劔岳 点の記 (2008)
U.S. Release Date:
■監督:木村大作
■原作:新田次郎『劔岳 点の記』(文春文庫刊)
■キャスト:浅野忠信/香川照之/松田龍平/モロ師岡/仲村トオル/宮崎あおい/他
■音楽:津島玄一/池辺晋一郎
■字幕:
■お勧め度:★★★
「日本映画界を代表する名カメラマン木村大作が自ら初監督に挑み、新田次郎の同名小説を完全映画化。明治時代末期、国防のため日本地図の完成を急ぐ陸軍の命を受け、最後の空白地点を埋めるべく前人未踏の難峰・劔岳に挑んだ男たちの命を懸けた真実の物語を圧倒的なスケールで描き出す。実際に劔岳・立山連峰各所でロケを敢行、測量隊と同じ行程をほぼ忠実に辿る危険と隣り合わせの過酷な撮影の末に実現した雄大さと迫力に満ちた映像美に注目。出演は「モンゴル」の浅野忠信と「トウキョウソナタ」の香川照之。
明治39年、陸軍参謀本部陸地測量部の測量手、柴崎芳太郎は、国防のため日本地図の完成を急ぐ陸軍から、最後の空白地点である劔岳の初登頂と測量を果たせ、との命令を受ける。立山連峰にそびえ立つ劔岳は、その険しさから多くの者が挑みながら誰一人頂上を極められずにきた未踏峰の最難所であった。さらに、最新装備で初登頂を目指す日本山岳会という強力なライバルが出現、測量隊には陸軍のメンツという重いプレッシャーがのしかかる。そんな中、柴崎は前任の測量手・古田盛作を訪ね、信頼できる案内人として宇治長次郎を紹介される。そして翌40年、柴崎たち測量隊一行は総勢7人でいよいよ劔岳の登頂に臨むのだったが…。」(allcinema.net/より。)
解説を読むと面白そうだったが、映画作品というよりカメラマンが撮った絵葉書作品。原作からもかなり逸脱しているだろう。確かに地上のそれと違って、高山の紅葉などは綺麗だし、公害のせいで地上の紅葉が色褪せてしまったのに比べると、高山のそれは原形を保っている。そうした自然を撮るのが主な目的になってしまっている。それを見て綺麗だと思えば観る価値はある作品ながら、それだけとも言える。原作ではおそらく、こうした事よりも、仕事として上に強制されて劔岳に登ることになった柴崎ら、測量技師たちの心の葛藤が描かれていたのだろうが、風景を重視したいためか、これらは殆どと言っていいくらい、ホカされた。現地ロケはリアルだし、特撮技術などは殆ど使わない事に徹底した事で現実感はあるが、いかんせん、いわゆる山男、登山家ではなくて、文官である測量技師たちが難峰の初登頂に挑戦するという筋書きと設定は、映画作品として見た場合は無理がある。これを補うために日本山岳会の登頂隊に仲村トオルを配して悪役っぽいものを付け加えたが、あくまでも付け足しに過ぎない。現地ロケ以外のセットも凝っているが、テーマらしきものが無いか無くなってしまった。原作がある以上、しょうがないにしても、絵葉書プラスもう一つ何かを付け加えれば、少しは映画作品らしくなっただろうが、何を付け加えるかと言っても、答えは無いかもしれない。たとえばこの時代、明治の末期の軍部と民間の関係、作品ではプライベートな団体である日本山岳会が悪役っぽく、実質的な独裁政府のやる事にたてつくという筋書きだが、これを対決として描いてしまうと、単なる登頂合戦、競争になってしまい、この時代、プライベートな団体であるといっても、おそらくは元西国大名の末裔だっただろう日本山岳会のメンバー、あるいはそうした事から来る階級社会といった時代背景からは逸脱してしまうし、月並みな作品に終わっていただろう。観ている間も風景は綺麗ながら、何かが足りないという感じが終始、して、むしろその答えを探すのが観ている間にやっていた事のような状態だった。テーマ的には地図を作るという事の意義だが、地図を作ること自体はもちろん大事であるにしても、今のように、どこの地図でもネットで見られる時代だと、この事の重要性は分からないだろう。早い話が、Google Earthのような衛星画像ベースのソフトを使えば、そもそも地図じたい、要らない。明治の時代の測量技師たちが苦労して地図を作ったことは分かるにしても、その事の重要性は、今では分からないだろう。逆に言えばカーナビとかGoogle Earthとかいうものを見たことも使ったことも無いという人なら、感銘を受けるかもしれないが。「人が行かなければ道は出来ない」といった台詞は、当時であれば深いものがあっただろうが、今はむしろ逆で、「道は目的地が分かれば自然と出来る」だろう。かなりな力作ながら、ちょっと時代とミスマッチな作品。製作:東映。配給ばかりしていて配給した作品を観ていなかったか。しかしテレビ局作品と比べると、かなり映画しているという感じはするが。
ヒアリング度:
感動度:★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★
ムカつく度:
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)
