政府の総合科学技術会議が7月29日に菅直人首相に答申した「第4期科学技術基本計画案」で、原子力政策が見直されるまで留保するはずだった核融合の研究開発が最終段階で「推進する」との方針に変わった。
大学の研究者らで組織する核融合ネットワークが推進意見を送るようメールで呼び掛けた結果、多数の意見が寄せられたためだ。
同会議の有識者議員からは「組織票だ」との指摘も出たが、原子力研究者らの主張が通った。
同計画は2011年度から5年間の科学技術政策の指針となる。
当初案では、核融合の研究開発は「エネルギー政策や原子力政策の方向性を見据えつつ実施する」と留保していた。
これに対し、研究縮小を懸念した一部の研究者らが6月21日に「科学技術基本計画の核融合に関するパブリックコメントのお願い(重要&至急)」と題するメールを研究関係者らに送信し、研究推進に意見提出するよう求めた。
総合科学技術会議の事務局によると、6月14~26日に公募した同計画への国民の意見(パブリックコメント)の件数は計489件で、半数が核融合関連だった。
「核融合は将来にわたる基幹エネルギー源として研究開発を推進すべきだ」など、ほぼすべてが方針転換を求めており、似た内容も多かったという。