兵隊よりも士官になろう

私はリーダーは天性のものではなく、教育によって量産が可能であると考えています。

リーダーは全体の最適解を求める

2008-09-28 04:30:00 | リーダーシップ

リーダーは全体ことを考える

ある組織がいくつかのチームに分かれて異なる仕事をしていたとしましょう。
仕事をした結果(成果)は、いくつかの制約事項によって、頭を抑えられてしまいます。代表となる制約が、「人・モノ・カネ」といった制約です。「高い品質」、「安いコスト」、「早い納期」を同時に達成するのは困難です。品質を優先させればコストは上がり、納期も遅れます。どこぞの牛丼屋さんのキャッチコピーみたいに、「うまい、早い、安い」を達成するには、相当の工夫がいりますし、最近では「仕事をきっちり」しないといけない風潮です。

複数のチームで、各チームごとに部分最適化を行った結果を積み上げれば、業績は目標達成するでしょうか? 違いますよね 多くの場合、重点分野に絞った方が業績が上がります。足し算引き算のほかに、掛け算割り算が入ってきます。
チームAの業績を上げるために、チームBに我慢してもらうという選択をするケースもありましょう。マネージャーの立場では、これでOKとなります。
ですが、これでは誰がやっても業績が同じという不思議な現象となります。ここでリーダーの出番です。

Aチーム、Bチーム、Cチームが仕事をした時、どのチームに重点をかければ良いでしょうか? 均等に配分すればいいでしょうか? 違いますね。 一番成果が出るチームにだけ働いてもらえば良いでしょうか これも違います。 限られた資源(人・モノ・カネ)でできる仕事は限られます。
単純にチームの能力が、Aチーム=1、Bチーム=2、Cチーム=3なら、3つのチームの成果は単純に足して「6」になります。
ところがそうはならないのです。人間はロボットではなく、感情を持っているため、数式どおりにはなりません。お互いに足を引っ張り合うと、当然「6」より少なくなりますし、お互いが協力しって、足りないところをカバーすれば、「6」より大きくなります。
この効果を相乗効果(シナジー効果)といいます。リーダーの役割は、チーム全体のパフォーマンスを高めることですから、単純合計よりもいかに大きくするのか、そこがポイントとなります。

現状の制約となっている条件そのものを変化させたらどうなるか、チーム間で調整すれば、もっと良い結果が得られるのではないか、相乗効果を最大限引き出すにはどうすればいいのか。そういったことを考えるのがリーダーの役割の1つです。
ですが、皮肉なことにマイナスのシナジー効果(笑 を出すのが得意なリーダーが多いのが現状です。その人がいない方がチームのパフォーマンスが上がるのです。昭和の残像をひきずっている大企業にそういった人が多くいます。そういうリーダーは、チームのため、さっさと退場することが最適な道です。下克上を起こして御老体を軟禁状態にしてしまうのも策の1つです。

2008/09/28 橘みゆき 拝



リーダーとマネージャーの違い

2008-09-28 03:30:00 | リーダーシップ

リーダーとマネージャーの違い

リーダーとマネージャーの違いは何でしょうか? そういう質問を藤原事務所が開催しているリーダーシップ研修で質問したことがありました。答えは以下のとおりでした。

リーダーとマネージャーは同じ人が兼ねている場合が多いのですが、リーダーとマネージャーの役割は明確に異なります。
マネージャーは、「決められたことを実行する人」
リーダーは「何が正しいかを決定する人」です。

ある会社の事例でいうと、
リーダーが事業計画や作業計画を立案し、チーム全員の意見を集約し、合意を得る。チーム全体のパフォーマンスを高めるために、やる気を削ぐ要素を雑草をむしるが如く、こまめに取り除き、やる気を上げる要素が与えられないか気を配る。
マネージャーは、作業計画が計画通り実行されているか、遅れがないか、コストオーバーになっていないか、ルールに従って作業が行われているのか、懸案や問題が全体に影響しないかを、随時チェックし、チームのパフォーマンスの維持に努めます。必要に応じてリーダーに報告をします。
なんとなくイメージできたでしょうか?

