太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男- 2011

2011-02-19 08:26:15 | Weblog
太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男- 2011

U.S. Release Date:

■監督:平山秀幸(チェリン・グラック)
■原作:ドン・ジョーンズ 『タッポーチョ「敵ながら天晴」大場隊の勇戦512日』
■キャスト:竹野内豊/ショーン・マッゴーワン/唐沢寿明/中嶋朋子/井上真央/他
■音楽:加古隆
■字幕:
■お勧め度:★★★

 「太平洋戦争末期、玉砕の島サイパンで、たった47人で敵に立ち向かい、多くの民間人を守り抜いた実在の軍人、大場栄大尉の誇り高き戦いを映画化した戦争ドラマ。原作は、敵として戦った元アメリカ兵ドン・ジョーンズの『タッポーチョ「敵ながら天晴」大場隊の勇戦512日』。主演は「冷静と情熱のあいだ」の竹野内豊、共演に「20世紀少年」の唐沢寿明。監督は「愛を乞うひと」「必死剣 鳥刺し」の平山秀幸。また、アメリカ側パートは「サイドウェイズ」のチェリン・グラック監督が担当した。
 1944年。日本軍にとっての重要拠点であるサイパン島は、圧倒的な物量に勝るアメリカ軍の前に、陥落寸前まで追い込まれていた。そしてついに、サイパン守備隊幹部は日本軍玉砕命令を発令する。そんな中、玉砕を覚悟しながらも生き延びた大場栄大尉は、無駄死にすることなくアメリカ軍への抵抗を続けることを決意する。そんな彼のもとには、その人望を慕って、上官を失った兵士や民間人たちが集まってくる。やがて彼らは、サイパン島最高峰タッポーチョ山に潜み、ゲリラ戦を展開していく。その統率された部隊に翻弄されるアメリカ軍は、大場大尉を“フォックス”と呼び、警戒を強めていくが…。」(allcinema.net/より。)

大場栄大尉の心理変化が描かれている部分がちょっと面白い。最初は「玉砕」精神で、敵を倒すことしか頭になかったのが、たまたま助かって、逃げまどう民間人を見るうちに、彼等を守ることも役目ではないか、という考えに変わり、ゲリラ戦を続けるうちに、生きることの大切さに変わり、最終的に投降する場面では、敵のルイス大尉の、あなたは200名の日本人の命を救ったという誉め言葉に、自分はそれ以上の命を奪ったと言う。軍人教育に毒された精神から、普通の精神に戻る過程が描かれていて面白い。しかしこれは大場大尉の個人的なこと、性格かもしれない。彼は常に物事を冷静に、というより第三者的に見ている。たとえば自決しようとしている部下を平然と見ている。もっともこうした事は、原作者(ルイス大尉)の問題があるだろう。彼は2年、日本にいて、おそらくは日本文化というものを、表面的にしか知らない。そうした状態でサイパンで大場大尉の行動を見て、自分の価値観を投影したような気がする。たとえば彼は日本兵の精神を上官に説明するのに将棋の駒を使うが、この意味が全く分からない。捨て歩?何か勘違いしているような。アメリカ特有の機能主義的でもある。大場大尉は彼に、日本兵にとって上官の命令は絶対だという、投降のヒントを与える。そしてその通り、おそらくは捕虜になった将軍に投降の命令書を書かせ、それを大場大尉に投降の切り札として使わせる。当時の日本兵や軍のことを想像すると、できすぎだろう。いや、嘘っぽい。孤立したサイパン島に紙の命令書が届くはずはない。実際の日本軍は、どっちだか忘れたが、同じ玉砕の島、クリント・イーストウッド監督の「硫黄島」状態だったのじゃないだろうか、想像に過ぎないが。しかし作品としてはかなり面白い部分がある。くりからもんもんのヤッチャン風兵士、これを大場大尉は野放しにしている、の行動、なぜか簡単に忍び込める捕虜収容所、あるいはアメリカ軍が播いた、焼野原状態の東京の写真が本物かどうか確かめるというような。しかし8月15日に戦争が終わって、投降したのが確か12月。4ヵ月ももったのは確かに「奇跡」か。しかしこの話しが事実だとすると、初心者とはいえゲリラ戦に通常兵力を投入するということの無謀さを、この時も、30年後のベトナム戦で負けるまで学ばなかったのは、アメリカ軍のバカさかげんとして見ると面白い。

ヒアリング度:
感動度:★★★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

白夜行 2010

2011-02-04 14:26:55 | Weblog
白夜行 2010

U.S. Release Date:

■監督:深川栄洋
■キャスト:堀北真希/高良健吾/船越英一郎/姜暢雄/粟田麗/戸田恵子/他
■音楽:平井真美子
■字幕:
■お勧め度:★★★(★)

