ローラーガールズ・ダイアリー (2009)

2010-05-29 16:48:16 | Weblog
ローラーガールズ・ダイアリー(2009)
Whip It

U.S. Release Date: 2009

■監督:ドリュー・バリモア
■原作/脚本:ショーナ・クロス
■キャスト:エレン・ペイジ/マーシャ・ゲイ・ハーデン/クリステン・ウィグ/ドリュー・バリモア
■音楽:ランドール・ポスター
■字幕:小澤睦美
■お勧め度:★★★★

 「「25年目のキス」「ラブソングができるまで」のドリュー・バリモアが、「JUNO/ジュノ」のエレン・ペイジを主演に迎えて記念すべき監督デビューを飾ったガールズ青春ストーリー。アメリカの田舎町を舞台に、母親に逆らうこともできない大人しい女子高生だったヒロインが、ワイルド&パワフルな“ローラーゲーム”の世界と出会ったことで、それまでの殻を破って自らの意志で歩み始める姿をさわやかに綴る。
 テキサスの小さな田舎町に暮らす17歳の女子高生ブリス・キャヴェンダー。美人コンテストで優勝することが娘の幸せにつながると信じる母親に違和感を抱きながらも、言われるままにミスコン中心の退屈な日々を送っていた。そんなある日、都会のオースティンに出かけた彼女は、そこで“ローラーゲーム”の存在を知り、“女性らしさ”なんてお構いなしのワイルドはスポーツにすっかり魅了されてしまう。そして、家族に内緒のまま年齢を偽って入団テストを受けみごと合格、チームの一員に迎えられる。こうして、年上の個性的なチームメイトたちの中でもまれながら、意外にも眠っていた才能を花開かせていくブリスだったが…。」(allcinema.net/より。)

はっきり言って劇場で観る作品ではないものの、色々とテーマもあるし、原作は別として、ドリュー・バリモアが大事に作った作品という感じがして楽しめる。なぜ学校のクラブ(「部活」か)じゃなくて、18禁のローラーゲームだったかというと、おそらく普通はアメリカンフットボール(「しあわせの隠れ場所」)とかだと進学目的が見え見えになるのでつまらない。はっきり言って、ローラーゲームのチームのメンバーは殆どが落ちこぼれ。そういう競技を敢て選んだのは、主人公の女子高生の自主的な成長を描きたかったからだろう。アメリカだとスポーツ関係で、お金を積んで進学というのは、ありふれているし、日本でも、高校野球ぐらいしか知らないが、進学目的の部活選びは、おおっぴらでは無いにしてもある。あえて、落ちこぼれのローラーゲームを選んだのは、自主的な成長に加えて、こうした事の批判の意味もあるだろう。それと妙に印象に残るのは、この主人公たちの田舎町が、とても大事に描かれている。ドリュー・バリモアは、こういう所で育ったのかもしれない、と感じさせられるような。両親についても言える。ミスコンで優勝する事が娘の幸わせだと思っている母親(マーシャ・ゲイ・ハーデンが好演)、これは責められない。この両親にしても、おそらくは田舎を出て都会で成功したかったのだろうが、できなかった夢を娘に託したわけだし、地元で成功したかったらミスコンぐらいしか無かったのだろう。もちろん主人公の親友のように学校の成績が良ければ別だが。こうした親子関係と友人関係がとても良く描かれている。ローラーゲームというのは昔、流行った時代があったが、例によってテレビ局(と視聴者)のやること、いつの間にか消えてしまった。結構、面白かったが。懐かしいとまでは行かないにしても、もう一度、やってみてもいいのじゃないか。本作品がきっかけにでもなれば。しかしそれまでのインパクトは無い。難を言えばこの辺だろうか。いっそローラーゲームの宣伝映画にしてしまっても良かったかもしれない。個性的というのは言えてる。そりゃローラーゲームがどういうゲームか考えれば当たり前とも言えるが。しかしその中でもリーダーというのか主将というのか、クリステン・ウィグは子持ちで夜のデートが出来ない辛い運命にあるというような、気を遣ったストーリー。そして敵、好敵手チームのリーダーというか競技では「ジャマー」は、31歳でこの世界に入り、今は36歳、17歳の新人と争う、そのやり方が妙にかわいい。それとローラーゲームをやっている所はテキサス州のオースティンになっているが、実際のロケ地はミシガン州だったかの田舎町。オースティンはかなり大きな町だと思うので、このロケ地選びはテーマに沿ったものだろう。言い方は悪くなるが、ド田舎からいきなり大都会だとテーマが吹っ飛ぶだろう。こういう気づかいも感じられる。こういう所、部分が最近の洋画に欠けてるんじゃないだろうか。映画らしさはあまり無いものの、好キャストは印象に残るし、テーマの描き方も、洋画にしては楽しめる方じゃないだろうか。しかしこれ、なんでPG12なのか。暴力はあるにしても、青春ものでコメディーに近い。最後になってしまったが、一番、良かったのは主演のエレン・ペイジ。演技に演技っぽさが感じられないし、歳すらも分からない。これでなんかの賞が取れなかったら、賞の主催者をホカした方がいいだろう。


