アマルフィ 女神の報酬 2009

2009-07-25 23:36:04 | Weblog
アマルフィ 女神の報酬 2009

U.S. Release Date:

■監督:西谷弘
■原作:真保裕一
■キャスト:織田裕二/天海祐希/佐藤浩市/戸田恵梨香/中井貴一
■音楽:菅野祐悟
■字幕:
■お勧め度:★★(★)

 「フジテレビ開局50周年記念作品として邦画初となるオールイタリアロケが敢行されたサスペンス・エンタテインメント。「ホワイトアウト」の人気作家・真保裕一が企画の段階から参加し、織田裕二主演となる本作の原作を書き下ろした。日本人少女の失踪に端を発した謎の犯人グループによるイタリア大規模連鎖テロの真相を追い、少女誘拐事件の解決へ奔走する日本人外交官の姿を、アマルフィ海岸はじめ世界遺産ともなっているイタリアを代表する名所、景勝地を舞台に壮大なスケールで描く。監督は「県庁の星」「容疑者Xの献身」の西谷弘。
 イタリアで予告されたテロから日本人を守るため、外交官・黒田康作がクリスマス目前のローマに派遣された。だが、ほどなくして、ひとりの日本人少女が失踪する。彼女は、亡き夫との思い出の地であるイタリアを訪れた旅行者・矢上紗江子の愛娘だった。そして、この誘拐事件の通訳担当となった黒田は、紗江子へ掛かってきた犯人からの電話を受けたことで、彼女の“偽りの夫”として事件に巻き込まれていくことに。しかし、警察の介入を犯人に見破られるなどして事件の解決は遠のくばかり。さらに独断で事件の調査を進めるものの、外交官には捜査権限がないためイタリア当局から越権行為と指摘され、大使館内でも孤立する黒田。やがて、誘拐事件は連鎖テロへ発展し、イタリア全土に広がっていく。こうして犯人グループの思うがまま捜査が混迷を極める中、黒田は事件の鍵がイタリア南部の港町・アマルフィにあることを突き止めるのだが…。」(allcinema.net/より。)

上の解説の方が面白い。失敗の最大の原因は織田裕二。彼はテレビ役者だろう。むしろ目立つのは天海祐希と佐藤浩市。この二人は映画俳優と言える。問題なのは織田裕二の演じる役というのは、外交官というのは表向きで、実は諜報員。ボスは声だけ出演の中井貴一。単なる外交官、つまりコッパ役人役なら織田裕二で充分だっただろうが、諜報員としての役をこなすなら中井貴一か、本作でいえば佐藤浩市クラスは必要。作品の構成上は、ある事情で復讐を誓う佐藤浩市と織田裕二の対決となってしまい、織田裕二の格の低さが目立ってしまう。これはミスキャストだろう。ただし「開局50周年記念作品」として観光映画にしたかったのなら、このキャストは分からないでもないが。ただもったいないのは、内容的にかなり緻密なものがあるし、筋書き的にもミステリー性があることで、役者を無視して観れば、かなり楽しめる作品かもしれない。そんな事なので、あまり筋書きには触れず、一見、関係無さそうな事を書くと、日本の海外援助、無償資金協力とも言うらしいが、この資金が間違って軍事政権の方に流れ、その結果として邦人に犠牲者が出た。これはニュースか何かで見たか聞いた記憶があるが、こういう場合というのは、援助や協力先の国や政権を選んだ政府に責任があるのだろうか。軍隊を送らずに金銭や物資、あるいはPKO限定の人員を送ることにしたのは、政府の方針とはいえ、憲法第9条の建て前が方針化したものだろう。「戦力は保持しない」といっても、陸海空軍は存在するわけだし、実動部隊として「沿岸警備隊」(Japan Coast Guard、海上保安庁)も存在する。ただし第9条のせいで、海外で邦人が危険に曝されても、これら、れっきとした軍隊のどれをも送れないことになっている。それで邦人に犠牲者が出た。これを政府の責任と言えるか。結果として妻を殺された佐藤浩市は、外務大臣の責任を問う事になるが、単なる役人に過ぎない外務大臣にその責任があるのだろうか。これが作品では微妙な所で、喧嘩両成敗という事になるが、まさに「国家権力の犬」とも言われるテレビ局作品らしくて面白い(笑えるという意味で)。と思うと、逆にかなりエグい部分もあって、「無駄使いは外交官の特権」とか、ローマの治安の悪さを外務省無視で描いたりと、狼に転じた「犬」(の遠吠え?)的な部分もあって、このチグハグさがまた面白い。ここらへんを見ると、最近の邦画の好調ぶりに加え、なんらかの転機を迎えているような感じもして、この先、どうなるのかといった期待も抱ける。その意味では、作品自体はつまらないにしても、観ておく価値はあるかもしれない。

