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新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

オーストラリア当局に非難の嵐(タミフル解禁せず)

2008-08-24 10:44:07 | 政治的動き

オーストラリアでは、国民が自由に処方箋なしでタミフルを購入して自宅で備蓄できるようにしよう・・という動きがありました。が、否定され、処方薬(処方箋がなければ出してもらえない薬)のまま継続の結論に至った模様です
(以前かすさんとのコメントやりとりで豪では可能になるかもと書きましたが残念ながらなくなった模様。実現してたらオーストラリアへタミフル買いにゆこう!ツアーなぞ・・ゴールドコーストとタミフルショッピングの旅○日間なんて提案できそうでしたがこれで×)

理由は「(むやみやたらの服用で)耐性出現のおそれ/ワクチン接種率低下のおそれ」という、どこでも聞くごくありふれたものです。

で、オーストラリアでは轟々たる非難の嵐が巻き起こっています。「これでどれだけの命が危機にさらされるか!」「昨年も(ヒトインフルエンザで)6人もいたいけな子供が亡くなっているというのに!!」「こんなバカバカしい(ridiculous)決定でオーストラリア人の生命を危機にさらす」etcetc・・・
これらの発言は街頭インタビューではなく、すべてDr・・の肩書きの人物が実名で述べているものです。

 われわれもガッカリするものの、かの国ではガッカリのレベルがまるで違います。人口より羊が多く、隣家までキロ単位の距離があり、自家用機で往診するフライイングドクターが存在する国で、すぐ手元にタミフルがない(服用開始まで72時間のデッドラインをすぎてしまう)というのは死活問題で、非難もヒートアップするというものですね

ソースは8月22日付The age↓
http://news.theage.com.au/national/lives-at-risk-over-flu-drug-prescription-20080822-3zya.html
Lives at risk over flu drug prescription

  • <DATE>August 22, 2008 - 11:10AM

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迷子の迷子のタマゴちゃん♪(鳥インフルエンザ)

2008-08-19 21:47:53 | 政治的動き

 中東のクウェートに向けて輸出されたタマゴが生産地証明が無いゆえ港で留め置き!という騒動が起こっています。

タマゴは”ある信頼すべき筋(reliable sources)によれば、鳥インフルエンザ発生国としてクウェートがブラックリストに挙げている国のものだとか。

当初、このタマゴはブラジル産とされていましたが、ブラジル当局に確認されたところ、それがブラジル産であることを否定された。つまり、どこから来たのかまったく不明というミステリーのような話です。

それにしてもモッタイナイ話です。私がサハラ砂漠のスーダンで在勤していた頃、タマゴの黄身は黄色くありませんでした。スーダン最初の朝食で出てきたオムレツは、黄身に相当する部分が何となくうっすら境界線がわかるかなというぐらい。  砂漠の国で育った鶏は草を十分食べずカロチンが足りないので、そこから生まれたタマゴは黄身が白いタマゴになるのだ・・と説明を受けました。(ここらへんの事情はhttp://www.honya-town.co.jp/hst/HTdispatch?nips_cd=9971085976 に書きましたがほとんど絶版にあってるのでお近くの図書館ででもご覧ください)
 首都ハルツームの高級住宅地、ニューエクステンション地区のある民家で、わざわざ草を生やして鶏を飼っている家があり、そこへ行ってタマゴをわけてもらう・・というのが我々の日課でもありました。
 おそらくクウェートはスーダンより金持ちなので、カネにあかせて「黄身の黄色いタマゴ」を輸入しているんでしょうが、こんなミステリーまがいの事情でタマゴが宙に浮いてしまう(どんどん鮮度が落ちていってしまう)は、「黄身の白いタマゴ」に悩まされた経験者としてはモッタイナイ!と叫んでしまいそうです。

ソースはarab times↓
http://www.arabtimesonline.com/kuwaitnews/pagesdetails.asp?nid=21043&ccid=9
Two shipments of eggs stopped


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ウイルスは我が国の所有物にあるぞよ(viral sovereignity)