社長だからリーダー、執行役員や部長だからマネージャ一、管理職じゃないからリーダーシップなんて関係ないというわけではないのです。社長から一般社員、一緒に仕事をしている関連会社の方やアルバイトに至る全員が、リーダーシップの多少はありますが、リーダーの役割とか、マネージャーの役割を持っています。

チームが産み出す一体感を出すには、チーム全体で方向性の統一を図り、何のために働くのか、どういう価値観を持って仕事をすべきか、お客様に何を提供するのか、こういったベースとなる部分で意識をあわせておくことが欠かせません。
お互いに異なる個性を持った人達を1つにまとめるためには、常日頃からコミュニケーションによる相互理解と異なる価値観に対する尊重することが大切です。

2008/09/28 橘みゆき 拝


大企業や公務員はもはや安泰ではない

2008-09-28 02:00:00 | リーダーシップ

20世紀は大企業の時代

 20世紀は大企業の時代だったといえます。アメリカ最大の製鐵会社、USスチール(U.S. Steel Corporation)の設立は1901年。自動車会社のビッグ3のフォード(Ford Motor Company)は1903年設立、GM(General Motors Corporation)は1908年でした。ロイヤル・ダッチとシェルが事業提携したのが1907年。資本主義が成熟期を向かえ、少数の企業による寡占化が進んだ時期と一致しているのは偶然ではありません。
むろん例外もあります。デュポン(Du Pont)は1802年、スタンダード・オイル (Standard Oil) は1863年、カーギル(Cargill)は1865年、ネスレ(Nestle' S.A.)は1866年にそれぞれ設立しています。


大企業は石油文明のあだ花

 多くの国で事業を展開する大企業(多国籍企業)は、世界中に工場を持ち、世界中に販売拠点を持ち、世界中の人達を相手に商売を行っています。これを支えるのが自由貿易を保証する「平和の海」です。アメリカが世界中の海を相手に海軍を展開しているので、シーレーンの確保と言っても似たようなものです。石油にしろ石炭にしろ、エネルギー価格が高騰すると、コストが上がる、物価も上がる、売上げが落ちるといったこととなり、あまりよろしくありません。戦争が儲かるといっても、生産拠点から戦争の前線までの間の補給ラインが確保され、予定通りの補給が、安全かつ確実に送られてることが前提です。せっかく原料や石油が国内に入ってこなかったり、せっかく作った製品が途中の海で沈められたりしたのでは、せっかくの努力がパーです。(太平洋戦争の日本はシーレーンの安全が確保できなかったので、戦争に負けました)


図体の大きい恐竜と小さなネズミ

 7000万年前、地球の気候が大変動を起こした際、恐竜が絶滅しました。一方、ネズミ位の大きさしかなかった哺乳類は生き残りました。恐竜は温暖な気候に最適化したため、地球上の支配者となりました。恐竜は巨大化したため、小さな脳と大きな体との間に神経ネットワークの遅さ(尻尾の痛みが頭に伝わるのに10秒かかった)が致命傷だった。大きな体を維持するため、少ないエサでは飢えて死ぬしかなかった。恐竜は変化に対応できず滅び、ネズミは変化に対応できたから生き延びました。このことは大きな組織である大企業と中小企業との違いにも類似性があります。大企業は組織が大きいが故に、時代の変化に追いついていけないケースが出てきます。特に今のような変化が激しくて、1年先すら前提となる条件が変わってしまうのが当たり前になると、大企業のもろさが表に出てきます。好況になると予想したのに、逆に大不況になって在庫の山を抱えたとかなど、1つの例です。大量生産のラインがあっても、少数多品種の生産への切り替えは困難です。中小企業ですと、大企業から常に変化を強要されているため、多少のことでは乗り切れます。組織が大きくなると現場やお客様の声がリーダーまで上がりにくくなります。途中でもみ消されたり、事実と異なるデータに変質してしまうこともあります。そういう組織だと、どうしようもない問題が出るまで水面下に隠れ、リーダーが問題を知ったときには既に手遅れとなっていたという事態が往々にしてあります。大企業は大きいがゆえに変化への対応が遅れてしまうのです。


