恋とニュースのつくり方 2010

2011-04-07 14:18:14 | Weblog
恋とニュースのつくり方 2010
Morning Glory

U.S. Release Date: 2010

■監督:ロジャー・ミッシェル
■キャスト:レイチェル・マクアダムス/ハリソン・フォード/ダイアン・キートン/パトリック・ウィルソン/ジェフ・ゴールドブラム/ノア・ビーン
■音楽:デヴィッド・アーノルド
■字幕:戸田奈津子
■お勧め度:★★★(★)

 「「きみに読む物語」のレイチェル・マクアダムスが、低視聴率で打切り目前のモーニング・ショーの立て直しに奮闘する若手女性プロデューサーを演じるロマンティック・コメディ。共演に「インディ・ジョーンズ」シリーズのハリソン・フォードと「恋愛適齢期」のダイアン・キートン。監督は「ノッティングヒルの恋人」のロジャー・ミッシェル。
 失業中のTVプロデューサー、ベッキーは、ニューヨークのローカルTV局に採用され、朝の情報番組を任される。だが、その番組“デイブレイク”は超低視聴率で局のお荷物。さっそく番組の立て直しに取り掛かったベッキーは、彼女がこの業界を志すきっかけとなった憧れの存在である伝説の報道キャスター、マイク・ポロメイにキャスター就任を依頼。やがて、畑違いのために不可能と思われていたマイクの抜擢を見事成功させ、一躍局内で注目の的となる。またその一方、女性社員に人気の先輩プロデューサー、アダムと惹かれ合っていくベッキー。全ては順調に進むかに思われたが、いざ番組が始まってみると、マイクはプライドばかりが高くてベッキーの指示には従わず、パートナーのお局キャスター、コリーンとも衝突を繰り返す始末。こうして視聴率は悪化の一途を辿り、ついには上司から6週間以内に視聴率をアップさせなければ番組を打ち切ると宣告されてしまうベッキーだったが…。」(allcinema.net/より。)

ハリソン・フォードがマジでしゃべる台詞が面白い。彼はプライドが高いというより、何かの理由でプライドを失ってしまい、ベッキーの活躍を見るうちに、プライドを取り戻すというのが筋だろう。しかしこういう報道キャスター(アンカーマン)というのは日本にもいるのだろうか。自分でネタをつかみ、現地へ急行、報道してパートナーにバトンタッチというのは、迫力ある。スタジオで単にニュースを読んだり、評論家じみた事を言ってるだけでは、単なるキャスター。というような単なるキャスター役をダイアン・キートンが面白く演じていて楽しい。内容的には、あまり無いので、キャストや演技で面白さを作るしかなかったような作品。その意味ではかなりいい線、いってる。ただし主演のレイチェル・マクアダムスの頑張りようは、ちょっといきすぎ。「デイブレイク」の他のスタッフにもうちょっと振った方が良かっただろう。プロの集団という面を強調するような形で。最大の見所は、強いて言えば、最後にハリソン・フォードが、なんだかよく分からないが、得意料理を作って見せる場面で、これが視聴率アップに繋がるという、よく分からない部分。分からない事が面白い。しかし全編、かなり笑えるし、コメディっぽい、わざとらしさは無いし、テレビ・ドラマ・レベルの作品として観れば、かなり楽しめる。


ヒアリング度:★★★★
感動度:★★★★
二度以上見たい度:★★★
劇場で見たい度:★
ビデオ/DVDで欲しい度:★★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島 2010

2011-03-04 14:42:03 | Weblog
ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島 2010
The Chronicles of Narnia: The Voyage of the Dawn Treader

U.S. Release Date: 2010

■監督:マイケル・アプテッド
■原作:C・S・ルイス
■キャスト:ジョージー・ヘンリー/スキャンダー・ケインズ/ウィル・ポールター/ベン・バーンズ/リーアム・ニーソン(声)/サイモン・ペッグ/(声)/他
■音楽:デヴィッド・アーノルド
■字幕:松浦美奈
■お勧め度:★★★(★)

 「C・S・ルイス原作による児童文学を迫力の映像でスペクタクルに映画化したファンタジー・アドベンチャーのシリーズ第3弾。今回はナルニアの海を舞台に、ペベンシー兄妹とカスピアン王子たちがナルニアを悪から守る7本の魔法の剣を探すため、神秘の島々を巡る新たな冒険の旅へ繰り出していく。監督は「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」のマイケル・アプテッド。
 エドマンドとルーシーのペペンシー兄妹は、兄ピーターと姉スーザンが両親と共にアメリカへ滞在中、いとこのユースチスの家に預けられることに。ある日、壁に掛けられた帆船の絵が動き出し、3人はその絵の中に吸い込まれてしまう。すると次の瞬間、彼らはナルニアの海にいた。そして、溺れかけたところをナルニアの王となったカスピアンやネズミの騎士リーピチープが乗る帆船・朝びらき丸に救われ、喜びの再会を果たす。朝びらき丸の一行は、カスピアンの亡き父王の友人である7人の貴族(七卿)を見つけるため、彼らが消息を絶った離れ島諸島を目指していた。やがて、父王が七卿に1本ずつ与えたというナルニアの剣を東方の島にあるアスランのテーブルに全て並べれば悪の魔法を取り払うことができることを知る一行。しかし、彼らの行く手には不気味な霧とそこに潜む悪が立ちはだかる。こうして、一行はナルニアに訪れた危機を救うべく、数々の試練に立ち向かうこととなるのだが…。」(allcinema.net/より。)

