劔岳 点の記 (2008)

2009-06-27 23:23:22 | Weblog
劔岳 点の記 (2008)

U.S. Release Date:

■監督:木村大作
■原作:新田次郎『劔岳 点の記』(文春文庫刊)
■キャスト:浅野忠信/香川照之/松田龍平/モロ師岡/仲村トオル/宮崎あおい/他
■音楽:津島玄一/池辺晋一郎
■字幕:
■お勧め度:★★★

 「日本映画界を代表する名カメラマン木村大作が自ら初監督に挑み、新田次郎の同名小説を完全映画化。明治時代末期、国防のため日本地図の完成を急ぐ陸軍の命を受け、最後の空白地点を埋めるべく前人未踏の難峰・劔岳に挑んだ男たちの命を懸けた真実の物語を圧倒的なスケールで描き出す。実際に劔岳・立山連峰各所でロケを敢行、測量隊と同じ行程をほぼ忠実に辿る危険と隣り合わせの過酷な撮影の末に実現した雄大さと迫力に満ちた映像美に注目。出演は「モンゴル」の浅野忠信と「トウキョウソナタ」の香川照之。
 明治39年、陸軍参謀本部陸地測量部の測量手、柴崎芳太郎は、国防のため日本地図の完成を急ぐ陸軍から、最後の空白地点である劔岳の初登頂と測量を果たせ、との命令を受ける。立山連峰にそびえ立つ劔岳は、その険しさから多くの者が挑みながら誰一人頂上を極められずにきた未踏峰の最難所であった。さらに、最新装備で初登頂を目指す日本山岳会という強力なライバルが出現、測量隊には陸軍のメンツという重いプレッシャーがのしかかる。そんな中、柴崎は前任の測量手・古田盛作を訪ね、信頼できる案内人として宇治長次郎を紹介される。そして翌40年、柴崎たち測量隊一行は総勢7人でいよいよ劔岳の登頂に臨むのだったが…。」(allcinema.net/より。)

解説を読むと面白そうだったが、映画作品というよりカメラマンが撮った絵葉書作品。原作からもかなり逸脱しているだろう。確かに地上のそれと違って、高山の紅葉などは綺麗だし、公害のせいで地上の紅葉が色褪せてしまったのに比べると、高山のそれは原形を保っている。そうした自然を撮るのが主な目的になってしまっている。それを見て綺麗だと思えば観る価値はある作品ながら、それだけとも言える。原作ではおそらく、こうした事よりも、仕事として上に強制されて劔岳に登ることになった柴崎ら、測量技師たちの心の葛藤が描かれていたのだろうが、風景を重視したいためか、これらは殆どと言っていいくらい、ホカされた。現地ロケはリアルだし、特撮技術などは殆ど使わない事に徹底した事で現実感はあるが、いかんせん、いわゆる山男、登山家ではなくて、文官である測量技師たちが難峰の初登頂に挑戦するという筋書きと設定は、映画作品として見た場合は無理がある。これを補うために日本山岳会の登頂隊に仲村トオルを配して悪役っぽいものを付け加えたが、あくまでも付け足しに過ぎない。現地ロケ以外のセットも凝っているが、テーマらしきものが無いか無くなってしまった。原作がある以上、しょうがないにしても、絵葉書プラスもう一つ何かを付け加えれば、少しは映画作品らしくなっただろうが、何を付け加えるかと言っても、答えは無いかもしれない。たとえばこの時代、明治の末期の軍部と民間の関係、作品ではプライベートな団体である日本山岳会が悪役っぽく、実質的な独裁政府のやる事にたてつくという筋書きだが、これを対決として描いてしまうと、単なる登頂合戦、競争になってしまい、この時代、プライベートな団体であるといっても、おそらくは元西国大名の末裔だっただろう日本山岳会のメンバー、あるいはそうした事から来る階級社会といった時代背景からは逸脱してしまうし、月並みな作品に終わっていただろう。観ている間も風景は綺麗ながら、何かが足りないという感じが終始、して、むしろその答えを探すのが観ている間にやっていた事のような状態だった。テーマ的には地図を作るという事の意義だが、地図を作ること自体はもちろん大事であるにしても、今のように、どこの地図でもネットで見られる時代だと、この事の重要性は分からないだろう。早い話が、Google Earthのような衛星画像ベースのソフトを使えば、そもそも地図じたい、要らない。明治の時代の測量技師たちが苦労して地図を作ったことは分かるにしても、その事の重要性は、今では分からないだろう。逆に言えばカーナビとかGoogle Earthとかいうものを見たことも使ったことも無いという人なら、感銘を受けるかもしれないが。「人が行かなければ道は出来ない」といった台詞は、当時であれば深いものがあっただろうが、今はむしろ逆で、「道は目的地が分かれば自然と出来る」だろう。かなりな力作ながら、ちょっと時代とミスマッチな作品。製作:東映。配給ばかりしていて配給した作品を観ていなかったか。しかしテレビ局作品と比べると、かなり映画しているという感じはするが。