ヒアリング度:★★(少し南部/テキサス訛り)
感動度:★★★★
二度以上見たい度:★★★
劇場で見たい度:★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

パリより愛をこめて (2010)

2010-05-22 03:55:51 | Weblog
パリより愛をこめて (2010)
From Paris with Love

U.S. Release Date: 2010

■監督:ピエール・モレル
■キャスト:ジョン・トラヴォルタ/ジョナサン・リス・マイヤーズ/カシア・スムートニアック
■音楽:デヴィッド・バックリー
■字幕:菊池浩司
■お勧め度:★★★

 「「96時間」のピエール・モレル監督が、「サブウェイ123 激突」のジョン・トラヴォルタを主演に迎えて贈るサスペンス・アクション。パリを舞台に、型破りなCIAエージェントとコンビを組むハメになった駐仏アメリカ大使館の若手職員が、その強引な捜査手法に戸惑いながらも巨大犯罪組織に立ち向かっていく姿を、ハードなアクション満載で描き出す。共演は「マッチポイント」のジョナサン・リス・マイヤーズ。
 フランスのアメリカ大使館に勤務するジェームズ・リースは、エリート大使館員にしてCIAの見習い捜査官。華やかな活躍に憧れながらも、いまだ地味な活動ばかりの日々。そんなある日、麻薬捜査のためにCIA本部から凄腕エージェント、ワックスがやって来る。そのパートナーを任され、初めての重要任務に張り切るリース。ところがワックスは、任務のためなら手段を選ばず、人を撃つのさえも躊躇わないあまりにも危険な男だった。人を撃った経験などあるわけもないリースは、ワックスのやり方に戸惑いと反発を覚えるのだったが…。」(allcinema.net/より。)

「パリより愛をこめて」「From Paris with Love」「ジェームズ」、これまたネタ切れヤキ回り作品かと思ったが、久し振りに見る映画らしい作品。スタッフ構成からしてフランス作品(だからだろう)。基本的には「007/ロシアから愛をこめて」が元になっているとはいえ、フランス作品らしいスタイリッシュさが目立つ。ジョン・トラヴォルタが良くなったし、暴力的な彼とは対照的な知性派のジョナサン・リス・マイヤーズはいいコンビ。「ロシアから愛をこめて」を観たことがあればミステリー性はなくなるという問題はあるが。しかし考えることもテーマらしきものも何も無い作品。だから良いのかもしれないが。例によって悪者は「テロリスト」という有名架空の存在。訪仏する国防長官だったかの一行を狙う。それを阻止する二人の全く違ったやり方というのがラストの面白さ。製作者としては、どれくらい「ロシアから愛をこめて」の事を考えたのだろうか。これの方がミステリーで考えさせられる。ジェームズ・リースのフィアンセ役のカシア・スムートニアックはダニエラ・ビアンキ(誰が知るか)とは似ても似つかないので、作品の展開は、それこそ「驚愕」もの。これが製作者の意図だったら、お勧めもの。パロディでもないし、もちろんリメイクでもないし、単に題名だけ取ったに近い。しかし取ったにしても、「ロシアから愛をこめて」を観た、覚えている人が何人、いるだろうか。参考のために観るのさえ無駄だろう。しかし対照的ではあるという事は言える。ジェームズ・ボンド、ショーン・コネリーの女好きとカッコつけたがり性格とは対照的という意味では。しかしスタイリッシュではあるにしても何か欠ける。もちろん「ロシアから愛をこめて」の頃、時代に比べれば、特撮もアクションも比べ物にならないほど進歩しているが、ロマン(ス)が無い。実は映画版の「ロシアから愛をこめて」、小説とは違って、最後は敵のスパイ(ダニエラ・ビアンキ)と仲良くなる。小説では確かトゲ靴女にやられてダウン。こういうロマンは流行らないのか。題名は無視してアクションと主演二人のコンビだけ観て楽しむなら、まあまあの作品。時代が同じせいか、「NINE」というかソフィア・ローレンの良さを思い出してしまう。次はイタリア作品に頑張ってもらいたい。