2008-08-11 21:07:23 | 政治的動き

ウイルス主権(viral sovereignity)なるちょっとアブナイ観念が紹介されています。

インドネシアという国、言うまでもなく、H5N1の最大感染国です。すなわち、H5N1ウイルスの最大保有国です。

今の世の中、石油を持ってる国が大きな顔が出来るのと同様、H5N1ウイルスを持っている国が大きな顔をしてタカビーに出られる・・というのが、この”ウイルス主権論”です。

インドネシアは、135例のH5N1が確認されながら、WHOと共有しているのは2例のみ。のみならず、「いちいち、WHOに教えたらへんねん!」とヘソを曲げたかと思えば、米海軍の研究ユニット(NAMRU-2)を追い出す構えをちらつかせたりとやりたい放題。いわば、H5N1ウイルスは「インドネシアの持ち物」であって、自分が売りつけたいと思う相手にだけ売りつけることが出来ればそれで良しと考えているようです。

なぜこんなタカビーなこと出来るのか・・先進国が(H5N1ウイルス現物を)持たないからにほかなりません。 H5N1の研究をしたいと思えば、そのサンプルは持てる者から譲ってもらうしかない。ゆえに持てる者は強気に出られるという仕組み。インドネシアはそれを最大限政治的利用しようとしている・・というのがこの論です。

実はSARSの時も似たようなことがありました。当時、ASEAN+3 SARSシンポジウムなるものが北京でありました。表向き、SARS研究の国際学会です。でも、”懇親会”やロビーでひそひそ行われていたのは、SARSウイルス検体(すなわち、SARS患者のツバやタン)を入手すべく政治的交渉でした。各先進国はそれを入手すべく様々なODAを手土産に集まり・・・ でも結局SARSの大流行は03年限りで04年に小散発をちょこちょこ見たぐらいで終わってしまいこれらはちゃらになりました。 でも、鳥インフルエンザは、息長く続きそうな話で、政治的にうまくやればインドネシアが政治的に得るものは大きいのかもしれません。

ソースは8月10日付Daily Kos↓
http://www.dailykos.com/storyonly/2008/8/10/113032/055/779/565700
Flu Viruses and International Politics
by DemFromCT
Sun Aug 10, 2008 at 01:05:45 PM PDT


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オーストラリアの一般医、診療拒否か(新型インフルエンザ)

2008-08-07 22:34:14 | 政治的動き

オーストラリアではプライマリケア医がパンデミックの心の準備が出来ておらず、診療拒否に出るであろう・・との報告。

オーストラリアの一般医で、パンデミックへの備えが出来ているのは10人中ひとりにすぎない。”いざその時”になったら、自身の、そして家族のサバイバルが優先されるであろう・・と。また、パンデミックを扱う訓練を受けた医師もほとんどいないとも。
予算措置もなされず、政治的意思も欠如し、これでは間に合わない・・・と非難。

何となく日本で読んだことあるみたいな話ですが、どこも同じてことなんでしょうか。

日本で(fluに限らず)よく目にする論調として、「○○国ではこんなに進んでいる。なのに日本は○×もない。△△もまだだ」というもの(まあ、私だって、この種の論を一度も述べたことがないかと言われたら胸痛むわけですが)。 新型インフルエンザ関連でも、「○○国(複数)に比べて遅れてる」論は目にするわけですが、自虐はほどほどにして「みんな困っている。みんな悩んでる。みんな考えてやろう」粛々とやってゆきましょう。

ソースは8月4日付Perthnow↓
http://www.news.com.au/perthnow/story/0,21598,24129555-949,00.html
GPs refuse to treat bird flu patients


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新型インフルエンザ対策で日中韓友好を!

2008-06-30 11:37:23 | 政治的動き

このところ、イスラエルーパレスチナだとか、インドーパキスタンだとか、不倶戴天の敵やギスギスした国どうしが新型インフルエンザという共通の敵を前に手を握る動きがあちこちで起きています。

今回は日中韓が合同で新型対策の練習をやることになりました。10月に、在留邦人退避用チャーター機が発着する4空港で検疫体制の検証が行われると。もちろん、日中韓はイスラエルやら印パに比べれば良好な関係をもってきたわけですが、新型インフルエンザ対策を通じてさらに協力なスクラム組んで小泉後遺症が吹っ飛ばせれば良いですね。

ソースは6月30日付Yahooニュース↓
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080630-00000012-yom-sci

 