ヒアリング度:
感動度:★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★
ムカつく度:
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

真夏のオリオン (2009)

2009-06-20 23:08:03 | Weblog
真夏のオリオン(2009)

U.S. Release Date:

■監督:篠原哲雄
■監修:福井晴敏
■原作:池上司『雷撃深度一九・五』(文春文庫刊)
■キャスト:玉木宏/古秦むつとし/吉田栄作/北川景子/平岡祐太/吹越満/デヴィッド・ウィニング
■音楽:岩代太郎/主題歌:いつか『願い星~I wish upon a star~』
■字幕:
■お勧め度:★★★★(★)

 「池上司の処女作『雷撃深度一九・五』を「ローレライ」「亡国のイージス」などの原作者で知られる福井晴敏の監修・脚色で映画化した戦争ドラマ。第二次世界大戦末期、恋人が綴ったある楽譜を胸に日本軍最後の砦となった潜水艦を指揮する若き艦長とその部下たちが米軍駆逐艦との息詰まる攻防戦に挑む姿を壮大なスケールで描く。主演はTV「のだめカンタービレ」の玉木宏。共演に「ハンサム★スーツ」の北川景子、これが俳優デビューとなる人気ボーカルデュオ、CHEMISTRYの堂珍嘉邦。監督は「月とキャベツ」「地下鉄(メトロ)に乗って」の篠原哲雄。
 現代。ある日、倉本いずみのもとに、元米海軍駆逐艦艦長の孫が差出人の手紙が届く。またその手紙には古びた手書きの楽譜が同封され、祖母・有沢志津子のサインが記されていた。いずみは過去を紐解くため、かつて日本海軍で潜水艦長を務めた祖父を知るただひとりの存命者・鈴木を訪ねることに。そして、鈴木老人はいずみの疑問に答えるかのように遥か昔の記憶を辿り、語り始める--。第二次世界大戦末期、いよいよ劣勢に立たされた日本海軍は米海軍の燃料補給路を断つべく、沖縄南東海域にイ-77をはじめとする潜水艦を配備していた。イ-77の艦長、“海中の天才”倉本孝行。彼はこの出航前、互いに想いを寄せていた志津子から、“真夏のオリオン”と題された手書きの楽譜を受け取る。船乗りの間では吉兆とされる、真夏の夜明けに輝くオリオンのごとく想いを託された倉本。こうして彼らは敵を迎え撃ち、ついに激戦の幕が切って落とされる…。」(allcinema.net/より。)

