カムイ外伝  (2009)

2009-09-25 08:12:20 | Weblog
カムイ外伝  (2009)

U.S. Release Date:

■監督:崔洋一
■原作:白土三平
■キャスト:松山ケンイチ/小林薫/小雪/伊藤英明/大後寿々花/佐藤浩市/イーキン・チェン
■音楽:岩代太郎
■字幕:
■お勧め度:★★★

 「白土三平の伝説的傑作漫画を「血と骨」の崔洋一監督が「DEATH NOTE デスノート」「デトロイト・メタル・シティ」の松山ケンイチ主演で実写映画化したアクション時代劇。原作の中の『スガルの島』編を基に、抜忍として孤独な逃亡の旅を余儀なくされた主人公カムイの心の葛藤と生きるための決死の闘いを、VFXを織り交ぜつつも俳優陣の身体を張った激しいアクション満載で描き出す。
 17世紀の日本。すさまじい階級社会の中で最下層の子として生まれたカムイにとって、強くなることが生き抜くための条件だった。はからずも忍びの道へと進んだカムイだったが、やがて自由を求めて忍びの世界を抜け出す。抜忍となったことで、追っ手との終わりのない戦いと逃亡の人生が宿命づけられるカムイ。そんなある日、カムイは漁師の半兵衛を助けた縁で、彼の家に身を寄せることに。しかし半兵衛の妻スガルは、自らも抜忍だったため、カムイの出現に警戒心を募らせる。対照的に半兵衛の娘サヤカはそんなカムイを温かく迎え入れ、ようやくカムイの心にも束の間の平穏が訪れるのだったが…。」(allcinema.net/より。)

白土三平の「カムイ外伝」というのは殆ど記憶に無いが、かなり長期間の連載だったと思うし、白土三平はこれだけだったのじゃないだろうか。調べてないので分からないが。なぜかと言うと、このシリーズというのは、当時の流行りだった「巨人の星」とかの派手なスポコン物と違って、さりげないエピソードを積み重ねることで、カムイの生き方や悲劇をジワジワと描き、その事が他と違う作品であり「伝説」になったのじゃないだろうか。この事からすると、長期連載の一編だけ取って映画化するのは無理があったような気がする。たとえば佐藤浩市扮する殿様なんていうのは、作品では一つの見所になってしまっているが、原作の意図からすると、それこそ「外伝」(オマケの意味で)に過ぎないものにすべきじゃなかっただろうか。しかしというような感じで原作に忠実に映画化してしまうと、映画にならないという問題がある。むしろ派手なアクション物にするよりか、カムイの心理描写を主にした、たとえば「ICHI」(綾瀬はるか)のような作品にした方が原作の意図に忠実な作品になっていたように思う。この点、製作者(松竹)の勘違いかもしれない。早い話が綾瀬はるかに比べると、松山ケンイチじゃとてもじゃないけど、そうした作品は出来ないだろう。サポート役のはずの小林薫、小雪、伊藤英明あたりの方が遥かに目立ってしまう。白土三平の原作の内容が面白いだけにこの点はもったいなかった。しかしどうすれば良かったかと言っても、忍者物でアクションを主にしてしまえば、結局のところ、こうした作品にならざるを得なかったかもしれない。心理描写だけだったら、それこそ「お金が無い」時代の邦画に逆戻りしてしまっていただろう。それと映画会社の作品ということで、邦画の低迷期の痕跡が見られる。観る側からすればどうでもいい自己満足的なシーンやカット。潜伏するカムイを表現するのに緑の葉に止ったカマキリを描いたり、対決シーンでカモメの群れを呼び寄せたりというのがまさにそれで、「映画はかく有るベキだ」風な事を押し付けて自己満足に浸るというのが、邦画の低迷期を招いた一因だという事を忘れている。今の邦画の繁栄は、こうした事の無駄、バカさ加減を知っているテレビ局が招来したもので、配給ばかりやっている映画会社にはちょっと考えてもらわないと、元の木阿弥になりかねない。アクションシーンにしても迷いが感じられる。最初の方のは全部、中国からの借り物だろう。後半部分でやっと、それらしきシーンが見られるが、追う者と追われる者、似たような題材を描いた、というか「カムイ外伝」が元になっていると思われる「子連れ狼」(もちろん萬屋/中村錦之介版)に比べると、はるかに劣る。それとカムイの生き方の悲劇性を描くなら、作品はR指定にしないと無理だろう、「子連れ狼」や「ICHI」風に。生きる事と性欲とは深い関係があるので、後者を抜きにして前者を描くと一面的になってしまう。せっかく小雪とかのそれにはうってつけの女優を使ったのなら、そうした部分が無いと物足りないというより語呂合わせじゃないが「ヌケ」になってしまう。ちょっと勘違いが目立つ作品。しかし最近の映画ファンは良く観ている。大劇場にも係わらず、入りは「名もなき恋のうた」の半分以下。それでも「ウルヴァリン」よりは多い。しかし邦画の将来を考えるとネタは無尽蔵のような気がして楽しみではある。これは失敗作にしても、そのまま映画化しても観れる作品は数え切れないだろう。漫画、アニメ、ゲームなどなど。個人的に一番、面白かったのは馬のヒズメで作った疑似針。さすが「釣りバカ」松竹。これは釣れる、特に作品にあるスズキ(鱸)=鈴木建設。しかし誰が分かるか、こんな事。宣伝にもならないだろうが。「カムイ」を投げて「釣りバカ」の宣伝やってる場合じゃないだろうが。でもこういうのは好きだ。