ヒアリング度:★
感動度:★
二度以上見たい度:
劇場で見たい度:★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

ノウイング  Knowing 2009

2009-07-18 22:51:33 | Weblog
ノウイング  Knowing 2009

U.S. Release Date: 2009

■監督:アレックス・プロヤス
■キャスト:ニコラス・ケイジ/ローズ・バーン/チャンドラー・カンタベリー/ララ・ロビンソン
■音楽:(マルコ・ベルトラミ)/ベートーベン交響曲第7番 第2楽章
■字幕:林完治
■お勧め度:★★

 「ニコラス・ケイジ主演で放つ驚異のディザスター・パニック・サスペンス。50年前のタイムカプセルに収められていた一枚の紙が、その後に起きた大惨事を正確に予知していたことに気づき、そこに示されたこれから起こる惨事の回避に奔走する主人公の姿を、VFXを駆使した衝撃的映像の数々で描き出す。監督は「アイ,ロボット」のアレックス・プロヤス。
 MITの宇宙物理学者ジョンの息子ケイレブが通う小学校では、50年前に埋められたタイムカプセルを掘り起こす記念式典が執り行われた。そして当時の生徒たちが想像する未来図が在校生に配られ、ケイレブは数字だけが羅列された一枚の紙を持ち帰ってくる。それに興味を抱いたジョンは、数列に意味があるのではないかと調べ始める。すると、彼の妻が亡くなった2年前のホテル火災の日付や犠牲者数など、過去に起きた大惨事にまつわる数字と一致していることに気づく。さらにその紙には、未来の大惨事を思わせる数字も残っていた。そしてその予想通り、予言された大惨事が現実のものに。ジョンは、さらなる大惨事を食い止めるべく、残された数列の謎の解明を試みるのだったが…。」(allcinema.net/より。)

