言葉って面白い!

この日本語、英語でなんていうの?その奥に深い文化の違いが見えてきませんか。

アラサーはアラ3?

2012年02月26日 | 言葉
イギリスの友人と話していて、こんな話が飛び出しました。
「アラサンというのは、30歳前後っていう意味かい?」

ん?「アラサン」ではなく、「アラサー」ではないかい?
すかさず訂正すると、彼は不思議そうな顔をして言いました。
「だって日本語で3は「サン」と発音するだろう?「サンジュウ」を略して「サン」ではないのかい?」
な、なるほど。英語ネイティブには、「サー」も「サン」も似たように聞こえるのか。
そこで「アラサー」はaround thirtyの略なんだよ、と教えてあげると、彼は怪訝な顔になりました。
「sirtyなんて単語はないよ。thirtyの間違いだよ」

そうなんですね。
英語ではsとthはまったく違う音として発音されますが、日本語では同じサ行として消化しているんですね。
バースデイ、サンダー、サード…。
いずれもカタカナ読みしてしまうと、英語としては全く意味不明になります。

英語ネイティブにとっては、「サー」と「サン」の違いよりも、sとthの違いの方が大きいわけです。

外国語を聞き取ろうとしても、どうしても母語の発音体系に頭を支配されてしまいがちです。
日本人がなかなかLとRの発音が聞き分けられないのも、日本語にその違いがないからです。
sとthの違いもその一つというわけです。

ちなみに、彼は「アラフォー」はaround fortyの略だと、すんなり同意してくれました。
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モンスターは怖いもの?

2012年02月06日 | 書籍・漫画の話し
monsterという英単語は、「怪物」「妖怪」などと訳されます。
その根底にあるのは、「巨大で人が太刀打ちできない恐ろしいもの」といったイメージです。
英国人に聞いても、monsterと聞いて想像するのは、人智の及ばぬ恐ろしい存在のようです。
人の言葉を解さず、人の命を奪うことを厭わない、エイリアンのような存在です。

これが日本では少々ニュアンスが異なるようです。
「怪物」「妖怪」は確かにもともとは、欧州のmonsterと大差ない恐ろしいものでしょう。
しかし、「カッパ」「天狗」など日本の妖怪をイメージしてみるとどうでしょう。
人によってイメージは異なるかもしれませんが、例えばカッパといえば頭にお皿を乗せた可愛らしいキャラクターを想像しないでしょうか。
「怪物くん」はどうでしょう。かわいい少年です。
水木しげるさんの作品に出てくる妖怪たち。恐ろしいだけでしょうか。
日本では、妖怪や怪物は、異世界の存在でありながらも、人の心を持ち、人の言葉を解し、憎めない愛らしさを兼ね備えた「キャラクター」として描かれることが多いようです。゛

私は、この欧州と日本の違いには、そもそもの精神文化の違いが横たわっているように思えます。
欧州、特にキリスト教文化圏では、人は神によって造られたものであり、動植物をはじめ自然の中に存在するものとは一線を画したものととらえられます。
人は自然を征服することで、人たり得るのであり、幸せをつかむことができるというわけです。
一方日本は、自然の中に人も動物も、あるいは神様も同じように存在する、という世界観を持っています。
そのため、山や川にも神様がいると考え、動植物が人と同じように泣き笑いしても違和感を持ちません。
そんな世界観を持つ人たちにとって、超自然現象といえる妖怪や怪物の存在は、至極自然なことであり、彼らが人の心を持っていても受け入れられるのです。

かわいく魅力的な「妖怪」「怪物」を作る日本。
一方monsterといえば、征服すべき恐ろしいもの、というイメージしか持たない西洋。
精神文化の差が、言葉のイメージにも多少の違いを生むようです。

ちなみに、最近ポケモンが世界を席巻し、状況はもしかすると少し変わっているかもしれません。
ポケモンの「モン」はmonsterの「モン」です。 
可愛らしいmonsterというものもいるのだと知った子供たち。
やがて西洋でも「かわいい親しみのあるモンスター」を受け入れる日がくるのかもしれません。
コメント (1)
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