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SURGERY NOW note

がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。

あらすじで読み解く古事記神話

2012-10-25 | 雑感
三浦佑之氏の近著「あらすじで読み解く古事記神話」を読みました。スサノオのヤマタノオロチ退治、稲葉の白兎、国譲りなどの出雲のオオクニヌシの神話、ニニギらの天孫降臨神話、カムヤマトイハレビコの東征神話などが、美しい写真とともに分かりやすく解説されています。古事記の神話は誰が主人公だったか混同し易いのですが、出雲、日向、大和などの地域とともに覚えると間違えにくいと思います。

平凡社ライブラリー「史記」解説一海知義

2012-10-23 | 雑感
司馬遷が、前漢の武帝の時代、紀元前90年頃に完成させた史記の解説書を読みました。史記は高校時代に漢文の授業で読んで以来ですので、実に約38年ぶりでした。司馬遷の簡潔にして冷徹な文体には脱帽しました。最もインパクトのあったのは悲劇の将軍ー李広と李陵の部分でした。今度は私の高校時代の現代国語と漢文の教師だった福島中郎先生の本「史記」も読んでみるつもりです。

膵体部がんに対する拡大手術

2012-10-23 | 治療
進行した膵体部がんは、胃、大腸、肝臓などの臓器や、脾動脈、腹腔動脈、総肝動脈、門脈などの太い血管に浸潤することが少なくありません。そのため、膵体部がんを切除するためには、胃、大腸、肝臓、門脈、腹腔動脈などを適宜切除する必要があります。先日の膵体部がんに対する膵体尾部切除術では、さらに胃全摘、横行結腸切除、肝臓の部分切除をせざるを得ませんでした。大変な大手術ですので患者さんにとっても大きな負担です。しかし、今回は門脈と腹腔動脈の切除はしないで済みましたのでまだ良かったと思います。

胆道がんの集学的治療ー外科治療と化学療法

2012-10-21 | 学会
2012年10月19日に甲府市で「胆道がんの集学的治療ー外科治療と化学療法」というテーマで講演をしました。外科治療に関しては肝内胆管がん・肝門部胆管がん・下部胆管がん・胆嚢がん等に対する手術法と成績、化学療法に関しては切除後の補助化学療法と切除不能進行胆道がんに対する化学療法の進歩についてお話ししました。

甲府には浅野先生や当時の同僚で今は藤田保健衛生大学移植外科の教授になった剣持先生などと学会で20数年前に行ったのですが、何学会だったかはっきりとは覚えていません。その時初めて馬刺を食べたように記憶しています。その時に比べると甲府駅はとても綺麗になっていました。今回は翌日手術があるため、講演直後に駅に向かい特急で帰りました。また個人的に温泉などにゆっくり行ってみたいと思います。

胆道がんに対する補助化学療法の臨床試験

2012-10-14 | 治療
肝内胆管がん、肝外胆管がん、胆嚢がん、乳頭部がんを含む胆道がんは、一般に進行がんが多く、リンパ節転移や肝転移をしばしば認めて、切除不可能なことも少なくありません。しかし、標準的な化学療法であるゲムシタビン+シスプラチン療法も有効性は高くないため、切除可能であれは拡大肝切除や膵頭十二指腸切除を行うことが原則です。しかし、たとえ切除できても、リンパ節転移があった場合には再発率が非常に高いことが知られています。

このように悪性の胆道がんの治療成績を向上させるにはどうすればいいのでしょうか?胆道がんに対する手術前後の補助療法の有効性は科学的に証明されていないのですが、膵がんや胃がんでは術後補助化学療法が有効ですので、何らかの補助化学療法が有効である可能性はあります。

現在、東海大学消化器外科では胆道がんに対する補助化学療法の臨床試験を二つ行っています。一つは切除後のゲムシタビン+S-1(GS)療法で、もう一つがゲムシタビン+シスプラチン(GC)療法です。当分の間は主にGS療法の有効性を臨床試験として検討する予定です。