文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

私の課長時代 伊藤忠商事社長 岡藤 正広氏…日経新聞8月29日13面より

2011年08月29日 13時45分12秒 | 日記
支店まわって現場知る 
商標問題で休暇先からとんぼ返り、使用を頼み込む


 伊藤忠商事の岡藤正広 社長(61)は1980年。
 「イブ・サンローラン」ブランドの服地ビジネスを立ち上げたが、さっそく壁にぶち当たる。

最初ものすごい注文が来て、意気揚々とフランスに行きました。ところが、です。「オーダー用服地は無地では駄目。こんな趣味の悪いものはサンローランの名前で出せない」。400ぐらいの候補で選ばれたのは30色だけ。困りました。

パリのホテルで一週間考えた結論は「売れ筋はやっぱり無地やないか」。そこでパートナーで輸入服地卸の三喜商事に提案しました。「おたくのいろんな無地のブランド生地をサンローランに一本化しましょう。品質で差異化すれば絶対いけまっせ」。

サンローランの了解を何とか取って展示会を開いたら、女性に大受けです。うれしかったな。

 新たな商材発掘も徒手空拳だった。

82年に「プレイボーイ」の名前で紳士服のパターンオーダーを始めようと考えて、服地商社の石田英に飛び込み営業に行きました。すぐに話がまとまって仕立て器具を大量注文しましたが、そこで問題が起きた。プレイボーイの商標使用権をある繊維メーカーが持っていたんです。

商標を使えないから、石田英さんも契約を取れない。僕は夏休み中。不慣れな車で河口湖の宿にやっとたどり着くと、会社から「えらいこっちや、今すぐ行ってくれ」です。女房残して、とんぼ返りですわ。繊維メーカーに頼み込んで何とか商標を使えるようにしてもらい、やっとスタートできました。

 徹底した現場主義。商売のタネを見つけたら。とにかく足を運んだ。
 
ブランド生地は売れ残ってもバーゲンできない。そこで伊藤忠の国内支店の活用を思いつきます。各支店がその生地で取引先などと商売したら、売り上げの2割を渡す。そうやって協力を要請しました。

釧路から鹿児島まで、日本中の支店を回りました。在庫生地はうまく売れましたが、別の収穫もあった。支店の苦労を自分の目で見られたことです。例えば、釧路は所長と若手の2人だけ。

お客さんは地元の漁業会社で、船に一緒に乗り込んで仕事を手伝うんですな。苦労してお金をもらって、会社の利益にしていたんです。

「本社の入らとえらい違いや。何とかしたいな」。支店の人と酒を酌み交わし、心からそう思いました。社長になった今も、アフリカなど環境の厳しい場所で働いている社員やその家族を精いっぱい大事にするよう心がけています。

 課長就任は40代。遅咲きだがすぐ頭角を現す。

課長になって手がけたのがブランドを雑貨や装飾品にまで総合展開する事業でした。伊藤忠がまとめ役となってマスターライセンスを取り、各アパレルの広告宣伝から販売促進まで全部代行する。これが大きなビジネスになりました。きっかけが「トラサルディ」。忘れられない、いろんな勉強をさせてもらいました。

被災地 ボランティア 丸紅、全新人を研修で…日経新聞8月29日13面より

2011年08月29日 12時00分56秒 | 日記
住友化学は勤務扱いに

東日本大震災の復興支援を巡り、企業が相次ぎ新しいボランティア派遣に取り組。丸紅が今年度入社の新入社員全員を研修で参加させ、復興を後押しするアイデアも募集。

よいものがあれば、会社全体の活動に採用する。住友化学は希望する社員を勤務扱いで派遣することで、復旧支援に参加しやすくする。
丸紅は今年度入社した総合職103人が原則、全員参加する。

9月4日から、約20人ずつを3泊4日交代で5週連続で派遣する。宮城県七ヶ浜町の「菖蒲田海水浴場」でゴミやがれき、防風林内
の汚泥などを撤去する。七ヶ浜町の元町議会議員などから被災地の現状や復興へ必要な項目を聞いてリポートを提出する。