ヒアリング度:
感動度:★★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:★★
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

ウルヴァリン:X-MEN ZERO (2009)

2009-09-19 04:20:54 | Weblog
ウルヴァリン:X-MEN ZERO

U.S. Release Date: 2009

■監督:ギャヴィン・フッド
■キャスト:ヒュー・ジャックマン/リーヴ・シュレイバー/ダニー・ヒューストン/リン・コリンズ/(パトリック・スチュアート)
■音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
■字幕:松崎広幸
■お勧め度:★★

 「「X-MEN」シリーズでヒュー・ジャックマンが扮した人気キャラクター、ウルヴァリンの誕生秘話に迫るSFアクション。少年時代に特殊能力を覚醒させ驚異的な肉体再生能力と戦闘能力を兼ね備えた主人公ローガンが、“ウルヴァリン”という名で生まれ変わり、悲しき過去を背負いながら宿命と復讐に立ち向かう波瀾の生き様を壮絶に描く。監督は「ツォツィ」のギャヴィン・フッド。
 19世紀半ば、特殊な能力を持つ少年ローガンは、父親の身に起きた事件でその能力を覚醒させ、同じく超人的能力を持った兄ビクターと2人で支え合って生きることに。以来、野獣のような攻撃能力を持つビクターと両拳から飛び出す鉤爪を武器とするローガンは150年以上に渡り、兵士として幾多の戦場を駆け抜けてきた。そんな2人はある日、謎の軍人ストライカーが指揮する特殊部隊“チームX”にスカウトされる。しかし、ローガンはアフリカでの非人道的なミッションを巡ってビクターらメンバーと対立、チームを離脱する。6年後、ローガンは恋人ケイラと穏やかな日々を送っていた。ところが、そこへビクターが姿を現わしケイラを殺害、ローガンも圧倒的な力の前に重傷を負ってしまう。復讐に燃えるローガンは、ビクターの暴走を止めるため力を貸してほしいと言うストライカーに協力、最強の戦士になるための改造手術を受けるのだったが…。」(allcinema.net/より。)