ヒアリング度:★★
感動度:★★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル (2010)

2010-05-14 19:50:21 | Weblog
劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル (2010)

U.S. Release Date:

■監督:堤幸彦
■キャスト:仲間由紀恵/阿部寛/松平健/生瀬勝久/野際陽子
■音楽:辻陽/主題歌:熊谷育美『月恋歌』
■字幕:
■お勧め度:★★(★)

 「自称売れっ子天才奇術師・山田奈緒子と石頭の天才物理学者・上田次郎の迷コンビが、毎回怪しげな超常現象の秘密を解き明かす人気TVシリーズの映画版第3弾。松平健をはじめ豪華ゲストを迎え、とある寒村を舞台に、全国から集った霊能力者たちが繰り広げるバトルロイヤルの行方を描く。主演は仲間由紀恵、阿部寛。監督は堤幸彦。
 山奥にある万練村では、村を災厄から守ってきたという霊媒師“カミハエーリ”が亡くなり、100日以内に新たなカミハエーリを選定しなければならなくなる。方法は、全国から霊能力者を募り、互いに戦わせて、最後に生き残った一人をカミハエーリとするのが古くからの習わしだった。そんな中、上田は村の青年からこの風習を止めさせるよう頼まれ、霊能力の存在を否定するため万練村へと向かう。一方、ステージの仕事をクビになり、お金に困っていた奈緒子は、興行主から聞きつけた万練村の話に飛びつき、霊能力者のふりをしてカミハエーリとなり、村人から貢物をせしめようと、万練村へ向かうのだったが…。」(allcinema.net/より。)

TVシリーズが好きで、その劇場版が観たければ楽しめるだろうが、映画作品としては...。監督の性格だろうか、妙にバランスを取りすぎた感じ。上の「解説」には書いてない事で言うと、「青年」とその彼女の悲しい恋物語りが大きな部分を占めるし、最大のミステリーになっている。映画作品として面白くしようとする気があったら、もうベテランと言える仲間由紀恵と阿部寛にもっと任せて、漫才とまでは行かないにしても、そのような物にした方が良かったのでは。テーマ的には、上の恋物語りと「風習」というものが、はっきりとあるので、それとのコントラストとして、ギャグっぽい部分をもっと入れても良かったような。キャスト的には「豪華」にしても、主演の二人と松平健以外は出てるだけっぽい。特に戸田恵子はもったいない使い方。個人的にがっかりしたのは仲間由紀恵の喋りが普通、現代調になってしまった事。前作では、仲間由紀恵の時代劇っぽい喋りが面白かった。もっともこれが癖だったのなら直して当然だし、そうしなくてはならないのだろうが、面白味はなくなる。要するに、ここが面白いという部分が無い。全体的にまあまあ面白いという感じ。過去の作品からしても、少なくとも仲間由紀恵ならば演技力だけでも観れたはずだが、TVシリーズの劇場版という事で、それも押さえてしまっている。バランスの取りすぎ。それにロケ地がどこだか忘れたが、寒村というより、ごく普通の山村っぽい所で、これも本物の寒村でやったら映画っぽくなってしまうという、妙なバランス感覚だろう。TVシリーズを映画化するのに、原作に忠実にやる必要は無いのじゃないか。原作から逸脱したような、あるいはパロディーでも。本作は単なる「劇場版」だろう。