第1作は原作(台本)どおりで良かったが、だんだんつまらなくなってくるような。内容的には単に7本の剣を、それも簡単にみつけ、ラスボスを倒して終わり。そもそもエドマンドとルーシーをナルニア国に呼び寄せる必要も無いような。主演のルーシーが独りで頑張ってるような。第1作は宗教的な内容があったのに比べると、ただの児童文学。それに初の3D「観賞」だったが、中距離のシーン、映像が妙にチャチい。良かったのは字幕が一番、手前に来るせいで、ほとんど無視できたことぐらい。アクション作品なら面白いだろうが、たいしたアクション性も無い作品で特別料金の3D作品は無意味だろうし、お金の無駄。なんでもかんでも3Dにすれば客が入ると思っているとしたら、映画はますます斜陽になるだろう。そもそも高いから観に来ないのだろう。むしろ3Dにする事で見にくくなる。実質的には字幕の後ろに映像があるような形になる。無駄な3Dで、人物像も見にくくなる。小さいせいで3Dにできないリーピチープがやたら目立つような。それに、このシリーズはテーマ自体に無理がある。アスランの最後の言葉で、私は君たちの世界では別の名で呼ばれているという台詞があるが、これはキリストの事だが、原作者の個人的なキリスト像、これ自体はいいにしても、を投影しているに過ぎない。第1作では、この事をはっきり描いたから良かったので、それ無しだと、ただのファンタジー作品になってしまう。これが本と映画の違いだろう。本だったら、7册だったか忘れたが、続けて読んでしまえば、テーマが残るが、数ヵ月おいた映画シリーズにすると、第2作がどうだったかの記憶もなくなる。前2作のショート版をつけるでもしないと分からないだろう。このシリーズ特有の面白さはあるにしても、大作にするのは無理じゃないか。果たして第4作はどうなるのだろうか。重要なキャラのリーピチープは引退。楽しみとしてはユースチスが戻るのだろうが、賢こそうな顔立ちで、そのような展開になれば面白いかもしれない。決してつまらなくはないが、わざわざ3Dで観る作品ではないだろう。


ヒアリング度:★★★
感動度:★★★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★★★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男- 2011

2011-02-19 08:26:15 | Weblog
太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男- 2011

U.S. Release Date:

■監督:平山秀幸(チェリン・グラック)
■原作:ドン・ジョーンズ 『タッポーチョ「敵ながら天晴」大場隊の勇戦512日』
■キャスト:竹野内豊/ショーン・マッゴーワン/唐沢寿明/中嶋朋子/井上真央/他
■音楽:加古隆
■字幕:
■お勧め度:★★★

 「太平洋戦争末期、玉砕の島サイパンで、たった47人で敵に立ち向かい、多くの民間人を守り抜いた実在の軍人、大場栄大尉の誇り高き戦いを映画化した戦争ドラマ。原作は、敵として戦った元アメリカ兵ドン・ジョーンズの『タッポーチョ「敵ながら天晴」大場隊の勇戦512日』。主演は「冷静と情熱のあいだ」の竹野内豊、共演に「20世紀少年」の唐沢寿明。監督は「愛を乞うひと」「必死剣 鳥刺し」の平山秀幸。また、アメリカ側パートは「サイドウェイズ」のチェリン・グラック監督が担当した。
 1944年。日本軍にとっての重要拠点であるサイパン島は、圧倒的な物量に勝るアメリカ軍の前に、陥落寸前まで追い込まれていた。そしてついに、サイパン守備隊幹部は日本軍玉砕命令を発令する。そんな中、玉砕を覚悟しながらも生き延びた大場栄大尉は、無駄死にすることなくアメリカ軍への抵抗を続けることを決意する。そんな彼のもとには、その人望を慕って、上官を失った兵士や民間人たちが集まってくる。やがて彼らは、サイパン島最高峰タッポーチョ山に潜み、ゲリラ戦を展開していく。その統率された部隊に翻弄されるアメリカ軍は、大場大尉を“フォックス”と呼び、警戒を強めていくが…。」(allcinema.net/より。)

