言葉って面白い!

この日本語、英語でなんていうの?その奥に深い文化の違いが見えてきませんか。

十和田湖の養殖物語

2006年08月19日 | 歴史の話し
夏休みに青森を旅しました。
十和田湖から奥入瀬の渓流散策、そして夏の八甲田山へ。
概ね天気にも恵まれ、素敵な旅になりました。

写真は十和田湖です。
青森と秋田の県境にあります。
火山の噴火で生まれたカルデラ湖、それも湖の真ん中を囲むように二つの大きな半島が伸びている二重カルデラ湖です。
最深部は327メートルで日本第三位。
船の上から水面を眺めると吸い込まれそうな感覚に襲われました。

その水は川から流れ込むのではなく、湖の底から湧き上がって供給されるのだそうです。
砂浜はほとんどなく、泳ぐ人の姿も見かけません。
この湖の美しさを、紀行作家の大町桂月は「山は富士、湖は十和田湖」と評しました。

この十和田湖には、一つの苦難の実話が語り継がれています。

水清ければ魚住まず、と言いますが、かつて十和田湖には魚類が生息していませんでした。
明治中期に、何とか湖に魚を住まわせたいと、和井内貞行(わいない・さだゆき)という人が魚の養殖に取り組みました。
様々な魚を取り寄せては放ちましたが、なかなか育ちません。
十和田湖は貧栄養湖と分類されるのだそうで、そもそも魚が育ちにくい湖です。
試行錯誤の末、和井内は支笏湖からヒメマスをもらいうけ、湖に放ちます。
一年、二年…。
あきらめかけたある日、和井内は湖にきらきらと光るヒメマスを見たのです。
和井内はこう叫んだといいます。

「我、幻の魚を見たり」

苦労の末の成功の実感がこもった言葉です。

この物語は本になり、また映画化もされているようです。
市井の人々が苦労した末にようやく根付いたその土地の産物が、今も名物としてその土地を潤している例は、全国で枚挙に暇がありません。

ヒメマスは、今も十和田湖の名物として、訪れた観光客を楽しませています。

http://blog.goo.ne.jp/syusakuhikaru/e/48a73525a0aa525a280f7b3c9fa1aca9


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トマトと茄子の話し

2006年08月12日 | 食の話し
最近パスタ料理に凝っています。
中でも夏はやはり冷製パスタです。

トマトをあぶって薄皮を向き、種を取り出して細かく刻み、ニンニクの香りをつけたオリーブオイルに浸します。
一方茄子を丸ごと火であぶり、こちらも皮をむいて荒熱がとれたら細かくちぎってトマトと混ぜます。
塩コショウして、好みで粉のバジルをまぶします。
冷やしたカッペリーニにあえて出来上がり。
トマトと茄子、夏の味覚をふんだんに使った一品です。

ところで夏野菜の代表格、トマトと茄子にはちょっと面白い関係があります。
ともに世界各国で様々な種類が食用に使われている野菜ですが、日本での歴史はずいぶん異なります。

茄子は、日本で最も古くから育てられてきた植物の一つ。
一方トマトは、明治時代の初期に日本に導入された野菜です。
西洋の言葉で言い表されているのが、日本での歴史が浅い何よりの証拠です。

でもトマトには日本名もあるってご存知でした?

赤茄子

というんだそうです。
あまり馴染みがない言葉ですね。

トマトが赤い茄子?
そうなんです。
実は、トマトは植物学上は、ナス科に属しているんです。
この二つの夏野菜、兄弟分だったんですね。

千年以上も食べられてきた茄子と、わずか百数十年のトマト。
日本古来の呼び方で表す茄子と、西洋の言葉しか馴染みのないトマト。

歴史をたどると対照的な、しかし植物としては同じ科の夏野菜。
その微妙な関係にささやかな面白さを感じながら、二つの夏野菜が混ざった冷たいパスタをつるんといただきました。

http://blog.goo.ne.jp/syusakuhikaru/e/c9176e48da8acb2c91642ec2b8c5e32b


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懐石のこころ

2006年08月11日 | 食の話し
懐石料理といえば、高級料理のイメージがあります。
しかしもともと懐石は、茶席でちょっとした空腹を満たすための少量の山海の惣菜のことをいいます。

茶人が手近にある旬の素材を使い、自ら料理をする。
食材の持ち味を素直に引き出し、客人をもてなす。
本来は素朴なものです。

懐石という言葉は、禅の僧が空腹を満たすために石を温めて懐に忍ばせていた、という故事から生まれたともいいます。
その言葉の成り立ちに従えば、懐石は満腹を目指すものでもありません。
かつて料理家の辻嘉一氏は、懐石料理についてこのような言葉を残しています。

「足るを知る」

日本人らしいよい言葉だと思います。
この言葉をかみ締めながら懐石をいただくと、また少し違った楽しみ方ができるかもしれません。

http://blog.goo.ne.jp/syusakuhikaru/e/b72b17b7e48c7ae2ab81d33d97b3eb4f





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さそりの中に光る赤星

2006年08月11日 | 星の話し
夏の夜空を見上げると、何といっても目に飛び込んでくるのは天上に光る夏の大三角です。
が、少し目線を南に落としてみると、そこにもう一つの夏の主役が輝いています。

真っ赤に光るさそり座の主星、アンタレスです。
極大光度1.0等の変光星。
冬のオリオン座に光るベテルギウスと並んで赤色巨星の代表格です。

アンタレス、という言葉は、ギリシア語で「火星の対抗者」という意味だそうです。
火星も赤く不気味に輝きます。

日本ではもう少しかわいい名前がついています。

アカボシ(赤星)
ホウネンボシ(豊年星)
サカヨイボシ(酒酔い星)
サケウリボシ(酒売り星)

赤いといえば「酒酔い」。
ステレオタイプな気もしますが、分かりやすくもある命名です。

神話の世界では、オリオンを一刺しで殺した猛毒を持つさそりです。
だからさそり座が西の空に沈む頃に、オリオン座が東の空に顔を出すのだそうです。
よくできた話です。
http://blog.goo.ne.jp/syusakuhikaru/e/868d255fa3f4d0bbc3c0512a55fb3017



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オシムジャパン、好発進

2006年08月10日 | スポーツ
わずか三日間の準備期間にも関わらず、オシム率いる日本がトリニダード・トバゴ戦に勝利。
名監督の片鱗を見たようです。

オシム監督といえば、その語録で有名。
「オシム語録」は二十万部を突破したとか。

語録を調べてみると、走る、責任感、などが彼のプレーのキーワードのようです。

「やったことが返ってくるのが人生というもの。
 全てが返ってくるのだからやらなくてはいけない。」

表面的ではなく、そこから普遍的な人生哲学を導き出そうとする言葉が多いのが人気の秘密でしょう。

ところでこんなことも言っています。

「(日本語は)難しい。まったく解らない。
 話せたとしても書くことは不可能だ。3000も文字がある。これでは子供達が学校から帰ることも出来ないよ。」

かなと漢字が混在し、何千もの漢字を覚えなくてはならない日本語は、「やったことが返ってくる」と豪語するオシムにとっても脅威のようです。

http://blog.goo.ne.jp/syusakuhikaru/e/eb67afc59343565c0e3e29605e0c14fe
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