ヒアリング度:
感動度:
二度以上見たい度:★
劇場で見たい度:
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲 (2010)

2010-05-08 15:47:04 | Weblog
ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲 (2010)

U.S. Release Date:

■監督:三池崇史
■キャスト:哀川翔/仲里依紗/ガダルカナル・タカ
■音楽:(仲里依紗)
■字幕:
■お勧め度:★

 「哀川翔主演による異色ヒーロー・アクション「ゼブラーマン」の続編。前作から15年後、“ゼブラシティ”となった2025年の東京を舞台に、記憶を失くした主人公・市川新市が、やがてゼブラーマンとしての記憶を取り戻し、悪の野望阻止に立ち上がる姿を、スケールアップした映像で描く。共演は「時をかける少女」の仲里依紗。監督と脚本も前作に引き続き三池崇史と宮藤官九郎がそれぞれ担当。
 西暦2025年、ゼブラシティ。そこでは、犯罪抑止に効果があるとして、新都知事によって朝夕の5分間だけ無法地帯と化すゼブラタイムという制度が導入されていた。ある日、ゼブラタイム中に突然路上で目覚めた市川新市は、警官(ゼブラポリス)に追われた末、拳銃で胸を撃ち抜かれてしまう。倒れた新市は、抵抗組織“白馬の家”に助けられる。組織のリーダー、浅野は、偶然にも15年前の新市の教え子だった。しかし新市は、ゼブラーマンはおろか、15年間の記憶を完全に失っていた。一方、都知事の娘ユイはスーパーアイドル“ゼブラクイーン”として活躍するかたわら、恐るべき野望実現のため行動を開始する。」(allcinema.net/より。)

これは何なんだろうか。アメコミのパロディーにしては的を得てないし、今どき、こういう「異色ヒーロー」が流行るとも思えないし、これといった内容も無いし、筋書きはつまらないし。色々考えた結果、減点法でいけば仲里依紗のミュージッククリップか。哀川翔って誰だか知らないが、やたら強調したがっているので、なんかの有名人なのだろう。映画に出てナンボになるような役者でも人物でもない。テーマ的には毎日5分間だかの暴力フリータイムを作れば犯罪は減るかもしれないというのは分かるが、その5分間に計画的に何かの犯罪を実行したら「5分間」じゃ済まない事になるので、テーマとしては成り立たない。この暴力フリータイムは実際は弱者撲滅が目的という事になっているが、優生保護がテーマとも思えない。むしろ仲里依紗のミュージッククリップの引き立て役だろう。本作の「ゼブラーマン」は、本体を遠心分離して、善の部分だけ残したことになっているが、それが記憶喪失とどういう関係があるのか。悪の部分(ゼブラクイーン)は覚えている。なんとかレンジャーとかが流行った時代の懐古趣味だけで作った作品という印象しかしない。しかしそれにしては仲里依紗は場違いだろう。一応はかわいい女の子が出てくるが、懐古趣味だったら、往年の叶和貴子なみの(大人の)女優ぐらいは出してくれないと、それと分からない。見てて単につまらないというだけで、そう悪い感じはしないものの、何のために作った作品なのか全く分からない。かなりお金をかけているので、なにかあってもよさそうだが、見つからないのは見る方の問題か。しかし仲里依紗のファンというのはなんとなく分かるような気がする。悪の美(「美学」じゃなく)というのはあってもいいし。その意味では仲里依紗(というのが歌手なのか何なのか分からないが)は好演。見る価値あるかも。かなり歳、いってるのじゃないか。実質的に主演。


ヒアリング度:
感動度:
二度以上見たい度:
劇場で見たい度:
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:
ムカつく度:
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

タイタンの戦い (2010)

