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SURGERY NOW note

がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。

勘三郎さんのご冥福をお祈りいたします

2012-12-05 | 雑感
歌舞伎役者の中村勘三郎さんが食道がん術後の急性呼吸窮迫症候群で亡くなられました。勘三郎さんの歌舞伎の演技は独特でした。庶民的な親しみやすさがありましたが、表情や身体の動きにはとても繊細な表現力があったと思います。幸い後継者である勘九郎と七之助が最近メキメキ力をつけていますので中村屋としては大丈夫でしょう。

ところで、急性呼吸窮迫症候群とは私たち消化器外科医が時々遭遇する病気です。肝胆膵領域では、特に拡大肝切除術後に発生しますが、感染や急性循環障害などを伴うことが多く、死亡率が比較的高いのが特徴です。全身状態が悪化している人に起こってなかなかスッキリと治らないので、回復するとしても長期ICU管理となります。もちろん急速に悪化して死の転機を取ることも少なくありません。