この作品は期待、大だった。潜水艦対駆逐艦の戦争物といったら、このジャンルではおそらく不朽の名作といっていい「眼下の敵」(The Enemy Below、1957年、ロバート・ミッチャム、クルト・ユルゲンス)があって、これは何度か観た。本作品は、原作はどうだったか知らないが、「眼下の敵」をリメイクし、それにかつて無い戦争観を加え、「手書きの楽譜」を、なぜ敵であった米駆逐艦艦長が、戦時中の唯一の遺品として取っておいて、それがイ-77の艦長の孫娘の手に渡ったかというミステリーが加わり、このミステリーの中にも、今までに無かったような戦争観を織り込んでいる。結論に行ってしまうと、本作品の主人公はイ-77の艦長とクルーだが、テーマとしての主人公は、むしろ敵艦パーシバルの艦長だろう。彼はイ-77に3度負けている。一度目は護衛していたタンカーを2隻、沈められ、後半の対決シーンでは、2度、魚雷攻撃され、一回目は運良くかわしたものの、二回目は艦尾にくらっている。最後にはイ-77は魚雷を撃ち尽し、回天を積んでいたことから他の兵装はなく、パーシバルの近くに浮上せざるを得ない状況になり、結果的にはパーシバルが勝ったことになっているが、この時のイ-77を見たパーシバルの艦長は、それまでは護衛していたタンカーを沈められたりで、イ-77を撃沈する事しか頭に無かったのが、浮上したイ-77を見て、三度目に負けた理由が分かり、結果的には勝利ながら、内容的には完敗だった事を知る。この時、彼は悟ったのではないだろうか。平和に暮らし、平和を守るのも、戦争をするのも人間だという事を。ここで「手書きの楽譜」の問題が絡んでくる。これはイ-77の艦長が許嫁(「有沢志津子」)から貰ったもので、その時、彼は約束した。この楽譜を一生、大事にするという事を。駆逐艦との最後の決戦で勝算は無いと考えた彼は、この楽譜をビンにつめ、乗組員の死体とともに艦外に射出する。それを読んだパーシバルの艦長の心理に最初の変化が表れ、最後のシーンで丸腰のイ-77を見た時に、彼なりに戦争とはどういうものかという事を悟った。このテーマは終始一貫している。イントロの部分で「有沢志津子」の孫娘が元イ-77乗組員を訪れるが、聞きたかった事というのは、自分は、おそらく小学校の教師をしているが、生徒に人が戦争をする理由を聞かれても答えられなかった。当然だろう。その答えを描いた作品。従来の戦争映画というのは、国を問わず、最初から戦争に批判的な場合は戦争の惨状ばかりを描き、日本の戦争物というと、懺悔状態を抜け切れなかった。この両方に、根本的な問題がある。連続性。人間の問題。戦争を国家のせいにすれば、人間の問題は問わなくて済む。惨状を描けば、人間の問題は無視できる。この二つの描き方では、平和を守るのも人間だし、戦争をするのも人間だという連続性の問題が看過されてしまう。本作品はまさにこの点をテーマとした。同じ人間がする行為である限り、そこには必ず、なんらかの連続性がある。これを中心テーマとして描いた作品は今までにあっただろうか。単純に映画作品として観ると、はっきり言って、それほど面白い作品ではないかもしれない。潜水艦対駆逐艦という事だったら、「眼下の敵」の方が面白いかもしれない。内容的にはほとんど同じだし。ただし上のようなテーマを考えるのだったら必見。という事は、本製作者は、映画作品としての面白さを犠牲にしてまで、上のようなテーマを描きたかったという事になる。ここまで来ると、今や最大のミステリーは、なぜ邦画がこれほどまでに進化したのか、それもたった1年ぐらいで。この事はあらゆる面で表われている。単純な例で言うと、ほんの1年前までは、まともな音楽といったら決まって久石譲だったのが、今は一本も書いてない。それでも最近の邦画の音楽は一級品と言える。おまけに本作品、製作はテレビ朝日単独だろう。東宝は配給。ニューヨーク州、アルバニー(市/「カウンティー」、ニューヨーク州の首府)協力というのも意味があるだろう。アルバニーだったか忘れたが、同じニューヨーク州の北部に大戦中の艦船のスクラップ置き場があって、数百という艦船が放置されている。ちょっと駆逐艦までは分からないが、パーシバルは実物だろう。イ-77はミニチュア、モロ分かりなのは、テレビ局単独製作という事でしょうがないだろう。ゲーム好きは、爆雷攻撃した後に、回頭(旋回)せずに直進したらどうなるか、試してみたら面白いかもしれない。(魚雷の斉射くらうので、セーブした後で)

