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偽善者に騙されるな…重信房子を偶像化する偽善者…最恐テロリストを高く評価…事実を隠蔽する朝日新聞…左翼のテロなら平気で擁護

2023年09月03日 16時38分37秒 | 全般

以下は発売中の月刊誌Hanadaに、偽善者に騙されるな、と題して掲載されている飯山陽さんの連載コラムからである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。 
飯山陽さんが言論界に彗星の如く登場した気鋭の女性学者であることは既述の通り。
見出し以外の文中強調は私。

重信房子を偶像化する偽善者
人は誰しも複数の顔を持つ。 
どれほど極悪非道な犯罪者や残虐な独裁者にも、「いい人」の側面はあるものだ。
しかしだからといって、それがその人の犯罪や残虐行為を正当化するわけではない、というのが道理である。 
ところが朝日新聞は、その道理を持ち合わせていない。
朝日は独裁者やテロリストの「いい人」の側面を強調して美化し、その人の醜悪極まりない側面を隠蔽したり、矮小化したり、正当化したりする。 
一般に他者を称賛するのは美徳である。
しかし、それが不都合な事実を覆い隠したり、特定のイデオロギー的目的を果たしたりするためだとすれば、それは偽善である。
ましてや、独裁者やテロリストを偶像化し、その人に倣(なら)うべきだと吹聴する行為は、民主主義の否定にしてテロの推進・幇助の咎(とが)を免れない。 
朝日新聞は1953年、ソビエト連邦の「最高指導者」ヨシフ・スターリンが死亡した際、「なくなったスターリン首相 子供ずきなおじさん」という見出しでその死を報じたことで知られている。
朝日のこの子供向けの記事は、スターリンがいわゆる「大粛清」やホロドモールなどにより数1000万人もの命を奪ったとされる件には一切言及せず、「まずしさのなかで育ったので、早くから、びんぼうな人にたいする、あたたかい同情があった」とか、「小さいときからかっぱつで、なかまから人気がありました」「いつも優等」などと、スターリンをひたすら絶賛した。 
この記事だけ読んだ子供は、なるほど、スターリンというのは幼少期から死に至るまで、実に立派な人物だったのだと洗脳される。
米国を憎み、諸悪の根源は米国覇権にあると信じる反米論者にとって、スターリンは反米スターだ。
インターネットが存在しなかった1953年当時、偽情報や偏向報道によって大衆を騙し、洗脳するのは朝日にとって容易いことだっただろう。 
彼らのその卑劣なやり方は、ネットの普及とSNSの発展によって徐々に一般に通用しなくなってきている。
だからこそ彼らはいま、日本の一般人が情報を掴みづらいジャンルで、偏向報道による印象操作に躍起なのだ。

最恐テロリストを高く評価 
一例が中東報道である。 
2020年にイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官が米軍の作戦によって殺害された際、朝日は彼を「イランの国民的英雄」「清貧の軍人」などと持ち上げ、これを殺害した米国と当時のトランプ政権を批判した。 
朝日新聞はソレイマニを絶賛し、彼を殺害した米国のほうが悪い、トランプ政権が悪い云々という「専門家」の主張を次々と掲載した。 
メディアへの露出が多いことで知られる国際政治学者で現在、東京大学大学院教授の鈴木一人(かずと)氏は朝日紙上で、ソレイマニを「アイドル」と偶像視し、「中東における武装組織の指揮官としてはおそらく最も優秀で、輝かしい戦績を誇る」「国内外で高く評価」と褒めちぎり、ソレイマニの殺害命令を出したトランプ大統領は「オバマには出来ないことを自分は実現したという姿を見せたいという思いもあったのだろう」とか、「この問題(トランプ大統領弾劾決議)から国民の目をそらす必要があると考えた可能性もある」などと椰揄した。 
また、東京外国語大学・松永泰行(やすゆき)教授は、「殺害されたソレイマニ司令官は、部下が負傷すれば病院に駆けつけ、亡くなれば実家に駆けつけて家族とともに泣く、浪花節的な人物だった。国民からは英雄とみられ、大統領候補に推す声もあるほどだった」というコメントを朝日に寄せた。 
実際のソレイマニはイランの対外工作の首謀者であり、イラン国内だけでなく、イラク、シリア、イエメン、アフガニスタンなどでも数万人の罪なき一般人の命を奪った張本人だ。 
しかもそのやり方は、自らの意に沿わない人々を街ごと包囲して餓死させたり、化学兵器を使用したりするなど残虐極まりない。
彼は、アラブ諸国ではもっぱら「最恐テロリスト」として知られてきた。
しかし、彼は日本では無名の存在である。 
朝日にとっては、日本で知られていない外国の「最恐テロリスト」を偶像化し、「米帝」の暴力の被害者として祭り上げることなど、お手のものだ。
朝日は「専門家」と協力し、こうした事件を「米国は悪だ」という印象操作に利用しているのである。

