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この日本語、英語でなんていうの?その奥に深い文化の違いが見えてきませんか。

空飛ぶパイレーツ・オブ・カリビアン

2011年09月24日 | 言葉
英国人から面白い勘違い話を聞きました。
かの有名な映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」のタイトルを日本人が英語で話すのを聞いて、しばしば「パイレーツがなぜ空を飛んでいるの?」と違和感を持ったとか。
なぜなら、「パイレーツ」と聞こえずに「パイロット」と聞こえるのだそうです。
「パイロット・オブ・カリビアン」。あったら笑えるタイトルですね。

この勘違いの裏には、日本語と英語の構造の違いが隠されています。
英語で海賊(パイレーツ)は、pirate。
空を飛ぶパイロットは、pilot。

ともに日本語でも使う外来語になっていますが、この二つの単語を日本人が日本語で話す時は、決して間違えることはありません。
「パイ」の部分は同じでも、後半の「レーツ」と「ロット」は、明らかに違う発音でクリアに分けられるからです。

しかし、日本人が英語でこの二つの単語を言い分けようとすると、途端に大変難易度は高くなります。
この二つの英単語は、ストレス(いわゆるアクセント)がともに最初の母音pi(パイ)の部分にあり、ほとんど同じ発音です。
また二つ目の母音は、ストレスがここにないため、いわゆるシュワと呼ばれる「あいまい母音」で、これもほとんど同じです。
カタカナでこの発音を表そうとすると、両方とも「パイルトゥ」と、同じになります。

英語でこの二つの単語を決定的に分けているのは、真ん中の「r」と「l」の違いなのです。
ところが日本人は、この二つの発音の使い分けが苦手です。
いずれも「ラ行」で日本語では同じ音として認識してしまうからです。

これに似た例として、よく使われるのが「日本人はシラミを食べるのか?」という冗談です。
コメを食べる、と、表現したいのに、しばしばrice(米)がlice(シラミの複数形)と発音されてしまうというのです。
ただ、これはあくまで笑い話で、通常の会話の中では、日本人が間違って発音してもほとんどのネイティブは文脈から正しく理解するといいます。
まさかシラミを食べるなんて夢にも思わないからです。

どちらかといえば、パイレーツとパイロットの方が、同じ乗り物に乗る人だけに、発音の聞き間違いがそのまま意味の勘違いにつながる危険は高いでしょう。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」は有名な映画ですから、間違えることは少ないでしょうが、日常会話では、「飛行機の操縦士が事故を起こした」と言うところを、
「海賊が事故を起こした」と聞き間違えることはあり得るかもしれません。

ちなみにpilot(パイロット)は、もともと大きな船の案内をする、水先案内人のことを指していた言葉だそうです。
その時代なら余計に混乱したかもしれませんね。
コメント
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