付け足しながら、もう一つ、面白かったのは、「人間」「連続性」を描くという事に関して、イ-77の艦長は、いわゆる「兵士」というより「海の男」として描かれている。なぜ自分は潜水艦乗りになったのか、「自由だから」。これは意図的で、回天搭乗員が「お国のため」的な思想に洗脳されている事とコントラストされている。ただしこれは帝国海軍の上層部の伝統とも関係していて、いわゆる「連合艦隊」というのは、イギリスの「Grand Fleet」の訳。したがって当時の海軍上層部は、少なくとも仲間内では、「連合艦隊」を「GF」と言っていた。海軍上層部、特に山本五十六(大将、連合艦隊司令長官)、米内光政(海軍大臣)あたりは、英米との戦争には終始、反対し、山本五十六が司令長官になって真珠湾を攻撃したのは、アメリカとの講和が目的だった。理由は彼が若い頃、アメリカに留学していて、アメリカの底力を知っていたからだが、いずれにしても、作品のもう一つのテーマとして、イ-77の艦長にしてもクルーにしても、人間っぽく描き、あたかも日本国全体が戦争マニアだったかのような従来の作品の描き方に対して、そうではなかった人間も居たし、そうした人々が如何に戦争という事態に彼等なりに対処しようとしたか。この点を描くことで、実はラスト(8月15日)に繋がっているし、パーシバルの艦長の悟りにも繋がっている。「硫黄島」などの作品でも分かるとおり、兵士というのは人間のままではやっていられない。人間性を剥奪するのが兵士としての第一歩なわけで、そうした兵士が行うのが残虐行為。とはいえ彼等も人間である事は事実で、人間に戻った彼等、あるいはそもそも本作品のように人間性を剥奪されていない兵士がどう戦ったか、この連続性を描くのも作品のテーマだろう。イ-77の艦長は一人だけ、部下を失った。そのために、彼は一度として元乗組員の「同窓会」には出席しなかった。


ヒアリング度:★★★(パーシバル側は英語)
感動度:★★★★★
二度以上見たい度:★★★★★
劇場で見たい度:★★★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★★★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

スター・トレック/Star Trek (2009)

2009-06-13 23:33:21 | Weblog
スター・トレック/Star Trek (2009)

U.S. Release Date:

■監督:J・J・エイブラムス
■製作:レナード・ニモイ/J・J・エイブラムス
■原作:ジーン・ローデンベリー
■キャスト:クリス・パイン/ザカリー・クイント/エリック・バナ/ゾーイ・サルダナ/ジョン・チョー/レナード・ニモイ
■音楽:マイケル・ジアッキノ
■字幕:松崎広幸
■お勧め度:★★★(★)

 「TVシリーズ「LOST」、「クローバーフィールド/HAKAISHA」のヒット・クリエイター、J・J・エイブラムス監督が放つスペース・アドベンチャー。1966年に創作されたTVシリーズ「スター・トレック/宇宙大作戦」を基に再構築、主人公カークたちの青年期に焦点をあて、無限大の宇宙や未知なる文明との遭遇、経験を通して成長していく姿を、VFXを駆使したスペクタクルかつ臨場感溢れる映像で描き出す。主演は「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい」の新星クリス・パイン。
 突然の非常事態に見舞われる惑星連邦軍戦艦USSケルヴィンの中で生を受けたジェームズ・T・カーク。この時キャプテン代理を務めていた彼の父は、自らが犠牲となり800人のクルーを救った。22年後、無軌道な青春時代を送った青年カークは、未だ将来を見出せずにいた。そんなある日、父の壮絶な最期を知る惑星連邦艦隊のパイクと出会う。新型艦USSエンタープライズの初代キャプテン、パイクの“父親を超える男になってみろ”との檄に突き動かされ、艦隊に志願するカーク。それから3年、優秀な能力を発揮しながらもトラブルが絶えないばかりに士官への壁を越えられずにいたカーク。ある時、緊急事態の発生で同期の仲間たちが出動していく中、謹慎中のために待機となるカークだったが、友人の機転でUSSエンタープライズに潜り込むことに成功する。そこには、サブ・リーダーとして搭乗しているバルカン人と地球人の混血、スポックもいた。バルカン人特有の論理的で冷静沈着なスポックと直感で行動する男カークは互いに相容れない存在として、以来ことあるごとに対立してしまうが…。」(allcinema.net/より。)

