おっぱいバレー (2008)

2009-04-25 09:47:01 | Weblog
おっぱいバレー (2008)

U.S. Release Date:

■監督:羽住英一郎
■原作:水野宗徳『おっぱいバレー』(リンダパブリッシャーズ刊)
■キャスト:綾瀬はるか/......./仲村トオル/市毛良枝
■音楽:佐藤直紀 主題歌:Caocao『個人授業』
■字幕:
■お勧め度:★★★(★)

 「実話を基にした水野宗徳の同名青春小説を「ハッピーフライト」の綾瀬はるか主演で映画化。70年代後半の中学校を舞台に、新任女性教師の成長と彼女のおっぱい見たさに見違えるように練習に励む弱小男子バレー部員たちの奮闘をさわやかに綴る。監督は「海猿」シリーズ、「銀色のシーズン」の羽住英一郎。
 1979年、北九州。中学校の新任国語教師・美香子は、男子バレー部の顧問を任されるが、そこに待っていたのは、バレーボールすらまともに触ったことのないやる気ゼロのダメダメ部員たちだった。彼らのやる気を引き出し、廃部寸前のバレー部を何とか立て直そうとする美香子だったが、ひょんなことから“試合に勝ったら、おっぱいを見せる”というとんでもない約束をさせられるハメに。おっぱいを見せるなんて絶対無理と思いながらも、別人のようにやる気を見せ始めた彼らと、日々の練習を通じて次第に信頼関係を築いていく美香子。そんな矢先、“おっぱいの約束”が学校で大きな問題となってしまう。」(allcinema.net/より。)

最後の「学校で大きな問題となってしまう」というのはラスト付近のことなので、あまり考えない方がいいだろう。むしろテーマとしては中学生、あるいはその年代の子供というのは無限の可能性を秘めていて、本人たちがそれに気付くかどうかは別として、何かの動機ないし理由さえあれば、無限の成長が可能だという事だろう。これはいい事でもあるが、ある意味では恐いことでもある。間違った方向に進めば。作品の性格としては面白系ながら、生徒たちの成長と美香子の教師としてのそれをコントラストする事で、このテーマが良く描かれている。たとえば、最初は確かに「おっぱい見たさ」だけで頑張る生徒たちだが、自分たちが精神的に成長するにつれ、美香子の「おっぱい」を見てあげることが、教師として尊敬するようになった彼女への恩返し(?)になるという風に考えが変わってくる。これも生徒たちの無意識ながらの成長ぶりで、無限の可能性というのがいい方向に働けば、たとえ中学生でも大人なみの考えを抱けるようになるという事だろう。そしてそうした成長を助けるのが特に中学校の教師の役目ではないか、というのが作品ないし原作が問うている事だろう。あえて時代設定を70年代後半にしたのも、今との比較が目的だっただろう。製作は日テレなので、「11PM」の放映シーンがあるが、この頃のエロ系の雑誌やらというのは、いわゆる「お姉さん」系が主流で、純真な子供たちが見たにしても、おそらくはあまり感動はしなかっただろう。ズリネタ以外という意味では。その事への反発もあって、清純派、美香子の「おっぱい」という事になるわけで、時代背景(?)も良く捉えているし、活かしていると言えるだろう。しかし綾瀬はるかっていうのは面白系というよりマジ/シリアス系じゃないだろうか。これで数作観たが、観るたびに「ICHI」での彼女の印象が深まってくる。仲村トオルは殆ど作品を通して出ているのであまり気にならないが、最後の方で出てくる市毛良枝と比べると、面白系の綾瀬はるかとは役者としても女優としても格段の差を感じてしまう。綾瀬はるかはアイドルなのだろうが、マジ/シリアス系の作品に出した方がいいのじゃないか、女優として成長させるという意味でも。むしろ彼女の生徒の一人、名前が分からないが、女生徒の方が、少なくとも本作品では女優として目を引く。その他、色々と思惑も感じられて面白い。日テレの過去の時代物作品というと、「博物館」の域を出ない駄作が多かったが、「おくりびと」(TBS、朝日新聞ほか)が小道具に関してひどい手抜き作品だったにもかかわらず、なんとか賞をもらった事に対抗する意味か、あるいは過去の「博物館」駄作の反省の意味もあってか、セットや小道具にやたら凝っていて楽しめる。特にこの時代のプラモデルとかは、今では殆ど入手不可能だろう。あるとしても箱だけ。この頃のプラモデルは材質のせいで、今では風化しているはずだ。その他、路面電車も復元したのだろうか。ちゃんと走っているし、人も乗っている。セットや小道具が「博物館」になるというのは、復元すること自体が目的になってしまっていて、物語りや筋書きとマッチしていないことが理由。本作では子供たちが見るエロ雑誌やらが、作品の時代設定とマッチしているし、街並にしても、たしかにそこで生活しているというような感じがする。北九州の町を選んだというのも効果的だろう。いくら70年代後半にしても、東京とかが舞台だったら、本作品のテーマは描けなかっただろう。個人的には使用されている音楽が「微笑がえし」(キャンディーズ)以外は知らないとうか興味なかったのでつまらなかったのだが、あくまで個人的な話なので。いずれにしても気楽に観て充分、楽しめる作品だろう。秀作とはいかないまでも。


