太宰治の「人間失格」を読みました。小説の主人公は、著者自身あるいは分身のような人物で、まさに社会的・経済的には人間失格な人物です。しかし、周りの多くの女性達からは愛されて、世話を焼かれ続けます。
この小説を読むと、主人公に明日はあるのか、と考えてしまいます。彼は何とか生きてはいますが、特にやりたいこともなく、生き甲斐もなく、何かを楽しみにしている様子もありませんので、社会的にも経済的にも立ち直れる可能性はないと思います。実際に、太宰治はこの小説を脱稿後直ぐに自殺を図ったそうです。そんな希望もない人間失格な主人公の小説ではありますが、不思議と強いインパクトを残す小説でした。