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全体は楽観主義で、個別事案は悲観主義であることが重要:その対極が「コンサマトリー」と「ゆでガエル現象」

2025-07-21 16:47:19 | 生活

 

 

 

日本人の幸福度が相対的に低いってのはよく言われることで、その原因は同調圧力などによって自己肯定感より自己否定(極端に言えば滅私奉公)の方が強くなりがちだとか、同質性が高い社会だから常に他者比較をしてしまうとか(まあブータンの例のように今では全世界そうなりつつあるが)、あるいは「日本人は不安を感じる脳内物質が多い(?)」みたいな話まである。この点、以前紹介した、『先生、どうかみなの前でほめないで下さい:いい子症候群の若者たち』はその最たる例と言えようか。まあこの辺は、「何があろうと自分は自分」という自己同一性が日本人には弱い、という昔ながらの日米比較論みたいなのが、ある程度当てはまってしまうのかもしれない(ちなみにこのような傾向が、SNSによる「過視化」と相まって、若年層の自殺率上昇に関連しているかもしれない、というのは前に述べた通りだ)。

 

その分析がそれぞれ正しいかは今は置くとして、自分がいつも不思議に思っているのは、「不安を感じる人間が多い割に、知識の獲得に熱心なわけでもないし、計画に基づいた備えの方は割とガバガバな人が結構いるようだ」ということだった(キャリアプランや定年後の資産活用etc...)。

 

その前提でこの動画を見たので、なかなかに興味深いと感じた。なるほど、今述べた傾向は、「全体として悲観主義で、個別の案件は楽観主義」と見ることもできるわけか。しかし宋世羅としては、マクロなレベル(全体像)は「まあ生きてりゃ何とかなるやろ」と楽観的に構えつつ、実際の一つ一つの事案については悲観的に(というか「慎重に」がこの場合は正確だと思うが)捉え、ゆえにしっかり計画的に行動することが重要って言いたいワケよな。これについては全く同感である(注)。

 

極めて不思議なことではあるが、漠然とした不安を抱え、色々なものを自分には無理だと最初から決めつける割に、かと言って自分にできる範囲で深く調べようとしたり、それに基づいて戦略的に行動する、といった必要な準備をしたりはしないんよな(ちなみにこういった事例は、ここでも何度か引用している「Fラン大学就職チャンネル」「大学イノベーション研究所」などのチャンネルで無数に出てくるので、そちらを参照されたい)。それは喩えて言うなら、自らを濃い灰色の世界に生きていると認識しながら、決してその灰色を薄めようとはしないようなものである。

 

そうであるがゆえに、成功はもちろん安定の道筋も見えないから、常に薄ぼんやりとした不安が解消されることがない。しかし「今はまあそこそこ生きられてる」というコンサマトリー(今・ここ)の認識から、行動を改めることはしないため結果としてどんどん茹でガエル化していっている、という状況なのではないだろうか。

 

そうした感想を述べつつ、本稿を終えたい。

 

 

(注)

この実例を考えてみると、例えば人生一度きりだからやりたいことをやってみたいと考えて声優やVtuber、あるいはスポーツ選手を目指すとしよう(ちなみに、「いい大学に行きさえすればバラ色の未来が約束されているはずだ」などというのが妄想なのは、高学歴ワーキングプアの様々な事例を見れば十分だろう)。その構え自体を否定する必要は全くないが、そこで各々の職業の実態がどのようになっているかをどの程度きちんと調べたか、というのは極めて重要である。すなわち、声優やVtuberは供給過多で食い詰める人間の方が数が多いし、スポーツ選手もプロとして専業で飯を食っていける人間の割合は相当絞られる。それを踏まえた上で、成功するためのゴールとマイルストーンを策定した上で、例えば兼業であるとかその道を完全に断念するタイミングの設定のような形で出口戦略まで決めておくなら、前述のような将来像を目指すことは何ら否定されることではないだろう。

と書きながら、大の大人も自身のキャリアプランやキャリアパスについて甘く考えたり選択をミスることなんていくらでもあるので、まして情報を知らない未成年がこのようなマインドで行動するには、どれだけ周囲の環境整備が重要かは想像するに余りあるわけだが。まあ少なくとも、ミクロでの悲観主義に基づいて、精密に情報を調べたり費用を計算する行動を奨励・実践することもなく、「夢なんだから肯定してやれ」などと言うのは単なる無責任以上の何物でもない、と言えるだろう(どういうわけか、「努力」という言葉が口にされる時、そこに近視眼的に没頭することは奨励されるけれども、その周辺情報を精密に集めて分析・判断する行為はそうみなされにくい、って傾向があるように思うのは自分だけだろうか?)。


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