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ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68 (スコア付き)

2024-07-15 06:30:33 | 音楽雑感&関連サイト

ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68 (スコア付き)

ヨハネス・ブラームス: 交響曲第1番ハ短調 作品68 (スコア付き) 作曲年代:1862年~1876年 指揮:サイモン・ラトル 管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 00:00 第1楽章 Un poco sostenuto — Allegro – Meno allegro (ハ短調) 14:05 第2楽章 Andante sostenuto (ホ長調) 23:17 第3楽章 Un poco allegretto e grazioso (変イ長調) 28:08 第4楽章 Adagio — Più andante — Allegro non troppo, ma con brio – Più allegro (ハ短調 — ハ長調) ヨハネス・ブラームスは、ドイツ北部のハンブルク出身のロマン派中期を代表する作曲家である。この『交響曲第1番ハ短調』は、21年という長期にわたって構想を練り続けて完成された最初の交響曲である。なぜこのような長い年月がかけられたのかは、決して彼が遅筆であるわけではなく、当時の時代背景による影響が大きいとされる。それは、ワーグナーに代表される「新ドイツ派」の対立である。ワーグナーとブラームスは不仲ではなかったが、当時のマスコミなどによって、両者は対立することとなる。他方、「交響曲」というジャンルは、ベートーヴェンが音楽芸術の最高峰たらんとしたことで、その後の作曲家にとってはプレッシャーの大きいジャンルになっていた。ブラームスは、「新ドイツ派」に対抗するという意味でも、「交響曲」というジャンルに傷をつけないためにも、さらには自身の芸術表現のためにも、交響曲の作曲には並々ならぬ情熱を注ぎこむ必要があった。そう考えると多くの時間が必要になったのには納得がいく。

第1楽章 Un poco sostenuto – Allegro  第1楽章は、大きく分けて「序奏」「主部」「結尾部」の3つに分けることができる。「序奏」 (0:04~) の聴きどころは、冒頭の半音階的な動機(音符や休符の連なりの最小単位)である。この動機は「主部」で登場する主題を凝縮したものであるから、ぜひ記憶しておいていただきたい。「主部」 (3:01~) での聴きどころは、楽章中で3度登場するヴィオラによる「ダダダン」の3音である。それまでの落ち着いた雰囲気を一変させる3音に期待してほしい。また、中盤からいろいろな楽器で奏でられる「運命動機(タタタターン)」も聴きどころである。難解な楽章ではあるが、以上の「聴きどころ」を探しながら聴いていただくと、楽しめるかもしれない。

第2楽章 Andante sostenuto  第2楽章の聴きどころは何といっても終盤に登場するヴァイオリン・オーボエ・ホルンによるSoli (20:12~) である。実は、この3パートの後ろでは、トロンボーンを除くすべてのパートが伴奏として演奏している。このような楽器の使い方もブラームスならではである。

第3楽章 Un poco Allegretto e grazioso  第3楽章は大きく分けるとA-B-Aの3つに分けられる。A部分 (23:17~) ではクラリネットの旋律も印象的だが、それを支えるチェロやコントラバスによるピッチカートも聴きどころである。この楽章のどこか温かみのある雰囲気は、これらのパートによる影響が大きい。B部分 (24:58~) は、金管楽器(ホルン・トランペット)の活躍が聴きどころである。2回目のA部分 (26:21~) では、1stヴァイオリンに4楽章の暗示とも思われる旋律が6小節間だけ現れる (26:42) 。お聴き逃しのないようにお願いしたい。

第4楽章 Adagio – Più Andante – Allegro non troppo, ma con brio  4楽章は「序奏(2部構成)」「主部」「結尾部」の3つに大きく分けられる。全体として、「暗」から「明」へのストーリーが感じられる。聴きどころは「序奏第2部」で登場するのホルンの旋律とトロンボーンによるコラールである (30:52~) 。ホルンの旋律はブラームスが1868年にアルプスで聴きとり、クララ・シューマン(シューマンの妻)の誕生日に歌詞付きでプレゼントしたものである。「主部」 (32:51) ではこの交響曲で最も有名な弦楽器によるベートーヴェンの「歓喜の歌」に似た旋律も聴きどころであるが、終盤に登場する「序奏第2部」の再現 (40:03) も聴きどころである。再現では、ティンパニの3連符リズムと、その他の楽器のリズムが複雑に絡み合うところが手に汗握る。「結尾部」(43:33) の聴きどころは、金管楽器と弦楽器による「序奏第2部」で登場したトロンボーンによるコラールの再現 (43:50) である。約40分の交響曲の中の「最上の境地」を、ブラームスはうまく演出できている。

 

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