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軍は国民にかまっておられず(新型インフルエンザ@英軍内部文書)

2008-06-16 10:23:13 | 政治的動き

かなりショッキングな内部文書(イギリス軍)がTimes紙にすっぱ抜かれています。

新型インフルエンザ パンデミックにあたり、英国軍(Royal Navy, Army, Airforce)はその密集した労働環境(特に礼拝?)ゆえ、大規模な感染に見舞われて戦力低下、とても民生支援どころじゃないよっ! と本当に明記してあるというのです。

過去、危機的状況のたびに英国軍は良い仕事をしてきました。洪水・口蹄疫・消防士や石油タンクローリー運転手のストライキ・・・

でも、パンデミック(最悪のシナリオはUK全体で75万人犠牲、100万人入院)では軍は限られた兵力を基本的軍事任務および海外任務の維持に専念せざるを得ないとしています。

かなりショッキングなスクープですね。
「(兵隊がバタバタやられて)戦力が限られた状態になる(=当国は攻めやすくなります)」なんて、内心思っていても、口が裂けても表に出しちゃダメ!なことが堂々と報道されている
「軍は民間の面倒なんか見てらんないよ!なんてことを堂々と文書にした人間がいる。プレスに流した人間がいる。
*もうひとつなのが、「民間支援よりも海外任務の方が優先度高」だと明記してあること。

ところで、我らの自衛隊の内部文書にはどう書いてあるんでしょうか。
防衛庁詰めのみなさん、記者クラブでたむろってる場合じゃありませんよ!

ソースは6月14日付Timesonline↓
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/politics/article4133451.ece
主要部分ペースト
From June 14, 2008
Armed Forces could not help civilians in flu pandemic

The Armed Forces would struggle to cope if the country was hit by a pandemic flu, with more than 50 per cent of military personnel laid low, an internal Ministry of Defence document indicates.

The Royal Navy, Army and RAF would be so badly hit in the “worst-case scenario” because of their close working environment, particularly on warships, that no military personnel would be available to help the civil authorities, the study says.

“The priority ... will be maintaining critical military operations with little or no spare resource to provide military assistance to the civil authorities,” says the internal MoD document, which is in the form of a guide for defence personnel.

In past crises, ranging from floods and foot-and-mouth disease to national strikes by firemen and petrol tanker drivers, the Armed Forces have played a key role in assisting the civil authorities.

However, with dire predictions of heavy flu casualties - up to 750,000 deaths and more than one million people needing hospital treatment - it is accepted officially that the Armed Forces would have to spend all their time ensuring that there were sufficient personnel to carry out basic military tasks and maintain operations abroad.


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新型インフルエンザがもたらす(かもしれない)平和の流れ

2008-06-12 13:12:58 | 政治的動き

新型インフルエンザ対策をめぐり、イスラエル・パレスチナ・ジョルダンの不倶戴天の敵どうしが手を握った・・という話を以前紹介しました。http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/a630d18ae6485dbafa2c02f73455c1d8
今回は、南アジア諸国のインド・パキスタン・バングラデッシュといったこれまた政治的宗教的要素をはらんだややこしい関係の国々が手を握ったというお話です

South Asian Association for Regional Cooperation (SAARC) 、南アジア地域協力協会と直訳されますが、2日間のミーティングが開かれ獣医部門の協力が確認されました。
これらの国々では共通の問題・・・獣医部門の人手不足・家畜システム・経済社会的状況・・・を抱えています。だから、(インフルエンザ問題については)ケンカしないで獣医情報やノウハウを共有してゆこう・・という極めて真っ当なディスカッションが行われています。

新型/鳥インフルエンザが「災厄」であることは誰にとっても明らかですが、その一方で「イスラエルーパレスチナージョルダン」「インドーパキスタンーバングラデッシュ」といった対立軸を多少なりとも平和の方向に持っていってくれれば良いなあと思う次第です。

ソースは6月10日付birdflubreakingnews.com↓
http://www.birdflubreakingnews.com/templates/birdflu/window.php?url=http%3A%2F%2Fwww.thepoultrysite.com%2Fpoultrynews%2F15117%2Fsaarc-nations-unite-in-bird-flu-battle

SAARC Nations Unite in Bird Flu Battle

INDIA - A two-day South Asian Association for Regional Cooperation (SAARC) conference of Chiefs of Veterinary Services began in India with a call to tackle bird flu and other trans-boundary animal diseases jointly.