大場栄大尉の心理変化が描かれている部分がちょっと面白い。最初は「玉砕」精神で、敵を倒すことしか頭になかったのが、たまたま助かって、逃げまどう民間人を見るうちに、彼等を守ることも役目ではないか、という考えに変わり、ゲリラ戦を続けるうちに、生きることの大切さに変わり、最終的に投降する場面では、敵のルイス大尉の、あなたは200名の日本人の命を救ったという誉め言葉に、自分はそれ以上の命を奪ったと言う。軍人教育に毒された精神から、普通の精神に戻る過程が描かれていて面白い。しかしこれは大場大尉の個人的なこと、性格かもしれない。彼は常に物事を冷静に、というより第三者的に見ている。たとえば自決しようとしている部下を平然と見ている。もっともこうした事は、原作者(ルイス大尉)の問題があるだろう。彼は2年、日本にいて、おそらくは日本文化というものを、表面的にしか知らない。そうした状態でサイパンで大場大尉の行動を見て、自分の価値観を投影したような気がする。たとえば彼は日本兵の精神を上官に説明するのに将棋の駒を使うが、この意味が全く分からない。捨て歩?何か勘違いしているような。アメリカ特有の機能主義的でもある。大場大尉は彼に、日本兵にとって上官の命令は絶対だという、投降のヒントを与える。そしてその通り、おそらくは捕虜になった将軍に投降の命令書を書かせ、それを大場大尉に投降の切り札として使わせる。当時の日本兵や軍のことを想像すると、できすぎだろう。いや、嘘っぽい。孤立したサイパン島に紙の命令書が届くはずはない。実際の日本軍は、どっちだか忘れたが、同じ玉砕の島、クリント・イーストウッド監督の「硫黄島」状態だったのじゃないだろうか、想像に過ぎないが。しかし作品としてはかなり面白い部分がある。くりからもんもんのヤッチャン風兵士、これを大場大尉は野放しにしている、の行動、なぜか簡単に忍び込める捕虜収容所、あるいはアメリカ軍が播いた、焼野原状態の東京の写真が本物かどうか確かめるというような。しかし8月15日に戦争が終わって、投降したのが確か12月。4ヵ月ももったのは確かに「奇跡」か。しかしこの話しが事実だとすると、初心者とはいえゲリラ戦に通常兵力を投入するということの無謀さを、この時も、30年後のベトナム戦で負けるまで学ばなかったのは、アメリカ軍のバカさかげんとして見ると面白い。

ヒアリング度:
感動度:★★★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

白夜行 2010

2011-02-04 14:26:55 | Weblog
白夜行 2010

U.S. Release Date:

■監督:深川栄洋
■キャスト:堀北真希/高良健吾/船越英一郎/姜暢雄/粟田麗/戸田恵子/他
■音楽:平井真美子
■字幕:
■お勧め度:★★★(★)

 「TVドラマ版も好評を博した東野圭吾の同名ミステリーを「ALWAYS 三丁目の夕日」の堀北真希と「ソラニン」の高良健吾主演で映画化。一つの殺人事件を発端に、決して交わることのない被害者の息子と容疑者の娘が辿る光と影の運命を、事件の真相解明に執念を燃やすベテラン刑事の姿とともに描き出す。共演に船越英一郎。監督は「真木栗ノ穴」「60歳のラブレター」の深川栄洋。
 昭和55年。密室となった廃ビルで質屋の店主が殺される事件が発生する。決定的な証拠のないまま、やがて事件は容疑者の事故死によって一応の決着をみる。しかし担当刑事の笹垣は腑に落ちないものを感じ、単独で捜査を続ける。彼の心を捉えて放さなかったのは、容疑者の娘・雪穂と、被害者の息子・亮司の姿だった。やがて美しく清楚な女性へと成長した雪穂。そんな彼女の周辺では、不可解な事件が次々と起こってゆくのだが…。」(allcinema.net/より。)

前半の捜査部分が複雑で、誰が誰と関係しているのか、よく分からないが、後半になって事件の真相が分かるという展開。前半部分をもうちょっと分かり易くできなっかたのだろうか。物語りの中心は、悲劇的な幼年時代を過ごした少女と少年の、幼友達とか兄妹とかよりひどく深い関係がなぜ出来たのか、その結果として二人の人生はどうなったのかということだろう。少女の方は10歳にして客を取らされ、少年の方は、父親と少女が関係する現場を見てしまい、少女を守ろうとする咄嗟の行動から、父親にもらい、自分の趣味でもある切り絵用の鋏で父親を殺してしまう。というような事から異常なまでに結ばれた二人。少女の方は、いわば表の顔で、少年~青年は裏の顔で、終始、少女を守ろうとする。彼女にとって不利な相手を退けるというような。二人は常に関係していた事は想像できるが、青年の行為は、ほとんどが、彼女の意志で依頼だったような気がする。いってみれば二人の関係は一心同体のようなもので、雪穂の方は、一切、男を受け付けず、亮司の方も、同棲みたいな所までは行くが、その相手を自殺に追い込む。というような二人を最初の事件当時から知っていた刑事(船越英一郎)も、息子の死が事件と前後していたこともあって、亮司を特別な目で見ていたようで、雪穂を彼にとっての諸悪の根源のように見ていたのかもしれない。だが一切の証拠は無いし、真相が明らかになった後で、やっと亮司と向き合う機会に恵まれるが、亮司は飛び下り自殺。それを見た雪穂は平然とした顔で立ち去るが、裏の顔を失った彼女が、結局は破局するような。前半の捜査部分は別にしても、やたら考えさせられる作品。

