SURGERY NOW note
がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。
 



 膵蔵の腫瘍で、膵がん、膵管内乳頭腫瘍の次に多い腫瘍が膵内分泌腫瘍です。以前は膵島細胞腫と言われていましたが、現在では内分泌腫瘍ということが多くなりました。2004年にWHOは膵内分泌腫瘍の新しい分類を発表し、大きく以下の4種類に分類しています。

 高分化型内分泌腫瘍 (well differenciated endocrine tumor) 

 高分化型内分泌がん (well differenciated endocrine carcinoma) 

 低分化型内分泌がん (poorly differenciated endocrine carcinoma) 

 外内分泌がん(mixed exocrine-endocrine carcinoma) 

 最も頻度が高く比較的良性の経過をとることの多い高分化型内分泌腫瘍は、良性(benign behavior)と良悪性不明(uncertain behavior)の2型に細分類されます。

 全ての膵内分泌腫瘍は、インシュリンやガストリンなどの膵ホルモンを産生する機能性タイプとホルモンを産生しない非機能性タイプに分類されます。機能性内分泌腫瘍では、インシュリンを産生するインシュリノーマ、ガストリンを産生するガストリノーマ、グルカゴンを産生するグルカゴノーマなどが比較的多く認められます。インシュリノーマは良性腫瘍が多いのですが、ガストリノーマは多発することが多く悪性が多いとされています。

 私が経験した膵内分泌腫瘍の大多数は、ホルモンを産生しない非機能性腫瘍でした。2cm以下でも上腸間膜動脈周囲に多数のリンパ節転移を認める高分化型内分泌がんや、大変珍しい外内分泌がんの患者さんに遭遇したこともあります。こうした稀なタイプの場合、術前に確実に診断するのは現在でもかなり困難です。

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 先日、腹腔鏡手術のトレーニングセンターに行って腹腔鏡による肝切除の練習をしてきました。消化器外科手術の中で、大腸がん手術と胃がん手術では腹腔鏡がかなり普及しましたが、肝臓・胆道・膵臓の手術にはこれまで腹腔鏡はあまり普及していません。肝胆膵外科の手術は大手術で、かつ複雑な再建が必要なことも多いので、今後も腹腔鏡手術はそれほどは普及しないとは思いますが、腹腔鏡の方が良い場合は確かにあると思います。私自身腹腔鏡下胆嚢摘出術はかなり経験がありますので、ある程度はできる自信はありますが、人で行う場合にはやはり十分練習を積む必要があると思います。これからもチャンスを見つけては少しずつ練習をしていきたいと思います。

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 月刊誌「消化器外科ナーシング」の今年の4月号から「やさしくひもとくニュース・クローズアップ」という連載コーナーを担当しています。実はこれは昨年からやっている医療ニュース解説を少し発展させたコーナーです。

 4月は大腸がんの肝転移に対する肝切除術、5月号は肥満と糖尿病で肝細胞がんの発症リスクが2倍以上に、というテーマについて解説しました。6月号は宇宙ステーションの健康管理について紹介する予定です。もし機会がありましたら、図書館などでお読みいただけると幸いです。

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 2009年の4月大歌舞伎で伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)を見ました。今回は玉三郎が政岡、仁左衛門が八汐と細川勝元、吉右衛門が仁木弾正という豪華メンバーでした。玉三郎の政岡は様式美を追求しており、出てくるなり大変神経質な雰囲気を醸し出していました。初めてみる飯炊きのシーンなどは、様式的で大変良い感じではあったのですが、嘆きのシーンでは昨年見た菊之助の政岡ほど胸に迫っては来ませんでした。菊之助の政岡の時は、観客のおばさま達の多くが泣いていましたが、今回は泣いている人はあまりいませんでした。しかし、沖の井の福助、仁左衛門の八汐と細川勝元、染五郎の絹川谷蔵、橋之助の足利頼兼などは非常にすばらしい演技だったと思います。

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 手術後に1日の半分以上しゃっくりをしているような患者さんがいます。しゃっくりが続くと、寝ることもできませんから患者さんにとっては大変深刻です。しゃっくりは基本的には横隔膜の痙攣です。胃が張っていたり、横隔膜周辺に炎症があることによって、横隔膜が刺激されやすい状態になっていると考えられます。

 先日、私の患者さんで膵臓の手術後にしゃっくりが止まらない人がいました。そこで、しゃっくりに効くという「柿のへた」を煎じた液体を処方しました。ちょうど処方した日には、しゃっくりがかなり止まりましたが、本当に柿のへたが効いたのか、たまたま止まる頃だったのかは定かではありません。いずれにせよ眠れるようになって退院することができました。

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