車輪を再発見する人のブログ

反左翼系リベラルのブログ

不平等政策の失敗

2009年02月02日 | 政治

昨日書いたアメリカのベイルアウトや日本の金融機関支援が、最悪の状態を想定して何でもいいからと対策を取った結果の失敗だとしたら、現在の日本の福祉政策は悪用される可能性を最大限考慮した結果、失敗したといえるだろう。金融機関が危機に陥ったときには最悪の事態を想定し経済全体への影響を考慮してどれだけ費用がかかったとしてもどれだけ高所得者を利することになってもどれだけ無責任であったとしても、経済全体のために無尽蔵に資金が注入された。一方で、日本の生活保護等の福祉政策においては、怠けているものが福祉の恩恵を受けたりすることがないように最大限厳しい基準がずっと採用され続けた結果、必要な人たちの多くが福祉を受けられないという結果が発生した。

ここで面白いのは、一方では出来る限り甘い基準で救済・支援し、他方では出来る限り厳しい基準で支援・援助が行われたということだ。だから、セイフティーネットや弱者救済に反対する人を説得することは不可能だった。そもそも完全な形でその政策がちゃんと弱者だけに施され弱者が最大限努力することが保障されないと納得させられないからだ。つまり、強者の保護に対しては甘い基準を、弱者に対する保護に対しては徹底的に厳しい厳しい基準を取ることが大前提でその中でしか考えることが出来ないからだ。

その意味で、福祉や弱者救済、平等に関する政策は、声の大きなものの意見を尊重した結果、強者を強く保護し、弱者を見捨てることによって見事に失敗したといえるだろう。日本の福祉政策の失敗は印象的であるが、ヨーロッパにおける既存労働者に対する保護政策の失敗も同じように悲惨なものであった。その一方で、弱者に対する保護政策がないがしろにされたために、多くの社会において不平等が拡大したといえるだろう。

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