文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

景気回復に向かう最初の局面において、非正規雇用が増えるのは仕方がありません。いずれ正規雇用も増えていくと説明していましたが、実際にそうなった。

2021年10月27日 15時07分11秒 | 全般

昨日発売された月刊誌WiLLは当然ながら毎日配達されている全国紙とは発行部数は段違いに少ない。
だが、それはノーベル賞を受賞するような人たちは頻繁にマスメディアに登場したりする人達では全くない、言わば、ごく少数派であるのと同様なのである。
つまり本当の研究を為している人達、本物の知性は、ごく少数の中にいるのである。

昨日発売された月刊誌WiLLに掲載されている安倍晋三元内閣総理大臣と櫻井よしこさんの対談特集は、10月31日に投票を控えている日本国民全員のみならず世界中の人たちが必読。
日本国民は、投票する前に、この対談特集と、次章にて紹介する高山正之の対談特集を読まなければならない。
本欄の読者の方々は、出来るだけ多くの周囲の人たちに、伝えて下さい。
以下は前章の続きである。
ABJD包囲網
櫻井
米軍のアフガン撤退の頃から、バイデン政権の対中政策が揺らいでいます。
中国に対して「強い立場」から交渉すると言ってきたバイデン大統領が、必ずしもその強さを維持できていません。
米国が引き気味の今だからこそ、日本にはインド水平洋のみならず国際社会全体の秩序を引っ張っていく役割が求められます。
安倍 
冷戦時代、自由主義陣営にとって死守すべき安全保障の最前線は、北大西洋条約機構(NATO)が東側と接する欧州にありました。
それが現在、第一列島線に移っている。
日米同盟の重要性はかつてないほど高まっているからこそ、バイデン大統領は最初の首脳会談の相手として菅さんを選んだのです。
櫻井 
そんななか、安倍総理が提唱したインド太平洋戦略が自由主義陣営の中心的な枠組みになっています。
とくに日米豪印からなる「クアッド」は、菅政権下ですっかり定着しました。
安倍 
今後は日米豪印だけでなく、イギリスやフランスなど欧州とも連携を深めていく必要があります。 
自衛隊はイギリス海軍とも共同訓練を実施していますが、九月には空母「クイーン・エリザべス」が横須賀基地に寄港した。
注目すべきは、日米英に加えてオランダ海軍も参加していたこと。
戦前、日本に対して「ABCD包囲網」が敷かれました。
それが、いまや「C」から「J」に代わったのです。
自由、民主主義、人権、法の支配-普遍的価値観の旗手としての役目を、日本が期待されています。
櫻井 
敵同士だった国々とともに対中包囲網を形成するというのは、隔世の感を禁じ得ません。
今後とも、安倍総理には変わらず指導力を発揮していただきたいと思います。
野党を返り討ちに
櫻井 
岸田政権に対して、安倍総理の「傀儡」ではないかと批判するメディアもみられます。
麻生さんと甘利さんを加えた「3A」が影響力を持ちすぎているという記事も見かける。
安倍 
私は岸田内閣の人事に影響を与えるつもりはないですし、実際に与えていません。
その証拠に、細田派は大臣ポストを一つ減らしたほどです。
田原総一朗さんや星浩さんなどはそのようなニュアンスで論評しているようですが、その指摘は当たりません。
少なくとも私は取材を受けていないので、誰かの″また聞きのまた聞き“レベルの情報をもとに論評しているのでしょう。
取材せずに記事を書くようでは、ジャーナリスト失格です。
櫻井 
岸田政権が掲げる「新しい資本主義」は、大枠ではアべノミクスを継承するものです。
総選挙を控えるなか、野党は「アペノミクスの失敗」を強調して岸田政権を攻めようとしています。
しかし、これは野党にありがちな「批判のための批判」に思えてなりません。
安倍 
私は首相時代、アベノミクスを批判する野党議員を何度も返り討ちにしてきました(笑)。
事実認識と理論を検証したうえで、コテンパンに叩きのめしたものです。
そうするうちに敵わないと思ったのか、野党は私に経済論戦を挑まなくなった。
政策論争では勝てないと悟ったからこそ、モリカケなどの“創られた疑惑”追及に方針転換したのかもしれない。
野党がアベノミクスを持ち出して岸田政権を批判しているのは、欠席裁判のようなものです。
私がすでに首相の座を降りているから、表立って反論してこないと思っているのでしょう。
櫻井 
立憲民主党は「強いものをより強くし、株価だけが上がり実体経済を良くできなかった」と、共産党は「非正規雇用を増やした」とアベノミクスを批判しています。
安倍 
景気回復に向かう最初の局面において、非正規雇用が増えるのは仕方がありません。いずれ正規雇用も増えていくと説明していましたが、実際にそうなった。
安倍政権下で正規雇用は約200万人増えています。
ちなみに、民主党政権下の3年3ヵ月で、正規雇用は約50万人減り、非正規雇用は100万人ほど増加しています。
安倍政権が発足した2012年12月、正社員の有効求人倍率は0.5倍でした。
それが2019年4月には1.16倍まで上昇した。
求職者1人につき、正社員の仕事が1つ以上あるということ。
1倍を超えたのは史上初です。
櫻井 
アベノミクスに対する無理筋の批判もありますね。
安倍 
笑ってしまったのが、「GDPをドル建てで見れば民主党政権時代より悪化している」というもの。
「あなた方はドルで給料をもらって生活しているんですか?」と一蹴しましたが(笑)。
岸田政権も無責任な批判に負けず、アベノミクス路線をさらに加速させていただきたい。
論争に決着をつけた
櫻井 
岸田政権が強調する「成長と分配の好循環」は、もともと安倍総理がおっしゃっていたことです。
安倍 
かつて、都留・下村論争というものがありました。
池田内閣のアドバイザーを務めた下村治が、経済学者・都留重人と「経済成長と格差」をめぐって経済論戦を展開したのです。
下村は、日本の潜在能力をもってすればニケタ成長は可能だと主張し、所得倍増計画を支持した。対して都留は、所得倍増より格差是正を優先すべきと唱えた。
櫻井 
立憲民主党は岸田政権に対抗して、「分配なくして成長なし」と言っています。
都留・下村論争そのものです。
安倍 
アべノミクスによって、長年の論争に終止符を打つことができたと自負しています。成長の果実を研究開発、人材育成など投資に回せば、さらなる成長が期待できる。
経済成長によって社会保障の基盤も厚くなり、人々は将来に安心して働くことができます。
野党は分配を優先すべきと主張していますが、社会主義的な発想です。
何もしていない段階でお金をもらってしまうと、成長に向けた第一歩を踏み出す気は起こりません。
努力する人たちを応援することこそ、我々の使命です。
櫻井 
「アべノミクスによって格差が拡大した」という指摘はいかがでしょうか。
安倍 
まったく当たりません。
相対的貧困率も下がり、生活保護受給は現役世代で16万世帯も減っている。
ひとり親世帯の大学進学率も24%から42%に上昇。
野党の「格差拡大」批判は間違っています。
この稿続く。

 


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