スパイダーマン、バットマンに続いて柳の下のなんとか。呆れて文句も言えないのでこれで終わりにしたいが、文句を書くこともサド的な楽しみの一つなので書くと、詰め込み過ぎ。「X-MEN」シリーズ自体がファンタジー系なのだから、ウルヴァリンの誕生秘話も、そのノリでやった方が良かったかもしれないが、いかんせん何故ウルヴァリンが記憶を失っていたかというのが「X-MEN」シリーズの一つの大きなテーマだったように思うのでしょうがないか。殺害されたと思っていたケイラが実は○○で、その妹が後のメンバー?それじゃ本作のウルヴァリンは誰になんのために復讐するのだろうか。むしろ面白いのは最初に出てくる特殊部隊で、これは「X-MEN」シリーズと違って、少しは現実的な特殊能力者の集団。日本刀2本を凄まじいスピードで操り飛んでくる弾丸を斬ったり、拳銃2丁で数十名の敵を倒す東洋人などは、かなりな見所。それ以降、という事は殆ど全編、ちょっと見ても感動するような部分は無いだろう。それにヒュー・ジャックマンはアクションは引退してマトモな役者になろうという時にウルヴァリンに逆戻りじゃ、彼の演技を見るような部分も無い。それと誕生秘話といっても、「X-MEN」シリーズのウルヴァリンの過去をバラすようなネタバレ作品になっているので、これを観てしまうと、「X-MEN」シリーズがつまらなくなるだろう。それで結局のことろは最後の方で、後のメンバーの一人の超能力発揮シーンとパトリック・スチュアートを入れて元のシリーズに繋げた感じだが、ウルヴァリンという一人のメンバーの生誕秘話にはなっていても、「X-MEN」シリーズの生誕秘話にはなっていないという点が物足りない。でもまあこれはこれでしょうがないだろう。何度も書いているので自分でも嫌になってくるが、ネタ切れヤキ回りのハリウッドとしては、当たりそうな作品は全部、作りたいのだろうが、こういう作品を作っていると、少なくとも日本では洋画離れという現象が起きても不思議はないし、実際問題としてこの日に入っていたのは邦画の半分以下だろう。映画ファンは既に洋画は捨てているような感じすらする。


ヒアリング度:★★★
感動度:★
二度以上見たい度:★★★
劇場で見たい度:★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

BALLAD 名もなき恋のうた 2009

2009-09-12 03:48:41 | Weblog
BALLAD 名もなき恋のうた(2009)

U.S. Release Date:

■監督:山崎貴
■原案:原恵一
■キャスト:草なぎ剛/新垣結衣/大沢たかお/武井証/中村敦夫/夏川結衣/筒井道隆/斉藤由貴/香川京子
■音楽:佐藤直紀
■字幕:
■お勧め度:★★★★(★)

 「子ども向けアニメでありながら時に高い物語性で大人たちから評価されてしまうことも多い「劇場版 クレヨンしんちゃん」シリーズ。本作は、その中でも「嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」と並び大人たちの人気を二分する「嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」を、「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴監督が草なぎ剛と新垣結衣を主演に迎えて実写でリメイクした時代劇悲恋ストーリー。戦国時代を舞台に、お姫様と一介の武士との身分違いの切ない恋の行方と、現代からタイムスリップしてしまった少年が彼らと繰り広げる大冒険をユーモアを織り交ぜ感動的に綴る。共演は「Life 天国で君に逢えたら」の大沢たかお、「ぼくとママの黄色い自転車」の武井証。
 天正2年。小国、春日の国の武将、井尻又兵衛は“鬼の井尻”と恐れられるほどの無類の強さを誇る男。そんな又兵衛が秘かに想いを寄せるのが、幼い頃から一緒に育った春日の美しき姫、廉姫だった。しかしそれは、戦国の世にあっては決して叶うことのない、身分違いの恋だった。ある時、合戦のさなか又兵衛は一瞬の隙から絶体絶命のピンチを招いてしまう。その窮地を救ったのは、どこからともなく現われた少年、川上真一。彼は未来からタイムスリップしてきてしまったのだった。真一を連れ城へと戻った又兵衛は、廉姫から少年の面倒を見るよう命じられ、困惑しながらも次第に真一と心を通わせていく。そんなある日、廉姫に結婚話が持ち上がる。相手は大国の大名、大倉井高虎。それは小国の春日にとって願ってもない申し出だったが…。」(allcinema.net/より。)

