車輪を再発見する人のブログ

反左翼系リベラルのブログ

かんぽの宿騒動

2009年02月24日 | 経済一般

遅れてやってきたかんぽの宿騒動。あまりこの話題に興味がなかったので無視してたらかなりとんでもないことになってたようで、Diamond Onlineの永沢徹氏のコラムより。

日本郵政には、その「1円でも高く売る」という信念が感じられない。そもそも、今回の売却対象には、ホテル(かんぽの宿)だけでなく、レクリエーションセンター、従業員のための社宅まで含まれている。それぞれ目的が異なり、しかも全国各地に点在する施設。しかし日本郵政は、それらをまとめて売却という、「一括売却ありき」というルールを作り、資産価値最大化の努力を怠ってしまっている。・・・

メリルリンチは、入札のアドバイザリー契約料として、月額1000万円の定額報酬に加え、売却価格の1.4%の金額を成功報酬として受け取る契約になっていたといわれている。しかしこの成功報酬というのがクセモノ。もし売却価格の1.4%が6億円を下回った場合には、6億円は必ず支払うと“保証”されていたのだ。たとえいくらで売ったとしても、である。これでは成功報酬とはとてもいえない。・・・

通常、選定されたアドバイザーは、実際の売却価格が、自分たちが提示したターゲットプライスを上回らなければ、もらえるのは毎月の定額報酬だけで成功報酬は得られない、という仕組みとなっている。まさに売却価格をどこまで引き上げることができるかが、アドバイザーの“腕のみせどころ”となっているのだ。

しかし今回のメリルリンチにおいては、そのインセンティブが全く働いていない。成功報酬である6億円から逆算すれば、今回のターゲットプライスは、本来428億円であるべきである。だが実際の売却価格は109億円。その金額の乖離はあまりにも大きい。もし、この109億円が現時点で適正な額だとするならば、メリルリンチが受け取る成功報酬はせいぜいその1.4%の1.5億円程度で十分である。

驚きの内容であるが、日本郵政には本当にちゃんとした値段で売ろうという意思があったのか、メリルリンチをそういう意図で選んだのか多くの人が疑問に思うところだろう。今回の事例は今後入札等を行う場合の重要な教訓にしてほしいものだ。

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自己陶酔する人たち

2009年02月24日 | 経済一般

松本孝之さんからコメントが来てるが、返答が長くなりそうなので新エントリーで。資本主義崩壊とかいう人たちという題で次のようなコメントがきた訳だが、

こういう事態に陥った要因をよく
「資本主義はもはや崩壊した」
「小泉・竹中路線の弊害だ」
「新自由主義は貧困を創造する」
「いきすぎた規制緩和はいかがなものか」
という論陣を張られる人が日本には多数います。

どうして改革が道半ばだからとか、規制緩和が一部にだけ行われているため、そちらにしわ寄せがいっているという考え方が出てこないのか、不思議でなりません。
明らかにテレビ局は強力な規制内にいて、規制緩和されている中で戦っている下請け製作会社とは違うんですから、そのあたりの前提をしっかり考えて欲しいんですよね。識者と呼ばれる人たちに。

振り返ってみると日本が国際競争力を持ち世界的に注目されていたとき、日本は素晴らしい日本型雇用制度や資本主義の勝利だといっている人たちがいた。自由競争や市場主義が叫ばれたとき、規制を緩和すべきだ、弱者保護をやめるべきだ、格差に反対するのは可笑しいと言って非正社員に対する徹底的な市場化を推し進めた人たちがいた。そして今、アメリカが転ぶと資本主義の失敗だ、無闇な市場主義は駄目だ、日本独自の制度を守るべきだと言い出す人たちがいる。結局、すべて内容は同じで年功序列で正社員を保護することを肯定しているだけだ。

結局のところ、経済状況や社会状況、さらにはよって立つ経済理論的な考えも結論にはほとんど何の影響も与えなかった。あらゆる状況や理論が、その人たちの偏見のフィルターを通過することによって、その人たちにとって都合のいい結論に代わっただけだ。だから、保護といえば正社員を保護することで、自由競争といえば非正社員を何の保護もなしに放り出すことだ。結局は、たった一つの結論を導き出す、複数の都合のいい理論が存在しただけだ。そもそも色々な考えが存在しすらしなかった、本人達が自分の都合のいいように自己陶酔し続けただけであった。

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危機を予測する力

2009年02月24日 | 経済一般

The Big Pictureの記事より。内容は、多くの専門家が現在の危機を予測できなかった中で、未来を予測することに長けた人たちの特徴を専門家というものを研究している専門家であるPhilip Tetlockが語ったものである。

What makes some forecasters better than others?(何が一部の人の予測を他の人よりよいものとするのか)

The most important factor was not how much education or experience the experts had but how they thought. You know the famous line that [philosopher] Isaiah Berlin borrowed from a Greek poet, “The fox knows many things, but the hedgehog knows one big thing”? The better forecasters were like Berlin’s foxes: self-critical, eclectic thinkers who were willing to update their beliefs when faced with contrary evidence, were doubtful of grand schemes and were rather modest about their predictive ability. The less successful forecasters were like hedgehogs: They tended to have one big, beautiful idea that they loved to stretch, sometimes to the breaking point. They tended to be articulate and very persuasive as to why their idea explained everything. The media often love hedgehogs.(最も重要なのはどれだけ教育を受けたとか経験を積んでいるかということではなく、どのように考えるかということだ。Isaiah Berlinがギリシャの詩から借りてきた有名な言葉を知っているだろうか。「狐は多くのことを知っている。しかし、ハリネズミは一つの大きなことを知っている。」優れた予測をする人はBerlinの狐のような人だ。自分に批判的で、反する証拠に出会ったとき自分の信条を修正するいろいろなものの良いところを受け入れようとする思考者だ。全部を説明するスキームに懐疑的で、自分の予測能力に過剰な自身を持っていない。成功しない予測をする人はハリネズミのようだ。彼らは一つの大きな美しいを持ち、それを限界にまで広げるのが好きだ。しゃべるのが上手く、なぜその考えがすべてを説明するのか説得力がある。メディアはよくハリネズミを愛する。)

How do you know whether a talking head is a fox or a hedgehog?(どうやったら話しているのが狐かハリネズミかわかる?)

Count how often they press the brakes on trains of thought. Foxes often qualify their arguments with “however” and “perhaps,” while hedgehogs build up momentum with “moreover” and “all the more so.” Foxes are not as entertaining as hedgehogs. But enduring a little tedium is worth it if you want realistic odds on possible futures.(彼らが思考過程の中でどれだけブレーキを踏むか数えればいい。狐は自分の議論を「しかしながら」とか「おそらく」といった言葉でたびたび価値付ける。一方、ハリネズミは「さらに」とか「どれだけでも」といった言葉で勢いを付けていく。狐はハリネズミほど印象的ではない。しかし、現実的な未来の可能性を得るのなら少しの退屈も価値があるだろう。)

なかなか面白い内容だ。何事も現在の延長線上で説明できるとは限らない。だから、新しく起こったことなどにアンテナを張っている必要があると言うことだろう。今成功しているものをただ絶賛するのは簡単だが、それは一時のまやかしかも知れない。本当にそれを信じて良いのか考える必要があるだろう。

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