この日(2月1日)、観たのは「ワーナー・マイカル・シネマズ」といって、「みなとみらい」地区にある。シネコンといっても5階だけで、他は飲食店が多い。ここは前、近くのシネコンでは上映がなかった作品を観に来たことが一度だけあって、二度目になるが、目立ったのは、チラシに割引きデーが羅列してある。ここよりJRその他の「桜木町」駅、徒歩1分のところに「ブルク13」という、おそらくは最新の設備のそろったシネコンができて、そちらに客を取られたせいだろう。しかしどうだろう。単に安いだけで映画を観にくるだろうか。映画というのは、本作品がいい例で、一方的な押し付けであり、非日常の世界だろう。家でテレビで映画を観ている限り、それこそ吹き替えとかコマーシャルというのは、日常性で観る者を守る役目をするのじゃないか。テレビの無かった映画の最盛期というのは、買い物とかのついでに食事をしたり、映画を観て帰るというのが日常で当たり前のことで、その中でスターが育ったのじゃないか。まさか映画館で上映する映画にコマーシャルを入れろとは言わないが、割引きだけじゃなくて他に工夫が要るのじゃないか。もし自分にお金があったら、閉館した近くのシネコンでは、新作の他に、ネットで人気投票でもやって、過去の名(迷/駄)作を何本か上映し、売店は排して映画関係の(中古)グッズを売ったら、結構、話題になるのじゃないか。あるいは舞台付きの劇場では、映画に限らず、コンサートやらをやっても構わないのじゃないか。版権とかの問題もあるだろうが、今の時代にどこでも観られる、数カ月もすればテレビやDVDやらで観られる新作だけ上映していたのでは、どのシネコンも同じことになるだろう。たしかに閉館したシネコンでは、歌舞伎シネマやらオペラを上映していたが、歌舞伎シネマは特別料金、オペラに至っては、需要すらあったのだろうか。


ヒアリング度:
感動度:★★★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

相棒-劇場版II- 警視庁占拠!特命係の一番長い夜 (2010)

2011-01-14 14:30:38 | Weblog
相棒-劇場版II- 警視庁占拠!特命係の一番長い夜 (2010)

U.S. Release Date:

■監督:和泉聖治
■キャスト:水谷豊/及川光博/川原和久/小西真奈美/岸部一徳/國村隼/小澤征悦/宇津井健/江波杏子/他
■音楽:池頼広
■字幕:
■お勧め度:★★★(★)

 「水谷豊主演の大ヒット刑事ドラマの劇場版第2弾。警察組織内部に渦巻く恐るべき陰謀に立ち向かう特命係の右京、尊の活躍を骨太のストーリー展開で描き出す。及川光博、岸部一徳らのレギュラー陣に加え、小西真奈美、小澤征悦、宇津井健、國村隼ら豪華ゲスト陣も多数出演。監督は前作に引き続いてのメガフォンとなる和泉聖治。
 警察組織の要所である警視庁本部内で、警視総監以下、幹部12名を人質に取った前代未聞の籠城事件が発生する。犯人からの要求のないまま時間ばかりが過ぎ、捜査本部が対応に苦慮する中、杉下右京と神戸尊は犯人が元警視庁刑事の八重樫であることを突き止める。しかし、右京の意見が聞き入れられることなく、事件は機動隊と特殊捜査班の強行突入による犯人の射殺と人質全員の解放によって幕を閉じる。ところが八重樫の動機は結局不明のまま、人質となった幹部たちも一様に曖昧な証言に終始する。一連の事態に疑問を抱いた右京と尊は、真相を探るべく独自の調査を開始するが…。」(allcinema.net/より。)

れいによってテレビシリーズを見てない上に、警視庁と警察庁の違いも分からない。ストーリーは、まさに警視庁と警察庁の覇権争いらしいので、ほとんどサッパり分からない。それでもミステリー物としては面白かった。「I」は全くつまらなかったが、主人公の水谷豊が地道にというか強引に捜査を続けていく姿は説得力ある。それにテレビシリーズでは岸部一徳がライバルというか好敵手なのだろうか。必ずしも悪者としては描かれず、警視庁だか警察庁を「省」に格上げするというのが目的らしく、そういえば防衛庁やらも「省」になったような気がするので、なぜ警視庁だか警察庁も「省」にしてないのか不思議ではある。何か問題があるのだろうか。「省」になると、トップは政治家になるので、格上げされる方の幹部としては反対なのだろう、という点が、物語りのキーになっている。しかし、なんせ中央省庁の内部問題というのは、小市民的な立場から見ると、どうでもいい事なので、テレビシリーズを見てないと、何の面白味も無い。それに、岸部一徳や宇津井健というような大物俳優をトップ官僚役に使うと、それぞれの過去ばかりが思い出されて、実際の官僚とは、かなり違うイメージになってしまう。むしろ劇場版では無名俳優を使った方が、恐くて面白かったのじゃないだろうか。劇場版だからといって、主人公以外にレギュラーを使う必要があるのだろうか。個人的には水谷豊は若い頃からのファンで、奥様(ラン)はどうなったのだろうかという事も含めて、見て良かったし、端役ながら、恐いお姉さん役が多くて今だに印象に残っている江波杏子の健在ぶりが見れたのは楽しかった。最寄りのシネコンで観る最後の作品としては、内容的にも、最大の8番スクリーンで観れたのは良かった。次回の予定は全く不明。ちょっと離れた所に2軒、シネコンがあるが、サイトすらブックマークしてない。しかしこのビルはどうなるのだろうか。ほとんど全体がシネコンで、そこにマックとスポーツジムらしきものが入っているのみ。当事者は無限放置すると言っているが、潰して駐車場ビルにするのがオチだろう。10年、ありがとう。


ヒアリング度:
感動度:★★★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

ノルウェイの森 (2010)

2011-01-07 16:27:48 | Weblog
ノルウェイの森 (2010)
(Norwegian Wood)

U.S. Release Date:

■監督:トラン・アン・ユン
■キャスト:松山ケンイチ/菊地凛子/水原希子/霧島れいか
■音楽:ジョニー・グリーンウッド
■字幕:
■お勧め度:★★

 「1987年の発表当時、空前のベストセラーとなり社会現象を巻き起こすとともに、日本のみならず世界中で翻訳され多くのファンを生み出した村上春樹の同名小説を「デトロイト・メタル・シティ」の松山ケンイチと「バベル」の菊地凛子主演で映画化した青春ラブ・ストーリー。学生運動が盛んな昭和40年代を背景に、深い喪失感を抱えたまま対照的な2人の女性の間で揺れ動く青年の切なくも瑞々しい青春の葛藤と再生の日々を、美しい映像で赤裸々かつ繊細に描き出す。共演はモデル出身でこれが演技初挑戦となる水原希子。監督は「青いパパイヤの香り」「夏至」のトラン・アン・ユン。
 唯一の親友・キズキを突然の自殺で失ったワタナベは、悲しみから立ち直れないまま東京の大学で学生生活をスタートさせる。ある日、ワタナベはキズキの恋人・直子と偶然の再会を果たす。同じ喪失感を共有する2人は次第に惹かれ合っていくが、2人の関係が深まるにつれ、直子は心のバランスを崩してしまい、ついには京都の療養所に入院することに。直子と会うことも叶わないワタナベの前に、直子とは対照的に若者らしい明るさと生命力に満ちた緑が現われる。積極的な緑との交流を持ちながらも直子の状態が心配でならないワタナベ。そんな中、ようやく直子との面会が許され、京都へと向かうワタナベだったが…。」(allcinema.net/より。)

上の「解説」は、全くの的外れ。これは精神分析的な病気の「直子」の物語り。直子と「キズキ」は3歳の頃からの幼友達で、直子が10代になると、幼友達としての感情を、キズキに対する愛情と勘違いする。それでセックスをしようとするが、できない。それで傷つく。キズキの方は、おそらくは、この勘違いに気づいていたのだろう。直子はきわめて純真な女(の子)。キズキも、おそらくはそうだっただろう。姉とか妹にセックスを強要されたら、純真な男は自殺したくもなるだろう。さらに悪いことは、女に目覚めた直子が、その性欲を、必ずしも愛してはいない「ワタナベ」に向けてしまう。ここまでやったら精神分析的には、ひどい病気になるだろう。療養所に行っても、当時でも、おそらくは今でも、精神分析的な治療は受けられなかっただろう。結果は目に見えている。直子にとっては、ワタナベというのは、存在自体が病気の根源。最低限、できる事は、二人を別れさせる事だろう。療養所では、明らかにそれをやっていない。要するに何の治療もしていない事になる。さらに悪いのは、療養所の同じ患者であるレイコの存在。彼女は二人の仲を取り持つ役目をしてしまう。ついでに自分の勝手な都合だか感情だかで、ワタナベとセックスというマヌケな筋書き。ワタナベにしても、直子をどう思っていたか不明。愛情があり、性欲もあったが、直子が死んだ後に、直子とは全く性格の違う「緑」と一緒になるという変な展開。それに彼が唯一、付合っていたのは、プレーボーイタイプの先輩。結果から見ると、直子に対する感情は、情け心に過ぎなかったような感じがする。本当に愛していたのであれば、これは気づけという方が無理だろうが、直子を捨てる事だっただろう。精神分析の問題がテーマだとすれば、当時は少なくとも治療の可能性は何も無い問題をテーマにした事になる。これのどこがベストセラーになったのか。それこそ、これをラブ・ストーリーとして読んだのだろうか。あるいは、村上春樹は読んでもないし興味もないが、文体だけでベストセラーなんていうのはいくらでもあるだろう。三島由紀夫の例を出すまでもなく。本作が原作に忠実に映画化したとすると、その意味が全く分からない。強いて見所があるとすれば、菊地凛子が、精神分析病者の役割をうまく演じている事だろう。

なお、来週以降、最寄りのシネコン閉館のため、本メールマガジンは「不定期」刊行になります。


ヒアリング度:
感動度:★
二度以上見たい度:★
劇場で見たい度:★
ビデオ/DVDで欲しい度:★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

バーレスク (2010)

2010-12-31 05:32:43 | Weblog
バーレスク  (2010)
Burlesque

U.S. Release Date: 2010

■監督:スティーヴン・アンティン
■キャスト:シェール/クリスティーナ・アギレラ/カム・ジガンデイ/スタンリー・トゥッチ/クリステン・ベル/エリック・デイン
■音楽:クリストフ・ベック
■字幕:栗原とみ子
■お勧め度:★★★★★

