「ひぐらしのなく頃に 卒」の最終話を踏まえた記事でノイズ排除やVRの話をしたので、つながるものとして宗慶二のすばらしい現代文の授業を掲載しておきたい。
この講義では認識論を扱っており、抽象的にはウパニシャッド哲学やカントの批判哲学、ソシュール言語学など様々なものへとリンクするが、作品としても「オープンユアアイズ」や「マトリックス」などでも扱われる有名なテーマであり、ひぐらしのループとそれを踏まえた世界変更(都合の良い世界を求める)ともあわせて考えることができるだろう(なお、文中では古典として「マクベス」のような作品が挙げられているが、個人的にはソフォクレスの「オイディプス」やアガサ・クリスティーの「五匹の子豚」がまず連想されるところだ)。
あるいは、文中で出てくる「宗教性を帯びた選択」という話から、もっと広げて映画「メッセージ」(原作は「あなたの人生の物語」)の予定説的世界観などを想起することも可能と思われる。さらに言えば、最後の動画における「信仰」と「自由」の話からは、以前書いた正宗白鳥の話(信じることには懐疑も含まれる・そもなぜ救済されることが前提なのかetc...)などを想起することもできるだろう(まあ動画の文章では宗教的なるものを信じるって意味では使ってないのだけどね)。
ちなみに、世界.は価値観の多様性とその承認(厳密には共生を脅かさない限りそれを認める)という方向で進んでいるため、「赤子の泣き声」をはじめ他者との共生・調整はどんどんハードルが高くなってきて、同胞としての理解に基づいた助け合いではなく、「ノイズキャンセラー」といった技術的な方法で乗り越えるしかなくなっていくだろう、と私は予測しているのだが(それこそ、どっかの国の大都市みたいに、信号無視をした人間はモニターにでかでかと顔と名前が出るから違反もできない世界、というのと同じだが)。
というわけで今日のところはこれにて終了。
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