「ハゲタカ」の上映時間が遅すぎて「チーズバーガーセット」に間に合わない。しょうがないのでダメモトで洋画となると、これか「お買い物中毒」か。どうせ駄作だったら久し振りに(USS)エンタープライズ号を見よう。というような感じで観たら、けっこう、いける。これ、上の解説は一切無視して、オリジナルのリメーク。「青年期」はおまけ。前半は寝てて、リメーク部分だけ観れば、かなり面白い。笑えるという意味でも。「スター・トレック」のオリジナルというのは、特撮技術の低さから人物描写や関係に重点を置かざるを得なかった。3人の主人公はそれぞれ勘と行動力のカーク船長、論理派のスポック、そしてこの二人を補い問題ともなる感情派のドクター・マッコイ。これにUSSエンタープライズのクルーが加わる。こうした事で内容的にはマジ過ぎて取り付けない部分があって、個人的には好きな作品ではない。むしろキャラの面白さからすると「Voyager」が好きで、もう一つ、あったが、つまらなかった。本作品は、この2作を無視した型で、かつオリジナルの持つマジさを柔らげたリメーク。この製作者は、その意味ではオリジナルのファンでは無いだろう。ついでに、その後のSF物、特に「スターウォーズ」には批判的だろう。当時の時代背景もあるが、「フォース」やら「ジェダイ」といった神様だか人間だか分からないような物を取っぱらって、人間が主役になるという、本来の路線に戻した。これは昨今の、電算機疎外で相手が人間がコンピューターかの判別も出来ないような現状の批判でもある。本作のUSSエンタープライズのクルーは、オリジナルを置き換えただけだが、人選にはかなり気を使った後が見られる。オリジナルと違って、このクルーは全員、仕官学校を卒業したての未熟なクルーながら、作品中の人物としては特徴があって面白い。今どきオリジナルを覚えている人は少ないだろうから、このクルーで新シリーズを作れば面白いだろう。「Voyager」ともう一つがオリジナルを引きずったのに比べると、むしろ本作の方が斬新だし面白いかもしれない。むしろテレビドラマのイントロ的な作品。


ヒアリング度:★★
感動度:★★★
二度以上見たい度:★★★
劇場で見たい度:★★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

ラスト・ブラッド/Blood: The Last Vampire (2009)

2009-06-06 23:34:33 | Weblog
ラスト・ブラッド/Blood: The Last Vampire (2009)

U.S. Release Date:

■監督:クリス・ナオン
■キャスト:GIANNA(チョン・ジヒョン)/アリソン・ミラー/小雪/倉田保昭
■音楽:クリント・マンセル
■字幕:不明
■お勧め度:★★★★(★)

 「セーラー服少女が日本刀を手にヴァンパイアとの死闘を繰り広げるProduction I.G製作アニメ「BLOOD THE LAST VAMPIRE」を、「猟奇的な彼女」のチョン・ジヒョン主演で実写映画化したバイオレンス・アクション・ホラー。共演は「セブンティーン・アゲイン」のアリソン・ミラーと「ラスト サムライ」の小雪。監督は「キス・オブ・ザ・ドラゴン」「エンパイア・オブ・ザ・ウルフ」のクリス・ナオン。
 戦国時代、大量に流された人の血によって力を得た種族“オニ”。以来、400年以上にわたって続く人類とオニとの戦い。そして、ベトナム戦争が混迷を深める1970年、オニの前に一人の少女が現われる。日本刀だけを武器に、たった一人でオニ退治を続ける16歳の少女サヤ。彼女の目的は全てのオニの起源である“オニゲン”を倒すこと。それは、殺された父の仇討ちだった。オニの殲滅を目的に創設された秘密組織の手引きで、オニの活動が活発化しているアメリカ空軍関東基地内の高校に潜入したサヤ。彼女はそこで、同級生のアリスをオニの襲撃から救い出す。やがて2人は行動を共にするようになるが…。」(allcinema.net/より。)

6月2日って何?休日じゃないだろうが。ガキだらけで待たされること20分。最初の3分が観れない。したがって字幕不明。それと上の解説が正しいとすると、本作品はオリジナル。

