部やらずに、自分が苦手な分野や、他の人に任せても大丈夫な分野を、他の人にお願いして、自分でないとできない分野に集中する方法があります。人間1人で全部やろうとするには無理がありますし、効率的ではありません。そのために必要な能力はヒューマン・コミュニケーション能力です。チームで仕事をするための社会人として持っていなければいけない常識と言ってもよいでしょう。タイムマネジメントとは異なりますが、仕事を効率よく行うためには、お知恵拝借という方法は有用です。人から頼まれるというのは、この人に頼めばきちんと期限までにきちんとしたクオリティで仕事をやってくれると評価されているということです。嫌がらずに頼まれましょう。そうすると、こっちが困ったときに助け舟を出してくれるといいなぁー。

橘みゆき 拝



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