 「スターを夢見るヒロインとショー・クラブの再生を目指す人々が織りなす人間模様を華麗なステージ・パフォーマンスとともに描くエンタテインメント・ミュージカル・ドラマ。主演は「月の輝く夜に」のシェールとこれが映画デビューの人気シンガー、クリスティーナ・アギレラ。共演にクリステン・ベル、スタンリー・トゥッチ。監督は俳優や脚本家として活躍し、これが長編2作目のスティーヴン・アンティン。
 かつては栄華を誇った大人のためのショー・クラブ“バーレスク”も、いまや客足が衰え経営難に陥っていた。伝説のスターにして現オーナーのテスは、舞台監督のショーンとともに再建に尽力するが、すべては新たなスターの誕生にかかっていた。そんな時、アイオワの田舎町からスターを夢見て単身ロサンジェルスへとやって来た少女、アリ。彼女は偶然目にしたバーレスクの華麗なショーに心奪われる。そして、どうにかウェイトレスとして雇ってもらい、ステージに立つチャンスを狙う。やがて、その歌唱力とダンスの才能がテスにも認められ、ついにスターへの階段を上り始めるアリだったが…。」(allcinema.net/より。)

バーレスクにしてもキャバレー(「キャバクラ」ではない)にしても、舞台での歌や踊りを見ながら食べたり飲んだりできるところが減ってしまったのは寂しい。今だとせいぜいのところ、ロクに踊れないフィリピン人やらの見せ物小屋があるだけだろう。その意味では懐かしいし、本作の意図もそうだろう。演技を見る作品というより歌や踊りを見て楽しむ作品。主演のシェールが姉さんというよりママゴン風で、うまくクリスティーナ・アギレラをカバーしている。クリスティーナ・アギレラは熱唱タイプだろうか、あまりムードが無い部分、シェールがベテランの味を発揮して、最初と最後をまとめている。懐かしさといえば、2曲目だったか、「Diamonds are a Girl's Best Friend」(邦題:「ダイアが一番」)(「紳士は金髪がお好き」(マリリン・モンロー))が懐かしいとともに、キーになっている。タイプとしてはクリスティーナ・アギレラは違うが、長髪を短髪に変えて、マリリン・モンローを意識させるようにしたのは監督/製作者の意図だろう。音楽的には当時と今ではかなり違っているので、「ダイアが一番」をベースにして、これを現代風の音楽に繋げるような構成になっていて、歴史観も感じられる。というような事はぬきにしても、キャストや歌と踊りを見るだけでも楽しい作品。へたに現代風ミュージカルにしなかったのは大成功だろう。予告編にもあるが、クリスティーナ・アギレラが初めて舞台で歌うシーンは感動もの。よく知らないが、バーレスクは踊りが主で、歌は口パクでやっていたらしい。それほど大きな箱ではないので、生で歌っても十分、聞こえるだろう。ノーマイクの生の歌を聞くというのは、オペラにしてもそうだが、それ自体が楽しいし素晴らしい。物語り性もかなりある。誰がゲイで誰がストレートなのかという謎に、潰れかけたバーレスクを救う手段に「空中権」というものがあるらしい。それにバーレスクの一座の家族的な絆がかなり描かれ、ヒューマンドラマとしても楽しめる。「解説」の「スターを夢見るヒロイン」というより、孤児で、誰もいない片田舎で育って、何かをしたい少女が都会に出て、偶然、みつけたバーレスクに感動して、知らぬ間にそのファミリーの一員になるというのが物語りだろう。結局のところ、いくつかミュージカル作品を観たが、ほとんどが失敗作だったのは、ミュージカル自体が今には合わないのかもしれない。本作はそれの解決策だろう。このパターンは使えるのじゃないか。


ヒアリング度:★★★★
感動度:★★★★
二度以上見たい度:★★★★★
劇場で見たい度:★★★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★★★★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

最後の忠臣蔵 (2010)

2010-12-26 17:24:16 | Weblog
最後の忠臣蔵 (2010)

U.S. Release Date:

■監督:杉田成道
■原作:池宮彰一郎 『最後の忠臣蔵』(角川文庫刊)
■キャスト:役所広司/佐藤浩市/桜庭ななみ/安田成美/片岡仁左衛門/伊武雅刀/笈田ヨシ/(風吹ジュン)
■音楽:加古隆
■字幕:
■お勧め度:★★(★)

 「『四十七人の刺客』の池宮彰一郎が忠臣蔵の後日譚を描いた同名時代小説を役所広司と佐藤浩市の主演で映画化。赤穂浪士の中にあって名誉の死を果たせなかった2人の男を主人公に、忠義を貫き私心を捨てて自らに課された使命を全うするべく生き抜いたその後の過酷な人生を明らかにしていく。共演は桜庭ななみ、安田成美、片岡仁左衛門。監督はTV「北の国から 」シリーズ、「優駿 ORACION」の杉田成道。
 赤穂浪士の討ち入りから16年。すでに、とうに終わった事件と思われていたが、四十七士の中にあってただ一人、切腹することなく生き延びた男がいた。その男、寺坂吉右衛門は、大石内蔵助より生き証人として討ち入りの真実を後世に伝え、浪士の遺族を援助せよとの使命を受けていたのだ。遺族を捜して全国を渡り歩き、ついにその旅も終わりを迎えようとしていた。そんな時、彼は討ち入りの前夜に突如逃亡したかつての友、瀬尾孫左衛門と出会う。固い絆で結ばれていた2人は、主君内蔵助のために命を捧げようと誓い合ったはずだった。そんな吉右衛門の非難にも決して真相を語ろうとしない孫左衛門。しかし彼にもまた、裏切り者の汚名に耐えてでも生き延びなければならないある使命があった。それは、内蔵助の隠し子、可音を密かに育て上げるというものだった。その可音にも晴れて縁談話が持ち上がり、孫左衛門の使命もいよいよ終わりを迎えようとしていたが…。」(allcinema.net/より。)

