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風に舞う桜花

2006年04月06日 | 四季
ここ数日風が強い日が多いです。
桜が満開になったころに吹く風。
いわゆる「花風」です。

古今集の歌です。

花散らす風のやどりはたれか知る 我に教へよ 行きてうらみむ

桜の花を散らす風の出所が分かっているなら教えてほしい。
そこへ行って「なぜ桜を散らすのか」と恨み言の一つでも言いたい。
その気持ちはよく分かります。

しかし風に舞う桜を見ながら思うことは、単に「どうか散らないでくれ」という惜しむ気持ちだけでもありません。
桜が散るのは名残惜しいですが、その中に身を置くのもこの季節ならではの喜びです。

私は、無数の花弁が突如吹いた風に乗って乱舞しあたりの空間を埋め尽くす瞬間が、桜の季節の中でも最も美しいと感じます。
しかもその光景に出会えるのは偶然であり、とても短い時間です。
次の瞬間には、花弁は道端に舞い落ち、やがて人々に踏みつけられ無残な姿に変わります。

しかし、楽しめる瞬間が短いからこそ、懸命に目に焼き付けておこうとする。
そういう緊張感が生まれてはいませんか。
だから桜は記憶に残るのだと思います。

バラもユリも牡丹も、それぞれに美しい花です。
見ている間は幸せな気分に浸れます。
しかし一瞬目をそらせても、視線を戻せばそこにまだ花は咲いています。

その瞬間に目に焼き付けなくても、自分が欲すればまた見ることができる。
そこが「風に散る桜」とは決定的に違います。

一瞬見逃せば、二度と出会えないかもしれない光景。
その「一期一会」を短い時間に凝縮して精一杯楽しもうとする。
風に散る桜にしかない、密度の濃い楽しみ方だと思うのです。




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