なんか色々なテーマもあって内容的にも濃いし、出来もいい作品ながら、ちょっと無理があったような。結論から行くと太陽がスーパーノヴァ(超新星)だったかになると、人類や地球どころか太陽系自体が消滅するわけで、その事を数字の羅列で「選ばれし者」だけに知らせる異星人。この数字の羅列が何を意味するのか、予告された事態は避けられるのか、未来を知ることで未来を変えられるのか、といった事がテーマになっているにしても、問題なのは、これらの主体が異星人であること。たとえば本作品では「50年前に埋められたタイムカプセル」で予想された事、こういう予想というのは当たったためしが無いのは周知のことで、同じように地球人として、地球人の知識や感覚から想像した異星人の考え方や意図は想像できるものの、本作品のように異星人を異星人そのものとして、つまり人間の想像とは関係無い、別の存在として描いてしまうと、これが現実であるにしても、彼らの考え方や意図というものは、地球人には想像すらも出来ないことになる。結果的には本作品のミステリー部分の答えは、全く分からないという事になる。異星人をこうした描き方をするのは斬新ながら、それをやったために作品としては失敗作になってしまったような。上の事に関係してもう一つの問題は、スーパーノヴァで太陽系が消滅するという筋書きだと、作品のテーマでもある人類滅亡の危機というのが、テーマでなくなってしまうという問題。地球どころか太陽系が消滅するという危機に、地球のほんの一部に過ぎない人類の滅亡というのは、太陽系の消滅に比べると、取るに足らない問題になってしまう。それにもかかわらず主人公やその死んだ妻への思いや子供の心理をどんなに深く描いても、エンディングを見た後では何も印象に残らないことになる。むしろそうした事よりも、上に書いた分からない事が分からないままに終わってしまうという事の方がはるかに残ってしまう。ディザスター物としてスーパーノヴァを選んだまではいいにしても、これを種明かしにしてしまった事が失敗だったような。むしろスーパーノヴァという現象を最初から題材にして、そのことに徐々に気付く科学者や政治家、一般市民の反応や行動とかを、少しドキュメンタリータッチで描いた方が、作品としては観られただろう。そうすれば異星人を登場させる必要もなくなるわけだし。パニック物の題材としては地震、噴火、津波その他の自然現象から火事とかの人為的なことまでネタ切れ状態なのでスーパーノヴァという事になったのかもしれないが、内容的に前者を踏襲してしまったために、せっかく選んだスーパーノヴァという題材自体が死んでしまったようなきらいがある。たしかに先週の「スカイネット」をエセ人間として描くような駄作よりははるかに上ながら、ここまで異星人やらを、ある意味で現実的に描いてしまうと、映画作品として見た場合は失敗作。音楽(ベートーベン交響曲第7番、第2楽章)もいいし、決定論と偶然論とを、主人公の人生観や宗教観と関係させたのも見所ながら、これらも結局のところ、スーパーノヴァの扱い方の失敗で無になってしまったような、もったいない作品。製作は実質的にはオーストラリアだろう。ロケ、スタッフの多くがメルボルン。ベートーベンの7番、第2楽章は、そこらのサイトで聴けるので、作品の雰囲気を知りたかったら聴いてから観るのも手。作品の雰囲気をよく現している。


ヒアリング度:★★★
感動度:★
二度以上見たい度:
劇場で見たい度:★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

ターミネーター4 Terminator Salvation 2009

2009-07-11 09:18:22 | Weblog
ターミネーター4 Terminator Salvation

U.S. Release Date: 2009

■監督:マックG(MCG)
■キャスト:クリスチャン・ベイル/サム・ワーシントン/アントン・イェルチン/ムーン・ブラッドグッド
■音楽:ダニー・エルフマン
■字幕:菊池浩司
■お勧め度:★★

 「世界的大ヒットシリーズの4作目にして初めて未来世界に迫り、これまでの原点を辿る終末への新たな船出となるSFアクション。人類滅亡を目論む機械軍(スカイネット)が引き起こした核戦争“審判の日”以後の荒廃した世界を舞台に、追いつめられたジョン・コナーら人類抵抗軍の存亡をかけた壮絶な戦いを圧倒的スケールで描く。主演のジョン・コナー役には「ダークナイト」のクリスチャン・ベイル。物語の鍵を握る謎の男マーカス・ライト役にオーストラリア出身の新鋭サム・ワーシントン。監督は「チャーリーズ・エンジェル」シリーズのマックG。
 2018年。スカイネットが引き起こした“審判の日”をかろうじて生き延びた人間たちは抵抗軍を組織し、大人になったジョン・コナーもその一員としてスカイネット率いる機械軍との死闘に身を投じていた。そんなある日、ジョンはマーカス・ライトと名乗る謎の男と出会う。彼は過去の記憶をなくしており、脳と心臓以外すべて機械化されていた。それでも自分は人間だと主張するマーカスに対し、敵か味方か判断しかねるジョン。しかし、将来彼の父となる少年カイル・リースに身の危険が差し迫っていることをマーカスから知らされ、ジョンはある決意を固めるのだが…。」(allcinema.net/より。)

まさにネタ切れヤキ回りのハリウッドを象徴するかのような作品。ボーっと見ているだけなら、そこそこ楽しめるものの、考えることは禁止の作品。

このシリーズは「3」で完結しているだろう。それをホジくって「謎の男マーカス」をエセ・ターミネーターとして付け加えただけの作品。テーマ的には「原作」無視か無し。駄作だという事は製作者も自覚していたのだろう。シュワちゃんのCGがオマケで登場する場面が最大の見せ場。

