鈴木信夫の詩の世界 ~筋ジスと向き合った40年~

筋ジストロフィーと向き合い、2011年5月、40歳の若さでこの世を去った詩人鈴木信夫の心に響く詩を紹介します。

鈴木信夫の「詩集」

これまでに出版した詩集は                                                     「マイナスからのスタート」(2001年文芸社)                                           「君に いい風 吹きますように」(2004年神奈川新聞社)                                               「生命いっぱい」(2007年神奈川新聞社)                                                      「こころのごちそう」(2012年神奈川新聞社) の4冊と                                                    浅田美知子さんとの共著の絵手紙詩手紙                                                                   「風のように花のように」(2010年 日貿出版社)                                        があります。ホームページでも紹介していますのでご覧下さい。                                               

あなたのために、あなたなりに

2014-02-09 | 
人の生き方は様々です。
外から押し付けられるのではなく、自分で決めることが大切ですよね。



       あなたのために、あなたなりに
                                 2006年5月 鈴木信夫

あなたはどういう風に生きたいと思いますか
ひかえめに生きたいと思うなら、ひかえめに生きるのもいい
そんな生き方もいいですね
どういう風に生きたいか、まだ見えてなくてもかまいません
あつく生きたいと思うなら、あつく生きるのもいい
そんな生き方もいいですね
いまから変えてみたい、それでも遅くありません
やさしく生きたいと思うなら、やさしく生きるのもいい
そんな生き方もいいですね
いままでどう生きてきたか、それよりだいじなことがあります
つよく生きたいと思うなら、つよく生きるのもいい
そんな生き方もいいですね
あなたにしか生きれない人生だからね、あなたのために生きるのがだいじです
あなたの代わりになる人はだれもいないからね、あなたなりに生きるのがだいじです
それがいちばんだいじです
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車椅子目線-生命と心に目を向けて

2014-02-08 | 
立っているときと座っているときとでは見える景色が違います。
ともすれば上ばかり見てしまいがちですが、時には、低い目線で世の中を眺めてみるのもいいと思います。


     車椅子目線-生命と心に目を向けて
                                  2006年5月 鈴木信夫

僕の目線は車椅子の目線です、だからこそ分かることがあります
すこし目線を下に、花たちに、子供たちに向けてみてください
そこにある生命たちをみてください
みすごしている生命たちをみてください
「もっともっと上に行きたい」と思っているあなたは
上ばかり見ようとするのはやめたほうがいいと思います
たいせつなことが見落としがちになりやすいから
ちいさななことが目に入らなくなりやすいから
ときどきは下をみてみませんか、何かに気がつくはずです

僕の目線は弱い者の目線です、だからこそ分かることがあります
すこし目線を内に、あなたの、人々の心に向けてみてください
そこにある恵みを抱きしめてください
みえないところにある恵みを抱きしめてください
「これさえあれば幸福なれる」と思っているあなたは
ないものを手にしようとしすぎるのはやめたほうがいいと思います
あなたの想い描いた通りになるとは限らないから
幸福がすべてあなたのものになるとは限らないから
ときどきは手をはなしてみませんか、何かに手が届くはずです
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さようなら、かなしみたち

2014-02-07 | 
生きていれば避けられないかなしみ、ないほうがいいに決まっていますが、
それすら、ありがとうといえることに感心します。



      さようなら、かなしみたち
                        2006年5月 鈴木信夫

かなしみたちがいたから生きていることを確かめられた
今、想う「ありがとう、かなしみたち」
かなしみたちが心で生きていることを教えてくれた
今、想う「ありがとう、かなしみたち」
かなしみのない世界、たとえ求めたとしても
かなしみのない世界、そんなものあるはずないから
今は、「さようなら、かなしみたち」
そういって、笑っていれば、生きていける
かなしみたちがいたから生きる意味を知ることができた
今、想う「ありがとう、かなしみたち」
かなしみたちが心に大切なものを残してくれた
今、想う「ありがとう、かなしみたち」
かなしみのない世界、すべての人の願いかもしれないけど
かなしみのない世界、そんなものあるはずないから
今は、「さようなら、かなしみたち」
そういって、笑っていれば、歩いていける
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未来を生きる君たちへ

2014-02-06 | 
自身が卒業した中学校を皮切りに、川崎市・横浜市の中学校・高等学校や看護学校などで講演をしてきました。
自分自身が経験したこと、そこから学んだことを若い人たちに話してきました。
社会に出るとついつい忘れがちになる大事なことを伝えてきました。
それが今でも心に残っていてくれればうれしいのですが…。


      未来を生きる君たちへ
                        2006年4月 鈴木信夫

未来を生きる君たちへ伝えたい事があります
私が話す事をすこし聞いてくれますか
人について話します
ひとつ痛みを知ったなら、人には優しくしてみてください
ひとつ憎しみ感じたら、人を許してみてください
人から愛されたいのなら、人を愛してみてください
確かに君たちに伝わってますよね

未来を生きる君たちへ伝えたい事があります
私が話す事をすこし聞いてくれますか
心について話します
心に迷いがあったなら、とにかくチャレンジしてみてください
心が見えなかったら、なにかを求めつづけてみてください
心が追いつめられたなら、小さな事を大切にしてみてください
確かに君たちに届いてますよね

未来を生きる君たちへ伝えたい事があります
私が話す事をすこし聞いてくれますか
生命について話します
そこに花が咲いていたら、生命について考えてみてください
いちばん苦しい時には、君自身と向き合ってみてください
どんな事があっても、生きる事だけはあきらめないでください
確かに君たちは生かされてますよね
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「勇気」は「優気」

2014-02-05 | 
最近、電車でお年寄りや足が少し不自由な方に席を譲るときに、声をかけるのもけっこう勇気がいるものだ、ということを聞きます。本当の勇気はこういう優しさなのかなと思います。


          「勇気」は「優気」
                             2004年10月 鈴木信夫

勇気という言葉は、「優気」ともかけるよ
なぜかって、優しくなければ、勇気は生まれてこないから
なぜかって、強気なことだけが勇気じゃないから
本当の勇気ってそうでしょう
本当の勇気を持つ人になっていけたなら、いいですよね
そして「優気」は、勇気へ帰っていくよ
なぜかって、勇気がなければ、人に優しくなんてできないから
なぜかって、いいかげんな優しさだけじゃ生きられないから
本当の優しさってそうでしょう
本当の優しさを持つ人になっていけたなら、いいですよね
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長く生きてしまったら…

2014-02-03 | 
一日を大切に生きてきましたが、自分が長く生きることで周りに迷惑をかけ続ける…、
と思っていたようです。
40歳の人生、はたして長かったのでしょうか、短かったのでしょうか?


      長く生きてしまったら…
                         2005年7月 鈴木信夫

今日を生きられること、穏やかな日々が与えられること
幸せな時間があることに心から感謝している
それにすぐに逝きたいなどとは思わない
だけど、どこかですぐ考えてしまう
「もし、長く生きてしまったら…どうする?」
なぜそう思うかって、それはわかりきっていること
こんな私が長く生きるのは、そばにいてくれる、あなたに迷惑をかけること
こんな私が長く生きるのは、心のどこかで私自身が許していない
ああ、神様、できるなら生命の期限を教えてください
そうすれば、思い悩まずに生きられるのに
そうすれば、一日をもっと大切にできるのに
そんなふうに考えながら今日も生きている
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あすの朝、目覚めませんように

2014-02-02 | 
自分の力で自分の身体を動かすことができない辛さは本人でなければわかりません。
そんな気持ちを持って一日一日を生きてきました。
時には死んでしまいたいという思いを持ったこともありました。
でも、生きることがやっぱり一番大事なことだったようです。


      あすの朝、目覚めませんように
                          2005年7月 鈴木信夫

「あすの朝、目覚めませんように」と何度、祈っただろうか
つらいことが自分にふりかかってきた時に
訳もわからず自分だけが不幸だと思った時に
もう耐えられないと思った時に
そのほうがすべて楽になる気がしたから
間違いだってわかっているけど、人間だから仕方ない
そのほうがこころ安らかになれる気がしたから
間違いだってわかっているけど、人間だから許してほしい
それでもなぜか朝がまた与えられている事実
「生きよ、生きなさい」そういう声なき声なのかもしれない
それが答えなら、生きるしかない
ひたすら信じていくしかないのかもしれない
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おまけの人生

2014-02-01 | 
7歳の時に筋ジストロフィーと診断されました。
治療法はなく、医師からは20才までの生命といわれていました。
それが、医療機器の進歩もあって40歳まで生きることができました。
この詩は詩集「生命いっぱい」(P31)に収められています。


        おまけの人生
                        2005年11月 鈴木信夫

神様が元々くれたのは、ほんの20年の人生
「そんなみじかい人生じゃ」って思ってきた
「そんなんじゃ足りるはずないよ」って思ってきた
それがいつのまにか30年をこえていた
「まあ、そんなわるくもないか」って今思う
20年しかない人生だったのに10年「おまけ」がついたから
20年は、人から与えられてきた人生だったから、
これからは、なにかを与えられる人生を送ろう
これからは、なにかお返しの人生を送ろう
今なら、この「おまけの人生」にありがとうと言える
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作品を引用するとき

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