製作国は香港/フランスながら、殺陣は日本だろう。刀の持ち方が正しい。これがハリウッド作品となるとデタラメの「拝一刀、水鴎流」。GIANNA(チョン・ジヒョン)は韓国女優。

ストーリー的にはイマイチながら、香港のアクション技術は圧倒的。GIANNAは元ファッションモデルながら、かなりアクションも出来るだろう。膝から下が筋肉隆々。香港のアクション技術と相俟って、カッコ良すぎる。GIANNAが着る制服は「標準物」(という事はダサい)ながら、これは意図的だろう。今どきの制服だったら逆効果。女子校生の制服、見るなら高校野球。最近は御無沙汰ながら、ミニだったら似合わないだろう。「標準物」だからこそエロい。と言うと誤解を招くが。GIANNAの人物像は、人間である父親を「オニ」に殺された人間とオニのハーフ。小雪演じる「オニゲン」は、実は○○だったというのが、最終展開。ただしこの点に関しては、やや物足りないが。

邦画のレベルが上がったとはいえ、こういう作品を観ると、やはりアクション俳優の欠乏は致命的。ただしこれも観る側の責任なのでしょうがないだろう。千葉真一が「サニー千葉」じゃなくて「千葉真一」だった頃、JAC(ジャパンアクションクラブ)を設立して志穂美悦子や真田広之を輩出しながらも、当時のCGとアクション技術の低さもあって、殆ど無視された。というか芸能界にオチョくられた。志穂美悦子のデビュー EP(レコード)が「13階段のマキ」。「二代目はクリスチャン 」(1985年、角川映画、シスター今日子役)でも見られる通り、本来は優しい女性なのが、空手映画に多く出演するハメになったため、その流れで「13階段のマキ」。レコードとしては「恋のサタディーナイト」、「スリー・ディメンション」などで本来の性格を発揮できたに過ぎない。千葉真一に至っては、ほとんど国外追放だろう。言ってみれば国民がアクション俳優と映画を葬り去ったとも言える。その意味では最近の邦画の好調ぶりは、こうした事にもメゲず頑張った結果であり成果として誉めるべきだろう。

邦画にもう一つ欠乏しているのがGIANNAタイプの女優だろう。アクションの過小評価もあって、顔だけ美人の女優は居るが、「美人」ではなくても、独特の雰囲気を持った女優が少ない。これが、そのままアクション系作品の出来の悪さにも繋がる。結局のところ、上のような邦画界の歴史が、そのまま、今の邦画の問題点に結果したとも言える。しかし「レッドクリフ」などを観ると、改善の兆しは見られるので、今後、中国(香港、韓国、台湾ふくむ)と組めば、この点は自然と改善されるだろう。そうなったら、今や落ち目+ネタ切れ+ヤキ回りのハリウッド作品は観ないで済む。今週上映の洋画は、17本中4本。これは記録的。この中で観たいもの、無し。例外があるとすると「お買い物中毒」ぐらいか。しかしこれも想像できる。「天使と悪魔」「スター・トレック」はネタ切れヤキ回り作品だろう。今どき天使やら悪魔なんてのは時代錯誤の代物だろう。「スター・トレック」はオリジナルと派生の「Voyager」のイメージをぶち壊しかねない。

しかし中国(系)の女優には不思議なものがある。GIANNAにしてもそうだが、日本語、英語ともに様になっている。内容を理解しているかどうかは別として。これも中国の世界制覇路線の表れなのだろうか。という事は、日本も世界制覇を目標にしないと、世界に通用する俳優は育たないという事になる。

アクションと、国籍不明の雰囲気とセットの面白さ、それとGIANNAは見所だろう。製作国にフランスも加わっているので、「オールドファン」なら、古のフランス映画っぽい雰囲気も味わえるだろう(「フレンチ・フィルム・ノワール」)。「R-15」指定は暴力/残虐性。エッチシーンは無し。


ヒアリング度:★★★★
感動度:★★★★
二度以上見たい度:★★★★★
劇場で見たい度:★★★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★
ムカつく度:
考えさせられる度:★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)