このシリーズの良さというのは、タイムトラベルという、実際にはあり得ない事をSFとして描いて、未来は変えられるという夢物語り性だろう。それプラス、無表情の殺人鬼、ターミネーターが迫り来る恐怖、それに立ち向かうサラ・コナー、後には旧式ターミネーター。本作品ではこの面白さが全く無い。スカイネットが送り込んだはずのターミネーターは、最初から標的を助けてしまうし、彼とジョン・コナーの関係もよく分からない。付け足しなのだから当然だろう。

こういう作品を見るとつくづく思うのは、ハリウッド、アメリカ人、あるいは現代人一般の電脳疎外のひどさ。スカイネットにしろ何にせよ、コンピューターの声が人間っぽく聞こえる事はあり得ない。感情という物を持たないコンピューターが人間らしい口調で話すことは不可能。これは英文の読み上げプログラムを使えば分かる。逆に言えば、人間らしい口調で喋るコンピューターがあるとすれば、それは感情を持っている。この違いすらも分かっていないか知らないふり。結果的には、スカイネット/コンピューター対人間の戦いというより、安っぽいアメコミレベルの善玉と悪玉の対決。ガンダムの出来損ないの「トランスフォーマー」よりはマシかと思ったが、目くそ鼻くそ。

時代性も感じる。シュワちゃんのターミネーターは、作品とは別にシュワちゃんの大根役者としての偉大性があった。邦画に大物役者がいなくなった事はあるにしても、ハリウッドもそうかもしれない。最近の洋画(ハリウッドではなく)でまともなのは「オーストラリア」ぐらいだろう。これがいい例で、ニコール・キッドマンとヒュー・ジャックマンのコンビを、元になったと思われる「風と共に去りぬ」のヴィヴィアン・リーとクラーク・ゲーブルのコンビと比べると歴然としてくる。キッドマンはいい女優にしても、格という事からすると、大根役者のヴィヴィアン・リーよりは数段、落ちてしまう。大物不在というのはしかし多くの分野に共通する事で、これも時代性だろう。だったらいっそ、内容や筋書き重視で行った方がいいはずなのが、今だに旧作のリメイクのような代物で間に合わせているのがハリウッドだろう。マックのフライドポテトがいつになく美味しい。大抵は夜食用に一部、持ち帰るのが、全部、食べてしまった。


ヒアリング度:★★★
感動度:
二度以上見たい度:
劇場で見たい度:★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:
ムカつく度:★★★
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

ハゲタカ (2009)

2009-07-05 04:27:40 | Weblog
ハゲタカ (2009)

U.S. Release Date:

■監督:大友啓史
■原作:真山仁『ハゲタカ』『ハゲタカII』『レッドゾーン』
■キャスト:大森南朋/玉山鉄二/柴田恭兵/栗山千明/他
■音楽:佐藤直紀
■字幕:
■お勧め度:★★(★)

 「買収ファンドを扱った元新聞記者の作家・真山仁の原作を基にNHKでドラマ化され、国内外で賞賛を得たTVシリーズを銀幕へ昇華した社会派ドラマ。本作は原作のシリーズ第3弾『レッドゾーン』をベースとしてTV版から4年後を舞台に、日本の大手自動車メーカーをめぐって繰り広げられる企業買収の天才“ハゲタカ”と中国系巨大ファンドから送り込まれた“赤いハゲタカ”の壮絶な買収戦争の行く末を緊迫感たっぷりに描く。主演の“ハゲタカ”こと鷲津にはTV版に引き続き「ヴァイブレータ」の大森南朋。共演に「カフーを待ちわびて」の玉山鉄二。監督はTV版の演出も手掛けた大友啓史。
 徹底した合理主義で瀕死の日本企業を次々と買い叩き、“ハゲタカ”の異名をとった鷲津政彦も、今では絶望的な日本のマーケットに見切りをつけ、海外に生活の拠点を移していた。そんな鷲津のもとにある日、かつての盟友・芝野が訪ねてくる。彼が現在役員を務める日本の名門自動車メーカー“アカマ自動車”を、中国系巨大ファンドによる買収危機から救って欲しいと頼みに来たのだった。その買収の急先鋒となっているファンド、ブルー・ウォール・パートナーズを率いるのは、残留日本人孤児三世の劉一華(リュウ・イーファ)。彼は、鷲津が勤務していた米ホライズン社の元同僚で、自らを“赤いハゲタカ”と名乗っている。こうして、巨額の資金を背景に圧倒してくる劉との因縁めいた買収戦争に挑む鷲津だが…。」(allcinema.net/より。)

