文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

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チュー氏はオバマ時代の元エネルギー庁長官で…一族で中国エネルギー問題に貢献してきた重要人物…いまだにオバマ派官僚と連携し、米国の送電網を中国の支配下にある

2020年08月25日 05時19分46秒 | 全般

私が言及している月刊誌は日本人のみならず世界中の人たちが必読である。
何しろ本稿の様な本物の記事が満載されているにもかかわらず、たったの950円なのだから。
以下は、中国'インフラテロ'の陰にチラつく「孫正義」、と題して月刊誌WiLL7月号に掲載されている、ITビジネスアナリスト深田萌絵の論文からである。
深田萌絵さんは世界でも唯一無二のITビジネスアナリストと言っても過言ではない。
もう一つの非常事態宣言 
コロナ禍のウラで、米国の安全保障を揺るがす“ある事件”が起きていた。 
米国の国防権限法は通信インフラでのファーウェイ製品の使用を禁じたが、ファーウェイの通信機器がエコシステム(密接な関係にある企業)を通じて名を変え、姿を変え、米国に入り込もうとしていたのだ。 
ファーウェイは中共が推進する「グローバル・スーパーグリッド(全球型次世代送電網)」構想に参画する。
スーパーグリッドとは、スマートグリッド(電力の流れを供給側・需要側の両方から制御し、最適化できる送電網)を国家間でつなぐインフラを指すが、そもそもスマートグリッドは電力消費量を「通信」で管理するため、送電網は「通信インフラ」そのものと化す。 
中国からアジア全域はもちろん、ユーラシア大陸、アフリカ、欧州、オーストラリア、そして全米を送電網でつなごうというのがグローバル・スーパーグリッド構想だ。 
その送電網は「通信インフラ」なので、単なるエネルギー事業ではない。
ファーウェイの自然エネルギー用スマート・インバーター(次世代電源システム)で、世界中を監視する“全地球諜報インフラ”としての機能を持つ。 
中共はグローバル・スーパーグリッド構想で韓国、ロシアとは合意に至っているが、難攻不落と思われる米送電インフラにつながるため、あらゆる手を打っている。
メキシコ中西部の太陽光発電計画で、メキシコ国営電力インフラにつなぐ計画にフロント企業を通じて参加し、メキシコから送電網経由でテキサス州へ浸透する。 
あるいはカナダの送電網をウィスコンシン州の“ある工場”までつなぎ、各家庭のスマートメーター(通信機能を備えた電力メーター)から情報を収集解析するー。 
しかし5月1日、トランプ大統領の一声でその計画は頓挫することになった。
「送電網に対する国家非常事態宣言」を発令し、大統領令で“敵対勢力の支配下にある製品”を一部排除することに決めたのだ。
その背景は公表されていないが、敵対勢力の支配下にある製品とは、メーカーがファーウェイとは限らない。 
ファーウェイはすでにエコシステム名で商品を出せる影響力がある。たとえば、関係の深いソフトバンクや、台湾フォックスコンの子会社シャープだ。
それを米国政府は理解し、法の網を掻い潜らせないために“敵対勢力の支配下にある製品”と広く定義した。 
同日、メキシコの国家エネルギー管理センター(CENACE)も、同国最大の太陽光発電計画として行われる予定だった試験運転(太陽光発電所の送電網を国家電力系統に接続する試験運転)を禁止した。 
「新型コロナウイルスによる緊急事態下での電力供給の品質、信頼性、安全性を強化維持するため」と説明されているが、前日に米国・メキシコ間の電力インフラ試験運転に中国が介入しようとしたことに端を発した。
トランプを欺いた男 
グローバル・スーパーグリッド構想の背後にあるのが、中共が立ち上げだ国際団体「全球能源互連網発展合作組織」(GETIDCO)だ。 
この団体の理事長には中国国家電網会長の劉振亜氏が、副理事長にはソフトバンクグループCEO(最高経営責任者)の孫正義氏が就任しているが、何よりもトランプ政権が警戒するのは、もう一人の副理事長、スティーブン・チュー氏である。 
チュー氏はオバマ時代の元エネルギー庁長官で、祖父は中国の国立北洋大学の学長。
一族で中国エネルギー問題に貢献してきた重要人物である。 
このエネルギー問題の中心人物が、米国のエネルギー庁長官としていまだにオバマ派官僚と連携し、米国の送電網を中国の支配下にあるグローバル・スー・パーグリッド構想に組み込もうとする動きが浮上したのだ。 
すでにテキサス州・メキシコ間は送電網でつながり、カナダ・ミネソタ州ウィスコンシン州をつなぐ電力インフラは存在する。
全米の送電網がつながっているため、ウィスコンシン州かメキシコ、どちらかにGEIDCO関係の製品に入り込まれれば、全米の電力インフラは外部から侵入されるリスクが発生する。
その計画を実行に移したのは、トランプ大統領の就任間もない頃に、メディアの前で握手を交わした孫氏とファーウェイ製品組立を行なう台湾・鴻海精密工業の郭台銘CEOだ。
両社は世界でファーウェイ製品を推進する仲間である。 
郭氏は渡米時、自国製造業の強化を推進するトランプ大統領に「米国での製造工場に百億ドル投資」を行なうと持ちかけ、ウィスコンシン州でLCD(液晶ディスプレイ)工場を建設、一万三千人を雇用する前提で州知事の許可を得た。 
ところが、計画は変更された。
「何を製造する工場か」が非開示のままに着工され、近隣の高速沿いに大容量送電・通信網が敷設され、工場用地エリアの約九割は変電所等の施設だとされている。 
また、この州内から工場までの送電建設費は、「ウィスコンシン州民が負担する」という点には驚きを禁じ得ない。 
加えて、敷地内にはデータセンターを建設する計画まで発表されている。
大容量送電網にデータセンターと来れば、用途は限られる。 
考えられるとすれば、工場計画は途中でスーパーグリッドの拠点にすり替わり、各家庭に入るスマートメーターからの情報を収集・解析するためのデータセンターになったというシナリオくらいではないか。 
つまり、米国は通信インフラから中国・ファーウェイ製品を追い出そうとしているうちに、「送電網」に“変装“した中国通信インフラに侵略されかけていたのだ。 
計画内容をトランプ大統領が知っていたなら、事前に中止したはずだ。
これだけの大規模工事にもかかわらず「工場計画の内容」が明かされなかったのはトランプ政権の介入を掻い潜るための知事や官僚の隠ぺい工作としか考えられない。 
通信網を中国から守る一方で、送電網に変装した通信網を見落としたことにトランプ大統領は焦り、「送電網に対する国家非常事態」を宣言することによって郭氏・孫氏との癒着がないことを明確にし、″インフラテロ”のリスクから米国市民を守ったのだ。
この稿続く。


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