鈴木信夫の詩の世界 ~筋ジスと向き合った40年~

筋ジストロフィーと向き合い、2011年5月、40歳の若さでこの世を去った詩人鈴木信夫の心に響く詩を紹介します。

悲しい指先たち

2019-07-26 | 
+++++++++++++++++++++++++++++++
鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は1年を超えて
続いており、このころは、ほぼ1日に1編の詩をつくっています。
詩手紙そのものや書き加えたコメントを選んで紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
+++++++++++++++++++++++++++++++

この詩にある「悲しい指先」とは、どういうことでしょうか。
このころは手は殆ど動かすことができず、かろうじて指先だけでパソコンを使って、詩をつくっていました。
思うように動かせない指、その指先を悲しいと表現しているものと思います。

詩手紙にはこんなコメントが書かれています。
「晴れている日に窓から見えた空の青さがあまりにキレイで眩しくて、生まれた詩です。」


          悲しい指先たち
                              2009年9月

9月の空、青を際立たせて
そこに、吸いこまれそうなほどに
映る光景がにじむように
時はながされてゆく、風はながされてゆく

わたしは、見つめる、悲しい指先を
涙をためた、言葉を吐きながら
そして、想いは生命をもらうのです
わたしは、見つめる、悲しい指先を
言葉を描きたい、わずかであっても
そして、想いは息づいてゆくのです

9月の空、青を広げている
どこまでも、果てないくらいに
季節で咲く花がかわるように
時はながされてゆく、雲はながされてゆく

わたしは、見つめる、悲しい指先を
見落とされた、言葉、記しながら
そして、想いは生命にかわるのです
わたしは、見つめる、悲しい指先を
いくつもの言葉、生み出すために
そして、想いはわたしを刻むのです

   詩手紙2009.9.30
   
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« キバナコスモス | トップ | Manjusyage(曼珠沙華) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

」カテゴリの最新記事