原作とNHK版は分からないが、ちょっと色々、詰め込み過ぎたか。テーマ的には5ケはあるだろう。面倒なので二つだけ。

中国という国は、表向きは民主主義ぶっているが、実際は共産党の一党独裁の国であること。“赤いハゲタカ”のバックにある「中国系巨大ファンド」というのは、中国共産党のこと。ただし共産党が実権を握っているにしても、表向きは「ファンド」という体裁をとって外国企業を買収する場合、いわゆる民主主義、資本主義の国から見ると、なんら問題は無いことになる。ましてや建て前として業績の悪化した「アカマ自動車」と提携して更正を図るという名目であれば、買収というよりアカマ救済という事になってしまう。この後が問題で、作品では中国側は実際にはアカマの技術だけ盗んで会社自体は他に売り飛ばす魂胆だったという展開だが、これも中国共産党の一党独裁であると共に表向きは民主/資本主義国家という二面性がダブっていて、日本その他の会社と提携して先進技術を導入したいという事も事実だろうし、実際は提携ではなくて、買収する事でプラント等を中国に移し、雇用確保を狙いたいというのも事実だろう。作品ではこの二面性を描いているが、実際はどうなのだろう。新技術を導入するというのは、それが買収という手段を取れば国際社会に非難され、民主主義の化けの皮が剥がれる危険性がある。決してバカではない中国共産党がそのリスクを侵すだろうか。中国は既に製造業の分野では世界を席巻している。あえて新技術の導入に、そうしたリスクを侵してまでこだわる必要は無いのではないだろうか。端的な話し、中国が製造業製品の輸出を「自制」すると言っただけで、世界中に経済危機が訪れることは容易に想像できる。それに中国共産党が民間企業に投資するということ、これが問題として描かれるが、映画の世界を見ても分かるように、中国の国情からすれば、共産党の表顔にすぎない中国政府が民間企業に投資すること自体、すでにやっている事で、これが他の国から見て問題だと言うなら、同じ例で言うと、中国映画で巨費を投じたものは、上映禁止にして非難する必要が生じることになる。そんな事をやった国は無いだろう。同じ事を映画以外の分野でやった場合、果たしてそれを問題として非難できるか。というような事を考えた場合、作品の筋書きとしては、「アカマ自動車」買収をめぐる攻防ということだが、この筋書きとは別に、あるいは関係なく、むしろ上のような事がテーマになってしまい、筋書き自体が消滅してしまう結果となっている。「アカマ自動車」を買収する側と、会社を守る側の攻防という筋書きで観れば、面白いものの、この筋書きは、中国共産党の動きが背後にあるという事が分かるにつれ、上のテーマに置き換えられてしまう。なお悪いのは、この事が最初に明示されている事。作品としては重要なテーマを描くことで、逆に作品自体を殺してしまったかもしれない。とは言っても「アカマ自動車」の買収劇を描くためには、この事(共産党の関与)を最初に描かないと、筋書き自体が分からないという矛盾もある。端的な例が資金の問題。1400円台にまで下落したアカマ株を、2200円で買い取る理由が分からなくなる。企画はNHKらしいが、製作は東宝だろう。先週の「劔岳」に続いて、映画会社の作る作品にチグハグな面が残っているのかもしれない。詰め込み過ぎという問題に関しては、上のテーマに加え、派遣社員冷遇の問題、中国残留孤児の問題、「ファンド」のせいで自殺した企業家の娘がリポーターをやっていること。全部、考えるとヒドい疲れる。こういう作品を観た後は、マックのレギュラーの笑顔が輝いて見える。というのが最大の収穫。


ヒアリング度:
感動度:★
二度以上見たい度:
劇場で見たい度:★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)