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SURGERY NOW note

がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。

膵臓がんに対する外科治療成績の向上

2024-08-22 | 治療

膵臓がんの外科治療成績は最近かなり改善しました。

私の国がん東時代(1999〜2009年)の膵臓がん切除後の5年生存率は15%前後と極めて不良でした。

東海大学に移った当初の2010〜2015年の膵臓がん連続切除例(n=208)の5年生存率は24%、生存期間中央値は25ヶ月と若干改善したもののやはり不良でした。(生存期間中央値とは、平均生存期間にある程度近い数字です)

しかし、2016年に膵臓がんに対する術後補助化学療法としてS-1(ティーエスワン)が標準治療となってからは治療成績が改善し、2016〜2022年の膵臓がん連続切除例(n=193) の5年生存率は34%、生存期間中央値は33ヶ月と著明に向上しました。


2024年4月から白井聖仁会病院外科に勤務します

2024-04-15 | 治療

2024年3月末で東海大学肝胆膵外科を定年退職し、4月から千葉県の白井聖仁会病院外科に勤務しています。千葉ニュータウンの白井駅から徒歩10分弱と交通の便の良い所にある約200床の綺麗な病院です。周囲には栗林が広がるのどかな所にあります。火曜日午後と、金曜日の午前午後に外来をしますので、肝臓、膵臓、胆嚢、胆管などの病気で心配な方は来ていただきたいと思います。

私としては地元の千葉に戻りましたので、これからは地元の患者さんに頼りにされるような外科医として働きたいと思います。よろしくお願いいたします。


膵がん術後の生存率が劇的に改善したことを最終講義で発表

2024-03-31 | 治療

2024年3月の最終講義で、膵がんの術後生存率が2016年以降劇的に改善したことを発表しました。

東海大における2015年までの膵がん約400人の術後5年生存率は23-4%でしたが、2016年以降の約200人の5年生存率は35%と劇的に改善しました。この主な原因はS-1による術後補助化学療法です。S-1による術後補助化学療法を4コース(半年間)できた人では5年生存率が40%以上と極めて良好です。このように今では膵がんでも手術を受けられれば1/3以上の人が5年以上生きることができますので、前向きに治療に取り組んでいただきたいと思います。


パープル市民セミナー2024を開催しました

2024-02-18 | 治療

2024年2月18日に、膵がんの診断と治療に関する最新情報を発信する「パープル市民セミナー2024」を行いました。以下の7人が講演いたしました(敬称略)。

小さな膵がんを見つけるには?JA尾道総合病院副院長 花田敬士

膵がんのゲノム医療 東大医科学研究所ヒトゲノム解析センター教授 柴田龍弘

膵がんの外科治療と術前・術後補助療法 東海大学消化器外科教授 中郡聡夫

膵がんに対する化学療法の副作用とその対策 東海大学消化器内科講師 川西彩

膵がん治療中の自宅での看護とケアの注意点 東海大学消化器病棟看護師 高水杏子

膵がんの痛みを抑える緩和ケア 東海大学緩和ケア科准教授 津田万里

膵がん治療中の食事の摂り方 東海大学付属病院栄養士 山本志保

 

パンキャンジャパンの皆さんのご協力でとても良いセミナーになり、膵がんの患者さんとご家族に参考になったのではないかと思います。