SURGERY NOW note
がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。
 



2013年7月24日から第44回日本膵臓学会に参加するために仙台に来ています。朝早く神奈川で学生講義をしてから正午少し過ぎに仙台に来たところ涼しいのでびっくりです。現在の仙台の気温は20度、上着を着ているのが普通の感じです。

今回の膵臓学会では私は発表はありませんが、司会を担当します。また本日は膵癌に対する術前化学療法の臨床試験に関する会議に参加し、さらに膵臓学会評議員会に参加しました。明日からも学会で勉強しつつ交流を広げたいと思います。

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現在、私達東海大学消化器外科では、膵癌に対して術前に約1カ月半ほどゲムシタビンとS-1を併用する補助化学療法(術前GS療法)を行っています。その場合、原則として術後にも半年間、S-1による補助化学療法を行います。また、先に手術をしてから術後に半年間補助化学療法を行うこともあります。

術前補助化学療法には、東海大学独自の臨床試験と全国規模の臨床試験の二つがあります。東海大学独自の試験では、組織学的に膵癌であることか証明されるなどの適格基準に合えば全員術前補助化学療法を受けます。一方、全国規模の試験では術前に補助化学療法をする群としない群にランダム化をします。つまり、半数の人は化学療法を受けますが、半数は化学療法をせずに手術を受けます。術後は原則としてS-1を半年間服用します。また、全国規模の試験では確実に切除可能な膵癌が対象ですが、東海大の試験ではさらに進行していて切除可能か不可能か判定の困難なBorderline resectable膵癌も対象にしています。既に東海大の試験では20人以上が術前治療を受けています。

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2013年7月17-19日に宮崎市で第68回日本消化器外科学会が開催されました。会長は宮崎大学の千々岩教授で、7000人前後の人が参加し、かなり盛り上がっていました。私は切除可能膵癌およびBorderline resectable膵癌について発表しました。その内容を少しご紹介します。

東海大学消化器外科で切除された約300例の膵癌について、術後の補助化学療法としてゲムシタビン、ゲムシタビン+S-1、S-1を投与した患者さんの予後はほぼ同等でした。補助化学療法を受けなかった膵癌患者の予後は前述した化学療法群と比べて有意に不良でした。

動脈に接するBorderline resectable膵癌では、約4割は切除可能でしたが、切除できた中の約4割は切除断端がん陽性、つまり癌が遺残したのです。予後をみると切除できたBorderline resectable膵癌の方が、切除できなかったものよりも生存期間は長いのですが、再発率は高く5年生存率は11%に過ぎませんでした。しかし、最近は術前化学療法を行うことにより、切除率は向上しリンパ節転移も明らかに少なくなりました。今後もBorderline resectable膵癌および切除可能膵癌ともゲムシタビンとS-1を併用した術前化学療法を行いたいと思います。

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2013年7月10日横浜市で第11回神奈川胆膵癌研究会が開催されました。東海大からは診断に苦慮した膵神経内分泌腫瘍(NET)症例を内科の小川講師が発表しました。

これは膵体尾部の巨大な腫瘍で、充実性部分と嚢胞性部分が混在していて術前には確定診断できず、摘出して初めてNETであることが分かったのです。一般にNETは、造影CTで早期動脈相からほぼ均一に強く造影されますが、今回のNETでは周囲の被膜部分と内部の一部がまだら状に造影されました。さらに、内部には出血と壊死、そして嚢胞が混在していました。大きさも、来院時には18cmもあり、切除時にも10cm近くあり、私の経験した中で最も大きなNETでした。

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鴨川ホルモーなどで有名な小説家、万城目学氏のエッセイ集「ザ•万字固め」を読みました。万城目氏は大阪市出身ですので、エッセイでは必ず笑い処が用意されています。しかし、今回のエッセイ集はこれまでの笑い満載のものとは若干異なり、作家自身の日常を興味深く切り取ったような内容になっています。どれも気軽に楽しく読めるエッセイです。

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