元東進のトップ講師である吉野敬介と、同じ元東進で様々な英語の資格を保持しすでにYou tuberとしても活動していた森田鉄也の「ただよび」が始まった(ちなみに今日から本格的に授業開始だそうだ)。4/1にチャンネルを開設し、まだ授業を行っていない段階で4万人近い登録者数(この記事を書いてる4/5深夜時点)が集まったところからも、その注目度の高さがうかがえるというものだ。
受験に関する動画としては、前にこのブログでも何度か言及してきた。例えば無料で見れる授業動画ということではtry itを取り上げたし、受験情報ということでは「『自称進学校』の構造について」や「やはり防医です・・・(スペック並感)」などで触れている。
私は、率直にこの試みを応援したい。これからますます苦境に陥っていくであろう日本の、そして日本の若者たちにとって機会の平等が広がることに何のデメリットもないのだから(なお、身の回りには奨学金返済に卒業後も苦労している同僚もいれば、母子家庭でアルバイトを掛け持ちしながら大学に通っている人、また金銭的理由で医学部進学を断念した友人もいる。加えて言えば、東大学生の家庭の平均年収は1000万近くで、中学入試は今や「課金ゲー」とすら言われ、東京の上位私立一貫校は次々と高校入試をやめている状況に注意を喚起したい)。
もちろん、「これが全てを解決する特効薬になる」という考えは余りにもナイーブすぎるが(実際、吉野はインタビューの中で、「無料だからこそ逆に学習への拘束力が低い点も重々理解している」という趣旨の発言をしている)、学習をしたいというモチベーションを持っている人にとっては明らかにチャンスは増えるわけで、それを否定する理由はどこにもないはずだ(なお、やたらに吉野や森田を「マネタイズなど無視した聖人君子」のように持ち上げ、後で勝手に幻滅するのような向きも、お門違いでナイーブな反応というものだ)。
商売敵がこの試みに懐疑的な言葉を投げかけるのなら分かる。しかし、「自分は今のような環境でも努力してやれた・やれるのに、何でもっと機会を広げなきゃいけないの?」などと、自分の苦労は他人もしないとおかしいと考えるような、知識はあっても公共性というものを理解できない愚か者が、外野から冷笑的な発言を投げかけるのはいかがなものだろうか(「問題点を指摘することで、より完成度の高いコンテンツになるようにするよう配慮する。なぜならそれによって良き人材が育成される余地が増えることは社会にとって有益であり、それは周り回って自分にとっても有益となりうるからだ」というのなら理解できるが)。
いい加減、自己責任論者と前例踏襲主義者たちは、自分が「老害」と揶揄されるような連中と同じ発言をし、むしろ社会の足かせになっているのではないか、ということを考えた方がよいだろう。
ともあれ、この試みが一人でも多くの学ぶ意思を持つ学生の可能性を開花させ、そして後には社会人や退職した人々の学びの動機づけとも結びついていくことを願ってやまない。
【こっからは過去の体験談なので、興味ない人は飛ばしてどうぞ】
森田が動画の中で言う通りの「情報格差」である。九州出身で2000年に関西や東京の大学を受験した私にとっては、情報と言えばせいぜい赤本と蛍雪時代くらいしかなかった。学内でそういった地域を受験する人間はほぼ皆無で、学校はまともな情報どころか「課外授業にちゃんと出ろ。以上。」という体たらくだったのだ(早稲田の小論文とかは個人的に添削してもらってたので、あんまクソミソに言うのも心苦しいが)。
ちなみに科目ごとの得手不得手でいうと、最も世界史が得意で英国が同じくらい、数理が苦手な国立文系だったが、受験した時の科目(二次試験)は抑えの関西学院が英国世で、あとは早大文一が英国小、そして阪大が英国日(元々京大志望だったので日本史・世界史両方勉強していた)という状態だった。賢明な読者諸兄はすでにお気づきのことと思うが、バカ丸出しである(全く弁解の余地なし)。一応早大までは受かったんでそれなりに恰好はついたものの、これで抑えのみ合格でしたー(・∀・)となったら目も当てられないところだった。
もちろんこれはアホの極みであり、ここまでdangerousなことをしてる人は当時としても少ないと思うが、世界史を生かすなら、仮に自分の興味のあった歴史系に絞るとしても、慶應文や早大教育(地歴専修)などいくらでも候補はあったはずだ(同志社は「文化史」しかなかったという理由で除外するとしても)。
しかし、例えば慶應文は英文が長くて記述量多いので面倒くさそうだったし(いやお前京大英語やっとるなら、そのついでに対策できるやんけと突っ込みどころ満載w)、教育学部にいたっては先生になる気がみじんもなかったので、はじめから選択肢にすら入ってなかった(余談だが、早大教育学部は教員になる人の割合が15%もいない、というのは入学後に知った。まあそもそも教育学部の中にも教育学専修や生物学専修など色々あるので当たり前っちゃ当たり前なんだろうが。ちなみに自分の身の回りでも、教育学部の人の進路は覚えてる限りで1人が弁護士、3人が新聞社、2人が公務員、1人が研究者、そして2人が高校教員で、2/9が教員だから15%より高くはあるが、さっきの割合は概ね当たってるんじゃないかと思っている)。
ちなみに今であれば、旺文社のサイトや河合塾のサイトですぐに合格最低点や倍率などを調べられるし(受験関連の動画を見てたらAIが気を効かせてくれたのか、googleのニュースでもそういうのが多く出るようになったので見てみたw)、会員登録をすれば過去問すらタダで閲覧できるのである。それに大学・学部の就職先の割合を見れるサイトもある(毎年ってわけでもないので参考程度だが)。また、他のサイトには参考書の特徴や学習の手順まで載っていて、情報の整備もここまで来たかと隔世の感を持ったものである(言うまでもないが、内容は玉石混交なので活用は自己責任で。医者のセカンドオピニオンじゃないが、いくつか信頼性の高そうなサイトをクロスレビューするくらいでちょうどよい)。
まあこれだけ情報が揃ってても調べないヤツは調べないんだろうが(たとえばYou Tubeの動画コメントでは、いやそれ書き込む前に自分で調べろよと思うことを平気で書いていて、「こいつの頭の構造どうなってるんだ?」と思うことがよくある)、それでも存在しているのといないのとでは雲泥の差である。あとはまあ学校教師がどれだけ柔軟に対応できるかだな・・・と書きつつ、この稿を終えたい。
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