言葉って面白い!

この日本語、英語でなんていうの?その奥に深い文化の違いが見えてきませんか。

その言い方、分かりません。

2008年09月28日 | 言葉
英語が決して得意なわけではありませんが、最近すらすらと出てくるフレーズが幾つかできました。

How can I say it?
It's very difficult to explain.
I don't know how to say.
I don't know the word.

などなど。
要は、「うまく説明できません」「言葉が出てきません」という時の言い訳です。

外国人に英語で日本のことを説明しようとすると、なかなか言葉が出てこないことがあります。
そんな時に便利なフレーズです。

言語はとにかく繰り返し使うのが上達のコツ。
何度も使っているフレーズは身につくものです。
私の場合、「うまく言えません」というフレーズだけが妙にすらすら出てくるようになりました。

決して褒められたことではありませんが、繰り返すことの重要性を認識できたことは確かです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

熱い!タイ料理

2008年09月28日 | 食の話し
とあるタイ料理屋に行きました。
あまり辛いものが得意なわけではないので、メニューの中で唐辛子マークのないものを主に選ぶのですが、せっかくのタイ料理だから一品くらい辛いものをと、唐辛子マークのついた鶏肉のバジル炒めを頼みました。
店員に「辛さを控えめで」と頼んだにも関わらず、サーブされた料理は私の舌の限界を少し超えていました。
食べているうちに舌がひりひり。
何よりも、途中から汗が出てきて止まりません。
決して熱い料理ではなかったのですが、汗を拭いながら食べました。

この料理を食しながら、ふと思いました。
なるほど。辛いをhotと表現するのは理に適っている、と。

日本語では、「辛い」と「熱い」とは別の言葉で表現します。
英語では、同じなのです。

この差は、それぞれの食文化圏で辛い食べ物とは何かの違いによるものと思われます。
日本で辛い、という言葉は「塩辛い」も含んだ言葉です。
からし、わさび、そして強い塩味も「辛い」です。
一方西洋では、主な辛さはスパイス、ことに唐辛子の辛さを指します。
舌がひりひりするような、汗をかくような辛さ、これがhotという言葉につながっています。

日本では、古来魚や野菜が食文化の中心で、それに合う辛さは塩辛さであり、わさびやからしの辛さでした。
一方、西洋では肉料理が中心で、保存のため、また臭みをとるために唐辛子が使われていました。

日本の辛さ、中でも塩辛さは、舌で感じる味覚としての辛さです。
しかし唐辛子の辛さは、舌ではなく、口内の粘膜全体に散らばる痛覚と呼ばれる神経系で感じる「痛さ」です。
この痛さは、自律神経を刺激して、血圧や心拍数を上昇させ、発汗作用を促します。
だからhotと表現されるわけです。

日本語の辛いの反対語は甘いですが、英語ではhotとsweetは対立する概念ではありません。
hotの反対語はmildであり、温度でいえばcoldです。

hotな鶏料理を平らげた後、デザートのココナッツアイスクリームがきました。
ひりひりする舌に効いたのは、アイスクリームの甘さではなく、その冷たさでした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

凜とした

2008年09月23日 | 言葉
「凜とした」という言葉があります。
態度や姿がきりりとしまっていて、一本筋が通ったような厳しさを兼ね備えている様子です。

ただ漫然と与えられた仕事をするのではなく、自分の信念と誇りと目的意識を持って、打ち込む姿は「凜とした」人でしょう。
他者におもねることなく、かといって自己顕示を強くするわけでもなく、筋を通す生き方も「凜とした」生き方と言えるでしょう。

もともと「凜」という漢字に、氷や冷水を表す「二水」が使われているように、「凜と」は、氷に触った時のような身の引き締まる思いが元の意味です。
男性にも女性にも使い、単に顔や姿の表面的な様子を言うのではなく、多分に内面的な精神を重んじた単語です。
近い言葉である「凛々しい」が男性的な勇ましさを強調しているのに対し、「凜とした」はむしろ女性に使う方がその意味が際立つかもしれません。

