言語によるコミュニケーションを、より効果的なものにするための研究が重ねられています。
特に、文法や語彙を正しく学ぶだけでは、十分なコミュニケーションができない、という認識から、デル・ハイムズが1970年代に「コミュニカティブ・コンピタンス」という概念を提唱しました。
その後、カナルとスウェインが、コミュニカティブ・コンピタンス(伝達能力)として四つの力が必要だと提言しています。
➀文法能力・・・正しい文法と語彙、発声などを学び、使いこなす能力。いわゆる伝統的な「言語能力」とはこのことを差していた。
②談話能力・・・単なる文の羅列でなく、それらを一つのまとまった意味のある談話に仕立てたり、それを理解する能力。例えば「あのー」という「フィラー」を活用して「スモールトーク」から会話を円滑にスタートさせ、本題を議論した後に、「というわけで・・・」とうまく終わらせていく、といった自然な会話の流れを作る能力など。
➂社会言語学的能力・・・ある社会習慣の中で適切な言葉を使用できる能力。敬語の使い分け方などがこれに当たる。
④ストラテジー能力・・・コミュニケーションを円滑に行う能力。例えば、言いたい言葉が見つからない時に別の言葉で言い換えたり、うまく理解できない時に「それは〇〇ということですか」と聞き直したり、よりよく理解させたい時に同じような意味の言葉を繰り返したりする、など。
ストラテジー能力は、タローンによると、難しい言い方を避けてより簡単な表現で表す「回避」、表現したいことを別の言い方で表現する「言い換え」、母語への翻訳、母語話者に助けを求めたり辞書を使ったりする「援助要求」、身振り手振りに頼る「ジェスチャー」などに細分化されます。
こういったコミュニケーション能力は、一つ一つ順番に覚えていくというより、実際に言葉を使う中で同時に高めていくものなのかもしれませんが、こうした研究者の分析を学習して意識化すると、能力の向上につながるかもしれません。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます