インセプション (2010)

2010-07-31 14:59:41 | Weblog
インセプション  (2010)

Inception

U.S. Release Date: 2010

■監督:クリストファー・ノーラン
■キャスト:レオナルド・ディカプリオ/渡辺謙/エレン・ペイジ/マリオン・コティヤール
■音楽:ハンス・ジマー
■字幕:アンゼたかし
■お勧め度:★★★★

 「空前の大ヒット作「ダークナイト」でセンセーションを巻き起こしたクリストファー・ノーラン監督が自ら書き下ろしたオリジナル脚本を、レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙はじめ豪華キャストを起用し、壮大なスケールで映画化したSFクライム・アクション超大作。相手の夢の中に入り込み、潜在意識の中の価値あるアイデアを盗み出す一流産業スパイの男を主人公に、彼と彼のスペシャリスト集団が夢の中で繰り広げる最後にして最も危険なミッションの行方を、複雑かつ巧みなストーリー展開と驚異の映像で描き出していく。
 他人の夢の中に潜入してカタチになる前のアイデアを盗み出す企業スパイが活躍する時代。コブは、この危険な犯罪分野で世界屈指の才能を持つ男。しかし、今や国際指名手配犯として、またこの世を去った妻モルの殺害容疑者として逃亡の身となってしまい、大切なものすべてを失うこととなっていた。そんなコブに、サイトーと名乗る男からある依頼が舞い込む。成功すれば、再び幸せな人生を取り戻すことができる。しかしその依頼とは、これまでのように盗み出すのではなく、ターゲットの潜在意識にあるアイデアを植え付ける“インセプション”というものだった。かつてない危険なミッションと自覚しながらも、これが最後の仕事と引き受けたコブは最高のスペシャリスト集団で立ち向かうべく、すぐさまメンバー探しを開始。やがて、相棒のアーサー、“設計士”のアリアドネ、“偽造士”のイームス、“調合師”のユスフ、そしてサイトーを加えたメンバー6人でターゲット、ロバートの夢の中に潜入するコブだったが…。」(allcinema.net/より。)

夢の見方というのは、かなり個人差があるのだろうか。夢日記をつけていた婦/夫人だったかの話しを読んだことがあるが、それ以前的な問題として夢をほとんど記憶していない、記憶できないような者から見ると、本作品の「夢観」は徹底していて面白い。夢を見ている事の自覚に基づいて、夢を三段階に別けて、夢を見ている状態で安定剤を飲んでまた夢を見る。三段階それぞれで時間の流れも違う。そして重要なのは覚め方、覚めることで、覚めないと、永遠に夢見の状態に陥る。夢の内容自体も好きなように作れるらしいが、制約もあって、自分の過去をそのまま夢にすると、過去か夢なのか分からなくなるので注意、といった部分もある。こうした夢観と物語りが、すごく良くマッチしていて面白い。実は主人公の夢活動で一番、危ない部分があって、妻との生活の一部であった夢見が、本人のせいで妻が夢に現実以上の魅力を感じてしまい、自殺。その事から来る罪悪感を、妻の夢への登場という現実的な問題とともに引きずり、仲間との夢の中にも極めて危ない存在として登場する。夢観が徹底しているだけに、ここらへんの物語り展開は説得力がある。夢の個人差とかいう問題を越えて物語りが展開するという印象で、文句なく上手い。もっともこうした夢観を描くことで、スペシャリストを集めて目的にという面白パターンはちょっとなくなるが。キャストは豪華と言えば言えなくもないが、各々の役に合っていて面白い。あぶない妻役にマリオン・コティヤール、それと対照的に一番の部下の「設計士」役にエレン・ペイジ、この意図は適中。特にエレン・ペイジは注目だった。「ローラーガールズ」以来、注目中なので調べていない。他の部下の面々も、かなり見応えある。


ヒアリング度:★★★★
感動度:★★★★
二度以上見たい度:★★★★
劇場で見たい度:★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

借りぐらしのアリエッティ (2010)

2010-07-24 14:12:32 | Weblog
借りぐらしのアリエッティ (2010)

U.S. Release Date:

■監督:米林宏昌
■原作:メアリー・ノートン 『床下の小人たち』(岩波少年文庫刊)
■キャスト:志田未来/神木隆之介/大竹しのぶ/竹下景子/三浦友和/樹木希林
■音楽/主題歌:セシル・コルベル
■字幕:
■お勧め度:★★★(★)

 「とある古い家の床下に暮らす小人一家と人間の交流を描いたスタジオジブリ製作のファンタジー・アニメ。原作は1952年にイギリスで出版されたメアリー・ノートンの傑作児童文学『床下の小人ち』。舞台をイギリスから日本に移し、小人の少女アリエッティと人間の少年のひと夏の触れ合いを綴る。監督は「千と千尋の神隠し」や「崖の上のポニョ」などで原画を担当し、本作で初メガホンに抜擢された米林宏昌。
 父ポッドと母ホミリーに囲まれ3人で静かな暮らしを営む14歳の少女アリエッティ。彼らは、郊外のある広大な古い屋敷の床下に住み、一家の生活に必要なモノを床上に住むふたりの老婦人に気づかれないようにこっそり借りてきて暮らす、“借りぐらし”の小人たち。彼らの日常には危険がいっぱい。とくに人間は要注意。もし見られたなら、そこから引っ越さなければならない。それが彼らの掟。そんなある夏の日、アリエッティは、病気療養のためにやって来た12歳の少年・翔にその姿を見られてしまう。しかし、好奇心旺盛なアリエッティは、父親の心配をよそに、次第に翔に近づこうとするのだが…。」(allcinema.net/より。)

絶滅の危機に瀕しながらも、けなげに生きる少女アリエッティと、その家族、を描いた作品、というのは原作だろう。本作は企画者の宮崎駿のロリコン性がいい方に出たケースとして見た方が面白い。医者じゃないので分からないが、宮崎駿の過去の作品に見るロリコン性というのは、本来は子供である「少女」に大人の女の魅力をみいだす、あるいは重ねたり投影したりするという変態性だろう。これがいい方に出れば素晴らしい作品になるが、悪い方に出ると単なる駄作に終わる。逆に言うと、宮崎駿がロリコン性を抜きにして作った作品というのは、最初から駄作だと言える(「 紅の豚」)。あるいはロリコン性から抜け切れずに作った作品は単なる少女趣味(「魔女の宅急便」「千と千尋の神隠し」)。ロリコン性を宗教性まで高めた、昇華した作品は最高傑作と言える(「風の谷のナウシカ」)。本作では、あたかも、こうした危険を避けるかのように、おそらくは同世代、あるいは「ダチ」、の大竹しのぶ、竹下景子、三浦友和、樹木希林を起用している。ロリコン性というのは、言ってみれば「病気」なわけで、本人には、どうしようもないという問題がある。それを物語りや配役でカバーする必要が出てくるわけで、本作の場合は、特に樹木希林が、往年の憎らしさを出して、声の出演というより、「助演」というような感じで出ていて面白い。しかし題材としては、少し物足りない感じがするのはしょうがないだろう。宮崎駿には題材から最高のものを作る能力は無い。たしか処女作の「ルパン三世 カリオストロの城」では、ロリコン性も含めて物語りから何から全てをもらって作品を作った。その事を考えれば、本作はいい方だろう、原作の加工の仕方がいいという意味では。というような事を考えずに観れば、そこそこ楽しめるだろうが、考えてしまうと、無いものねだりになってしまう。この「無いもねだり」というのは、それこそ「ナウシカ」のような作品を作って欲しいという事だが。こうして考えと、「ナウシカ」はマグレか、それこそ神憑かりか。いい意味で全く宮崎駿らしくない作品と言える。

ヒアリング度:
感動度:★★★
二度以上見たい度:★★★
劇場で見たい度:★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

必死剣 鳥刺し (2010)

2010-07-17 14:32:02 | Weblog
必死剣 鳥刺し (2010)

U.S. Release Date:

■監督:平山秀幸
■キャスト:豊川悦司/池脇千鶴/岸部一徳/関めぐみ/小日向文世/吉川晃司
■音楽:EDISON/主題歌:alan『風に向かう花』
■字幕:
■お勧め度:★★(★)

 「藤沢周平の“隠し剣”シリーズの中でも傑作の呼び声高い人気の一編を、「今度は愛妻家」の豊川悦司主演で映画化。一度は死を覚悟しながらも一人の女の存在によって生への執着を取り戻した男が、剣客ゆえに不条理な藩の政道に翻弄され過酷な運命を辿る姿を、静謐かつ丁寧な筆致とクライマックスの壮絶な立ち回りシーンで描き出していく。共演に「ジョゼと虎と魚たち」の池脇千鶴、「チーム・バチスタの栄光」の吉川晃司。監督は「愛を乞うひと」「OUT」の平山秀幸。
 江戸時代。東北の海坂藩では、藩主・右京太夫の愛妾・連子が藩政に口を出し、善からぬ影響が拡がっていた。しかし、誰もその暴走を止めることが出来ずにいた。最愛の妻・睦江を病で亡くしたばかり物頭・兼見三左エ門は、死に場所を求めるかのごとく独断で連子の刺殺を敢行する。ところが、極刑を期待していた三左エ門に下された処分は意外にも閉門という寛大なものだった。しかも1年後には近習頭取として役職に復帰、藩主の傍に仕えることに。腑に落ちず、迷い苦しむ三左エ門だったが、彼の身の回りを世話する亡妻の姪・里尾の健気な存在が、心の拠り所となっていく。そんなある日、中老・津田民部からある藩命が下る。それは、剣の達人でもある三左エ門が独自に編み出した必死必勝の剣“鳥刺し”で、殿に敵対する剣豪・帯屋隼人正を討てというものだったのだが…。」(allcinema.net/より。)

例によって原作は知らないのでなんだが、おそらくは映画化の失敗。主人公の人物像が全く分からない。単純に見れば「サムライ・バカ」。藩のために独断で暴挙に出ると思えば、同じバカ殿のために命を捧げる、と思えば、身の回りの世話をしていた、亡妻の姪に純愛らしきものを。原作者の藤沢周平にも全く興味無いので分からないが、原作ではおそらくは最後の「必死剣」発動がクライマックスで、それまでの物語りは付け足し的なものだったのだろう。映画化するにあたって、これをそのまま描いてしまっている。小説では何とかなっても、映画でこれは無理だろう。結果的にヒドくペースがスローで飽きる。ペースがスローでも、他に描かれるものがあれば観れるが、本作の場合は他に見るものといったら、亡妻の姪で共演の池脇千鶴ぐらいだろう。それに小説では隠せるが、映画で岸部一徳を悪家老役に使ってしまうと、結末はほとんど推測できてしまう。たしかに池脇千鶴と豊川悦司は見所ながら、それは内容が無いことの裏付けだろう。二人には悪いが。原作のテーマとしては宮仕えの武士の運命のはかなさで、これをサラリーマンのそれに重ねて描いたのだろうが、見ることが主の映画で原作をそのまま描いてしまうと、他の部分が大写しになってしまう。それこそ池脇千鶴のかいがいしい就くし振りや、岸部一徳の存在感が、テーマだけではなく、主人公役の豊川悦司まで食ってしまう。だからといって、こうした部分をおざなりにする事も出来ない。良く言えば、映画化は無理な作品かもしれない。むしろ映画化された作品を見て、余計な部分を省いて、原作の良さ、面白さを想像するのが主なような作品になってしまっている。映画化するなら、テーマ自体も、思いっきり変えた方が良かったような。製作は東映なので、色々とシガラミがあったのだろうが。よく知らないが、東映らしからぬ作品でもある。というような事なので(例によって)お昼に何を食べようかという楽しみに走った作品。マックの「ジューシーチキン」は、おいしいし、お得でした(2ケ190円)。チキン三部作の第2段。これは試験販売していたピリ辛チキン・バーガーの後継だろうが、ほんとジューシーで、味付けもまあまあ。第1作の「ソルト&レモン」がちょっと塩味がきつめだったのと比べると。ケンタのチキンと比べても。しかし来週は夏休みで混みそうなので、モスバーガーの「ナム・タコス」という変な物を試してみるか。実はド田舎のせいで、ファーストフードというと、この3軒しか無い。いや、4軒でした。ちょっと遠くにpimoがあって、ここの日替わりランチが、特に美味しいこともないが、楽しみではある。


ヒアリング度:
感動度:★
二度以上見たい度:★
劇場で見たい度:★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

アデル/ファラオと復活の秘薬 (2010)

2010-07-09 08:30:17 | Weblog
アデル/ファラオと復活の秘薬 (2010)

Les Aventures extraordinaires d'Adele Blanc-Sec

U.S. Release Date:

■監督:リュック・ベッソン
■キャスト:ルイーズ・ブルゴワン/マチュー・アマルリック/ロール・ドゥ・クレルモン=トネール/ジル・ルルーシュ/フィリップ・ナオン
■音楽:エリック・セラ
■字幕:松浦美奈
■お勧め度:★★★

 「漫画家タルディによるフランスで人気のコミックス・シリーズをリュック・ベッソン監督が映画化したヒロイン・アドベンチャー。主演は新星ルイーズ・ブルゴワン、共演に「潜水服は蝶の夢を見る」のマチュー・アマルリック。1911年。世界の不思議と秘宝を追う女性ジャーナリスト、アデルは、最愛の妹の命を救うため、古代エジプトの“復活の秘薬”を求めてエジプトへとやって来る。やがて、カギを握るラムセス2世に仕えた医師のミイラに辿り着くが、宿敵のマッドサイエンティスト、デュールヴーに行く手を阻まれてしまう。同じ頃、パリでは謎の怪鳥が現われ、人々を恐怖に陥れていた。それはなんと、ジュラ紀に絶滅した翼竜プテロダクティルスだったのだが…。」(allcinema.net/より。)

少し前に流行ったミイラ関係のアドベンチャーかと思ったら、むしろ(グロ)コメディー。それもコメディー部分よりグロテスク性と、それで引き立たせる主演のルイーズ・ブルゴワンに、少し変なこともやらせたかった、というような作品。笑うまでは行かないにしても、プチ(ドタバタ)コメディーとして観れば、そこそこ。なぜ妹が変なことになったかという点は、多少のミステリー。原作は知らないが、映画化するにあたってかなり脚色したかもしれない。しかしベースは「インディ・ジョーンズ」や「ハムナプトラ」だろう。違う点はコメディー性、フランス映画らしい、こじんまりとした感じのギャグと、エジプトとかから実際は盗んできたミイラやらの財宝を、まるで自国の物のように描いてしまえる旧帝国主義的な発想で、これは悪口ではなくて、文化の伝承という意味では、一理、あるかもしれないし、うらやましい点でもある。しかし特に見る部分というと、そう無い。アクション作品ではないし、純粋なコメディーでもない。よく言えば、これもフランスっぽい部分だろうか、中庸を行った点だろう。しかし思うに主演のルイーズ・ブルゴワンというのは、どういうタイプなのだろうか。綺麗さから言ったら妹役のロール・ドゥ・クレルモン=トネールだろう。ちょっとカトリーヌ・ドヌーブ似、というかその系統。コメディーが似合っている点からすると、わりと幅の広い女優かもしれないが、少なくとも本作を見る限り、たいした女優とは思えない。全体を、ながら的に観れば多少は楽しめる作品。それ以上はちょっと。


ヒアリング度:
感動度:★
二度以上見たい度:★
劇場で見たい度:★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