ヒアリング度:
感動度:★★★
二度以上見たい度:★★★
劇場で見たい度:★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦― 2009

2009-04-18 09:45:34 | Weblog
レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―
Chi bi xia: Jue zhan tian xia

U.S. Release Date: 2009

■監督:ジョン・ウー
■キャスト:トニー・レオン/金城武/チャン・フォンイー/チャン・チェン/ヴィッキー・チャオ/フー・ジュン/中村獅童
■音楽:岩代太郎
■字幕:戸田奈津子+翻訳+監修
■お勧め度:★★★★(★)

 「三国志の有名なエピソードを基に、日本をはじめアジア各国で大ヒットを記録したジョン・ウー監督によるスペクタクル巨編「レッドクリフ」の後編。ついに迎えた歴史的大戦“赤壁の戦い”が空前のスケールで展開していく。出演は周瑜役にトニー・レオン、諸葛孔明役に金城武。
 80万の曹操軍をわずか5万で迎え撃つ劉備・孫権連合軍は、軍師・孔明の知略と指揮官・周瑜の活躍でどうにか撃退に成功する。思わぬ大敗にも依然圧倒的な勢力を誇る曹操は、2000隻の戦艦を率いて赤壁へと進軍する。そんな中、曹操軍には疫病が蔓延してしまうが、非情な曹操は死体を船に積み、連合軍のいる対岸へと流す。これにより連合軍にも疫病が拡がり、ついに劉備は自軍の兵と民のため撤退を決断する。ただひとり戦地に残り、周瑜とともに戦う道を選んだ孔明だったが、劉備軍が持ち帰ったことで生じた矢の不足の責めを問われてしまう。すると孔明は、周瑜に3日で10万本の矢を調達してみせると宣言するのだったが…。」(allcinema.net/より。)