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インドネシア保健省vsWHO バトル第二弾

2008-06-09 09:59:24 | 政治的動き

インドネシア保健省、鳥インフルエンザの検体を出さないからネッ!とゴネた・・というニュースをご記憶の方も多いと思いますがhttp://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/09a1b22c912b0f9935b74fb0afb71c6b、またまたバトルです。

今度は、「インドネシアでヒト感染が発生しても、もう教えたらへんねん! 半年ごとで十分や」と保健大臣が宣言。

これまで、ヒト感染が発生するたびに真面目にWHOへ報告なされてきましたが、「いちいち言わんでもええやろ。WHOの連中、言うたってもバカにしよるだけや。何も助けてくれへん」とすっかりおかんむりの発言です(原文She told Reuters that announcements of H5N1 deaths are sometimes misunderstood. "It's OK not to announce it. Sometimes they only give hurtful comments instead of helping," she said without further explanation. )

WHOという組織、(臨床を知らない)疫学専門家が主流を占めエリート意識目に付く・・とは北京在勤中に何度か小耳にはさんだ話ではありますが、ハーバード公衆衛生やロンドンスクール出身欧米人あたりがインドネシアで小ばかにした発言蓄積・・なんてことじゃなければ良いがと思う次第です。

ソースは6月5日付CIDRAP↓
http://www.cidrap.umn.edu/cidrap/content/influenza/avianflu/news/jun0508indonesia-br.html

Jun 5, 2008 (CIDRAP News)

Indonesia quits offering prompt notice of H5N1 cases

Lisa Schnirring * Staff Writer


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不倶戴天の敵も協力(イスラエル・パレスチナ・ジョルダン)

2008-06-04 16:38:19 | 政治的動き

イスラエルとパレスチナといえば、不倶戴天の敵どうし・・と、これは日本の報道に限らずCNNを見てもそういう映像ばかりですが、新型インフルエンザという共通の敵をめぐって「握手」する面もあるようです。

IBMHaifaの開発したオンラインシステム Public Health Information Affinity Domain (PHIAD)を用い、これらの国々の当局が協力し医学情報を共有し感染症モニタリングを統一した様式で行えるようにしたというもの。

新型インフルエンザだけを目的としたものではないようですが、これを突破口に協力関係がすこしづつでも広がり、共通のフォーマットで仕事をするということが広がってゆけばご同慶の至りですね。

ソースは6月3日付globesonline↓
http://www.globes.co.il/serveen/globes/DocView.asp?did=1000348456&fid=1725

Israel, Jordan, and PA to jointly monitor disease
IBM Haifa labs developed a public health information sharing system.
Shahar Zadok 3 Jun 08   11:36
A new system to share medical information and follow infectious disease outbreaks will be used in Israel, Jordan, and the Palestinian Authority. The system was developed by IBM Haifa labs.

IBM, in collaboration with the Middle East Consortium on Infectious Disease Surveillance (MECIDS), created a unique technology that standardizes the method of sharing health information and automates the analysis of infectious disease outbreaks, in order to help contain diseases and minimize their impact.


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国会審議拒否! が新型インフルエンザで起こったら・・・

2008-03-03 11:27:10 | 政治的動き

今朝のYahooトップは、「国会審議 最低1週間は拒否!」と一方の国体委員長が息巻いている話です。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080303-00000000-yom-pol

平時のこういう話は「ドタバタ劇」なんでしょうが、新型インフルエンザ パンデミックが始まったらどうなるのか。 パンデミックが始まり、緊急に通さねばならぬ予算やら施策やら目白押しになったとき、審議拒否、いや、審議したくても物理的に出来ない事態をどう対応するのか・・・

決まっていなくても自主的に行動できる大人の社会ならともかく「規則だから出来ません」「予算だから」「決まりだから」というセリフを吐いて思考停止してしまう日本人(お役人は典型なるも民間人だって・・)は実態以上の社会的被害を出してしまうのでは、「規則に忠実な人」がいっぱい災厄を拡大させてしまうのでは・・・と懸念したニュースでした。

 


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