膵蔵の腫瘍で、膵がん、膵管内乳頭腫瘍の次に多い腫瘍が膵内分泌腫瘍です。以前は膵島細胞腫と言われていましたが、現在では内分泌腫瘍ということが多くなりました。2004年にWHOは膵内分泌腫瘍の新しい分類を発表し、大きく以下の4種類に分類しています。
高分化型内分泌腫瘍 (well differenciated endocrine tumor)
高分化型内分泌がん (well differenciated endocrine carcinoma)
低分化型内分泌がん (poorly differenciated endocrine carcinoma)
外内分泌がん(mixed exocrine-endocrine carcinoma)
最も頻度が高く比較的良性の経過をとることの多い高分化型内分泌腫瘍は、良性(benign behavior)と良悪性不明(uncertain behavior)の2型に細分類されます。
全ての膵内分泌腫瘍は、インシュリンやガストリンなどの膵ホルモンを産生する機能性タイプとホルモンを産生しない非機能性タイプに分類されます。機能性内分泌腫瘍では、インシュリンを産生するインシュリノーマ、ガストリンを産生するガストリノーマ、グルカゴンを産生するグルカゴノーマなどが比較的多く認められます。インシュリノーマは良性腫瘍が多いのですが、ガストリノーマは多発することが多く悪性が多いとされています。
私が経験した膵内分泌腫瘍の大多数は、ホルモンを産生しない非機能性腫瘍でした。2cm以下でも上腸間膜動脈周囲に多数のリンパ節転移を認める高分化型内分泌がんや、大変珍しい外内分泌がんの患者さんに遭遇したこともあります。こうした稀なタイプの場合、術前に確実に診断するのは現在でもかなり困難です。
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