邦画(製作:TV朝日/東宝)のレベルがこれだけ上昇していて、それに中国(系)予算を無限に注ぎ込むと、これだけの作品ができるという事を印象づけられる作品。前作は人物紹介のイントロとバトルシーンを重視したが、本作はむしろ人物像の描写に重点を置いたようだ。これはかなり成功している。例によって名前が分からないが、周瑜と妻の愛、曹操の片思い、「連合軍」の武将たちの決意や思いがかなりな説得力で描かれている。これに「三国志」というのは史実に基づくものなのだろうか。無知なので分からないが。大軍を率いる曹操と「連合軍」の最終決戦。「連合軍」の策略などもかなりリアルに描かれていて面白い。2作を通じての工夫も見られる。第1作では目立たなかった周瑜の妻、これは意図的だったようだ。本作での彼女は勝利への決定的な役割を演じる。名前は小喬(リン・チーリン)?前にも書いたが個人的にはあまり美人とは思えないが、この作品が中国(本土)でも公開されたのだとしたら、こういうタイプがもてるのだろうか。確かに日本人とは違うし、似ている女優も思い当らない。という事は美人+個性的ということになるが。敵のボスの曹操が典型的な悪玉顔なので、曹操対リン・チーリンの対決が、かなりコントラストがあって面白い。ただし曹操が悪玉顔だと言っても、どこかの国の安っぽい勧善懲悪物と比べると、曹操が何故この戦を決意したかという動機が、征服欲と片思いの混合したもの、それゆえに負けたというように描かれ、むしろ本作の主人公とテーマは曹操とその動機だろう。そうして見ると、むしろ「連合軍」とくに周瑜と孔明の策略に翻弄される曹操がかわいそうになってくる。むしろ実質的な「悪玉」はリン・チーリンのような。ここらへんの筋書きや工夫も面白い。そしてやはり目立つのは前作に引き続き「連合軍」のボスの妹の尚香(ヴィッキー・チャオ)?の活躍。むしろ彼女が助演のような。密偵として敵軍に忍び込み、味方に重要な情報を持ち帰る。前作では囁きで馬を倒す特技の持ち主として面白系として描かれたが、本作ではかなりマジな役。ここらへんにも作品、配役上の上手さが感じられる。しかし「三国志」が史実とするなら、こうした部分は映画化するに当たっての創作だろう。その意味では単なる原作の映画化にとどまらない娯楽ノンフィクション超大作。ちなみにエキストラ協力は「人民解放軍」。

しかし2点。こうした作品を観ると、やはり日本人の大物役者の不在ぶりが残念。曹操にしても「連合軍」の武将たちにしても、全く分からないが、いずれも映画作品一本をしょって立てるだけの迫力と存在感がある。金城武はいい線、いってるが、中村獅童は押さえたにしても、かなわないかもしれない。それと役者の新陳代謝。もう覚えてないが、過去の中国作品で活躍した役者はすでにお払い箱。常に新人を発掘して起用するという中国の映画作りの姿勢は、同じように映画ブームが無かった日本と比べると、映画作品に対する意気込みが感じられる。この意気込みが無い限り、たとえ作品のレベルが上がったにせよ、日本人の大物役者の登場は見込めないだろう。2点目。これ、何語でやってるのだろうか。体裁上、北京語か広東語に統一する必要があるが、中国本土公開用作品ならば北京語。香港(広東語)出身のトニー・レオンの声は北京語の吹き替えだろう。彼は歌も歌えるので、その部分だけ本人。これはやめた方がいいだろう。中国以外では北京語と広東語の違いは分からないのだし。端役ならどうでもいいが、主演級の役者の吹き替えはやめた方がいい。中国作品の吹き替え版はいくつか観たことがあるが、吹き替えしている声優がひどい。トニー・レオンが歌う場面が一つだけあるが、この部分を聴けば分かる。

しかし邦画に本作品なみの予算があって役者が居れば、考えただけでも恐ろしいくらい凄い作品ができるだろう。


ヒアリング度:
感動度:★★★★
二度以上見たい度:★★★★
劇場で見たい度:★★★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