2010-05-01 05:15:21 | Weblog
タイタンの戦い (2010)
Clash of the Titans

U.S. Release Date: 2010

■監督:ルイ・レテリエ
■キャスト:サム・ワーシントン/ジェマ・アータートン/マッツ・ミケルセン/アレクサ・ダヴァロス/レイフ・ファインズ/リーアム・ニーソン
■音楽:ラミン・ジャヴァディ
■字幕:太田直子
■お勧め度:★★★

 「「アバター」「ターミネーター4」のサム・ワーシントン主演で放つアクション・アドベンチャー。特撮映画の巨人レイ・ハリーハウゼンが特撮を手掛けた1981年の同名作品を最新の映像技術でリメイク。ギリシャ神話の世界を舞台に、人類の存亡をかけ冥界の王ハデスとの戦いに挑む勇者ペルセウスが繰り広げる決死の冒険を迫力のスペクタクル映像で描く。監督は「インクレディブル・ハルク」のルイ・レテリエ。3D版も同時公開。
 神と人が共存していた神話の時代。そこでは、欲望のままに行動する神々が熾烈な抗争を繰り返していた。ある時、ゼウスの息子でありながら人間として育てられたペルセウスは、冥界の王ハデスに家族をなすすべなく殺されてしまう。ハデスの暴虐に、このままでは地上が地獄と化す危機に直面する中、復讐に燃え、失う物のなくなったペルセウスは、命知らずの猛者たちを率いて、ハデス打倒の旅に出る。しかしそれは、巨大な魔物クラーケンや見た者を石に変える妖女メドゥーサが待ち受けるあまりにも過酷な道のりだったのだが…。」(allcinema.net/より。)

これがつまらなかったら洋画はホカそうかと思って観た作品。たしかに邦画というか日本にはギリシャ神話のようなものは無いので、それなりに面白かったが、なんせ内容が無い。ギリシャ神話、ないしは1981年の作品、これは観てないので分からないが、の単純なリメイクで、テーマらしきものが何も無い。アメコミのレベル。こういうのを観て面白がる人も(外国には)いるのだろうが、そうでない場合は、古い言葉ながら「ナガラ」で見た方がいいような作品。たしかに変にテーマを入れると本題からはずれるのだろうが、特撮しか見るものが無い作品というのはちょっと。それに主演のペルセウス役のサム・ワーシントンより傍役の面々の方が目立つ。(例によって)作品よりか、お昼御飯を何にしようか考えてた時間の方が長かったかもしれない。

ギリシャ神話というものにはもっと内容があったような気がする。本作では神々の長、ゼウスと、その弟で冥界の長のハデスの確執が描かれるが、単なる兄弟喧嘩のような描き方で、ゼウスはいい人でハデスは悪者という単純な構図。作品でもちょっとだけ触れているが、ハデスはそもそもはゼウスに騙されて冥界に落とされた悲劇の神じゃなかっただろうか。それを単純に天界制覇を目論む悪者として描いたのでは、オリジナルの神話以下の物語りになってしまう。それにギリシャ神話には12神だったか居たのじゃなかっただろうか。それらが複雑に思惑やらを持って抗争して、同じ神でも時と場合によって「神様」になったり人間っぽいような事をやって、その変化というか、神の人間っぽさ、人間の神っぽさが大きなテーマだったような気がする。本作では神は神で固定して、ペルセウスは無理矢理、人間っぽく描いている。これではオリジナルのギリシャ神話にも劣るような。たしかにギリシャ神話は散々、映画化されているので、それとは違うものにしたかったのだろうが、結果を見ると失敗だったような。

唯一の収穫はペガサス(ナイト)。これはゲームの七不思議の一つで、羽の生えた馬が人間を乗せて飛べるかというのがいつも疑問だった。本作を見る限り、なんとか飛べそうだという事が分かってヒドく安心した。馬の事は(馬刺し以外)よく分からないので何とも言えないが、サラブレッド並の軽い馬なら、多少は重い男を乗せても飛べそうだ。

単純に(な)特撮だけ見るなら、そこそこ楽しめる作品。

ヒアリング度:★★★★
感動度:★★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)