さて、この言葉、英語にはとても訳しにくい言葉です。
和英辞典を引いてみると、例文の中で、
Commanding and imperious 
などと訳されていますが、「凜と」という日本語のニュアンスに比べると高圧的なイメージの言葉で、かなり表面的な表現に留まっています。
親戚語の「凛々しい」を引くと、manly と訳されていました。
「男らしい」というわけです。

どれも訳としては不十分です。

例えばcommandingは、他者に命令する、という意味から派生して「威厳のある」などの意味が出ています。
他者との関係性の中で、他者を圧倒するような強さを持っている、という意味合いです。
Manlyは、当然女性との比較の中で「男らしい」という言葉が出てきたわけで、これも他者との比較の産物です。
日本語の「凜とした」という言葉は、内面的です。他者との関係や比較ではなく、自分がどう生きるか、という姿勢を表す言葉です。

「禅」や「武士道」といった精神性を生み出した日本ならではの言葉かもしれません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

焼き鳥の話

2008年09月21日 | 食の話し
秋祭りの季節です。
我が家の近所の神社も、秋には境内と地元の商店街に屋台が並び、大勢の人でにぎわいます。
友人らが集まり、夜店を見て歩くのも楽しみの一つ。
お好み焼き、トウモロコシ、焼き鳥、ラムネ、たこ焼き…。
お世辞にもおいしいものではありませんが、祭りの夜店で買うと独特の郷愁を感じます。
21世紀の東京にも、200年前の江戸情緒が辛うじて残っている時間かもしれません。

焼き鳥食べよう!と、友人と繰り出した秋祭り。
最近英会話を始めたそうで、何でも英語にしてみたい時期のようです。

「焼き鳥って何ていうの?」
「英語でYakitoriで通じるんじゃないの?」
「でもあえて英語でいえば…」

友人は、少し考えてからこう言いました。
「burning bird…かな」

「焼き」をburn、「鳥」をbirdと直訳したのです。
それを聞いたみんなは大爆笑。
burning bird、というと、羽や胴体に火がついて慌てて羽をバタバタ羽ばたかせている鳥を想像します。
漫画の一コマのような滑稽な絵です。
おかげで愉快な秋祭りになりました。

ところで、ちょっと立ち止まって考えてみると、この誤訳には、背景に面白い東西の食文化の違いが二つ、見て取れます。

一つは「焼く」という言葉。
日本語では、料理でなく「火をつけて燃やす」ことも「焼く」と言いますし、料理で魚や肉に熱を入れることも「焼く」と言います。
非常に広い意味を持たせています。

一方英語では、調理の用語としてburnは使いません。
何かに火がついて燃えること一般を指し、料理でburnを使うと「焦がしてしまう」という意味になってしまいます。
片や、料理の時には、grill、toast、roast、fry、bakeなど、実に多くの単語を使って「焼く」を言い分けます。

もう一つは、「鳥」という言葉。
日本語では、飛んでいる鳥も、皿の上に乗った鳥も同じく「鳥」と言いますが、英語では、鳥肉のことをbirdとはいわず、chickenと別の言葉を使います。
同じ現象は、牛肉や豚肉などにも見られます。
cowとbeef、pigとporkは使い分けられています。

「焼く」と「鳥」。
二つの言葉の日本語と英語の違いは、肉食文化の西洋とそうでない日本の違いを端的に表していると思います。

西洋は古くから「肉を焼く」ということが料理の根底にありました。
一方、仏教を導入した日本では肉食は長い間禁じられ、魚や野菜を煮たり炊いたりして食べる食文化が基本でした。
そのため、言葉が英語ほど細分化されていないと思われるのです。

食文化は、人間の生活の最も基底にあるものです。
そこから生まれる言葉が、国によって大きく異なるのも不思議なことではないでしょう。










コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする