人生悠遊

写真付きで旅の記録、古都鎌倉の案内などを、周りの人の迷惑にならないように紹介していきます。

常楽寺の阿弥陀三尊像を拝観する

2019-10-11 14:57:00 | 日記

今日、東京国立博物館で開催されている「文化財よ、永遠に」展を観に行きました。お目当ては鎌倉市にある常楽寺が所蔵する阿弥陀三尊像です。先日、常楽寺に参拝に行った時は不在で、出張中との掲示がありました。これは見逃せないと思ったわけです。東博ですっかり綺麗になったお姿を拝観することが出来ました。  

この阿弥陀三尊像には仁治三年(1243年)六月十二日の日付が残されており、鎌倉幕府の三代執権である北条泰時の臨終仏だそうです。泰時は亡くなる前の5月に出家しています。北条泰時は鎌倉幕府の基礎を造り、将軍源実朝とも近く、御家人との争いなどもない興味深い人物です。
 
この阿弥陀三尊の作者は運慶の弟子である肥後別当定慶の作風の影響をうかがうともありました。仏像の造立に泰時がかかわっていたとすると、なる程と思わせる雰囲気です。阿弥陀様の胴体と袈裟は一体ではなく別に着せたようになっています。また脇侍である観音菩薩像の手の合わせ方が独特で、左右の掌を微妙な空間を開けて重ねています。
 
もう一つ。拝観した東博では、奈良にある室生寺の国宝である十一面観音立像が展示されていました。かなり前に現地で拝観したことがありますが、この十一面観音像を間近に拝めたのは幸運でした。白洲正子の著書に『十一面観音巡礼』がありますが、室生寺はこの旅の原点のような場所だそうです。白洲正子が優美な姿の中に「龍神の化身」を見たと言わしめたそうですが、展示されている仏様にそんな様子は見られませんでした。ふくよかな頬のふくらみが印象的で、山深い室生寺の暗いお堂の中で見るのとは違うようです。

 
 
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