武士やら侍の考え方がよく分からない。瀬尾孫左衛門(役所広司)は可音(桜庭ななみ)のことをどう思っていたのだろうか。16歳まで育てあげて、娘のように思っていた事は分かるが、同時に父親としての愛情も持っていたのじゃないだろうか。ネタバレながら、武士の運命として死んでしまっては、可音にとっては唯一の実質的な肉親を失うことになる。可音もそれが分かっていたにしても、死んでしまっては可音も悲しむだろう。父親としての愛情を持っていれば、むしろ生きて見守るのが普通じゃないか。それに彼の使命は可音を幸せにすることだったはず。嫁ついだといっても、必ずしも幸せになるとは限らない。本当に幸せになるまで、可音を見守るのが使命だったはず。要するに瀬尾孫左衛門は武士としての勝手な運命にしたがったような気がする。あるいは可音に対する愛情と武士の使命やら運命の板挟みが耐えられなかったか。16年、世話になった元吉原太夫の「ゆう」(安田成美)の恋心も捨てて。それに同じ武士である寺坂吉右衛門(佐藤浩市)は、全く死ぬ意志もない。同じ武士像を描くなら、矛盾じゃないか、個人差はあるにしても。原作に忠実に映画化したとすると、原作自体が駄作だろう。見所があるとすれば、「特別出演」ながら、ほとんど出ずっぱりの片岡仁左衛門(大石内蔵助)と安田成美だろう。後者に関しては元吉原太夫としての役としては半端な(大根、カワイ系)女優じゃ勤まらないだろう。安田成美は始めて見るが、適役。役所広司と佐藤浩市は、いいコンビ。佐藤浩市のまともな役を見るのは初めてのような気がするが、様になっている。しかし「四十七士」の裏話を書いたり映画化する事に意味があるのだろうか。単なる大石内蔵助のヨイショ物にすぎないような気がする。むしろ死にそこねた四十七士の縁者の困惑ぶりを描いた方が面白かったのじゃないか。もう一つ分からないのは四十七士の縁者である可音を、京都の豪商(笈田ヨシ)が受け入れるが、逆賊である大石内蔵助の娘をなぜ受け入れるのか。商人だとしても、当時は処罰対象じゃなかったのだろうか。それに可音が大石内蔵助の隠し子であることが分かる過程が回りくどい。役所広司ー>笈田ヨシー>伊武雅刀の繰り返し。もうちょっと劇的な感じで描いた方が面白かったのじゃないか。それに瀬尾孫左衛門と可音の微妙な関係を主に描いた方が、作品としては面白かったのじゃないだろうか。キャストがいいだけに、もったいない作品。


ヒアリング度:
感動度:★★
二度以上見たい度:★
劇場で見たい度:★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

ロビン・フッド (2010)

2010-12-17 14:41:43 | Weblog
ロビン・フッド (2010)
Robin Hood

U.S. Release Date: 2010

■監督:リドリー・スコット
■キャスト:ラッセル・クロウ/ケイト・ブランシェット/マーク・ストロング/ウィリアム・ハート/マックス・フォン・シドー/他
■音楽:マルク・ストライテンフェルト
■字幕:松浦美奈
■お勧め度:★★★★★

 「「グラディエーター」のリドリー・スコット監督が、再びラッセル・クロウを主演に迎え、伝説の義賊“ロビン・フッド”の物語を映画化したスペクタクル・アクション・アドベンチャー。ロビン・フッドが民衆のヒーローへと成長していく過程に焦点を当て、その等身大の人物像を史実とフィクションを巧みに織り交ぜたストーリーと迫力のアクションで描き出していく。共演はケイト・ブランシェット、ウィリアム・ハート、マックス・フォン・シドー。
 12世紀末。イングランドの獅子心王リチャード1世率いる十字軍遠征隊に参加していた弓の名手、ロビン・ロングストライド。フランス軍との戦闘でリチャード王が落命して間もなく、仲間と共に部隊を離れたロビンは、リチャード王の王冠を持ち帰る使命を帯びた騎士ロクスリーが闇討ちされる現場に遭遇する。瀕死のロクスリーから剣をノッティンガム領主である父ウォルターに届けて欲しいと頼まれたロビンは、彼になりすましてイングランドへと帰還。やがて、王冠をリチャード王の母に返したロビンは、ロクスリーとの約束を果たすべくノッティンガムへ。そこで、義父ウォルターと共に夫の帰還を待ちわびていた美しい未亡人マリアンと出会ったロビン。彼は、新王ジョンの専横に脅威を抱くウォルターから、ある頼み事をされるのだったが…。」(allcinema.net/より。)