ザ・バンク 堕ちた巨像 The International 2009

2009-04-10 09:18:29 | Weblog
ザ・バンク 堕ちた巨像 The International

U.S. Release Date: 2009

■監督:トム・ティクヴァ
■キャスト:クライヴ・オーウェン/ナオミ・ワッツ
■音楽:トム・ティクヴァ
■字幕:松浦美奈
■お勧め度:★★★

 「ワールドワイドな展開で難攻不落の巨悪に迫るポリティカル・サスペンス。違法行為に手を染める国際的な巨大銀行を追跡するインターポール捜査官が、執拗な妨害工作に遭いながらその実態と真相の究明に奔走する。主演は「トゥモロー・ワールド」のクライヴ・オーウェン。共演に「マルホランド・ドライブ」のナオミ・ワッツ。監督は「ラン・ローラ・ラン」「パフューム ある人殺しの物語」のトム・ティクヴァ。
 インターポール捜査官ルイ・サリンジャーは、ニューヨーク検事局のエレノア・ホイットマンと共に、ある重要案件の捜査に当たっていた。そのターゲットは、世界中の富裕層から莫大な資金が集まる欧州拠点の国際銀行IBBC。そこではかねてより不審な資金の流れがある、との極秘情報を得ていたのだ。サリンジャーはベルリンを皮切りに、リヨン、ルクセンブルク、ミラノ、ニューヨークといった各地を飛び回り、内部告発者や情報提供者と接触しながらIBBCの実態を探っていく。しかし、いずれも行く先々で証人・証拠が消され、狡猾非情に出鼻を挫かれてしまう。それでもサリンジャーは核心に迫るべく、ある覚悟を決めるのだが…。」(allcinema.net/より。)

この解説はちょっと違うのじゃないか。この銀行というのは多国籍企業で、その取り引き先は各国政府やらテロ組織やらで、その業務は「違法行為」じゃなくて「超j法規的行為」だろう。それがテーマ。どこかの政府が武器を買いたいと思ったら、こうした銀行を通すのが「まっとう」な方法だろう。むしろインターポールという捜査機関では、手に負えない問題に挑む姿を描くのが本題。その意味では良く描かれている。面白いのはインターポールの捜査官というのは、どちらかというと事務系で、ドンパチは苦手というか慣れていない。むしろ最後の方では殺し屋に手ほどきを受けるような所があって、そうした立場というか職務遂行能力で、そもそも挙げられない「犯人」に迫るというのが作品の面白さだろう。それに銀行というのは、自分で物を作ったり技術を活かして何かをするというより、お客さんの意向次第で何でもやるというのが実態で、たとえこの銀行が殺し屋を雇って誰かを殺したとしても、それは自社の利益というより、むしろお客さんのためだし、そもそもこの銀行の取締役や頭取は雇われた身で、自分たちの利益を追求するというより、与えられた職務を遂行することが優先される。早い話が「悪者」とは言えないし、そうした実態に迫るのが主な筋書きだろう。

ただし問題がある。サリンジャー役にクライヴ・オーウェンはもったいないだろう。存在感と迫力でいったら洋画界最高の一人が、筋書きのせいで空回りしてしまっている。むしろ持ち味を押さえる事に努力したような。それと根本的な問題として、銀行というもののこうした実態は誰でも知っている事ではないか。銀行というのは良い意味でも悪い意味でもマニュアル人間の巣窟なわけで、お客さんの意向をマニュアルどおりに処理するのは巧いにしても、自分たちで何かをやろうとすれば必ず失敗する。バブル崩壊で邦銀が全滅したのは誰でも知ってるし、投資をした事があるなら、銀行にしても証券会社にしても、営業の言う通りにやって儲かった事は無いだろう。むしろ描くべき事は、銀行が本作品のような超法規的行為に走る理由、要するに各国政府やらの思惑や野望、それに従うしか無い銀行の無力な実態。ただしこれを描いたにしても説得力が無かっただろう。製作者がお客さんだから。「誰も守ってくれない」と比べればすぐ分かる。あの作品では自分たちの行き過ぎた報道を視聴者のせいにして、反省を促している部分がある。本人たちが自分たちのやっている事を描いてテーマとしたわけだから説得力がある。本作品の場合は、自分たちの取引き相手である「他人」の実態をテーマにしたために、むしろ自分たちの責任逃れのような作品になってしまっている。観てて飽きることは無い作品ながら、内容を考えだすと疑問が残る。先週の話しから続けて言えば、クライヴ・オーウェンを見るだけの作品。ナオミ・ワッツもベテランになって、うまく引き立て役を演じているが、これは見る価値は無いだろう。


ヒアリング度:★★
感動度:★★
二度以上見たい度:
劇場で見たい度:★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

鑑識・米沢守の事件簿 2009

2009-04-04 09:48:21 | Weblog
鑑識・米沢守の事件簿 2009

U.S. Release Date:

■監督:長谷部安春
■原作:ハセベバクシンオー
■キャスト:六角精児/萩原聖人/市川染五郎/伊武雅刀/紺野まひる
■音楽:池頼広
■字幕:
■お勧め度:★★

 「水谷豊主演の大ヒット・ドラマ「相棒」シリーズのスピンオフ作品。「相棒-劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン」のサイド・ストーリーとして、ミステリー作家のハセベバクシンオーが同シリーズの人気キャラクターの一人、警視庁鑑識課の米沢守にスポットを当て書き上げたスピンオフ小説『鑑識・米沢の事件簿~幻の女房~』を映画化。主演は六角精児、共演に萩原聖人。
 不気味なテロリストの標的となってしまった東京ビッグシティマラソン。杉下右京と亀山薫が事件解決に奔走する傍ら、鑑識課の米沢守も顔認証システムで同大会の映像をサーチしていた。その時、米沢は数年前に離婚届を残して忽然と姿を消した元妻・知子の姿を見つけてしまう。翌日、その女性の死体が発見される。彼女は別れた妻と瓜二つの別人だったのだ。そして、現場で女性の元夫と名乗る刑事・相原と出会う。やがて2人は、証拠も不十分なまま自殺と断定されて幕引きを図られたこの事件に疑問を抱き、協力して極秘に捜査を開始するが…。」(allcinema.net/より。)

これは失敗であった。「相棒」(どころかテレビドラマ全般)を観ていない。なので本編との関係とかが全く分からないし、ブ男六角精児を見るのを我慢するのが最大の苦痛。ミステリー作品として見れば軽いが、これも本編のノリだろう。観る作品を間違った者が文句を言えることでは無い。

それにしても犯罪の舞台になる「青少年犯罪防止協会」という警視庁の外郭団体というのは、警察職員の天下り先になっていて、本作では本部でセクハラ疑惑でそこの理事長に左遷的に天下った元、エリート官僚(伊武雅刀)と、その部下(市川染五郎)を中心に、天下りという事に関してかなり深く批判しているが、テレビ局作品としては、ここまで言って大丈夫なのだろうかという驚きがあった。もっとも、その筋から文句が来ないように筋書き的に逃げてはいるが。人気のあるテレビドラマのオマケ的な作品として見れば、あまり多くを望む方が無理だろう。

しかしこういう作品を観ると、邦画のレベルが上がったと言っても、役者という事に関すると人材が居ないという事をひどく感じさせられる。先週の「ワルキューレ」は作品としてはつまらないにしても、トム・クルーズという役者だけを見る価値はあるし、作品の良し悪しを、昔のように出ている俳優だけで判断すると、かなり印象に残る作品と言える。これはしかし邦画がテレビに取って代わられて見捨てられて、映画俳優をやっていても食っていけない、そんな俳優に誰もなりたくない、いい映画を作っても見てくれない、そうした事のツケが回ってきたのだし、ここ数年、見ても、「千と千尋の神隠し」の頃にかなりな映画ブームがあっただけで、それ以降は元に戻ってしまったような状況なので、今後とも、昔のような大物映画俳優が出る可能性は無いだろう。とは言っても両方あってもいいだろう。俳優を見る作品と作品自体を見るものとが。その意味では最近の洋画、特にハリウッド作品の低調ぶりと邦画の好調ぶりは観る側としては選択肢が増えたようでいい事でもある。

本作品にしても、ひと頃の邦画の出来の悪さと比べれば、かなり出来のいい方だろう。上のテーマ(の逃げ方)もそうだし、おそらく隠しテーマとしてネットの問題があるだろう。薬品、毒物その他、なんでも匿名で買える。ネットで買わないにしても、米沢守の部屋には、ほとんど玩具みたいな物が山積しているが、これらも使い方によってはプロの鑑識官が使える。犯罪に役立つような物を意図的に売らないにしても、買った方に知識や技術さえあれば、どんな犯罪にでも使える。それが今の現実だろう。まあ、テーマとしての描き方は月並みにしても、やる事はやった作品と言えるだろう。(製作:テレビ朝日/東映)

ヒアリング度:
感動度:
二度以上見たい度:
劇場で見たい度:
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)