ザ・ウォーカー (2010)

2010-07-02 16:35:18 | Weblog
ザ・ウォーカー (2010)

The Book of Eli

U.S. Release Date: 2010

■監督:アレン・ヒューズ
■キャスト:デンゼル・ワシントン/ゲイリー・オールドマン/ミラ・クニス/ジェニファー・ビールス/レイ・スティーヴンソン/マルコム・マクダウェル
■音楽:アッティカス・ロス
■字幕:林完治
■お勧め度:★★★

 「「フロム・ヘル」のヒューズ兄弟がデンゼル・ワシントンを主演に迎えて描くSFサスペンス・アクション。文明が崩壊した終末世界のアメリカ大陸を舞台に、世界に一冊だけとなったある本を襲撃者から守り、西へと運ぶ謎めいた男の姿を、ハードなバイオレンスとスタイリッシュな映像で描き出す。共演に「ダークナイト」のゲイリー・オールドマンと「マックス・ペイン」のミラ・クニス。
 イーライという名の謎の男は、崩壊したアメリカ大陸の荒野を西に向かって歩き続けていた。ある本を携えて。その本は、いまや世界にこのただ一冊となっていた。イーライは、その本に近づこうとする者は容赦なく斬り捨てた。そんな中、とある町に立ち寄ったイーライ。そこは、カーネギーという男が独裁者として君臨する町。彼は、ある本を探していた。その本があれば世界を支配できると考えていた。やがて、イーライの本こそが、目的の本だと確信するカーネギーだったが…。」(allcinema.net/より。)

原題の「The Book of __」の意味が分かれば、ほとんど結末まで分かってしまう、という事を前提にしたミステリー部分、これが分かれば多少は楽しめるだろうが、「ザ・ウォーカー」だけだと、もしかすると何が何だか分からない作品かもしれない。減点法で残るのは、「文明が崩壊した終末世界」への憧れ。しかしこのテーマはマンネリなので、どうなのか。世界崩壊の原因は「戦争」、「紫外線」というから、おそらくは戦争によるオゾン層の破壊、オゾンホール、それくらいしか描かれないので、あまり反戦物にもなっていない。これはもちろん「The Book of __」を強調したいからなのだろうが、これだとキリスト教の事に詳しい映画ファン以外、分からないだろう。しょうがないのでネタバラしに走ると、デンゼル・ワシントンが西に運ぶ「本」というのは旧約聖書のことで、それが点字版だった。これがために、せっかく「本」を手に入れたカーネギー(ゲイリー・オールドマン)には、盲目の「女」にすがるしか、「本」を読む手段が無いという悲劇。テーマ的にはかなり深いものがあるかもしれない。この「本」がそもそもの戦争の原因だったという台詞があるので、「戦争」というのは「テロリスト」を含んだ、いわば宗教戦争だろう。現在の局地戦、内戦のほとんどが宗教絡みだという事も含めて。それで滅んだ世界にたった一冊残された聖書が旧約聖書という、キリスト教(新約聖書)、ユダヤ教、イスラム教という分裂の原点になった書物だというのもテーマだろう。そして時はちょうど印刷機が復活した西海岸、アルカトラズ島。そこで待つ男(マルコム・マクダウェル)に、失った点字版、聖書の代りに口頭で内容を書き記させる大任を授かった男、それが「ザ・ウォーカー」。要は旧約聖書という物をベースに、宗教というもの、あるいは3つに分裂した宗教をもう一度ゼロから考え直そう、そしてそれを元に現在の世界の状況も、というのがテーマなのだろうが、仏教世界とかの、いわば第三者向けの解説部分なしに、このテーマを描いても無理だろう。はっきり言ってアクションものでもないし。それとローバシンながら、食事の前に観ない方がいいでしょう。人肉を食べるというのが、シーンとしては出てこないものの、随所に連想させる部分があるので。


ヒアリング度:★★★
感動度:★★
二度以上見たい度:★
劇場で見たい度:★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)