公務員も変化に対応できない

 公務員も変化に対応できない職種の1つです。公務員は法律や政令に従って業務を行います。公務員自身の裁量で勝手に変えることはできないことになっています。決められた通りに仕事を行わないといけないわけです。こういう仕事を長い間やっていると、前例主義に依存し、新たにチャレンジすることを避けるようになります。また職場が2年くらいで転々としていると、自分の任期さえよければ後は知ったことじゃないという無責任な態度をとってしまいかねません。公務員の仕事でも、政策を決める部門や、新しいことをやる部門はありますが、多くの仕事はがんじがらめになっていて、10年以上前の前任者が作った業務マニュアルを後生大事に引き継いで、そのまま継続しているという部門もあります。冷戦終了後、ソ連や東欧諸国、アルゼンチン、トルコ、インドネシア、南朝鮮、イラクなどの国家が崩壊したり、経済が破たんした国では、急激な社会変化を余儀なくされた結果、年金生活者、軍人、医者と共に、公務員が大変苦労したことを忘れてはなりません。日本も財政悪化が進んでいるので、明日はわが身となる可能性さえあるのです。
平時なら公務員はなかなかクビにならないのですが、1945年8月の敗戦を以って、大日本帝国の陸軍、海軍は解散しましたし、戦争後の公職追放令により、多くの教員をはじめ公務員がクビになりました。明治維新にさかのぼると武士階級は全員クビになりました。財政破たんした夕張市の様子をみていても、多くの公務員が自主的に辞めたり、クビになったりしています。社会の混乱が極まったとき、公務員だってクビになるのです。公務員がやっていた業務を民間に委託するようになると、その部門で働いていた人は民間会社で働くか、別の仕事をやらなくてはならなくなります。また、公務員の定数を決める法律を作って、定数を減らせば、その時点でクビになる人もでてきます。国会議員の定数などがその例になるかもしれません。
要するに公務員の職が安泰というのは、非常時には何の担保にもならないという前提で身の処し方を考えた方がいい。時間があるうちに。ほとんどないけど。>現役の公務員の皆さん


大企業や公務員も安泰ではない

 大企業に勤めている人も、公務員の人も、すでに進展中の21世紀初となる大恐慌によって、自分のクビは安泰だろうと信じていることと思います。前回の大恐慌では失業率が25%とか30%とかに達しました。残りの70%以上の人は安泰だったのかというと、そうではなく大幅に給料が減らされたり、正社員だったのが、契約社員やアルバイトなどに雇用形態の変化をよぎなくされたことを見ると、ギリギリまで我慢を強いられたといって良いでしょう。借金で株式投資をしていた人は、財産がすってんてんになり、自殺者も大幅に増えました。今日、外資系金融マンが困っていることが、近い将来、自分に降りかかってくる可能性がゼロではありません。それどころか、相当高いと予想して、質素な生活に切り替えたり、収入が半減しても飢えることがないようにするにはどうしたら良いのか家族全員で話あったりすることが大切です(準備する時間が残っているうちにやらないと、大変苦労することとなります)。


お友達に手を差し伸べるには

 自分自身を守れない人は、他の人を守ることができません。
自分自身の安全が確保できたとき、他の人に手助けする余裕ができます。
困っている親類やお友達を助けるためには、余裕がないとできません。
 イソップ物語のキリギリスのようになりたくなければ、冬が来る前に準備をしておかないといけません。雪が降ってからでは遅いのです。
願わくは、このコラムを読んだ方が、1人でも多くのお友達に手を差し伸べることができますように。

2008/09/28 橘みゆき 拝


【推薦コラム】
連山に9月16日以降、「高橋祐助さん」のコラム、「崩壊と機能の維持」が掲載されています。
※2008/09/27現在、4つのコラムが掲載中

  組織の崩壊と機能の維持 (1) -組織の維持とは-
  組織の崩壊と機能の維持 (2) -旧帝国陸海軍の凋落-
  組織の崩壊と機能の維持 (3) -希望的観測と兵站の軽視-
  組織の崩壊と機能の維持(4)~ジェネラリストとスペシャリスト