2017年6月16日に千葉市で開催された千葉県進行膵・胆道癌治療研究会で、borderline resectable膵癌と切除不能膵癌に対するcoversion手術について講演しました。borderline resectable(BR)膵癌とは画像診断上、血管浸潤が疑われて切除可能か不可能か判定の困難な進行膵癌のことです。そのまま切除すると断端にがんが遺残してしまう可能性が高いのです。BR膵癌は、門脈系だけに浸潤のあるBR-PV膵癌と上腸間膜動脈または腹腔動脈に接触・浸潤を認めるBR-A膵癌に分類されます。東海大学の症例BR-A膵癌100例、BR-PV膵癌85例を検討すると、BR-A膵癌の予後はBR-PV膵癌よりも不良でした。coversion手術とは当初は切除不可能な膵癌ですが、化学療法などにより腫瘍が縮小して切除可能になった膵癌を切除することです。遠隔転移のある場合と血管に浸潤した局所進行膵癌がありますが、東海大では遠隔転移例からのcoversion手術の方がやや多い傾向です。
ドストエフスキーの長編小説「白痴」を読みました。白痴とは純粋で善良な主人公のムイシュキン公爵のことです。ドストエフスキーの作品ですから、魂は激しく揺すられますが、不思議と読後感は爽やかです。実は私は最初余り考えずに亀山郁夫訳で読み始めたのですが、途中までしかまだ刊行されていなかったので、木村浩訳でまた最初から読みました。
2017年6月3日に昭和大学医学部の講堂で開催されたHAB研究機構市民公開シンポジウムで、「膵がん外科治療の最前線」というテーマで講演いたしました。400人以上の市民の参加があり会場は熱気さえ感じられました。私個人的にもこれだけ多くの市民の前で講演をするのは初めてでした。東海大学医学部消化器内科の川口義明先生が膵がんの内科的治療と内視鏡診断、放射線医学総合研究所の山田滋先生が膵臓がんに対する重粒子線治療について講演しました。