太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男- 2011
U.S. Release Date:
■監督:平山秀幸(チェリン・グラック)
■原作:ドン・ジョーンズ 『タッポーチョ「敵ながら天晴」大場隊の勇戦512日』
■キャスト:竹野内豊/ショーン・マッゴーワン/唐沢寿明/中嶋朋子/井上真央/他
■音楽:加古隆
■字幕:
■お勧め度:★★★
「太平洋戦争末期、玉砕の島サイパンで、たった47人で敵に立ち向かい、多くの民間人を守り抜いた実在の軍人、大場栄大尉の誇り高き戦いを映画化した戦争ドラマ。原作は、敵として戦った元アメリカ兵ドン・ジョーンズの『タッポーチョ「敵ながら天晴」大場隊の勇戦512日』。主演は「冷静と情熱のあいだ」の竹野内豊、共演に「20世紀少年」の唐沢寿明。監督は「愛を乞うひと」「必死剣 鳥刺し」の平山秀幸。また、アメリカ側パートは「サイドウェイズ」のチェリン・グラック監督が担当した。
1944年。日本軍にとっての重要拠点であるサイパン島は、圧倒的な物量に勝るアメリカ軍の前に、陥落寸前まで追い込まれていた。そしてついに、サイパン守備隊幹部は日本軍玉砕命令を発令する。そんな中、玉砕を覚悟しながらも生き延びた大場栄大尉は、無駄死にすることなくアメリカ軍への抵抗を続けることを決意する。そんな彼のもとには、その人望を慕って、上官を失った兵士や民間人たちが集まってくる。やがて彼らは、サイパン島最高峰タッポーチョ山に潜み、ゲリラ戦を展開していく。その統率された部隊に翻弄されるアメリカ軍は、大場大尉を“フォックス”と呼び、警戒を強めていくが…。」(allcinema.net/より。)
大場栄大尉の心理変化が描かれている部分がちょっと面白い。最初は「玉砕」精神で、敵を倒すことしか頭になかったのが、たまたま助かって、逃げまどう民間人を見るうちに、彼等を守ることも役目ではないか、という考えに変わり、ゲリラ戦を続けるうちに、生きることの大切さに変わり、最終的に投降する場面では、敵のルイス大尉の、あなたは200名の日本人の命を救ったという誉め言葉に、自分はそれ以上の命を奪ったと言う。軍人教育に毒された精神から、普通の精神に戻る過程が描かれていて面白い。しかしこれは大場大尉の個人的なこと、性格かもしれない。彼は常に物事を冷静に、というより第三者的に見ている。たとえば自決しようとしている部下を平然と見ている。もっともこうした事は、原作者(ルイス大尉)の問題があるだろう。彼は2年、日本にいて、おそらくは日本文化というものを、表面的にしか知らない。そうした状態でサイパンで大場大尉の行動を見て、自分の価値観を投影したような気がする。たとえば彼は日本兵の精神を上官に説明するのに将棋の駒を使うが、この意味が全く分からない。捨て歩?何か勘違いしているような。アメリカ特有の機能主義的でもある。大場大尉は彼に、日本兵にとって上官の命令は絶対だという、投降のヒントを与える。そしてその通り、おそらくは捕虜になった将軍に投降の命令書を書かせ、それを大場大尉に投降の切り札として使わせる。当時の日本兵や軍のことを想像すると、できすぎだろう。いや、嘘っぽい。孤立したサイパン島に紙の命令書が届くはずはない。実際の日本軍は、どっちだか忘れたが、同じ玉砕の島、クリント・イーストウッド監督の「硫黄島」状態だったのじゃないだろうか、想像に過ぎないが。しかし作品としてはかなり面白い部分がある。くりからもんもんのヤッチャン風兵士、これを大場大尉は野放しにしている、の行動、なぜか簡単に忍び込める捕虜収容所、あるいはアメリカ軍が播いた、焼野原状態の東京の写真が本物かどうか確かめるというような。しかし8月15日に戦争が終わって、投降したのが確か12月。4ヵ月ももったのは確かに「奇跡」か。しかしこの話しが事実だとすると、初心者とはいえゲリラ戦に通常兵力を投入するということの無謀さを、この時も、30年後のベトナム戦で負けるまで学ばなかったのは、アメリカ軍のバカさかげんとして見ると面白い。
ヒアリング度:
感動度:★★★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)
U.S. Release Date:
■監督:平山秀幸(チェリン・グラック)
■原作:ドン・ジョーンズ 『タッポーチョ「敵ながら天晴」大場隊の勇戦512日』
■キャスト:竹野内豊/ショーン・マッゴーワン/唐沢寿明/中嶋朋子/井上真央/他
■音楽:加古隆
■字幕:
■お勧め度:★★★
「太平洋戦争末期、玉砕の島サイパンで、たった47人で敵に立ち向かい、多くの民間人を守り抜いた実在の軍人、大場栄大尉の誇り高き戦いを映画化した戦争ドラマ。原作は、敵として戦った元アメリカ兵ドン・ジョーンズの『タッポーチョ「敵ながら天晴」大場隊の勇戦512日』。主演は「冷静と情熱のあいだ」の竹野内豊、共演に「20世紀少年」の唐沢寿明。監督は「愛を乞うひと」「必死剣 鳥刺し」の平山秀幸。また、アメリカ側パートは「サイドウェイズ」のチェリン・グラック監督が担当した。
1944年。日本軍にとっての重要拠点であるサイパン島は、圧倒的な物量に勝るアメリカ軍の前に、陥落寸前まで追い込まれていた。そしてついに、サイパン守備隊幹部は日本軍玉砕命令を発令する。そんな中、玉砕を覚悟しながらも生き延びた大場栄大尉は、無駄死にすることなくアメリカ軍への抵抗を続けることを決意する。そんな彼のもとには、その人望を慕って、上官を失った兵士や民間人たちが集まってくる。やがて彼らは、サイパン島最高峰タッポーチョ山に潜み、ゲリラ戦を展開していく。その統率された部隊に翻弄されるアメリカ軍は、大場大尉を“フォックス”と呼び、警戒を強めていくが…。」(allcinema.net/より。)
大場栄大尉の心理変化が描かれている部分がちょっと面白い。最初は「玉砕」精神で、敵を倒すことしか頭になかったのが、たまたま助かって、逃げまどう民間人を見るうちに、彼等を守ることも役目ではないか、という考えに変わり、ゲリラ戦を続けるうちに、生きることの大切さに変わり、最終的に投降する場面では、敵のルイス大尉の、あなたは200名の日本人の命を救ったという誉め言葉に、自分はそれ以上の命を奪ったと言う。軍人教育に毒された精神から、普通の精神に戻る過程が描かれていて面白い。しかしこれは大場大尉の個人的なこと、性格かもしれない。彼は常に物事を冷静に、というより第三者的に見ている。たとえば自決しようとしている部下を平然と見ている。もっともこうした事は、原作者(ルイス大尉)の問題があるだろう。彼は2年、日本にいて、おそらくは日本文化というものを、表面的にしか知らない。そうした状態でサイパンで大場大尉の行動を見て、自分の価値観を投影したような気がする。たとえば彼は日本兵の精神を上官に説明するのに将棋の駒を使うが、この意味が全く分からない。捨て歩?何か勘違いしているような。アメリカ特有の機能主義的でもある。大場大尉は彼に、日本兵にとって上官の命令は絶対だという、投降のヒントを与える。そしてその通り、おそらくは捕虜になった将軍に投降の命令書を書かせ、それを大場大尉に投降の切り札として使わせる。当時の日本兵や軍のことを想像すると、できすぎだろう。いや、嘘っぽい。孤立したサイパン島に紙の命令書が届くはずはない。実際の日本軍は、どっちだか忘れたが、同じ玉砕の島、クリント・イーストウッド監督の「硫黄島」状態だったのじゃないだろうか、想像に過ぎないが。しかし作品としてはかなり面白い部分がある。くりからもんもんのヤッチャン風兵士、これを大場大尉は野放しにしている、の行動、なぜか簡単に忍び込める捕虜収容所、あるいはアメリカ軍が播いた、焼野原状態の東京の写真が本物かどうか確かめるというような。しかし8月15日に戦争が終わって、投降したのが確か12月。4ヵ月ももったのは確かに「奇跡」か。しかしこの話しが事実だとすると、初心者とはいえゲリラ戦に通常兵力を投入するということの無謀さを、この時も、30年後のベトナム戦で負けるまで学ばなかったのは、アメリカ軍のバカさかげんとして見ると面白い。
ヒアリング度:
感動度:★★★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)