ただの「スペクタクル・アクション」かと思ったら、それは良い意味で最初と最後だけで、物語り性がかなりあって、ロビン・ロングストライドがなぜロビン・フッドになったかという事が、フィクションとしてかなり詳細に描かれていて面白い。ロビン・ロングストライドは、元々はリチャード獅子心王の家来だったが、幼い頃に殺された自由主義の父親がいて、その事を、剣を預かって届ける過程で知ることになる。その時点で父親のことを思い出し、という過去と現在があるために、そもそも単なる家来や兵隊ではなくて、自由思想の持ち主だった、その結果としてロビン・フッドになった、という点がよく分かるし、父子の絆が、ちょっと面白い方法で描かれている。その上、ロビン・フッドになった後の森の生活というか世界は、後の自由主義革命のプロトタイプみたいなもので、こういう世界が他にもあったのじゃないか。歴史的にも当時とその後の繋がりがあって興味深い。キャストがいい。ラッセル・クロウとケイト・ブランシェットは意外と似合っている。特にケイト・ブランシェットというとQE2やらで強い(だけ)の役が多かったような気がするが、本作ではカワイイ面とコミカルな面も演じ、はっきり言って美形では無い分、印象に残る。ロビンに従う3人の部下というより友人も個性的で、マックス・フォン・シドーは見物、実年齢で出演じゃないか。最高に良かったのはウィリアム・ハートで、シブ過ぎる。ほとんど全編に出ていて、隠れ助演のような感じ。バトルシーンも特撮はあっても、剣と弓矢だけなので、アナログっぽい感じで、特撮性があまり感じられないという良さがある。それにさすが名監督、細かい部分に気を使っている感じで、流血シーンを要所要所に使うに止めたような気がする。特撮を使うにしても、スローで飛ぶ矢とかは、ボスを倒す時だけだったような。こういう使い方は生きる。歴史的にもちょっと興味がある。リチャード王は勇猛ながら、十字軍の件で国をほったらかし、帰国寸前で死ぬことになり、後を継いだジョン王は、完全なバカ殿で、ロビン・ロングストライドとウィリアム・ハートのおかげで、諸侯(公)をまとめてフランス軍に勝利するが、ロングストライドに嫉妬して「無法者」扱いにして「森」に追いやる。この後にも英国(イングランド)の政情はかなり問題が残ったという事が想像できる。スペクタクル性(ドーバーの白壁とイングランドの風景)、物語り性、キャスト、全てがかなりいい。これ以上、どこをどうすれば良かったかという点が無いような作品。久し振りに観る本格的な映画。


ヒアリング度:★★★
感動度:★★★★★
二度以上見たい度:★★★★
劇場で見たい度:★★★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

武士の家計簿 (2010)

2010-12-10 07:06:22 | Weblog
武士の家計簿 (2010)

U.S. Release Date:

■監督:森田芳光
■原作:磯田道史
■キャスト:堺雅人/仲間由紀恵/中村雅俊/松坂慶子/伊藤祐輝/西村雅彦/草笛光子/大八木凱斗/他
■音楽:大島ミチル
■字幕:
■お勧め度:★★★

 「古書店で偶然発見された幕末のとある下級武士一家の詳細な“家計簿”を丹念に読み解き、彼らの暮らしぶりを鮮やかに甦らせた磯田道史の同名ベストセラーを、「阿修羅のごとく」「わたし出すわ」の森田芳光監督が映画化。代々加賀藩の御算用者(経理係)を務める武家に生まれた主人公が、逼迫する家計を立て直し激動の時代を乗り切るべく、家業のそろばんを武器に、懸命に質素倹約に励む姿を、家族の絆を軸に描き出す。主演は「ゴールデンスランバー」の堺雅人、共演に仲間由紀恵、松坂慶子、中村雅俊。
 江戸時代後半。御算用者として代々加賀藩に仕える猪山家。その八代目、直之もまた幼い頃より算術を仕込まれ、そろばんの腕を磨いてきた。そして、いつしか“そろばんバカ”と揶揄されながらもその実直な働きぶりが周囲に認められていく。やがて、町同心の娘お駒を嫁にもらい、めでたく出世も果たした直之。しかし昇進に伴って出費も膨らみ、家計は苦しくなる一方。そこで直之が父母に代わり猪山家の財政状況を調べ直してみると、なんと借金の総額は年収の2倍にも膨れあがっていた。お家存亡の危機と悟った直之は、家財一式を売り払い借金返済に充てることを決断する。そして、自らこまかく家計簿をつけるとともに、世間体を顧みることなく創意工夫を凝らしながら倹約生活を実践していくのだった。」(allcinema.net/より。)

目の付けどころはいいにしても、何か欠けるものがある。原作に忠実に映画化したせいだろうか、本作では明治になっての結末から始まって、主人公が過去を振り返る構成になっている。そのため江戸から明治という大きな時代の流れに逆らったような流れになっている。確かに、ある一家の事を描くのが主で、時代の流れは副次的なものにしたかったのは分かるが、こうした構成、描き方をすると、時代の流れを完全に無視するような事になる。やはり江戸時代当時から始めて、時代の流れを副次的なものとして描いた方が良かったのでは。そうすれば時代の流れが一家に与えた影響が描ける。キャストがいいだけにもったいない。注目は仲間由紀恵の時代劇訛りだったが、前の作品でもそうだったかもしれないが、訛りが減ってしまった。まさに時代物で自分の持ち味を発揮しない、出来ない、殺すというのはどうかと。内容的にもちょっと。主人公からすると曾祖父に当たるのだろうか、中村雅俊と「おばばさま」(草笛光子)が相次いで死去したのは、倹約生活でロクな物を食べれなかった結果のような。こうしてみると先週の「ヤマト」はすごかった。


ヒアリング度:
感動度:★★★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)