七ヶ浜町は、県内有数の菖蒲田海水浴場を来夏に海開きするための再生プロジェクトを実施中。丸紅は新人研修を実施した後も一般社員から募集してボランティアを派遣する考え。太田道彦専務執行役員は「どんな貢献ができるか真剣に考え、社会人として成長する契機になれば」と話す。

住化は7月末から、1回に20~25人を5日前後、釜石市や大槌町など岩手県沿岸部に派遣。殺虫成分を繊維に練り込んだ自社製防虫ネットを避難所に設置したり、ボランティアセンターの指示でがれき処理や泥かきなどにも取り組んでいる。

9月末までで計約150人が参加予定だが、交通費などの費用も会社が全額負担する。会社が有給休暇扱いでボランティアを認める例はあるが、勤務扱いは珍しいという。

「世界標準」具体的に伝授 ゴールドマン・サックス証券 発言力磨く「道場」…日経8月29日13面より

2011年08月29日 11時52分45秒 | 日記
人の話に割って入る訓練
評価高めるテクニック
海外で活躍できる人材育てる


米系大手証券のゴールドマン・サックス証券(GS、東京・港)は日本語を母語とし、主に日本で学んだ入社4、5年目以上の社員向けワークショップを昨年から開いている。言葉や文化の違いから自分の意見をうまく表現できない若手や中堅を鍛え、米国など海外でも活躍できるようにする狙いだ。同様の取り組みは韓国や中国の現地法人にも広かっている。

「生煮えと思う段階でもどんどん報告を上げた方がウチでは評価される」 「日本人から見ればやりすぎと思うくらい発言・報告していい」。GSの「カルチャー道場」では、吉村隆コンプライアンス部長から参加者へ具体的な助言が飛ぶ。

他人の発言に割って入らない、意見が同じなら発言しない、全体像が見えるまで報告しないー-そんな日本的、アジア的な価値観がもとで生まれるトラブルへの意見を小グループで数分間交わす。解決策などについて自主的な発言も求める。

元米財務長官のヘンリー・ポールソン氏はゴールドマン・サックス時代、メールを読まないことで有名だった。代わりに、ボイスメールを多用した。用件はできるだけ対面で、無理なら録音して伝えるのがゴールドマン流。

伝達のスピードに加え、声に含まれる微妙なニュアンスなどの情報を重視するからだ。米国ではこんな「声の文化」が企業に定着している。積極的に発言しない人は社内に限らず、顧客に与える印象も薄くなる。

「日本などのアジア人が会議などで控えめなイメージがあるは事実」(吉村氏)。文化差が評価の差につながっている面もある。そこで日本独自の取り組みとしてカルチャー道場を創設した。半年程度、月に1回開くスケジュールで、2年目の今年は7月から12月まで取り組む。

語学に堪能で、アグレッシブな社員ばかりーーGSにはこんな印象がある。だが実際は、優秀だが海外でも評価される世界標準のコミュニケーションカが足りず、本国から実力通りに評価してもらえないという課題を抱えている。多くの外資の日本法人と同じだ。
 それは採用方針にも原因がある。

日本でも「チームワーク重視」(上田彰子社長室長)で、志望者を同じ部署の全員で面接する。最低限の英語力は必要だが、堪能であることまでは求めない。カルチャー道場ではそうして入社した典型的な日本人の変身を後押しする。

「吉村さんみたいに話し上手で英語がネイティブに近い人でも、会議前に原稿を用意するのか」。江原正弘デリバティブ業務部マネーシング・ディレクターー(MD)はカルチャー道場の企画に関わる過程で驚いた。江原氏は他の外資系金融機関からGSに転職した。話し方の文化差を知る研修は他社にもあるが、「問題を解決する具体的な技術までは学べない」とかねて感じていた。

カルチャー道場では、人材の評価基準を明確に伝えた上で、評価を高めるテクニックも伝授する。いわく「ボイスメールで相手が聞くのは2分間まで。忙しい幹部向けは原稿を用意し簡潔に」「電話会議も自身への評価が決まる大舞台。発言しなければ、いないも同然とみなされる」「会議で最初に話を振ってもらえるよう、司会者にメールで頼んでおくといい」。

「多様性」は「成果主義」や「顧客・信用第一」などと並ぶゴールドマンの社是。地域別純利益で最も伸びているアジアの構成比は2割強に達し、今後の成長にはアジア人の活用が不可欠と見ている。

そこでGSでも声を出す訓練を積むだけでなく、控えめに発言するアジアの慣習も米本社の幹部に事あるごとに訴えている。地道なアピールが奏功し、会議の最後に日本からコメントを求める配慮も増えたという。

パナソニック カメラレンズ 解像度4倍に…日経新聞8月29日11面より

2011年08月29日 11時26分25秒 | 日記
携帯用、パナソニック パナソニックは携帯電話に内蔵する小型カメラ向けレンズの解像度を従来の4倍に向上させた。表面を特殊加工することで、より焦点が合いやすくなった。レンズが3~4枚必要だった内蔵カメラでも1~2枚で済む。その分、容積を3割ほど
小さくできる。

2~3年後を目標に実用化する。自社製品に搭載するほか外販も計画する。画素数が同じなら、レンズの解像度が高いほど小さな面積に質の高い情報を詰め込むことができる。

撮像素子の高性能化に合わせてレンズの解像度の向上も求められているが、光の3原色である赤と青と緑の波長が違うため、複数のレンズを組み合わせる必要があった。

パナソニックは透明な樹脂に無機材料の微細な粒子を均一に混ぜ、レンズ表面に被覆した。この膜が光の屈折を微妙に調整し、1枚のレンズで3つの光の焦点をきれいに合わすことができるようになった。

東大 麹菌でビタミン合成の過程解明…日経新聞8月29日11面より

2011年08月29日 11時22分16秒 | 日記
東京大学の北本勝ひこ教授と丸山潤一助教らは、麹(こうじ)菌がビタミンを合成する仕組みを解明した。

細胞内の小器官に合成酵素が運ばれ、ビタミンを作っていた。この小器官を多く持つ麹菌を作れば、ビタミンを豊富に含む日本酒や味噌などを造れる可能性がある。

糖を合成する細胞内小器官のペルオキシソームに着目。麹菌の遺伝子を組み換えて、ビタミンB群に分類されるビオチンを合成する酵素ができると同時に蛍光たんぱくも作製されるようにした。

ペルオキシソームが緑色に光り、この酵素が運ばれ、ビオチンを合成していることがわかった。植物でもペルオキシソームがビオチンの合成に関与していると考えている。

東芝 HDD容量最大6倍 …日経新聞8月29日11面より

2011年08月29日 11時14分22秒 | 日記
再生用磁気ヘッド新技術

東芝は既存の製造工程を大きく変えずに、ハードディスク駆動装置(HDD)の記録容量を最大で現在の約6倍にする再生用磁気ヘッド技術を開発した。

1平インチあたり2・5テラ(テラは1兆)ビットの密度で書き込まれた情報を誤りなく読み取れることを確認した。原理的には5テラビットまで高められるという。2014年ごろを目標に2・5テラビット技術を実用化する。

再生用磁気ヘッドは0・75テラビットの読み取りが実用化しているが、現行技術では2テラビットが限界。HDDの記録容量はデータセンターの大型化などに対応、2年で約2倍のペースで増えてきたが、このままでは14年ごろに頭打ちとなりニーズに応えられなくなる。

東芝は東北大学の佐橋政司教授らと協力。サンドイッチのように薄い絶縁膜を金属層で挟んだ既存の構造を工夫した。絶縁膜に直径1ナノ(ナノは10億分の1)メートルの穴をたくさん開け、両側の金属が絶縁膜の一部を貫通してつながるようにして感度を高めた。狭い面積にびっしり書き込まれた情報を確実に読み取れる。

磁気ヘッドは記録用と再生用を組み合わせて使う。記録用も既に2・5テラビットに対応できる技術に日立製作所などがメドを付けた。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトの成果で、29日から開く米国の学会で発表する。

シンガポール大統領選挙 一党支配、曲がり角に…日経新聞8月29日6面より

2011年08月29日 10時55分52秒 | 日記
与党系元副首相辛勝

【シンガポール=佐藤大和】
18年ぶりに投票による決着となったシンガポール大統領選挙は28日未明に開票作業が終了、政権与党人民行動党(PAP)が実質支持したトニー・タン元副首相(71)が初当選を決めた。

ただ得票率は35%にとどまり、2位の対立候補との差は0・3%。1965年の独立以来、他国がうらやむ高成長を実現してきたPAPの一党支配が曲がり角を迎えた格好だ。

シンガポールでは投票は罰則付きの義務で投票率は94%。有権者数は227万人。タン次期大統領は9月1日に就任し、任期は6年。
今回の大統領選は異例の展開をたどった。同国大統領は国家元首の位置付けだが政治的権限は限られ儀礼的な存在。選挙が海外からはもちろん国内でも重視されることは少なく、過去2回はPAP推薦のナーザン大統領が無投票当選した。

しかし今回はタン元副首相に加えてタン・チェンボク元国会議員(71)ら「非PAP」「反PAP」を掲げる対立候補3氏も出馬。PAPへの信任投票の様相となった。

シンガポールは政労使の協調が特徴でビジネス界や労働組合が続々とタン元副首相支持を表明。にもかかわらず、チェンボク氏との票差は720O票。リー・クアンユー元首相が創設し、資源ゼロの島国を積極的な外資誘導で世界有数の都市国家に導いたPAPにとって厳しい結果となった。

今年5月の国会議員総選挙でもPAPは議席数では圧倒的多数を維持したが得票率は60%と最低に落ち込んだ。リー・シェンロン首相にとって悩一ましいのは明確な失策が。ないのに支持率が退潮している点だ。昨年の成長率は14%と世界金融危機からV字回復。アジア唯一のトリプルA国として債務問題とも無縁だ。

PAP苦戦の底流にあるのは①優秀な海外人材や外資の誘導で生じる国民の競争疲れ②1党支配を通じた成長最優先の国家運営への反発――など。政府は海外からのホワイトカラーの受け入れ規制をやや厳しくするなど「国民が第二と銘打った施策を打ち出した。

もっとも「対外開放の継続の必要性は国民の共通認識。政府が大衆迎合に転じる選択肢はない」(米調査機関センテニアルグループのマヌ・バスカラン氏)。シティグループ・エコノミストのキット・ウェイジェン氏は「野党の支持拡大は政治の不安定化というより健全化」と指摘する。

リー首相は28日、一連の選挙が終わり、「国民が再び結束するときがきた」と呼びかけた。「成長重視」と新たな「民意」のあいだで、微妙なかじ取りを迫られそうだ。

NTTデータ 航空路の設計システム インドネシアで受注…日経新聞8月29日9面より

2011年08月29日 10時45分26秒 | 日記
【ジャカルタ=野沢康二】NTTデータはインドネシアで航空当局が使う飛行経路の設計システムなど現地政府向けのシステム構築を相次ぎ受注した。現地に新会社を設立し、日系企業を中心に小売業などへの売り込みも強め、インドネシアでの事業を拡大する。

受注したのは、航空機が空港を離着陸する際の経路などをこれまでより高い精度で作ることができるシステム。

日本がインドネシア運輸省と取り組む航空安全の向上を図る経済協力の一環で、国際協力機構(JICA)が発注し、年明けに同省へ供与する。衛星通信を使った運航が広がりつつあるのに合わせ、ジャカルタ空港などで活用する。

現地法人はNTTデーターグループの100%出資で、9月に営業を始める。同国では個人消費の急拡大を受け、日系コンビニエンスストア各社が進出を狙うなど近代的な小売業の進出が加速している。