U.S. Release Date:
■監督:木村大作
■原作:新田次郎『劔岳 点の記』(文春文庫刊)
■キャスト:浅野忠信/香川照之/松田龍平/モロ師岡/仲村トオル/宮崎あおい/他
■音楽:津島玄一/池辺晋一郎
■字幕:
■お勧め度:★★★
「日本映画界を代表する名カメラマン木村大作が自ら初監督に挑み、新田次郎の同名小説を完全映画化。明治時代末期、国防のため日本地図の完成を急ぐ陸軍の命を受け、最後の空白地点を埋めるべく前人未踏の難峰・劔岳に挑んだ男たちの命を懸けた真実の物語を圧倒的なスケールで描き出す。実際に劔岳・立山連峰各所でロケを敢行、測量隊と同じ行程をほぼ忠実に辿る危険と隣り合わせの過酷な撮影の末に実現した雄大さと迫力に満ちた映像美に注目。出演は「モンゴル」の浅野忠信と「トウキョウソナタ」の香川照之。
明治39年、陸軍参謀本部陸地測量部の測量手、柴崎芳太郎は、国防のため日本地図の完成を急ぐ陸軍から、最後の空白地点である劔岳の初登頂と測量を果たせ、との命令を受ける。立山連峰にそびえ立つ劔岳は、その険しさから多くの者が挑みながら誰一人頂上を極められずにきた未踏峰の最難所であった。さらに、最新装備で初登頂を目指す日本山岳会という強力なライバルが出現、測量隊には陸軍のメンツという重いプレッシャーがのしかかる。そんな中、柴崎は前任の測量手・古田盛作を訪ね、信頼できる案内人として宇治長次郎を紹介される。そして翌40年、柴崎たち測量隊一行は総勢7人でいよいよ劔岳の登頂に臨むのだったが…。」(allcinema.net/より。)
解説を読むと面白そうだったが、映画作品というよりカメラマンが撮った絵葉書作品。原作からもかなり逸脱しているだろう。確かに地上のそれと違って、高山の紅葉などは綺麗だし、公害のせいで地上の紅葉が色褪せてしまったのに比べると、高山のそれは原形を保っている。そうした自然を撮るのが主な目的になってしまっている。それを見て綺麗だと思えば観る価値はある作品ながら、それだけとも言える。原作ではおそらく、こうした事よりも、仕事として上に強制されて劔岳に登ることになった柴崎ら、測量技師たちの心の葛藤が描かれていたのだろうが、風景を重視したいためか、これらは殆どと言っていいくらい、ホカされた。現地ロケはリアルだし、特撮技術などは殆ど使わない事に徹底した事で現実感はあるが、いかんせん、いわゆる山男、登山家ではなくて、文官である測量技師たちが難峰の初登頂に挑戦するという筋書きと設定は、映画作品として見た場合は無理がある。これを補うために日本山岳会の登頂隊に仲村トオルを配して悪役っぽいものを付け加えたが、あくまでも付け足しに過ぎない。現地ロケ以外のセットも凝っているが、テーマらしきものが無いか無くなってしまった。原作がある以上、しょうがないにしても、絵葉書プラスもう一つ何かを付け加えれば、少しは映画作品らしくなっただろうが、何を付け加えるかと言っても、答えは無いかもしれない。たとえばこの時代、明治の末期の軍部と民間の関係、作品ではプライベートな団体である日本山岳会が悪役っぽく、実質的な独裁政府のやる事にたてつくという筋書きだが、これを対決として描いてしまうと、単なる登頂合戦、競争になってしまい、この時代、プライベートな団体であるといっても、おそらくは元西国大名の末裔だっただろう日本山岳会のメンバー、あるいはそうした事から来る階級社会といった時代背景からは逸脱してしまうし、月並みな作品に終わっていただろう。観ている間も風景は綺麗ながら、何かが足りないという感じが終始、して、むしろその答えを探すのが観ている間にやっていた事のような状態だった。テーマ的には地図を作るという事の意義だが、地図を作ること自体はもちろん大事であるにしても、今のように、どこの地図でもネットで見られる時代だと、この事の重要性は分からないだろう。早い話が、Google Earthのような衛星画像ベースのソフトを使えば、そもそも地図じたい、要らない。明治の時代の測量技師たちが苦労して地図を作ったことは分かるにしても、その事の重要性は、今では分からないだろう。逆に言えばカーナビとかGoogle Earthとかいうものを見たことも使ったことも無いという人なら、感銘を受けるかもしれないが。「人が行かなければ道は出来ない」といった台詞は、当時であれば深いものがあっただろうが、今はむしろ逆で、「道は目的地が分かれば自然と出来る」だろう。かなりな力作ながら、ちょっと時代とミスマッチな作品。製作:東映。配給ばかりしていて配給した作品を観ていなかったか。しかしテレビ局作品と比べると、かなり映画しているという感じはするが。
ヒアリング度:
感動度:★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★
ムカつく度:
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)