SURGERY NOW note
がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。
 



万城目学氏の最新作[かのこちゃんとマドレーヌ夫人]を読みました。子供と大人向けのファンタジー小説です。輪郭のはっきりしたキャラクターが登場し、冒険や別れがある上に、少し不思議な体験もありますので、子供も楽しめる小説だと思います。勿論、大人も楽しめます。

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今週、膵がんに対する重粒子線治療の班会議に参加してきました。術前に重粒子線治療をしてから切除した群の成績が大変良く、3年生存率は50%以上でした。転移のない膵がんにはかなり有効であることがわかりました。しかし、肝臓や腹膜への転移が悪化した人も少なくありませんので、化学療法の併用は今後必須と思われます。

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 日本では、膵がんや下部胆管がんの手術前に黄疸を取る処置をすることが多いのですが、黄疸を取る必要はないという意見もあり、はっきりした結論はついていませんでした。

 世界で最も権威のある医学雑誌New England Journal of Medicineの2010年1月号に、術前に黄疸を取る処置をした群としない群で手術成績を比較した無作為化比較試験の論文が掲載され、黄疸を取る処置をした群で合併症が多いので、処置は不要であると結論していました。

 黄疸を取る処置の上手い下手で、その処置に関連する合併症の結果はかなり違うと思います。しかし、少なくとも黄疸を取るメリットが無いことは明らかになったと考えられます。私達の施設でも今後は黄疸は取らずに膵頭十二指腸切除を行う方向にしたいと思います。ただし肝切除がある場合は黄疸を取ることは絶対必要だと考えています。

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西村淳氏のエッセイ面白南極料理人を読みました。南極大陸で富士山より高い所にあるドーム基地で越冬した経験を書いたもので、映画の原作にもなりました。越冬隊員の中に一人麻酔科の医師が参加していたのですが、そのドク氏のタフさが印象的でした。ー50度、60度の中、自転車を乗り回したり、大きなドラム缶を率先して転がすなど人間ばなれした活躍ぶりでした。人間、極限状態ではやはり体力がものを言いますね。私ももう少し頻繁にスポーツクラブに行かなくては!

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院内カンファレンスで、肝内胆管がんに対する外科治療と成績について発表しましたので、その要点をご紹介します。

肝内胆管がんは、日本では原発性肝がんに分類され、肝細胞がんに次いで2番目に多く、原発性肝がんの4%を占めています。欧米では胆道がんに分類されることが一般的です。肝内胆管がんは、大変悪性のがんです。発見された時点で、遠隔転移や高度の血管浸潤を認めて切除不可能なことも少くありません。また手術ができても再発することが多いのです。

国立がんセンター東病院における切除66例で術後生存率を検討したところ、肝内転移・肝門型・断端がん陽性の3つが有意な予後不良因子でした。8例に門脈合併切除再建を施行したところ、多くは早期に再発しましたが、5年以上生存している人もいました。門脈に浸潤している進行例ですので、門脈浸潤のない症例よりも生存率は不良の傾向でしたが、有意差はありませんでした。今後も血管合併切除を伴う肝切除を行なう意義はあると思います。

約40%でリンパ節転移を認め、その生存率は不良なのですが、転移の無いものと比較して有意差はありませんでした。従って、所属リンパ節転移があっても切除するべきだと考えられます。

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