商品管理や決済などに使うシステムの需要は高く、こうした分野への売り込みを強める。現地政府や製造業向けも含め、今後2年間で50社との契約をめざす。

天然ガス探鉱参入 日揮、米でガス層発見…日経新聞8月29日9面より

2011年08月29日 10時43分19秒 | 日記
日揮は天然ガスの探鉱事業に参入する。すでに米国で試掘を始めており、このほどガス層を発見した。同社は石油精製など大型プラントの建設事業で利益の大半を稼ぐが、収益源の多様化のため資源開発分野での事業展開を進めている。

資源開発会社の米ペトロクェストが持つ米ルイジアナ州バーミリオン群の湖沼域の鉱区で9・5%の権益を取得。ペトロ社らと共同で約5800訂の地下まで試掘を進め一定規模のガス層を発見した。ガス埋蔵量などは明らかにしていない。

今後も掘削を進め、2012年初頭にも商用生・産を始める予定。ガス供給は米国内向けで、日揮はガス会社への販売で生じる利益を保有権益の割合に応じて受け取る。日揮は2001年に資源開発の部署を立ち上げ、投資可能な案件を調査して
きた。

福島第1原子力発電所の事故を受けて天然ガスや石油調達の重要性が高まっている。

米IT、特許売買活発に IBM・コダック、相次ぎ売却…日経新聞8月29日7面より

2011年08月29日 10時31分18秒 | 日記
急拡大するスマートフォン市場
増える訴訟 防衛対策


米IT(情報技術)業界で特許権の売買が活発になっている。IBMや映像機器のイーストマン・コダックが千件規模の特許の一括売却やその検討を開始。スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)などの市場拡大を背景に特許紛争が増えており、企業の間で防衛策として特許の購入意欲が高まっているためだ。

IBMはインターネット検索最大手のグーグルに、コンピューターの頭脳に相当するMPU(超小型演算処理装置)などに関わる1000件超の特許を売却した。コダックはデジタル画像関連の1100件の売却を、無線通信関連の特許を保有するインターデジタル (ペンシルベニア州)は身売りをそれぞれ検討し始めた。

経営破綻したカナダの通信機器大手ノーテル・ネットワークスが保有する6000件超の特許の売却を巡る入札では、アップル、マイクロソフト、ソニーなどの6社連合が6月末に45億ドル(約3450億円)で落札。

価格はグーグルの当初提示額の5倍に上がった。グーグルは特許取得を目的に、米通信機器大手モトローラ・モビリティーを125億ドルで買収する。

市場が急拡大しているスマホや「タブレット」と呼ばれる多機能携帯端末を巡って関連企業による特許侵害訴訟が増えている。特許の相互利用契約を結ぶなどといった形で和解するためには、お互いに一定規模の特許を保有していることが必要。こうした事情を受けてグーグルやアップルが特許争奪戦を展開して相場を押し上げている。

コダックは1970年代に世界初のデジタルカメラを開発するなど技術力に定評があり、米国で2万件超の特許を持つ。ただ近年はデジタル製品への対応の遅れが目立っており、株式時価総額も8億ドル程度と90年代のピーク時の30分の1以下の水準に。同社などによる特許売却はIT業界の新旧交代を象徴する動きといえそうだ。

IT企業を対象に特許リスクの軽減サービスを提供し、ノーテルの特許売却にも応札した米RPX(カリフォルニア州)のポール・レイディー上級副社長は「複数の機能を詰め込んだスマホは多くの特許を含み、知的財産権紛争の対象になりやすい」と説明。知財紛争の増加を受けた相場上昇により「特許を多数保有する企業の経営者の間で、売却への関心が高まっている」と話す。

現状は社歴が浅くスマホ関連の特許の保有が極端に少ないグーグルによる基本ソフト(OS)「アンドロイド」での勢力急拡大が相場上昇の背景。レイディー氏は「ノーテルの特許の落札額が独特かつ例外的であり、特許保有を巡る企業間の不均衡が解消されれば相場は落ちつくはず」と冷静な見方をしている。

RPXは顧客企業に代わって特許紛争の原因となりそうな特許を事前に購入して利用権を供与するサービスなどを提供。その一環として複数の顧客企業の意向を受けてノーテルの特許売却に応札した。(シリコンバレー=奥平和行)