二人の「切ない恋」というのもそうだけれども、名も無い小国、春日の人々が、歴史に残らないと知った後で取る行動や決断、そして真一たちが現代に帰った後、この国は消滅したのだろうか、それにも係わらず精一杯生きた様、その事にも切なさを感じる。切なさというか諸行無常か。あえて無名の小国を選んだのは、この事を描きたかったからじゃないだろうか。そして単なる、あるいは、おざなりの時代劇とは違って、現代から来た真一の両親の愛と、戦国時代の二人の愛を比べて、いわゆる自由恋愛と不自由恋愛の良さと悪さを対比させて、愛とか恋愛の二つの種類を比べて見せたかったというのがテーマだろう。たしかに戦国時代の二人は、真一の両親の愛のありかたに影響されるものの、最終的には戦国時代の不自由恋愛の良さを踏襲したような感じがする。むしろ時代劇の型を借りて愛の二つのパターンを描くことが主だったのじゃないだろうか。タイムスリップに関してはアニメベースという事で説得力は無いが、構成上は井尻又兵衛(草なぎ剛)が二度にわたって銃撃されることで区切りをつけているので嘘っぽい感じはしない。というような感じなので、あまりスケール感のある作品ではないものの、最近の邦画の特徴でもある細部にかなり気を使っているし、テレ朝もよほど儲かっているのだろうか、セットは半端じゃない。草なぎ剛は武術か剣術の経験があるのだろうか。彼の長槍の使い方は本物。時代考証にも気を使っている。合戦で長槍どうしの戦いの場合は、突き合うのじゃなくて叩き合うのが正解だろう。突き合ったら共倒れになってしまう。戦いというと新体操かダンスになってしまう中国作品とは好対照というか批判の意味もあるだろう。キャスト的には大沢たかおの悪役がいい。いつものデレッとした顔が嘘のよう。草なぎ剛の甘い顔と好対照で、最後の決闘シーンは、本物の槍使いを見せる草なぎ剛対悪玉はまり役の大沢たかおという事でかなりな見所。タイムスリップにも関係して、おざなりの題材を描いた時代劇とは違ったロマンもある。現代に帰った3人は春日城跡を訪れるが、「ありがとう、れん」と書かれた石碑はなんとも言えないものがある。廉姫はその後、どう生きたのだろうか。生涯、又兵衛と、彼と真に恋仲になる機会を与えてくれた真一たちを想い続けたのだろうか。観る前は「戦国自衛隊」っぽいものを期待してしまったが、まったく違う意味で感動した。しかしこれだけ邦画が良くなってくると洋画は目じゃないような状態になってしまうのも寂しい。もう一ヶ月になるだろうか。立看板は「G.I.ジョー」だけという悲惨な状態が続いている。しょうがないだろう。黒澤監督の名をあげるまでもなく実力自体はあった邦画界が長い冬眠+勘違い期間を終えて開花したら、このレベルの作品はいくらでも作れる。そのための文化と歴史があるのだから。この両者の欠如が洋画、特にハリウッド作品のネタ切れ低調ぶりの原因だろう。


ヒアリング度:
感動度:★★★★★
二度以上見たい度:★★★★★
劇場で見たい度:★★★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★★★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

20世紀少年<最終章> ぼくらの旗 (2009)

2009-09-06 03:32:46 | Weblog
20世紀少年<最終章> ぼくらの旗(2009)

U.S. Release Date:

■監督:堤幸彦
■原作:浦沢直樹
■キャスト:唐沢寿明/豊川悦司/平愛梨/常盤貴子/香川照之/石橋蓮司/黒木瞳/研ナオコ他
■音楽:白井良明
■字幕:
■お勧め度:★★★(★)