事実を隠蔽する朝日新聞 
この朝日が7月12日、「女性蔑視の組織、変えられなかった 日本赤軍元最高幹部・重信房子さんの悔恨」という記事を掲載した。
同記事は「ThinkGender ジェンダーを考える」というコーナーに載っている。
重信はいつの間にか、ジェンダーを考えるうえでのロールモデルとされているわけだ。
記事は冒頭、重信を次のように紹介する。 
〈昨年5月、刑期満了で出所した「日本赤軍」元最高幹部の重信房子さん(77)。オランダ・ハーグのフランス大使館占拠事件に共謀し、殺人未遂の罪などで服役した。「武装闘争を選択したことは未熟だった。観念の”正しさ”に頭が占拠され、人と人との関係や痛みに無自覚だった。身勝手から間違った路線に進んでしまった」と当時を振り返る。今、議論を封じ、女性蔑視もあった組織の体質を省みながら、「被害を強いた方々に謝罪をしたい」と話す〉 
「大使館占拠事件に共謀」「殺人未遂」といった言葉からは、重信の犯した罪はあくまでも軽微で、彼女は人の龠を奪ったりはしていないのだと印象づけられる。 
しかし、1972年、イスラエルの空港で自動小銃を乱射し26人を殺した日本人3人を主導したのは重信であり、その後、世界各地で凶悪テロ事件を次々と起こし、無数の無辜な人々の命を脅かし、日本政府を脅してカネを奪ってきた国際テロ組織・日本赤軍を創設したのも重信だ。
朝日の記事はこうした事実を隠蔽し、極度に矮小化している。 
しかも朝日は、重信はもう反省しているじゃないかと擁護したうえで、「そんなことはさておき」とばかりに急に論点をすり替え、彼女は実は、50年前から女性差別と闘ってきた先駆的フェミニストなのだと彼女を賛美し、彼女に倣おうと言い出す。 
当該記事のなかで、重信は左翼運動内における女性差別の「被害者」として位置付けられる。
しかし、重信は泣き寝入りなどしない。
「(女性に)補助的な仕膕しかさせないのは差別」と赤軍派中央委員会に提起し、「なまいき」「女のくせに」と言われたので、「女で上等、それが何か」と啖呵を切ったという。 
「社会が変わらない限り議論しても無駄。闘争の過程で人間として女性の価値を認めさせるしかない」と考えた、と記事にはある。 
要するに、重信が武装闘争に至ったのは、「世界同時革命」や「パレスチナ解放」だけでなく実は女性差別と戦う意味もあったのだ、と擁護しているわけだ。 
仲問をけしかけ、世界中でハイジャックや襲撃や爆破を実行することがどう女性差別との戦いにつながるのか、筆者には皆目見当がつかない。

左翼のテロなら平気で擁護 
しかし当該記事のなかで、小杉亮子埼玉大准教授は「社会の器を変えようとするあまり、無謀な武力闘争に踏み込む人もでたが、功罪両面で学べることはまだある」と「学生運動」を擁護する。 
小杉氏は、連合赤軍事件を描いた山本直樹氏の漫画『レッド』がヒットするなど、この時代に興味を持つ若い人は少なからずいるとし、「授業で当時のデモ映像をみせると、その勢いに恐れおののきつつ、社会への情熱に感心する学生もいるし、当時の学生の問題意識を説明すれば理解を示す学生も多い」と述べ、いまの学生が「運動」しないのは「学生運動=悪というイメージが植えつけられ」たからだ、と日本社会を批判する。 
日本の大学にはいまも、日本赤軍や連合赤軍を「学生運動」と同様に捉えて偶像化し、彼らの「社会を変えよう」とする「情熱」を賛美し、いまの学生にそれを伝え勧める「活動家」がいるのだ。 
テロに「功」の側面などない。
それを認めることは、理由をこじつけ暴力を正当化するテロ擁護論に他ならない。
日頃から戦争反対!暴力反対!対話による平和的問題解決を!と喧しい朝日新聞が、左翼のテロは平気で擁護し、それに倣えと示唆して憚(はばか)らない。
彼らの矛盾や悍(おぞ)ましい偽善は放置せず、見つけた端から悉(ことごと)く暴いていかなければならない。



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