言葉って面白い!

この日本語、英語でなんていうの?その奥に深い文化の違いが見えてきませんか。

TLCの怪

2009年11月28日 | ニュース
英語のネイティブと話していて、よい言葉を教えてもらいました。
TLCです。
Tender loving careの略で、「優しく愛のある世話」という意味です。
病人への看病で、もっとも大切なこととして医療界でも使われる言葉だそうです。

TLCという頭文字だけにするとあまり情緒がありませんが、心温まる言葉にいい気分になりました。
もっと詳しく知りたいと思い、TLCをさっそくWEB上で検索してみました。
すると、とんでもない言葉が目に飛び込んできました。

TLC…プロレスの試合形式の一種で、机や椅子などを凶器として使うことを前提にしたもの。Tables(机)、Ladders(梯子)、Chairs(椅子)の頭文字をとって名づけられた。

うーん、意味が真逆です。
実は、アメリカの女性バンドにもTLCというのがあるそうです。
同じ略語でもいろいろと意味があるものです。

英語の略語は、何の略かを知らないともとの意味が分からないものや、同じ略語で何通りも解釈が可能なものがあります。
例えば、CDといえば何を連想しますか?
コンパクト・デスク?キャッシュ・ディスペンサー?はたまた、クリスチャン・ディオール?人によって様々でしょう。

26文字しかないラテン・アルファベット(ローマ字)からなる英語では、同じ略語で二つ以上の重複した意味を持ってしまう可能性が大なのです。
また、アルファベットが表意文字ではないので、頭文字だけで表すと意味が分からなくなります。
TやLやCにそれぞれ固有の意味がないからです。

その点、日本語の略語、特に漢字を使った略語は、初めて聞く単語でも漢字の意味から類推することが可能です。
特別急行…特急
日本経営者団体連盟…日経連
それぞれの漢字に固有の意味があるため、おぼろげながらでも意味を想像することが可能です。
「特」と「急」で「特別に急いでいる」といった具合です。

表音文字のアルファベットと、表意文字の漢字。
その違いが、略語の文化にも違いを生み出しているようです。



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結婚式にも「死」と語る国

2009年11月07日 | 日本人
結婚式にはタブーと言われる言葉がたくさんあります。
「別れる」「死」「切る」「破れる」などです。
主に、離別や不幸を連想させるような言葉は忌み嫌われます。
「ケーキをナイフで切る」ではなく、「ケーキにナイフを入れる」あるいは「ケーキ入刀」というくらいです。

この感覚は、英語の世界にはあまりありません。
たとえば「死」は結婚式でタブーの言葉ではありません。
結婚の時に、新郎新婦の誓いの言葉の中にすら「死」は登場します。

in sickness and in health,
till death do us part

病める時も健やかなる時も
死するまでともに過ごす

日本の感覚をあてはめると、わざわざ「死するまで」という不吉な言い方をするのではなく、「一生」とか「いつまでも」とか「永遠に」とか、前向きな表現にすればいいではないか、と突っ込まれそうな表現です。

しかし、主にキリスト教文化圏である英語の世界では、死は神様に召されるステップであり、受け入れるべき現実であり、特にそれを結婚式で口にすることが不吉であったり失礼であったりするものではないようです。

古来日本では、言霊(ことだま)という言葉がありました。
言葉には霊力が宿っていて、言葉を口にするとそれが現実のものとなったり、現実の世界に影響を与えるという考え方です。
そういう考え方がある社会では、不用意な言葉を発すると、不吉なことが起きかねない、だから縁起の悪い言葉は慎むべきだ、と考えられるようになるのです。

もちろん、現代の日本人は、結婚式で誰かが「死」という言葉を使ったから、すぐに誰かが死ぬなんて思っていませんが、それでも忌み言葉として「死」や「別れる」を結婚式などで避ける背景には、日本人の言葉に対するデリケートなセンスがあるのでしょう。
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峠を超える日本人

2009年11月06日 | ニュース
日本語の峠という言葉は、英語で表すのはとても難しい言葉の一つです。
英語に「峠」という概念がないからです。

日本語の「峠」とは、山道を歩いていった時に最も高い点をさす言葉です。
山道を登り、最高点に達して下りに差しかかる、その瞬間の一点を表すのです。

ところがこうした「点」を表す「峠」という言葉が英語にないのです。
あえていえば、日本語の「峠」を英語に訳すときに、passという言葉が使われます。
しかし、もともとpassというのは、「山道」という日本語に近い概念の言葉で、山などを歩く時に、一番くぼんだ場所をたどって抜けていく「道」のことです。
このpassを辿っていった時に、最も高いところに位置するポイントが「峠」というわけです。
日本語の峠は「一番高いところ」というイメージがありますが、passはむしろ「一番低いところ」という意識の強い言葉なのです。

さらに、「峠」という漢字は中国にもなく、「峠」は日本がオリジナルに作り出したいわゆる「国字」でもあるのです。

「峠」という日本独自の言葉。
それは、日本の国の成り立ちと大きくかかわりのある言葉のようです。

日本は山がちな国で、村や町の多くは山の合間にある谷や盆地に発展しました。
村と村を行き来するためには、山を越えて行くことがほとんどでした。
そうした社会では、山道をたどって山を越える瞬間の「峠」という概念はとても重要でした。
峠が、村と村、国と国を分け隔てる境になることが多かったことも、その重要性を表しているといえるかもしれません。
そうした文化を持つ国だからこそ、山道の最高地点を表す言葉をわざわざ必要としたのでしょう。

地理・風土が違えば言葉の分布も異なります。その一つの例といえるかもしれません。
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歯ブラシのなぞ

2009年11月03日 | ニュース
歯ブラシという言葉は、外国人が聞くと変に聞こえるそうです。
歯という日本語と、ブラシという英語が合体しているところに違和感があるのだとか。
ある英国人は、歯ブラシと聞くと、いつもヘアブラシ、と聞こえるそうです。
うーん…確かにヘアブラシと聞こえますね。
しかもその方が言葉として自然かもしれません。
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