 「浦沢直樹の同名コミックを堤幸彦監督が空前のオールスター・キャストで映画化した3部作の完結編。原作とは違う映画オリジナルの結末が用意され、ついに明かされる“ともだち”の正体とともに、全ての謎が解明されていくさまが壮大なスケールで描かれてゆく。
 西暦2017年にあたる“ともだち暦3年”。世界は“ともだち”に支配されていた。殺人ウィルスが蔓延し、東京は巨大な壁で分断されていた。やがて“ともだち”は来たる8月20日に人類が滅亡すると宣言する。一方、秘密基地の仲間たちは“ともだち”の追っ手から逃れ、身を潜めながらそれぞれにレジスタンス活動を繰り広げる。そしてカンナは、ひときわ過激な“氷の女王一派”を組織し武装蜂起を計画していた。そんな中、行方が分からなくなっていたケンジがついに姿を現わし、いよいよ東京へ向け行動を開始する。」(allcinema.net/より。)

原作はおろか前2作を観ないで本作を観るのは無謀だった。ストーリーはおろか、人物関係もテーマもよく分からない。なんとなく分かったのは、イジメられた少年が「ともだち」の正体か?どうせ違うだろうから書いても問題無いだろう。それでその原因を作ったのが「ケンジ」で、その後始末をしに行くというのが最後?分からない事だらけで、大阪の万博になんらかの意味があるのだろうか。もっと分からないのは東京都民が大阪の万博会場に避難する、どうやって?とにかく分からないので、筋やテーマは無視して映画作品を見るという事だけに集中したが、かなり凄い作品。昨今の邦画の好調ぶりで、よほど日テレも儲けているのだろうか、ほとんど無限予算。どこかに節約した後があるのじゃないかと探したが見つからなかった。ギャラとセットと特撮を合わせたらすごい費用になるだろう。筋やテーマは置いといても、役者の使い方がうまい。単に豪華キャストというのではなく、それぞれの個性が活かされているし、俳優としても生かしている。男優にはあまりというか殆ど興味ないので女優に絞ると、常盤貴子がスケールアップして、道場主としてアクションもかなりなもの。個人的なファンの黒木瞳が一段と切れが増して、「感染列島」で本作の男優のだれかと組めば、最高傑作になっていただろう。逆に言うと豪華キャストのせいで作品自体の筋やテーマやらがボケたきらいがあるが、これは原作も前2作も観てないからだろう。

子供の頃に人類滅亡の夢を抱くというのは、なんとなく分かるような気がする。滅亡というより、遊び仲間としての団結、その裏返しとしての排他主義というかそのような感情。それが夢とか感情ではなくて現実の物となってしまった場合、どうなるか。作品では当の子供たちが成長してその後始末をつけるはめになるというような事じゃないかと思うが、このテーマというのは記憶がある。無邪気な出来心はかわいいにしても、それが現実にならないという保証は無い。そうなった場合に当の子供たちに責任は問えるのか、というようなテーマだったような気がするが、本作ではこのテーマが中心のような気がする。ただしこの事が描かれるのは本作ではなくて前2作だったと思うので、それを観てない場合、テーマが十分に描かれていないという印象になってしまうが、これは観る方の責任だろう。本格的に観るのだったら前2作は観ておく必要があるだろう。しかし邦画の成長ぶりというのも本格的なもので、「ALWAYS 三丁目の夕日」やらでは「博物館」に過ぎなかった当時の東京の木造風の街並も、ごくさりげない型で使って作品の一部としてうまく取り込んでいる。俳優その他、観るというより見るだけでも価値のある作品。前2作を観ていたら、秀作と言えるかもしれない。だからと言って観ようとは思わないが。


ヒアリング度:
感動度:★★
二度以上見たい度:★
劇場で見たい度:★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)