 「TVドラマ版も好評を博した東野圭吾の同名ミステリーを「ALWAYS 三丁目の夕日」の堀北真希と「ソラニン」の高良健吾主演で映画化。一つの殺人事件を発端に、決して交わることのない被害者の息子と容疑者の娘が辿る光と影の運命を、事件の真相解明に執念を燃やすベテラン刑事の姿とともに描き出す。共演に船越英一郎。監督は「真木栗ノ穴」「60歳のラブレター」の深川栄洋。
 昭和55年。密室となった廃ビルで質屋の店主が殺される事件が発生する。決定的な証拠のないまま、やがて事件は容疑者の事故死によって一応の決着をみる。しかし担当刑事の笹垣は腑に落ちないものを感じ、単独で捜査を続ける。彼の心を捉えて放さなかったのは、容疑者の娘・雪穂と、被害者の息子・亮司の姿だった。やがて美しく清楚な女性へと成長した雪穂。そんな彼女の周辺では、不可解な事件が次々と起こってゆくのだが…。」(allcinema.net/より。)

前半の捜査部分が複雑で、誰が誰と関係しているのか、よく分からないが、後半になって事件の真相が分かるという展開。前半部分をもうちょっと分かり易くできなっかたのだろうか。物語りの中心は、悲劇的な幼年時代を過ごした少女と少年の、幼友達とか兄妹とかよりひどく深い関係がなぜ出来たのか、その結果として二人の人生はどうなったのかということだろう。少女の方は10歳にして客を取らされ、少年の方は、父親と少女が関係する現場を見てしまい、少女を守ろうとする咄嗟の行動から、父親にもらい、自分の趣味でもある切り絵用の鋏で父親を殺してしまう。というような事から異常なまでに結ばれた二人。少女の方は、いわば表の顔で、少年~青年は裏の顔で、終始、少女を守ろうとする。彼女にとって不利な相手を退けるというような。二人は常に関係していた事は想像できるが、青年の行為は、ほとんどが、彼女の意志で依頼だったような気がする。いってみれば二人の関係は一心同体のようなもので、雪穂の方は、一切、男を受け付けず、亮司の方も、同棲みたいな所までは行くが、その相手を自殺に追い込む。というような二人を最初の事件当時から知っていた刑事(船越英一郎)も、息子の死が事件と前後していたこともあって、亮司を特別な目で見ていたようで、雪穂を彼にとっての諸悪の根源のように見ていたのかもしれない。だが一切の証拠は無いし、真相が明らかになった後で、やっと亮司と向き合う機会に恵まれるが、亮司は飛び下り自殺。それを見た雪穂は平然とした顔で立ち去るが、裏の顔を失った彼女が、結局は破局するような。前半の捜査部分は別にしても、やたら考えさせられる作品。

この日(2月1日)、観たのは「ワーナー・マイカル・シネマズ」といって、「みなとみらい」地区にある。シネコンといっても5階だけで、他は飲食店が多い。ここは前、近くのシネコンでは上映がなかった作品を観に来たことが一度だけあって、二度目になるが、目立ったのは、チラシに割引きデーが羅列してある。ここよりJRその他の「桜木町」駅、徒歩1分のところに「ブルク13」という、おそらくは最新の設備のそろったシネコンができて、そちらに客を取られたせいだろう。しかしどうだろう。単に安いだけで映画を観にくるだろうか。映画というのは、本作品がいい例で、一方的な押し付けであり、非日常の世界だろう。家でテレビで映画を観ている限り、それこそ吹き替えとかコマーシャルというのは、日常性で観る者を守る役目をするのじゃないか。テレビの無かった映画の最盛期というのは、買い物とかのついでに食事をしたり、映画を観て帰るというのが日常で当たり前のことで、その中でスターが育ったのじゃないか。まさか映画館で上映する映画にコマーシャルを入れろとは言わないが、割引きだけじゃなくて他に工夫が要るのじゃないか。もし自分にお金があったら、閉館した近くのシネコンでは、新作の他に、ネットで人気投票でもやって、過去の名(迷/駄)作を何本か上映し、売店は排して映画関係の(中古)グッズを売ったら、結構、話題になるのじゃないか。あるいは舞台付きの劇場では、映画に限らず、コンサートやらをやっても構わないのじゃないか。版権とかの問題もあるだろうが、今の時代にどこでも観られる、数カ月もすればテレビやDVDやらで観られる新作だけ上映していたのでは、どのシネコンも同じことになるだろう。たしかに閉館したシネコンでは、歌舞伎シネマやらオペラを上映していたが、歌舞伎シネマは特別料金、オペラに至っては、需要すらあったのだろうか。


ヒアリング度:
感動度:★★★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)